Sun Java System Messaging Server 6 2005Q4 管理ガイド

メールボックスを管理するには

この節では、メールボックスの管理および監視を行う次のユーティリティーについて説明します。 mboxutilhashdirreadership

mboxutil ユーティリティー

メールボックスの一般的な保守タスクを実行する場合は、mboxutil コマンドを使用します。mboxutil で実行できるタスクは次のとおりです。


注 –

mboxutil プロセスを実行途中で強制終了しないでください。SIGKILL (kill -9) で強制終了すると、各サーバーを再起動し、回復処理を行わなければならないことがあります。


表 18–11 に、mboxutil コマンドの一覧を示します。構文や使用要件の詳細については、『Sun Java System Messaging Server 6 2005Q4 Administration Reference』を参照してください。

表 18–11 mboxutil オプション

オプション 

説明 

-a

廃止されました。すべてのユーザーの制限容量に関する情報の表示に使用します。Use. imquotacheck を使用してください。

-c mailbox

指定したメールボックスを作成します。-f とともに使用できます。 

メールボックスが 1 つ存在していないと、次のメールボックスを作成できません。 

-d mailbox

指定したメールボックスを削除します。 

ユーザーをメッセージストアから削除するには、-d mailbox に次の値を使用します。

user/userid/INBOX

たとえば、ユーザー john をメッセージストアから削除するには、-d user/john/INBOX を使用します。ユーザー john のメールボックスの mm フォルダを削除するには、 -d user/john/mm を使用します。

Delegated Administrator ユーティリティーの commadmin user delete コマンドまたは Delegated Administrator コンソールを使用して LDAP ディレクトリでユーザーステータスを削除済みとマークすることによってユーザーを削除する方法を推奨します。次に、commadmin user purge コマンドを使用して、指定された日数よりも長い期間、削除済みとしてマークされていたユーザーを消去します。

前の段落の説明のように Delegated Administrator ユーティリティーを使用した場合は、メールボックスを削除するために mboxutil -d コマンドを使用する必要はありません。

-e

メッセージストア内のすべての削除済みのメッセージを消去します。pattern に一致するすべての削除済みメールボックスを消去するために、このオプションを -p pattern オプションと使用することもできます。

-f file

メールボックス名を保存するファイルを指定します。-f オプションを -c 、-d または -r オプションと使用できます。

ファイルには、mboxutil コマンドの実行対象になるメールボックスのリストが含まれます。次にデータファイルのエントリの例を示します。

user/daphne/INBOXuser/daphne/projxuser/daphne/mm

-k mailbox cmd

廃止されました。指定したメールボックスをフォルダレベルでロックし、指定したコマンドを実行し、コマンドが完了したらメールボックスのロックを解除します。 

-l

サーバーのすべてのメールボックスを一覧表示します。 

異なる言語ローケル用にマルチバイトフォルダを作成する場合は、msg_svr_base/sbin/bundles/encbylang.properties を編集して、適切な文字セットを LANG 環境変数に関連付けてください。

-o

孤立したアカウントをチェックします。このオプションは、現在の Messaging Server ホスト内の Inbox で、対応するエントリが LDAP にないものを検索します。たとえば、-o オプションは、所有者が LDAP から削除された、または別のサーバーホストに移動された inbox を検索します。見つかった孤立アカウントのそれぞれに対し、mboxutil ユーティリティーは標準出力に次のコマンドを書き込みます。

mboxutil-d user/userid/INBOX

-w が指定された場合は、書き込みません

-p MUTF7_IMAP_pattern

-l オプションとともに使用した場合、名前が MUTF7_IMAP_pattern と一致するメールボックスのみが一覧表示されます。

名前が MUTF7_IMAP_pattern に一致するメールボックスを削除または消去するために、このオプションを -d または -e オプションとともに使用することもできます。

IMAP ワイルドカードを使用できます。このオプションは、IMAP M-UTF-7 形式のパターンを受け入れます。ascii でないメールボックスの検索にはこの方法を推奨しません。ascii でないメールボックスの検索には、-P オプションを使用します。 

-P regexp

指定された POSIX 正規表現に一致する名前のメールボックスのみが一覧表示されます。このオプションはローカル言語の regexp を受け入れます

-q domain

廃止されました。imquotacheck -d domain を使用します

-r oldname newname[ partition]

メールボックスの名前をoldname (現在の名前) から newname (新規の名前) に変更します。フォルダを別のパーティションに移動するには、partition オプションに新しいパーティションを指定します。ファイルを使用する場合は、-f フラグとともに使用できます。

このオプションを使用してユーザー名を変更することができます。たとえば、mboxutil -r user/user1/INBOX user/user2/INBOX では、user1 のすべてのメールとメールボックスが user2 に移動し、新しいメッセージは新しい INBOX に表示されます。user2 がすでに存在している場合は、この操作は失敗します。

-R mailbox

まだ消去されていない削除済みメッセージを復元します。 

メールボックスが消去または有効期限切れになると、削除済みメッセージの uid が store.exp ファイルに保存されます。cleanupage を過ぎると、メッセージは imexpire によって物理的に削除されます。expunge または expire を誤って発行した場合、このオプションを使用して、imexpire で消去されていない削除済みメッセージを元のメールボックスに復元できます。

-s

-l オプションとともに使用すると、メールボックス名のみを表示します。その他のデータは表示されません。

-t num

指定された日数 (num) 内にアクセスされていないメールボックスを一覧表示します。-t オプションは、孤立メールボックスを識別する -o オプションとともに使用する必要があります。

したがって、-t オプションは、非アクティブメールボックス (前回アクセスした日付に基づいて) を孤立メールボックス (LDAP ディレクトリに対応するユーザーエントリがないメールボックス) とともに識別します。

