Sun Cluster データサービス開発ガイド (Solaris OS 版)

Start メソッドのコードリスト

RGM は、データサービスリソースのあるリソースグループがクラスタノードまたはゾーン上でオンラインになると、そのノードまたはゾーン上で Start メソッドを実行します。また、リソースが有効になったときも、RGM は同じ動作をします。サンプルのアプリケーションでは、Start メソッドはそのノードまたは大域ゾーン上で in.named (DNS) デーモンを起動します。


例 B–2 dns_svc_start メソッド

#!/bin/ksh
#
# HA-DNS の Start メソッド
#
# このメソッドは PMF の制御下でデータサービスを起動する。DNS の
# in.named プロセスを起動する前に、いくつかの妥当性検査を実行する。
# データサービスの PMF タグは $RESOURCE_NAME.named である。
# PMF は、指定された回数 (Retry_count) だけ、サービスを起動しようとす
# る。そして、指定された期間 (Retry_interval) 内で試行回数がこの値を超えた
# 場合、PMF はサービスの起動に失敗したことを報告する。
# Retry_count と Retry_interval は両方とも RTR ファイルに設定されて
# いるリソースプロパティーである。


#pragma ident   “@(#)dns_svc_start   1.1   00/05/24 SMI”

###############################################################################
# プログラム引数を構文解析する。
#
function parse_args # [args ...]
{
        typeset opt

        while getopts `R:G:T:' opt
        do
                case “$opt” in
                R)
                        # DNS リソース名
                        RESOURCE_NAME=$OPTARG
                        ;;
                G)
                        # リソースが構成されているリソース
                        # グループの名前
                        RESOURCEGROUP_NAME=$OPTARG
                        ;;
                T)
                        # リソースタイプ名
                        RESOURCETYPE_NAME=$OPTARG
                        ;;

                *)
                    logger -p ${SYSLOG_FACILITY}.err \
                    -t [$RESOURCETYPE_NAME,$RESOURCEGROUP_NAME,$RESOURCE_NAME] \
                    “ERROR: Option $OPTARG unknown”
                     exit 1
                     ;;

                esac
        done

}




###############################################################################
# MAIN
#
##############################################################################

export PATH=/bin:/usr/bin:/usr/cluster/bin:/usr/sbin:/usr/proc/bin:$PATH

# メッセージの記録に使用する syslog 機能番号を取得する。
SYSLOG_FACILITY=`scha_cluster_get -O SYSLOG_FACILITY`

# このメソッドに渡された引数を構文解析する。
parse_args “$@”

PMF_TAG=$RESOURCE_NAME.named
SYSLOG_TAG=$RESOURCETYPE_NAME,$RESOURCEGROUP_NAME,$RESOURCE_NAME

# DNS を起動するため、リソースの Confdir プロパティーの値を取得する。
# 入力されたリソース名とリソースグループを使用して、リソースを
# 追加するときにクラスタ管理者が設定した Confdir の値を見つける。
config_info=scha_resource_get -O Extension -R $RESOURCE_NAME \
-G $RESOURCEGROUP_NAME Confdir`
# scha_resource_get は拡張プロパティーの「タイプ」と「値」を戻す。
# 拡張プロパティーの値だけを取得する。
CONFIG_DIR=`echo $config_info | awk `{print $2}'`

# $CONFIG_DIR がアクセス可能であるかどうかを検査する。
if [ ! -d $CONFIG_DIR ]; then
   logger -p ${SYSLOG_FACILITY}.err -t [$SYSLOG_TAG] \
       “${ARGV0} Directory $CONFIG_DIR missing or not mounted”
   exit 1
fi

# データファイルへの相対パスが存在する場合、$CONFIG_DIR
# ディレクトリに移動する。
cd $CONFIG_DIR

# named.conf ファイルが $CONFIG_DIR ディレクトリ内に存在するか
# を検査する。
if [ ! -s named.conf ]; then
   logger -p ${SYSLOG_FACILITY}.err -t [$SYSLOG_TAG] \
       “${ARGV0} File $CONFIG_DIR/named.conf is missing or empty”
   exit 1
fi

# RTR ファイルから Retry_count の値を取得する。
RETRY_CNT=`scha_resource_get -O Retry_count -R $RESOURCE_NAME \
-G $RESOURCEGROUP_NAMÈ

# RTR ファイルから Retry_interval の値を取得する。この値の単位は秒
# であり、pmfadm に渡すときは分に変換する必要がある。変換時、端数は
# 切り上げられるので注意すること。たとえば、50 秒は 1 分に切り上げられる。
((RETRY_INTRVAL = `scha_resource_get -O Retry_interval -R $RESOURCE_NAME \
-G $RESOURCEGROUP_NAMÈ 60))

# PMF の制御下で in.named デーモンを起動する。$RETRY_INTERVAL の期
# 間、$RETRY_COUNT の回数だけ、クラッシュおよび再起動できる。どちら
# かの値以上クラッシュした場合、PMF は再起動を中止する。
# というタグですでにプロセスが登録されて
# いる場合、PMF はすでにプロセスが動作していることを示す警告メッセ
# ージを送信する。
echo “Retry interval is “$RETRY_INTRVAL
pmfadm -c $PMF_TAG.named -n $RETRY_CNT -t $RETRY_INTRVAL \
    /usr/sbin/in.named -c named.conf

# HA-DNS が起動していることを示すメッセージを記録する。
if [ $? -eq 0 ]; then
   logger -p ${SYSLOG_FACILITY}.info -t [$SYSLOG_TAG] \
           “${ARGV0} HA-DNS successfully started”
fi
exit 0