この節では、ゾーンクラスタの主要な機能および利点について説明します。
ゾーンクラスタを使用することで、次のような機能および利点が得られます。
アプリケーションの障害分離 – あるゾーンクラスタでアプリケーションに障害が発生しても、その他のゾーンクラスタのアプリケーションには影響しません。たとえば、あるゾーンクラスタのノードが起動、停止、または再起動しても、その他のゾーンクラスタは影響を受けません。
セキュリティー – あるゾーンクラスタノードにログインしているアプリケーションまたはユーザーは、グローバルクラスタまたはその他のゾーンクラスタの要素を参照したり変更したりすることはできません。ゾーンクラスタには、そのゾーンクラスタの一部として明示的に構成されるファイルシステム、ZFS データセット、ネットワークリソースなどの要素のみが含まれます。ゾーンクラスタ内のフェイルオーバーアプリケーションは、ゾーンクラスタ内のあるノードから、同一ゾーンクラスタ内の別のノードにのみ、フェイルオーバーまたはスイッチオーバーすることができます。スケーラブルなアプリケーションのインスタンスはすべて、同一のゾーンクラスタ内でのみ実行されます。ゾーンクラスタは、アプリケーションがエスケープできないセキュリティーコンテナです。
リソース管理 – Solaris のリソース管理制御の全機能を、ゾーンクラスタに対して適用できます。したがって、ゾーンクラスタ内のあるノード上に存在するすべてのアプリケーションを、ゾーンレベルで制御できます。これにより、ゾーンクラスタノードで利用できるリソースを、より効率的に管理できます。たとえば、1 つのゾーンクラスタ内に 1 つのアプリケーションを配置して、CPU の数を減らすことができます。こうすることで、CPU ごとのライセンス料金を削減できます。
委任管理 – ゾーンクラスタ内のアプリケーションを管理する権限を、そのゾーンクラスタで処理を行っている管理者に委任できます。ゾーンクラスタは、グローバルクラスタやその他のゾーンクラスタとは独立して機能します。大域ゾーンの管理者は、ゾーンクラスタ内のクラスタ間の依存関係やアフィニティーの設定、およびアプリケーションの管理を行うことができます。
単純化されたクラスタ – ゾーンクラスタ内で行う必要があるのは、アプリケーションおよびそのアプリケーションが使用するリソースの管理のみです。大域ゾーンの管理者は、ゾーンクラスタの内部および外部でコマンドを実行することにより、いつでもゾーンクラスタを作成、管理および削除できます。これらの操作は、グローバルクラスタやその他のゾーンクラスタには影響しません。