Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : FNS、NIS+ 編)

Solaris 1.x と NIS 互換モード

Solaris 1.x または 2.x では、NIS+ を NIS が動作しているマシンで使用できます。つまり、NIS+ ドメイン内にあるマシンはそれぞれの nsswitch.conf ファイルを nisplus ではなく nis に設定できます。NIS を実行中のマシン上で NIS+ のサービスにアクセスする場合は、NIS+ のサーバーを「NIS 互換モード」で動作させる必要があります。

NIS 互換モードを使用すれば、Solaris オペレーティング環境を実行している NIS+ サーバーは、NIS+ クライアントからの要求に応答しながら、NIS クライアントからの要求にも応答できます。NIS+ は 2 つのサービスインタフェースを提供することによってこれを実現します。1 つが NIS+ クライアントの要求に応答し、もう 1 つが NIS クライアントの要求に応答します。

このモードでは、NIS クライアントに対してさらに設定や変更を行う必要はありません。実際、NIS クライアントは、応答しているサーバーが NIS サーバーではないことを意識する必要はありません。ただし、NIS 互換モードで動作している NIS+ サーバーは ypupdateypxfr のプロトコルをサポートしないため、複製またはマスターの NIS サーバーとしては使用できません。NIS 互換モードの詳細については、第 26 章「NIS から NIS+ への移行」を参照してください。

さらに 2 つの相違を指摘しておく必要があります。1 つは、NIS 互換モードでサーバーを設定する命令が標準の NIS+ サーバーの設定に使用される命令とは少し異なるということです。もう 1 つの相違としては、NIS 互換モードは、NIS+ の名前空間内のテーブルに対するセキュリティにも関係があります。NIS のクライアントソフトウェアは、NIS+ サーバーが NIS+ クライアントに与える資格 (credential) を提供する機能がないため、NIS クライアントからの要求はすべて「未認証」として分類されます。したがって、NIS クライアントが NIS+ テーブル内の情報にアクセスできるように、NIS+ の名前空間内のテーブルは未認証の要求に対してアクセス権を提供しなければなりません。これはパート II で説明するように、サーバーを NIS 互換モードで設定するために使用されるユーティリティによって自動的に処理されます。認証プロセスと NIS 互換モードについては、第 26 章「NIS から NIS+ への移行」を参照してください。