Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)

リソースタイプ、リソースグループ、リソースプロパティーの変更

Sun Cluster は、リソースタイプ、リソースグループ、およびリソースを構成するための標準プロパティーを定義します。これらの標準プロパティーについては、次の節を参照してください。

また、リソースには、リソースを表現するデータサービスの拡張プロパティーも事前定義されています。データサービスの拡張プロパティーについては、データサービスのマニュアルを参照してください。

プロパティーを変更できるかどうかを判断するには、そのプロパティーの説明において、プロパティーの調整エントリを参照してください。

次の手順に、リソースタイプ、リソースグループ、およびリソースを構成するためのプロパティーを変更する方法について説明します。

Procedureリソースタイププロパティーを変更する


注 –

この手順は、任意のクラスタノードから実行します。


始める前に

次の情報を用意してください。

  1. クラスタメンバーで、スーパーユーザーになるか、solaris.cluster.modify RBAC の承認を提供する役割になります。

  2. clresourcetype コマンドを使用し、この手順に必要なリソースタイプの名前を判断します。


    # clresourcetype show -v
    
  3. リソースタイププロパティーを変更します。

    リソースタイプの場合、特定のプロパティーだけを変更できます。プロパティーを変更できるかどうかを判断するには、「資源タイプのプロパティー」でプロパティーの Tunable エントリを参照してください。


    # clresourcetype set -n installed-node-list \
    [-p property=new-value]resource-type
    
    -n installed-node-list

    このリソースタイプがインストールされるノードの名前を指定します。

    -p property=new-value

    変更する標準プロパティーの名前と、そのプロパティーの新しい値を指定します。

    Installed_nodes プロパティーは明示的には変更できません。このプロパティーを変更するには、clresourcetype コマンドの -n installed-node-list オプションを指定します。

  4. リソースタイププロパティーが変更されていることを確認します。


    # clresourcetype show resource-type
    

例 2–19 リソースタイププロパティーの変更

次に、SUNW.apache プロパティーを変更し、このリソースタイプがノード (phys-schost-1 および phys-schost-2) の大域ゾーンにインストールされるように定義する例を示します。


# clresourcetype set -n phys-schost-1,phys-schost-2 SUNW.apache
# clresourcetype show SUNW.apache

Resource Type:                                     SUNW.apache:4
  RT_description:                                  Apache Web Server on Sun Cluster
  RT_version:                                      4
  API_version:                                     2
  RT_basedir:                                      /opt/SUNWscapc/bin
  Single_instance:                                 False
  Proxy:                                           False
  Init_nodes:                                      All potential masters
  Installed_nodes:                                 All
  Failover:                                        False
  Pkglist:                                         SUNWscapc
  RT_system:                                       False

Procedureリソースグループプロパティーを変更する

この手順では、リソースグループプロパティーの変更方法について説明します。リソースグループパーティーの詳細については、「 リソースグループのプロパティー」を参照してください。


