Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)

サーバーに別のバージョンの NIS マップが存在する

NIS はマップをサーバー間で伝播するので、ネットワーク上のさまざまな NIS サーバーに、同じマップの異なるバージョンが存在することがあります。 相違点が長時間継続しない場合には、このバージョンの違いは許容可能です。

マップの不一致のもっとも一般的な原因は、マップの正常な伝播を妨げる何かが存在するためです。 たとえば、NIS サーバーまたはルーターが、NIS サーバー間でダウンしている場合です。 すべての NIS サーバーとそれらの間に存在するルーターが実行中の場合には、ypxfr は成功します。

サーバーとルーターが正常に機能している場合には、次のことをチェックします。

ypxfr 出力のログ

特定のスレーブサーバーでマップの更新に問題がある場合には、そのサーバーにログインして ypxfr を対話形式で実行します。 ypxfr が失敗すると ypxfr がその理由を通知するので、問題の修正が可能になります。 ypxfr が成功するが時々失敗するような場合には、メッセージのログをとるためのログファイルを作成します。 ログファイルを作成する場合は、スレーブサーバーで次のように入力します。


ypslave# cd /var/yp 
ypslave# touch ypxfr.log

これによって、ypxfr からのすべての出力を保存する ypxfr.log ファイルが作成されます。

この出力は、ypxfr が対話形式で実行しているときに表示する出力と似ていますが、ログファイルの各行にはタイムスタンプが記録されます。 タイムスタンプは通常とは異なる順番になる可能性がありますが、問題はありません。 タイムスタンプは、ypxfr が実行し始めたことを示します。 ypxfr のコピーが同時に実行されても作業時間が異なる場合は、起動時とは異なる順番でサマリーステータス行がログファイルに書き込まれることがあります。断続的に発生するあらゆる種類の障害がログに記録されます。


注 –

問題を解決したら、ログファイルを削除してログを停止します。 削除しないと、ログは制限なく大きくなります。


crontab ファイルと ypxfr シェルスクリプトをチェックする

root の crontab ファイルを調べて、それが起動した ypxfr シェルスクリプトをチェックします。 これらファイルにタイプミスがあると、伝播に関する問題が発生します。 /var/spool/cron/crontabs/root ファイル内でシェルスクリプトを参照できない場合や、任意のシェルスクリプト内でマップを参照できない場合にも、エラーが発生します。

ypservers マップをチェックする

NIS スレーブサーバーが、ドメインに対するマスターサーバー上の ypservers マップにリストされていることも確認してください。 リストされていない場合には、スレーブサーバーはサーバーとして正しく機能しますが、yppush はマップの変更をスレーブサーバーに伝播しません。

対策

NIS スレーブサーバーの問題が明白ではない場合には、rcp または ftp を使ってデバッグし、一貫性のないマップの最新バージョンを問題のない NIS サーバーからコピーして問題を解決できます。 以下に問題のあるマップを転送する方法を示します。


ypslave# rcp ypmaster:/var/yp/mydomain/map.\* /var/yp/mydomain

* の文字はコマンド行でエスケープされて、ypslave でローカルにではなく ypmaster で展開されます。