Sun Cluster のシステム管理 (Solaris OS 版)

クラスタにおける Sun StorageTek Availability Suite ソフトウェアの理解

この節では耐障害性について紹介し、Sun StorageTek Availability Suite ソフトウェアが使用するデータ複製方式について説明します。

耐障害性は、主クラスタで障害が発生した場合に代わりのクラスタ上でアプリケーションを復元するシステムの機能です。災害耐性のベースは、データ複製フェイルオーバーです。フェイルオーバーとは、主クラスタから二次クラスタへの、リソースグループまたはデバイスグループの自動再配置です。主クラスタに障害が発生した場合でも、アプリケーションとデータは二次クラスタで即座に使用できます。

Sun StorageTek Availability Suite ソフトウェアが使用するデータ複製方式

この節では、Sun StorageTek Availability Suite が使用するリモートミラー複製方式とポイントインタイムスナップショット方式について説明します。このソフトウェアは、 sndradm(1RPC)iiadm(1II) コマンドを使用してデータを複製します。

リモートミラー複製

図 4–3 は、リモートミラー複製を示しています。主ディスクのマスターボリュームのデータは、TCP/IP 接続を経由して二次ディスクのマスターボリュームに複製されます。リモートミラービットマップは、主ディスク上のマスターボリュームと、二次ディスク上のマスターボリュームの差分を追跡します。

図 4–3 リモートミラー複製

主ディスクのマスターボリュームから二次ディスクのマスターボリュームへのリモートミラー複製を示す図

リモートミラー複製は、リアルタイムに同期で実行することも非同期で実行することもできます。各クラスタの各ボリュームセットはそれぞれ、同期複製または非同期複製に構成できます。

ポイントインタイムスナップショット

図 4–4 は、ポイントインタイムスナップショットを示しています。各ディスクのマスターボリュームのデータは、同じディスクのシャドウボリュームにコピーされます。ポイントインタイムピットマップは、マスターボリュームとシャドウボリューム間の違いを追跡調査します。データがシャドウボリュームにコピーされると、ポイントインタイムビットマップはリセットされます。

図 4–4 ポイントインタイムスナップショット

ポイントインタイムスナップショットを示す図

構成例での複製

図 4–5 に、この構成例でミラー複製とポイントインタイムスナップショットがどのように使用されているかを示します。

図 4–5 構成例での複製

リモートミラー複製とポイントインタイムスナップショットが構成例でどのように使用されているかを示す図