Sun Cluster の概要 (Solaris OS 版)

データサービスのタイプ

データサービスを使用すると、アプリケーションは可用性の高いものやスケーラブルなサービスになります。クラスタで単一の障害が発生した場合、大幅なアプリケーションの中断を回避できます。

データサービスを構成する際には、次のデータサービスのタイプから 1 つを選択する必要があります。

フェイルオーバーデータサービスの説明

フェイルオーバーとは、クラスタがアプリケーションを障害のある稼動系から、指定の冗長化された待機系に自動的に再配置するプロセスのことをいいます。フェイルオーバーアプリケーションには、次の特徴があります。

フォルトモニターは、エラーを検出すると、データサービスの構成に従って、同じノードでそのインスタンスを再起動しようとするか、別のノードでそのインスタンスを起動 (フェイルオーバー) しようとします。フェイルオーバーサービスは、アプリケーションインスタンスリソースとネットワークリソース (論理ホスト名) のコンテナである、フェイルオーバーリソースグループを使用します。論理ホスト名とは、1 つのノードに構成して、後で自動的に元のノードや別のノードに構成できる IP アドレスのことです。

サービスが一時的に中断されるため、クライアントは、フェイルオーバーの完了後にサービスに再接続しなければならない場合があります。しかし、クライアントは、サービスの提供元である物理サーバーが変更したことを意識しません。

スケーラブルデータサービスの説明

スケーラブルデータサービスでは、複数のアプリケーションインスタンスが複数のノードで同時に動作します。スケーラブルサービスは、2 つのリソースグループを使用します。スケーラブルリソースグループにはアプリケーションリソースが、フェイルオーバーリソースグループには、スケーラブルサービスが依存するネットワークリソース (共有アドレス) がそれぞれ含まれています。スケーラブルリソースグループは、複数のノードでオンラインにできるため、サービスの複数のインスタンスを同時に実行できます。共有アドレスのホストとなるフェイルオーバーリソースグループは、一度に 1 つのノードでしかオンラインにできません。スケーラブルサービスをホストとするすべてのノードは、サービスをホストするための同じ共有アドレスを使用します。

クラスタは、同一のネットワークインタフェース (グローバルインタフェース) を通してサービス要求を受け取ります。これらの要求は、事前に定義されたいくつかのアルゴリズムの 1 つに基づいてノードに分配されます (アルゴリズムは負荷均衡ポリシーによって設定される)。クラスタは、負荷均衡ポリシーを使用し、いくつかのノード間でサービス負荷均衡をとることができます。

並列アプリケーションの説明

Sun Cluster システムは、パラレルデータベース (PDB) を使用することによってクラスタのすべてのノードでアプリケーションを並列で実行できるようにする環境を提供します。Sun Cluster Support for Oracle Real Application Clusters は、インストールされている場合、Oracle Real Application Clusters を Sun Cluster ノードで実行できるようにするパッケージ群です。さらに、このデータサービスでは、Sun Cluster コマンドを使って Sun Cluster Support for Oracle Real Application Clusters を管理できます。

パラレルアプリケーションはクラスタ環境で動作するように考えられたものです。したがって、このようなアプリケーションは、複数のノードから同時マスターされます。Oracle Real Application Clusters 環境では、複数の Oracle インスタンスが協力して同じ共有データベースへのアクセス権を提供します。Oracle クライアントは、任意のインスタンスを使用してデータベースにアクセスできます。したがって、1 つまたは複数のインスタンスで障害が発生しても、クライアントは残りのインスタンスに接続することによって、引き続きデータベースにアクセスできます。