孤立メールボックスおよび非アクティブメールボックスを識別 (一覧表示) するには、mboxutil -o -w file -t num を使用します。

それらの孤立メールボックスおよび非アクティブメールボックスを削除のためにマークするには、mboxutil -d -f file を使用します。この file は、前の -w file で使用したファイルと同じファイルにします。

この機能を使用するには、config 変数の local.enablelastaccess を少なくとも -t オプションで指定した日数を有効にする必要があります。

-u user

廃止されました。すべてのユーザー情報の表示に使用します。imquotacheck -u user を使用します

-w file

-o オプションとともに使用します。-o オプション (孤立アカウントを識別する) によって生成されたメールボックス名をファイルに書き込みます。

-x

-l オプションとともに使用すると、メールボックスのパスとアクセス制御が表示されます。


注 –

mboxutil コマンドで POSIX 正規表現を使用できます。


メールボックスのネーミングルール

メールボックス名は、次のフォーマットで指定します。user/userid/mailbox。ここで、userid はメールボックスを所有するユーザー、mailbox はメールボックスの名前を表します。ホストしているドメインでは、useriduid@domain となります。

たとえば次のコマンドでは、ユーザーID が crowe であるユーザーの、INBOX という名前のメールボックスが作成されます。INBOX は、ユーザー crowe に配信されたメール用のデフォルトのメールボックスとなります。

mboxutil -c user/crowe/INBOX

重要: INBOX という名前は、各ユーザーのデフォルトのメールボックス用に確保してある名前です。INBOX は、大文字と小文字が区別されない唯一のフォルダ名です。ほかのフォルダ名はすべて大文字と小文字が区別されます。

全ユーザーの全メールボックスを一覧表示するには、次のように入力します。

mboxutil -l

すべてのメールボックスを、パスと ACL の情報とともに一覧表示するには、次のように入力します。

mboxutil -l -x

ユーザー daphne に対し、INBOX というデフォルトのメールボックスを作成するには、次のように入力します。

mboxutil -c user/daphne/INBOX

ユーザー delilah に対し、projx という名前のメールフォルダを削除するには、次のように入力します。

mboxutil -d user/delilah/projx

ユーザー druscilla について、INBOX というデフォルトのメールボックスとすべてのメールフォルダを削除するには、次のように入力します。

mboxutil -d user/druscilla/INBOX

ユーザー desdemonamemos というメールフォルダの名前を、memos-april という名前に変更するには、次のように入力します。

mboxutil -r user/desdemona/memos user/desdemona/memos-april

ユーザー dimitria のメールアカウントを新しいパーティションに移動するには、次のように入力します。

mboxutil -r user/dimitria/INBOX user/dimitria/INBOX partition

この場合、partition には新しいパーティションの名前を指定します。

ユーザー dimitria のメールフォルダ personal を新しいパーティションに移動するには、次のように入力します。

mboxutil -r user/dimitria/personal user/dimitria/personal partition

孤立アカウントを削除するには

孤立アカウント (対応するエントリが LDAP にないメールボックス) を検索するには、次のコマンドを使用します。


mboxutil -o

コマンド出力が次のように続きます。

  mboxutil: Start checking for orphaned mailboxes
  user/annie/INBOX
  user/oliver/INBOX
  mboxutil: Found 2 orphaned mailbox(es)
  mboxutil: Done checking for orphaned mailboxes

次のコマンドで作成したファイルは、孤立メールボックスを削除するスクリプトファイルにすることができます。この例では、ファイル名は orphans.cmd です。


mboxutil -o -w orphans.cmd

コマンド出力は次のとおりです。

  mboxutil: Start checking for orphaned mailboxes
  mboxutil: Found 2 orphaned mailbox(es)
  mboxutil: Done checking for orphaned mailboxes

次のコマンドを使用して孤立したファイルを削除します。


mboxutil -d -f orphans.cmd

hashdir ユーティリティー

メッセージストア内のメールボックスは、高速で検索できるようにハッシュ構造で保存されています。したがって、特定のユーザーのメールボックスを格納するディレクトリを検索するには、hashdir ユーティリティーを使用します。

このユーティリティーは、特定のアカウントのメッセージストアを含むディレクトリを識別します。また、メッセージストアへの相対パス (d1/a7/ など) をレポートします。このパスは、ユーザー ID に基づくディレクトリの 1 つ上のディレクトリレベルを基準にしたものです。このユーティリティーによってパス情報が標準出力に送られます。

たとえば、ユーザー crowe のメールボックスへの相対パスを検索する場合は次のようになります。

hashdir crowe

readership ユーティリティー

readership ユーティリティーは、メールボックスの所有者以外に、何人のユーザーが共有 IMAP フォルダ内のメッセージを読んだかを報告するユーティリティーです。

IMAP フォルダの所有者は、フォルダ内のメールを読む権限をほかのユーザーに与えることができます。ほかのユーザーにアクセス権が与えられたフォルダは、「共有フォルダ」と呼ばれます。管理者は readership ユーティリティーを使用して、所有者以外に何人のユーザーが共有フォルダにアクセスしたかを表示することができます。

このユーティリティーは、すべてのメールボックスをスキャンして、各共有フォルダにつき 1 行ずつ、アクセスしたユーザー数とメールボックスの名前を表示させます。ユーザー数とメールボックスの名前の間にはスペースが挿入されます。

アクセスしたユーザーとは、過去の指定した日数内に共有フォルダを選択した、個別の認証を受けたユーザーのことです。自分の個人用メールボックスを読んだユーザーは、数には含められません。個人用メールボックスは、フォルダの所有者以外に購読者がいない場合は報告されません。

たとえば次のコマンドでは、最近の 15 日以内に共有の IMAP フォルダを選択したユーザーをすべてカウントします。

readership -d 15