注 –

この手順は、任意のクラスタノードから実行します。


始める前に

次の情報を用意してください。

  1. クラスタメンバーで、スーパーユーザーになるか、solaris.cluster.modify RBAC の承認を提供する役割になります。

  2. リソースグループプロパティーを変更します。


    # clresourcegroup set -p property=new-value resource-group
    
    -p property

    変更するプロパティーの名前を指定します。

    resource-group

    リソースグループの名前を指定します。

  3. リソースグループプロパティーが変更されていることを確認します。


    # clresourcegroup show resource-group
    

例 2–20 リソースグループプロパティーの変更

次に、リソースグループ (resource-group-1) の Failback プロパティーを変更する例を示します。


# clresourcegroup set-p Failback=True resource-group-1
# clrsourcegroup show resource-group-1

Procedureリソースプロパティーを変更する

この手順では、リソースの拡張プロパティーと標準プロパティーを変更する方法を説明します。


注 –

この手順は、任意のクラスタノードから実行します。


始める前に

次の情報を用意してください。

  1. クラスタメンバーで、スーパーユーザーになるか、solaris.cluster.modify RBAC の承認を提供する役割になります。

  2. 現在のリソースプロパティー設定を表示します。


    # clresource show -v resource
    
  3. リソースプロパティーを変更します。


    # clresource set -p standard-property=new-value | -p "extension-property[{node-specifier}]"=new-value resource
    
    -p standard-property=new-value

    変更する標準プロパティーの名前を指定します。

    -p "extension-property[{node-specifier}]"=new-value

    変更する拡張プロパティーの名前を指定します。

    node-specifier は、-p オプションおよび -x オプションに対する「オプション」の修飾子です。この修飾子は、指定された 1 つまたは複数のノードまたはゾーン上でのみ、1 つまたは複数の拡張プロパティーがリソースの作成時に設定されることを示します。指定した拡張プロパティーは、クラスタ内のほかのノードまたはゾーン上では、設定されません。node-specifier を指定しないと、クラスタ内のすべてのノードおよびゾーン上の指定された拡張プロパティーが設定されます。node-specifier にはノード名またはノード識別子を指定できます。node-specifier の構文例を次に示します。


    -p "myprop{phys-schost-1}"
    

    中括弧 ({}) は、指定した拡張プロパティーをノード phys-schost-1 でのみ設定することを示します。大部分のシェルでは、二重引用符 (") が必要です。

    また次の構文を使用して、2 つの異なるノード上の 2 つの異なるゾーン内で拡張プロパティーを設定することもできます。


    -x "myprop{phys-schost-1:zoneA,phys-schost-2:zoneB}"
    

    注 –

    node-specifier を使用して指定する拡張プロパティーは、ノードごとのプロパティーとして RTR ファイルで宣言します。Per_node リソースプロパティーの属性の詳細は、付録 B 「標準プロパティー」を参照してください。


    resource

    リソースの名前を指定します。

  4. リソースプロパティーが変更されていることを確認します。


    # clresource show -v resource
    

例 2–21 標準リソースプロパティーの変更

次に、リソース (resource-1) のシステム定義プロパティー (Start_timeout) の変更例を示します。


# clresource set -p start_timeout=30 resource-1
# clresource show -v resource-1


例 2–22 拡張リソースプロパティーの変更

次に、リソース (resource-1) の拡張プロパティー (Log_level) の変更例を示します。


# clresource set -p Log_level=3 resource-1
# clresource show -v resource-1

Procedure論理ホスト名リソースまたは共有アドレスリソースを変更する

デフォルトでは、論理ホスト名リソースと共有アドレスリソースは名前解決にネームサービスを使用します。 同じクラスタ上で動作するネームサービスを使用するようにクラスタを構成することも可能です。論理ホスト名リソースまたは共有アドレスリソースがフェイルオーバーされると、そのクラスタ上で動作しているネームサービスもフェイルオーバーされます。論理ホスト名リソースまたは共有アドレスリソースが使用するネームサービスがフェイルオーバーしている場合、このリソースはフェイルオーバーできません。


注 –

同じクラスタ上で動作しているネームサービスを使用するようにクラスタを構成すると、そのクラスタ上のほかのサービスの可用性を損なう可能性があります。


このようなフェイルオーバーの失敗を防ぐには、ネームサービスをバイパスするように論理ホスト名リソースまたは共有アドレスリソースを変更します。ネームサービスをバイパスするようにリソースを変更するには、リソースの CheckNameService 拡張プロパティーを false に設定します。CheckNameService プロパティーはいつでも変更できます。


注 –

リソースタイプのバージョンが 2 より前の場合、リソースを変更する前に、まず、リソースタイプをアップグレードする必要があります。詳細については、「事前登録されているリソースタイプのアップグレード」を参照してください。


  1. クラスタメンバーで、スーパーユーザーになるか、solaris.cluster.modify RBAC の承認を提供する役割になります。

  2. リソースプロパティーを変更します。


    # clresource set -p CheckNameService=false resource
    
    -p CheckNameService=false

    リソースの CheckNameService 拡張プロパティーを false に設定します。

    resource

    変更する論理ホスト名リソースまたは共有アドレスリソースの名前を指定します。