Sun Cluster のシステム管理 (Solaris OS 版)

クラスタの停止と起動の概要

Sun Cluster の cluster(1CL) shutdown コマンドは、クラスタサービスを正しい順序で停止し、クラスタ全体をクリーンに停止します。cluster shutdown コマンドは、クラスタの場所を移動するときにも使用できます。また、アプリケーションエラーによってデータが破損した場合に、クラスタを停止するときにも、このコマンドを使用できます。


注 –

クラスタ全体を正しく停止するには、shutdownhalt コマンドではなく、 cluster shutdown コマンドを使用します。Solaris の shutdown コマンドは clnode(1CL) evacuate コマンドとともに使用して、個々のノードを停止します。詳細は、「クラスタを停止する」、または「単一クラスタノードの停止と起動」を参照してください。


cluster shutdown コマンドは、次のアクションを実行することによりクラスタ内のすべてのノードを停止します。

  1. すべての実行中のリソースグループをオフラインにする。

  2. すべてのクラスタファイルシステムをマウント解除する。

  3. アクティブなデバイスサービスを停止する。

  4. init 0 を実行してすべてのノードを OpenBootTM PROM ok プロンプトの状態にする (SPARC ベースシステムの場合) か、あるいは GRUB メニューの状態にする (x86 ベースシステムの場合)。GRUB メニューについては、『System Administration Guide: Basic Administration』の第 11 章「GRUB Based Booting (Tasks)」で詳しく説明しています。


注 –

必要であれば、ノードを非クラスタモードで (つまり、ノードがクラスタメンバーシップを取得しないように) 起動できます。非クラスタモードは、クラスタソフトウェアをインストールしたり、特定の管理手順を実行する際に役立ちます。詳細は、「非クラスタモードでクラスタノードを起動する」を参照してください。


表 3–1 作業リスト : クラスタの停止と起動

作業 

参照先 

クラスタの停止 

    - cluster(1CL shutdown を使用

「クラスタを停止する」

すべてのノードを起動してクラスタを起動 

クラスタメンバーシップを取得できるように、ノードにはクラスタインターコネクトとの動作中の接続が必要です。 

「クラスタを起動する」

クラスタの再起動 

    - cluster shutdown を使用

Press any key to continue」というメッセージが表示された時点で、キーを押すことにより各ノードを個別に起動します。

クラスタメンバーシップを取得できるように、ノードにはクラスタインターコネクトとの動作中の接続が必要です。 

「クラスタを再起動する」

Procedureクラスタを停止する


注意 – 注意 –

クラスタノードを停止する場合は、クラスタコンソール上で send brk を使用してはいけません。この機能はクラスタ内ではサポートされません。


この手順では、長形式の Sun Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。コマンドのリストとその短形式については、付録 A 「Sun Cluster オブジェクト指向コマンド」を参照してください。

  1. SPARC:Oracle Parallel Server または Oracle Real Application Clusters (RAC) が動作しているクラスタの場合、データベースのすべてのインスタンスを停止します。

    停止の手順については、Oracle Parallel Server/Real Application Clusters 製品のマニュアルを参照してください。

  2. クラスタ内の任意のノードで、スーパーユーザーになるか、RBAC の承認 solaris.cluster.admin を提供する役割になります。

  3. ただちにクラスタを停止します。

    クラスタ内の 1 つのノードから、次のコマンドを入力します。


    # cluster shutdown -g0 -y
    
  4. SPARC ベースシステムでは、すべてのノードが ok プロンプトの状態になったことを確認します。x86 ベースシステムでは、すべてのノードが GRUB メニューの状態になったことを確認します。

    SPARC ベースのシステムではすべてのクラスタノードが ok プロンプトになるまで、x86 ベースシステムではすべてのクラスタノードが Boot Subsystem の状態になるまで、どのノードの電源も切らないでください。


    # cluster status -t node
    
  5. 必要であればノードの電源を切ります。


例 3–1 SPARC: クラスタの停止

次に、正常なクラスタの動作を停止して、すべてのノードを停止し、ok プロンプトが表示されたときのコンソールの出力例を示します。ここでは、-g 0 オプションで停止の猶予期間をゼロに設定し、-y オプションで、確認プロンプトに対して自動的に yes と応答するよう指定しています。停止メッセージは、クラスタ内の他のノードのコンソールにも表示されます。


