この節では、Sun Cluster データサービスを構成するためのガイドラインを説明します。
Solaris と Sun Cluster のインストールを開始する前に、すべてのデータサービスの要件を確認します。計画に不備があった場合、インストールエラーが発生し、Solaris や Sun Cluster ソフトウェアを完全にインストールし直す必要が生じる可能性もあります。
たとえば、Sun Cluster Support for Oracle Parallel Server/Real Application Clusters の Oracle Parallel Fail Safe/Real Application Clusters Guard オプションには、ユーザーがクラスタ内で使用するホスト名に関する特殊な要件があります。Sun Cluster HA for SAP にも特殊な要件があります。Sun Cluster ソフトウェアをインストールした後にホスト名は変更できないため、このような必要条件は Sun Cluster ソフトウェアをインストールする前に調整しておく必要があります。
一部の Sun Cluster データサービスは、x86 ベースのクラスタでは使用できません。詳細については、http://docs.sun.com で、ご使用のリリースの Sun Cluster のリリースノートを参照してください。
アプリケーションソフトウェアおよびアプリケーション構成ファイルは、次のいずれかの場所にインストールできます。
各クラスタノードのローカルディスク – ソフトウェアと構成ファイルを個々のクラスタノードに配置すると、次のようなメリットが得られます。あとでアプリケーションを更新する場合に、サービスを停止することなく実施できます。
ただし、ソフトウェアや構成ファイルの異なるコピーが存在するため、保守や管理をするファイルが増えるという欠点があります。
クラスタファイルシステム – アプリケーションバイナリをクラスタファイルシステムに格納した場合、保守や管理をするコピーが 1 つだけになります。しかし、アプリケーションソフトウェアをアップグレードするには、クラスタ全体でデータサービスを停止する必要があります。アップグレード時に多少の時間停止できるようであれば、アプリケーションおよび構成ファイルの 1 つのコピーをクラスタファイルシステムに格納することが可能です。
クラスタファイルシステムの作成方法については、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』の「グローバルデバイス、デバイスグループ、およびクラスタファイルシステムの計画」を参照してください。
HA ローカルファイルシステム – HAStoragePlus を使用すると、ローカルファイルシステムを Sun Cluster 環境に統合して、ローカルファイルシステムの可用性を高めることができます。HAStoragePlus は、Sun Cluster でローカルファイルシステムのフェイルオーバーを行うための付加的なファイルシステム機能 (チェック、マウント、強制的なマウント解除など) も提供します。フェイルオーバーを行うには、アフィニティースイッチオーバーが有効な広域ディスクグループ上にローカルファイルシステムが存在していなければなりません。
HAStoragePlus リソースタイプを使用する方法については、「高可用性ローカルファイルシステムの有効化」を参照してください。
nsswitch.conf ファイルは、ネームサービスの検索用の構成ファイルです。このファイルは次の情報を指定します。
ネームサービスの検索に使用する Solaris 環境内のデータベース
データベースの検索順序
一部のデータサービスについては、「group」検索の対象の先頭を「files」に変更してください。具体的には、nsswitch.conf ファイル内の「group」行を変更し、「files」エントリが最初にリストされるようにします。「group」行を変更するかどうかを判断するには、構成するデータサービスのマニュアルを参照してください。
Sun Cluster 環境用に nsswitch.conf ファイルを構成する方法の詳細については、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』の「Sun Cluster 環境の計画」を参照してください。
データサービスによっては、Sun Cluster の要件を満たす必要があります。特別な検討事項が適用されるかどうかを判断するには、構成するデータサービスに関するマニュアルを参照してください。
クラスタファイルシステムの作成方法については、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』の「グローバルデバイス、デバイスグループ、およびクラスタファイルシステムの計画」を参照してください。
リソースタイプ HAStoragePlus を使用すると、フェイルオーバー用に構成された Sun Cluster 環境で HA ローカルファイルシステムを使用できます。HAStoragePlus リソースタイプを設定する方法については、「高可用性ローカルファイルシステムの有効化」を参照してください。
SMF (Service Management Facility) を使用すると、ノードの起動中またはサービス障害中に自動的に SMF サービスを起動および再起動することができます。この機能は、クラスタアプリケーションに高可用性とスケーラビリティーを実現する、Sun Cluster Resource Group Manager (RGM) に似ています。SMF サービスと RGM の機能は相互に補完的です。
Sun Cluster には、3 つの新しい SMF プロキシリソースタイプが含まれています。これらを使用すると、フェイルオーバー、マルチマスター、またはスケーラブル構成の Sun Cluster とともに SMF サービスが実行できるようになります。SMF プロキシリソースタイプを使用すると、相互関係のある SMF サービスのセットを 1 つのリソースにカプセル化し、SMF プロキシリソースを Sun Cluster で管理することができます。この機能では、SMF は 1 つのノード上の SMF サービスの可用性を管理します。Sun Cluster は、SMF サービスの、クラスタ全体にわたる高い可用性とスケーラビリティーを提供します。
これらのサービスのカプセル化の詳細については、「Sun Cluster 上で Solaris SMF サービスを有効にする」を参照してください。
Sun Cluster で、Solaris Service Management Facility (SMF) と統合されるアプリケーション (NFS または DNS 以外) を高可用性にする必要が生じる場合があります。障害発生後 Sun Cluster がアプリケーションを正しく再起動またはフェイルオーバーできるようにするには、次のように、アプリケーションの SMF サービスインスタンスを無効にする必要があります。
NFS または DNS 以外のアプリケーションの場合、アプリケーションを表す Sun Cluster リソースのすべての潜在的主ノード上で SMF サービスインスタンスを無効にします。
アプリケーションの複数のインスタンスが、Sun Cluster で監視する必要があるコンポーネントを共有している場合、そのアプリケーションのすべてのサービスインスタンスを無効にします。このようなコンポーネントの例としては、デーモン、ファイルシステム、デバイスなどがあります。
アプリケーションの SMF サービスインスタンスを無効にしないと、Solaris SMF と Sun Cluster の両方がアプリケーションの起動とシャットダウンを制御しようとする場合があります。その結果、アプリケーションの動作が予測不可能になる場合があります。
詳細については、次のマニュアルを参照してください。
『System Administration Guide: Basic Administration』の「How to Disable a Service Instance」
『Sun Cluster Data Service for DNS Guide for Solaris OS』