この『国際化対応言語環境の利用ガイド』では、SolarisTM 9 オペレーティング環境における国際化および地域化機能について説明しています。このガイドには、このリリースを使用してさまざまな言語や文化的な慣行をサポートするグローバルソフトウェア製品を作成する方法についての、重要な情報が含まれています。
このガイドでは、言語を使用するのに必要な基本機能について説明しているだけでなく、世界各国におけるグローバルアプリケーションの開発や言語サービスの管理を容易にする Solaris プラットフォームの個別の機能についても説明しています。
この章の内容は次のとおりです。
このマニュアルでは、必要に応じてこのリリースの国際化機能についての追加情報や詳細な情報が記載された他のマニュアルを紹介しています。「はじめに」では、このガイドで使用されている表記上の規則について紹介しています。
このマニュアルは、Solaris 9 オペレーティング環境用の国際化製品およびアプリケーションを設計するソフトウェア開発者および管理者を対象としています。
このマニュアルは、読者が C プログラミング言語に関する知識を持っていることを前提としています。
オペレーティングシステムの情報はすべて SunOSTM 5.9 動作環境に関する情報です。
このマニュアルは次のように構成されています。
第 1 章「Solaris 国際化の概要」では、ヨーロッパ諸国におけるユーロ () の導入など、Solaris 9 から新しく提供される国際化機能や地域対応機能について説明します。
第 2 章「一般的な国際化機能」では、Solaris 9 製品の Codeset Independence (CSI) や、libc の API について説明します。
第 3 章「Solaris 9 環境における地域対応」では、Solaris 9 地域対応製品の具体的な内容を説明します。これには、多国語対応の Solaris 製品や新しいキーボード (19 種類の新しいキーボード) のサポートなどが含まれます。
第 4 章「サポートされるアジアのロケール」では、アジア諸国向けのロケールや入力システム、文字サポートについて説明します。
第 5 章「UTF-8 ロケールサポートの概要」では、en_US.UTF-8 ロケールや、このリリースに組み込まれている国際化機能について説明します。この機能には、日本語、韓国語、中国語 (繁体字と簡体字) の入力モードのほかに、キリル文字、ギリシャ語、アラビア語、ヘブライ語、ヒンディー語、タイ語の入力方式が含まれています。
第 6 章「CTL: Complex Text Layout」では、CTL (Complex Text Layout) 拡張機能について説明します。この機能では、アラビア語、ヘブライ語、タイ語など、論理テキスト表現と物理テキスト表現の間で複雑な変換が必要な言語を Motif の API で用いることができます。
第 7 章「mp による印刷フィルタの拡張」では、ヨーロッパやアジアでの印刷特有の情報や mp(1) 印刷フィルタの拡張など、Solaris 9 オペレーティング環境の印刷サポートについて説明します。
付録 A 「iconv コード変換」 には、提供されているiconv 変換モジュールの表が記載されています。
付録 B 「SOFTWARE CD の部分ロケールパッケージ一覧」には、SOFTWARE CD に格納されている部分ロケールパッケージ名の表が記載されています。
付録 C 「LANGUAGES CD の完全ロケールパッケージ一覧」 には、LANGUAGES CD にある言語パッケージの内容を示します。簡体字中国語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、日本語、韓国語、スペイン語、スウェーデン語、繁体字中国語、そしてすべての言語に共通の表があります。
アプリケーションの国際化に関する開発者向けの情報については、Sun Global Application Developer Corner (Sun GADC) を参照してください。
Sun Global Application Developer Corner は、すでに提供されている Sun Global Application Developer Kit 1.0 の Web 版で、更新されています。このページには、 http://www.sun.com/developers/gadc でアクセスできます。
サンの Global Application Developer Corner には、グローバルソフトウェアの開発に伴うさまざまな設計や開発の問題に対処する包括的な国際化ツールや文書が格納されています (グローバル化適合性のテスト方法や問題の障害追跡方法など)。
このサイトには、擬似英語を使って情報アプリケーションをテストできる Sun Multibyte English (MBE) ロケールなどのテストツールがあります。英語を話す開発者にとって、このロケールは、特定の言語で開発したアプリケーションをテストする際に非常に便利です。Sun Multibyte English ロケールは、無料でダウンロードできます。その他の役立つツールや情報には、参照情報とコードの例 (C 言語) や、Solaris オペレーティング環境の国際言語サポートに関するホワイトペーパー、技術に関する記事、参照に便利なグローバル化リンクなどがあります。さらに、このサイトには、製品の国際化を評価するために開発者が使用するチェックリストや、グローバル化に関連するユーザーのための質問のページがあります。
Java Development Kit については、 http://java.sun.com/j2se/1.3/docs/guide/intl/index.html を参照してください。
『Solaris 共通デスクトップ環境 プログラマーズ・ガイド』は、Solaris Documentation CD に含まれている CDE Developer's Collection の一部としても提供されます。
