Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)

Start_failed リソース状態の消去

Start_failed リソース状態は、Start メソッドまたは Prenet_start メソッドがリソース上で失敗またはタイムアウトしたが、そのリソースグループは結果的にオンラインになっていることを示します。リソースグループは、リソースが障害状態に置かれていてサービスを提供していなくても、オンライン状態になります。この状態は、リソースの Failover_mode プロパティーに None またはリソースグループのフェイルオーバーを妨げる別の値が設定されている場合に発生することがあります。

Stop_failed リソース状態とは異なり、 Start_failed リソース状態は、ユーザーや Sun Cluster ソフトウェアがリソースグループ上で操作を実行することを妨げません。該当リソースを再起動するコマンドを実行するだけで済みます。

この状態を消去するには、次のいずれかの手順を使用します。

Procedureリソースグループのスイッチオーバーにより Start_failed リソース状態を解除する


注 –

この手順は、任意のクラスタノードから実行します。


始める前に

次の条件が満たされているか確認します。

  1. クラスタメンバーで、スーパーユーザーになるか、solaris.cluster.modify RBAC の承認を提供する役割になります。

  2. リソースグループを新しいノードまたはゾーンに切り替えます。


    # clresourcegroup switch [-n node-zone-list] resource-group
    
    -n node-zone-list

    このリソースグループをマスターできるノードまたはゾーンの、コンマ区切りの順序付けされたリストを指定します。このリソースグループは、このノード以外のすべてのノードでオフラインに切り替えられます。リスト内の各エントリの形式は node:zone です。この形式では、 node はノード名を指定し、zone は非大域 Solaris ゾーンの名前を指定します。大域ゾーンを指定する、または非大域ゾーンを持たないノードを指定するには、node のみを指定します。

    このリストはオプションです。このリストを省略すると、そのリソースグループのノードリスト内のすべてのノード上でリソースグループが切り替えられます。

    resource-group

    切り替えるリソースグループの名前を指定します。


    注 –

    切り替えようとしている任意のリソースグループが他のリソースグループに対して強いアフィニティーを宣言している場合、その操作は失敗するか、委任されます。詳細については、「オンラインのリソースグループをクラスタノード間で分散する」を参照してください。


  3. リソースグループが新しいノードまたはゾーンに切り替えられ、Start_failed リソース状態が解除されたことを確認します。


    # clresourcegroup status
    

    このコマンドからの出力は、スイッチオーバーされたリソースおよびリソースグループの状態を示しています。


例 2–23 リソースグループのスイッチオーバーによる Start_failed リソース状態の解除

次の例で、resource-group-1 リソースグループの rscon リソースで発生した Start_failed リソース状態を解除する方法を示します。このコマンドは、リソースグループを大域ゾーン phys-schost-2 に切り替えることで、この状態を解除します。

  1. phys-schost-1 上でリソースが Start_failed リソース状態であること確認するには、次のコマンドを実行します。


    # clresource status
    
    === Cluster Resources ===
    
    Resource Name             Node Name       Status        Message
    --------------            ----------      -------        -------
     rscon               phys-schost-1       Faulted         Faulted
                         phys-schost-2       Offline          Offline
    
     hastor              phys-schost-1       Online          Online
                         phys-schost-2       Offline         Offline
  2. 切り替えを実行するには、次のコマンドを実行します。


    # clresourcegroup switch -n phys-schost-2 resource-group-1
    
  3. リソースグループが phys-schost-2 上でオンラインに切り替えられ、Start_failed リソース状態が解除されたことを確認するには、次のコマンドを実行します。


    # clresource status
    
    
    === Cluster Resources ===
    
    Resource Name             Node Name       Status        Message
    --------------            ----------      -------        -------
     rscon               phys-schost-1       Offline         Offline
                         phys-schost-2       Online          Online
    
     hastor              phys-schost-1       Online          Online
                         phys-schost-2       Offline         Offline