# cluster shutdown -g0 -y
Wed Mar 10 13:47:32 phys-schost-1 cl_runtime: 
WARNING: CMM monitoring disabled.
phys-schost-1# 
INIT: New run level: 0
The system is coming down.  Please wait.
System services are now being stopped.
/etc/rc0.d/K05initrgm: Calling scswitch -S (evacuate)
The system is down.
syncing file systems... done
Program terminated
ok 


例 3–2 x86: クラスタの停止

次に、正常なクラスタの動作を停止して、すべてのノードを停止したときのコンソールの出力例を示します。この例では、すべてのノードで ok プロンプトが表示されません。ここでは、-g 0 オプションで停止の猶予期間をゼロに設定し、-y オプションで、確認プロンプトに対して自動的に yes と応答するよう指定しています。停止メッセージは、クラスタ内の他のノードのコンソールにも表示されます。


# cluster shutdown -g0 -y
May  2 10:32:57 phys-schost-1 cl_runtime: 
WARNING: CMM: Monitoring disabled.  
root@phys-schost-1#
INIT: New run level: 0
The system is coming down.  Please wait.
System services are now being stopped.
/etc/rc0.d/K05initrgm: Calling scswitch -S (evacuate)
failfasts already disabled on node 1
Print services already stopped.
May  2 10:33:13 phys-schost-1 syslogd: going down on signal 15
The system is down.
syncing file systems... done
Type any key to continue 

参照

「クラスタを起動する」を参照し、停止したクラスタを再起動します。

Procedureクラスタを起動する

この手順では、ノードが停止され、ok プロンプト (SPARC システムの場合) または「Press any key to continue」メッセージ (GRB ベースの x86 システムの場合) が表示されている状態の、クラスタを起動する方法を説明します。

この手順では、長形式の Sun Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。コマンドのリストとその短形式については、付録 A 「Sun Cluster オブジェクト指向コマンド」を参照してください。

  1. 各ノードをクラスタモードで起動します。

    • SPARC ベースのシステムでは、次の操作を実行します。


      ok boot
      
    • x86 ベースのシステムでは、次の操作を実行します。

      GRUB メニューが表示された時点で、適切な Solaris エントリを選択し Enter キーを押します。GRUB メニューは次のようになっています。


      GNU GRUB version 0.95 (631K lower / 2095488K upper memory)
      +-------------------------------------------------------------------------+
      | Solaris 10 /sol_10_x86                                                  |
      | Solaris failsafe                                                        |
      |                                                                         |
      +-------------------------------------------------------------------------+
      Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
      Press enter to boot the selected OS, 'e' to edit the
      commands before booting, or 'c' for a command-line.

    注 –

    クラスタメンバーシップを取得できるように、クラスタノードにはクラスタインターコネクトとの動作中の接続が必要です。


    GRUB ベースの起動の詳細については、『System Administration Guide: Basic Administration』の第 11 章「GRUB Based Booting (Tasks)」を参照してください。

  2. ノードが問題なく起動し、オンラインであることを確認します。

    cluster(1CL) ステータスコマンドはノードのステータスを報告します。


    # cluster status -t node
    

    注 –

    クラスタノードの /var ファイルシステムが満杯になると、そのノード上では Sun Cluster が再起動できなくなる可能性があります。この問題が発生した場合は、「満杯の /var ファイルシステムを修復する」を参照してください。



例 3–3 SPARC: クラスタの起動

次に、ノード phys-schost-1 を起動してクラスタに結合させたときのコンソールの出力例を示します。クラスタ内の他のノードのコンソールにも同様のメッセージが表示されます。


ok boot
Rebooting with command: boot 
...
Hostname: phys-schost-1
Booting as part of a cluster
NOTICE: Node phys-schost-1 with votecount = 1 added.
NOTICE: Node phys-schost-2 with votecount = 1 added.
NOTICE: Node phys-schost-3 with votecount = 1 added.
...
NOTICE: Node phys-schost-1: attempting to join cluster
...
NOTICE: Node phys-schost-2 (incarnation # 937690106) has become reachable.
NOTICE: Node phys-schost-3 (incarnation # 937690290) has become reachable.
NOTICE: cluster has reached quorum.
NOTICE: node phys-schost-1 is up; new incarnation number = 937846227.
NOTICE: node phys-schost-2 is up; new incarnation number = 937690106.
NOTICE: node phys-schost-3 is up; new incarnation number = 937690290.
NOTICE: Cluster members: phys-schost-1 phys-schost-2 phys-schost-3.
...

