Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)

第 1 章 基本知識と概要

Sun Cluster 製品はハードウェアと Sun Cluster ソフトウェアが統合されたソリューションであり、高度な可用性とスケーラビリティーを備えたサービスを提供するために使用されます。『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』では、Sun Cluster 製品をより深く理解するために必要な概念の情報を説明します。このマニュアルは、Sun Cluster のほかのマニュアルと合わせて、Sun Cluster ソフトウェアの全体を説明するものです。

この章では、Sun Cluster 製品の根底にある一般的な概念の概要を説明します。

この章では次の内容を示します。

この章は、次の節で構成されています。

Sun Cluster 環境の概要

Sun Cluster 環境は、Solaris オペレーティングシステムをクラスタオペレーティングシステムに拡張するものです。クラスタまたは plex とは、緩やかに結合された処理ノードの集合のことで、データベース、Web サービス、ファイルサービスなどのネットワークサービスやアプリケーションを、クライアントからは 1 つのシステムに見える形で提供します。

各クラスタノードは、それ自身のプロセスを実行するスタンドアロンサーバーです。これらのプロセスは、相互にやりとりすることによって、ユーザーに提供するアプリケーション、システムリソース、データを (ネットワーククライアントにとって) 1 つのシステムのように形成します。

クラスタには、従来の単一サーバーシステムと比較した場合、いくつかの利点があります。これらの利点には、フェイルオーバーサービスとスケーラブルサービスのサポート、モジュールの成長に対応できる容量、従来のハードウェアフォルトトレラントシステムよりも低価格の製品といったものがあります。

次に、Sun Cluster ソフトウェアの目的を示します。

フォルトトレラント機能と高可用性についての詳細は、『Sun Cluster の概要 (Solaris OS 版)』「Sun Cluster によるアプリケーションの可用性の向上」を参照してください。

高可用性の FAQ については、「高可用性に関する FAQ」を参照してください。

Sun Cluster ソフトウェアの 3 つの観点

この節では、Sun Cluster ソフトウェアのユーザーを 3 種類に分け、各ユーザーに関連する概念とマニュアルについて説明します。

各ユーザーは次のとおりです。

ハードウェア保守担当者

ハードウェア保守担当者にとって、Sun Cluster ソフトウェアは、サーバー、ネットワーク、および記憶装置を含む市販のハードウェアの集合に見えます。これらのコンポーネントは、すべてのコンポーネントにバックアップがあり、単一の障害によってシステム全体が停止しないように配線されています。

重要な概念 (ハードウェア保守担当者)

ハードウェア保守担当者は、クラスタに関する次の概念を理解する必要があります。

参照箇所 (ハードウェア保守担当者)

次の項には、前述の重要な概念に関連する説明が記載されています。

Sun Cluster の関連マニュアル (ハードウェア保守担当者)

『Sun Cluster 3.1 - 3.2 Hardware Administration Manual for Solaris OS』には、ハードウェアサービスの概念に関連する手順と情報が記載されています。

システム管理者

システム管理者にとって、Sun Cluster ソフトウェアは、ケーブルによって接続された、記憶装置を共有するサーバー (ノード) の集合に見えます。

システム管理者は、次の作業を行うソフトウェアを扱います。

重要な概念 (システム管理者)

システム管理者は、次の概念とプロセスについて理解する必要があります。

参照個所 (システム管理者)

次の項には、前述の重要な概念に関連する説明が記載されています。

システム管理者向けの Sun Cluster のマニュアル

次の Sun Cluster のマニュアルには、システム管理者の概念に関連する手順と情報が記載されています。

アプリケーション開発者

Sun Cluster ソフトウェアは、Oracle、NFS、DNS、Sun Java System Web Server、Apache Web Server (SPARC ベースシステム上)、Sun Java System Directory Server などのアプリケーションに対応する「データサービス」を提供します。データサービスを作成するには、既成のアプリケーションを Sun Cluster ソフトウェアの制御下で動作するように設定する必要があります。Sun Cluster ソフトウェアは、このようなアプリケーションの起動、停止、および監視を行う構成ファイルと管理メソッドを提供します。新しいフェイルオーバーサービスまたはスケーラブルサービスを作成する必要がある場合は、Sun Cluster Application Programming Interface (API) と Data Service Enabling Technologies API (DSET API) を使用して、そのアプリケーションがクラスタ上でデータサービスとして実行するために必要な構成ファイルと管理メソッドを開発します。

重要な概念 (アプリケーション開発者)

アプリケーション開発者は、次の概念について理解する必要があります。

参照箇所 (アプリケーション開発者)

次の項には、前述の重要な概念に関連する説明が記載されています。

アプリケーション開発者向けの Sun Cluster のマニュアル

次の Sun Cluster のマニュアルには、アプリケーション開発者の概念に関連する手順と情報が記載されています。

Sun Cluster ソフトウェアの作業

すべての Sun Cluster ソフトウェアの作業には、ある程度の概念的な背景知識が必要です。次の表は、作業と作業手順が記載されたマニュアルを示したものです。このマニュアルの概念に関する章では、各概念がこれらの作業とどのように対応するかを説明します。

表 1–1 作業マップ: ユーザーの作業と参照するマニュアル

タスク 

参照先 

クラスタハードウェアの設置 

『Sun Cluster 3.1 - 3.2 Hardware Administration Manual for Solaris OS』

クラスタへの Solaris ソフトウェアのインストール 

『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』

SPARC: SunTM Management Center ソフトウェアのインストール

『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』

Sun Cluster ソフトウェアのインストールと構成 

『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』

ボリュームマネージャーのインストールと構成 

『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』

各ボリュームマネージャーのマニュアル 

Sun Cluster データサービスのインストールと構成 

『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』

クラスタハードウェアの保守 

『Sun Cluster 3.1 - 3.2 Hardware Administration Manual for Solaris OS』

Sun Cluster ソフトウェアの管理 

『Sun Cluster のシステム管理 (Solaris OS 版)』

ボリュームマネージャーの管理 

『Sun Cluster のシステム管理 (Solaris OS 版)』およびボリューム管理に関するマニュアル

アプリケーションソフトウェアの管理 

各アプリケーションのマニュアル 

問題の識別と対処方法 

『Sun Cluster Error Messages Guide for Solaris OS』

新しいデータサービスの作成 

『Sun Cluster データサービス開発ガイド (Solaris OS 版)』