参照

clresourcegroup(1CL) のマニュアルページ。

Procedureリソースグループの再起動により Start_failed リソース状態を解除する


注 –

この手順は、任意のクラスタノードから実行します。


始める前に

次の条件が満たされているか確認します。

  1. クラスタメンバーで、スーパーユーザーになるか、solaris.cluster.modify RBAC の承認を提供する役割になります。

  2. リソースグループを再起動します。


    # clresourcegroup restart -n node resource-group
    
    -n node

    再起動するリソースグループのノードの名前を指定します。このリソースグループは、このノード以外のすべてのノードでオフラインに切り替えられます。

    resource-group

    再起動するリソースグループの名前を指定します。

  3. リソースグループが新しいノード上で再起動され、Start_failed リソース状態が解除されたことを確認します。


    # clresourcegroup status
    

    このコマンドからの出力は、再起動されたリソースおよびリソースグループの状態を示しています。


例 2–24 リソースグループの再起動による Start_failed リソース状態の解除

次の例で、resource-group-1 リソースグループの rscon リソースで発生した Start_failed リソース状態を解除する方法を示します。このコマンドは、リソースグループを大域ゾーン phys-schost-2 上で再起動することで、この状態を解除します。

  1. phys-schost-1 上でリソースが Start_failed リソース状態であること確認するには、次のコマンドを実行します。


    # clresource status
    
    === Cluster Resources ===
    
    Resource Name             Node Name       Status        Message
    --------------            ----------      -------        -------
     rscon               phys-schost-1       Faulted         Faulted
                         phys-schost-2       Offline          Offline
    
     hastor              phys-schost-1       Online          Online
                         phys-schost-2       Offline         Offline
  2. このリソースを再起動するには、次のコマンドを使用します。


    # clresourcegroup restart -n phys-schost-1 –g resource-group-1
    
  3. リソースグループが phys-schost-1 上で再起動され、Start_failed リソース状態が解除されたことを確認するには、次のコマンドを実行します。


    # clresource status
    
    === Cluster Resources ===
    
    Resource Name             Node Name       Status        Message
    --------------            ----------      -------        -------
     rscon               phys-schost-1       Offline         Offline
     rscon               phys-schost-2       Online          Online
    
     hastor              phys-schost-1       Online          Online
     hastor              phys-schost-2       Offline         Offline

参照

clresourcegroup(1CL) のマニュアルページ。

Procedureリソースの無効化および有効化によりリソース状態 Start_failed を解除する


注 –

この手順は、任意のクラスタノードから実行します。


始める前に

有効または無効にするリソースの名前を確認します。

  1. クラスタメンバーで、スーパーユーザーになるか、solaris.cluster.modify RBAC の承認を提供する役割になります。

  2. リソースを無効にしてから有効にします。


    # clresource disable resource
    # clresource enable resource
    
    resource

    リソースの名前を指定します。

  3. リソースが無効になってから有効になり、Start_failed リソース状態が解除されたことを確認します。


    # clresource status
    

    このコマンドからの出力は、無効にしてから再度有効にしたリソースの状態を示します。


例 2–25 リソースの無効化および有効化によるリソース状態 Start_failed の解除

次の例で、リソースを無効にしてから有効にすることで、rscon リソースで発生した Start_failed リソース状態を解除する方法を示します。

  1. リソースが Start_failed リソース状態であることを確認するには、次のコマンドを実行します。


    # clresource status
    
    === Cluster Resources ===
    
    Resource Name             Node Name       Status        Message
    --------------            ----------      -------        -------
     rscon               phys-schost-1       Faulted         Faulted
                         phys-schost-2       Offline          Offline
    
     hastor              phys-schost-1       Online          Online
                         phys-schost-2       Offline         Offline
  2. リソースを無効にしてから再度有効にするには、次のコマンドを実行します。


    # clresource disable rscon
    # clresource enable rscon
    
  3. リソースが再度有効にされ、Start_failed リソース状態が解除されたこと確認するには、次のコマンドを実行します。


    # clresource status
    
    
    === Cluster Resources ===
    
    Resource Name             Node Name       Status        Message
    --------------            ----------      -------        -------
     rscon               phys-schost-1       Online         Online
                         phys-schost-2       Offline        Offline
    
     hastor              phys-schost-1       Online          Online
                         phys-schost-2       Offline         Offline

参照

clresource(1CL) のマニュアルページ。