Procedureクラスタを再起動する

cluster(1CL) shutdown コマンドを実行し、クラスタを停止してから、各ノード上で boot(1M) コマンドを使用してクラスタを起動します。

この手順では、長形式の Sun Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。コマンドのリストとその短形式については、付録 A 「Sun Cluster オブジェクト指向コマンド」を参照してください。

  1. SPARC:Oracle Parallel Server または Oracle RAC が動作しているクラスタの場合、データベースのすべてのインスタンスを停止します。

    停止の手順については、Oracle Parallel Server/Real Application Clusters 製品のマニュアルを参照してください。

  2. クラスタ内の任意のノードで、スーパーユーザーになるか、RBAC の承認 solaris.cluster.admin を提供する役割になります。

  3. クラスタを停止します。

    クラスタ内の 1 つのノードから、次のコマンドを入力します。


    # cluster shutdown -g0 -y 
    

    各ノードが停止します。


    注 –

    クラスタメンバーシップを取得できるように、クラスタノードにはクラスタインターコネクトとの動作中の接続が必要です。


  4. 各ノードを起動します。

    停止中に構成を変更した場合以外は、どのような順序でノードを起動してもかまいません。停止中に構成を変更した場合は、最新の構成情報を持つノードを最初に起動する必要があります。

    • SPARC ベースのシステムでは、次の操作を実行します。


      ok boot
      
    • x86 ベースのシステムでは、次の操作を実行します。

      GRUB メニューが表示された時点で、適切な Solaris エントリを選択し Enter キーを押します。GRUB メニューは次のようになっています。


      GNU GRUB version 0.95 (631K lower / 2095488K upper memory)
      +-------------------------------------------------------------------------+
      | Solaris 10 /sol_10_x86                                                  |
      | Solaris failsafe                                                        |
      |                                                                         |
      +-------------------------------------------------------------------------+
      Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
      Press enter to boot the selected OS, 'e' to edit the
      commands before booting, or 'c' for a command-line.

    注 –

    クラスタメンバーシップを取得できるように、クラスタノードにはクラスタインターコネクトとの動作中の接続が必要です。


    GRUB ベースの起動の詳細については、『System Administration Guide: Basic Administration』の第 11 章「GRUB Based Booting (Tasks)」を参照してください。

    クラスタコンポーネントが起動すると、起動されたノードのコンソールにメッセージが表示されます。

  5. ノードが問題なく起動し、オンラインであることを確認します。

    scstat コマンドを使用してノードの状態を表示します。


    # cluster status -t node
    

    注 –

    クラスタノードの /var ファイルシステムが満杯になると、そのノード上では Sun Cluster が再起動できなくなる可能性があります。この問題が発生した場合は、「満杯の /var ファイルシステムを修復する」を参照してください。



例 3–4 SPARC: クラスタの再起動

次に、正常なクラスタの動作を停止して、すべてのノードを停止し、ok プロンプトが表示され、クラスタが再起動したときのコンソールの出力例を示します。ここでは、-g 0 オプションで停止の猶予期間をゼロに設定し、-y オプションで、確認プロンプトに対して自動的に yes と応答するよう指定しています。停止メッセージは、クラスタ内の他のノードのコンソールにも表示されます。


# cluster shutdown -g0 -y
Wed Mar 10 13:47:32 phys-schost-1 cl_runtime: 
WARNING: CMM monitoring disabled.
phys-schost-1# 
INIT: New run level: 0
The system is coming down.  Please wait.
...
The system is down.
syncing file systems... done
Program terminated
ok boot
Rebooting with command: boot 
...
Hostname: phys-schost-1
Booting as part of a cluster
...
NOTICE: Node phys-schost-1: attempting to join cluster
...
NOTICE: Node phys-schost-2 (incarnation # 937690106) has become reachable.
NOTICE: Node phys-schost-3 (incarnation # 937690290) has become reachable.
NOTICE: cluster has reached quorum.
...
NOTICE: Cluster members: phys-schost-1 phys-schost-2 phys-schost-3.
...
NOTICE: Node phys-schost-1: joined cluster
...
The system is coming up.  Please wait.
checking ufs filesystems
...
reservation program successfully exiting
Print services started.
volume management starting.
The system is ready.
phys-schost-1 console login:
NOTICE: Node phys-schost-1: joined cluster
...
The system is coming up.  Please wait.
checking ufs filesystems
...
reservation program successfully exiting
Print services started.
volume management starting.
The system is ready.
phys-schost-1 console login: