Sun Cluster データサービス開発ガイド (Solaris OS 版)

フェイルオーバーリソースの実装

フェイルオーバーリソースグループには、ネットワークアドレス (組み込みリソースタイプである LogicalHostnameSharedAddress など) やフェイルオーバーリソース (フェイルオーバーデータサービス用のデータサービスアプリケーションリソースなど) があります。ネットワークアドレスリソースは、データサービスがフェイルオーバーまたはスイッチオーバーする場合に、依存するデータサービスリソースと共に、クラスタノード間またはゾーン間を移動します。RGM は、フェイルオーバーリソースの実装をサポートするプロパティーをいくつか提供します。

フェイルオーバーリソースグループは、別のノード上または同じノード上のゾーンへのフェイルオーバーを実行できます。ただし、ノードで障害が発生すると、同一ノード上のゾーンに対するこのリソースグループのフェイルオーバーから高可用性は得られません。とはいえ、同一ノード上のゾーンに対するリソースグループのフェイルオーバーは、テストまたはプロトタイプ化の際に便利な場合もあります。

ブール型の Failover リソースタイププロパティーを TRUE に設定し、同時に複数のノードまたはゾーン上でオンラインになることができるリソースグループだけで構成されるようにリソースを制限します。このプロパティーのデフォルト値は FALSE です。したがって、フェイルオーバーリソースを実現するためには、RTR ファイルで TRUE として宣言する必要があります。

Scalable リソースプロパティーは、リソースがクラスタ共有アドレス機能を使用するかどうかを決定します。フェイルオーバーリソースの場合、フェイルオーバーリソースは共有アドレスを使用しないので、ScalableFALSE に設定します。

RG_mode リソースグループプロパティーを使用すると、クラスタ管理者はリソースグループがフェイルオーバーまたはスケーラブルのどちらであるかを識別できます。RG_modeFAILOVER の場合、RGM はリソースグループの Maximum_primaries プロパティーを 1 に設定します。また、RGM は、リソースグループが単一のノードまたはゾーンでマスターされるように制限します。Failover プロパティーが TRUE に設定されているリソースを、RG_modeSCALABLE のリソースグループで作成することはできません。

Implicit_network_dependencies リソースグループプロパティーは、グループ内におけるすべてのネットワークアドレスリソース (LogicalHostnameSharedAddress) への非ネットワークアドレスリソースの暗黙で強力な依存関係を、RGM が強制することを指定します。その結果、グループ内のネットワークアドレスが「起動」に構成されるまで、グループ内の非ネットワークアドレス (データサービス) リソースの Start メソッドは呼び出されません。Implicit_network_dependencies プロパティーのデフォルトは TRUE です。