Sun Java Enterprise System 2005Q4 技術の概要

Sun Cluster ソフトウェア

Sun Cluster ソフトウェアは、高可用性サービスおよび高スケーラビリティーサービスを、Java ES コンポーネントおよび Java ES インフラストラクチャーがサポートするアプリケーションに対して提供します。

クラスタとは緩やかに結合された一連のコンピュータのことであり、サービス、システムリソース、およびデータの単一のクライアントビューを一括して提供します。クラスタの内部では、冗長コンピュータ、インターコネクト、データ記憶域、およびネットワークインタフェースを使用して、クラスタベースのサービスおよびデータに高可用性を提供します。

Sun Cluster ソフトウェアは、メンバーノードおよびその他のクラスタリソースの健全性を継続的に監視します。障害が発生した場合、Sun Cluster ソフトウェアは監視対象のリソースのフェイルオーバーを開始するために介入し、内部の冗長性を使用して、リソースへのほぼ連続的なアクセスを可能にします。

Messaging Server および Calendar Server 用のデータストアサービスをサポートする 2 つのノードから成るクラスタを次の図に示します。

図 2–6 Sun Cluster ノードによる可用性の設計

Sun Cluster 可用性設計に含まれる冗長のコンピュータ、データストア、およびインターコネクトを示す図。

Sun Cluster データサービスパッケージ (Sun Cluster エージェントと呼ばれることもある) が、すべての Java ES システムサービスコンポーネントに利用できます。カスタム開発されたアプリケーションコンポーネント用のエージェントを記述することもできます。

Sun Cluster ソフトウェアによる制御が行われるので、スケーラブルなサービスも提供できます。クラスタのグローバルファイルシステムおよびクラスタ内の複数のノードの機能を利用して、インフラストラクチャーサービスやアプリケーションサービスを実行することにより、サービスの複数の並行インスタンス間で、これらのサービスに対して増加する要求のバランスを取ることができます。したがって、正しく設定されていれば、Sun Cluster ソフトウェアは分散型のエンタープライズアプリケーションに高可用性とスケーラビリティーの両方を提供できます。

Sun Cluster 環境をサポートするのに必要な冗長性のために、ソリューションに Sun Cluster を含めると、物理環境に必要なコンピュータやネットワークリンクの数がかなり増えます。

Sun Cluster の可用性サービスは、ほかの Java ES コンポーネントが提供するサービスとは異なり、分散型のピアツーピアサービスです。したがって、Sun Cluster ソフトウェアは、クラスタ内のすべてのコンピュータにインストールする必要があります。