『OSF/Motif Programmer's Guide, Release 1.2 Englewood Cliffs, New Jersey, Prentice-Hall, 1993』。 このマニュアルでは、OSF/Motif アプリケーションプログラミングインタフェースを使用して、Motif アプリケーションを作成する方法を説明します。Motif ウィジェットセットアーキテクチャの概要および Motif ツールキットについて説明し、Motif アプリケーションのモデルと例を示します。
これらの一連の資料は、PostScript アプリケーションの開発には不可欠です。
『PostScript リファレンス・マニュアル 第 2 版』は、PostScript の標準リファレンスです。各演算子、Display PostScript (DPS)、Level 1 および Level 2 についての定義が説明されています。この資料は、デバイス独立のプリンタ言語としての、PostScript の基本事項について説明しています。PostScript のフォントおよび文字を処理する特殊な機能についても説明されています。この資料の付録 E では、標準文字セットおよびエンコーディングベクターを示しています。インタプリタに組み込まれたフォントや他のソースから提供されたフォントの編成についても解説しています。
『Programming the Display PostScript System with X』は、X ウィンドウおよび Display PostScript を扱うアプリケーション開発者向けの資料です。この資料は、Display PostScript を使用するアプリケーションを作成して、画面表示およびプリンタ出力用の情報を作成する方法を示しています。コーディングの手法が詳細に説明されています。
X Window System は、X Display ProstScript (X/DPS) システムにより拡張されています。このシステムは、クライアント側でアプリケーションから呼び出し可能なライブラリを使用し、X サーバー側では対応する拡張機能を使用します。
Tuthill、Bill、および David Smallberg。 『Creating Worldwide Software: Solaris International Developer's Guide』, 2nd edition. Mountain View, California, Sun Microsystems Press, 1997。このマニュアルは、 www.sun.com/books/ から参照できます。このマニュアルは、Solaris オペレーティング環境の下で国際化を行う際の手順の概要を説明しています。
docs.sun.com では、Sun が提供しているオンラインマニュアルを参照することができます。マニュアルのタイトルや特定の主題などをキーワードとして、検索を行うこともできます。URL は、http://docs.sun.com です。
このマニュアルでは、次のような字体や記号を特別な意味を持つものとして使用します。
表 P–1 表記上の規則
字体または記号 |
意味 |
例 |
---|---|---|
AaBbCc123 |
コマンド名、ファイル名、ディレクトリ名、画面上のコンピュータ出力、コード例を示します。 |
.login ファイルを編集します。 ls -a を使用してすべてのファイルを表示します。 system% |
AaBbCc123 |
ユーザーが入力する文字を、画面上のコンピュータ出力と区別して示します。 |
system% su password: |
AaBbCc123 |
変数を示します。実際に使用する特定の名前または値で置き換えます。 |
ファイルを削除するには、rm filename と入力します。 |
『 』 |
参照する書名を示します。 |
『コードマネージャ・ユーザーズガイド』を参照してください。 |
「 」 |
参照する章、節、ボタンやメニュー名、強調する単語を示します。 |
第 5 章「衝突の回避」を参照してください。 この操作ができるのは、「スーパーユーザー」だけです。 |
\ |
枠で囲まれたコード例で、テキストがページ行幅を超える場合に、継続を示します。 |
sun% grep `^#define \ XV_VERSION_STRING' |
コード例は次のように表示されます。
[ ] は省略可能な項目を示します。上記の例は、filename は省略してもよいことを示しています。
| は区切り文字 (セパレータ) です。この文字で分割されている引数のうち 1 つだけを指定します。
キーボードのキー名は英文で、頭文字を大文字で示します (例: Shift キーを押します)。ただし、キーボードによっては Enter キーが Return キーの動作をします。
ダッシュ (-) は 2 つのキーを同時に押すことを示します。たとえば、Ctrl-D は Control キーを押したまま D キーを押すことを意味します。
このマニュアルでは、英語環境での画面イメージを使っています。このため、実際に日本語環境で表示される画面イメージとこのマニュアルで使っている画面イメージが異なる場合があります。本文中で画面イメージを説明する場合には、日本語のメニュー、ボタン名などの項目名と英語の項目名が、適宜併記されています。
このマニュアルでは、「IA」という用語は、Intel 32 ビットのプロセッサアーキテクチャを意味します。これには、Pentium、Pentium Pro、Pentium II、Pentium II Xeon、Celeron、Pentium III、Pentium III Xeon の各プロセッサ、および AMD、Cyrix が提供する互換マイクロプロセッサチップが含まれます。