Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)

SPARC: 動的再構成のサポート

Sun Cluster 3.2 1/09 による動的再構成 (Dynamic Reconfiguration、DR) ソフトウェア機能のサポートは段階的に開発されています。この節では、Sun Cluster 3.2 1/09 による DR 機能のサポートの概念と考慮事項について説明します。

Solaris の DR 機能の説明で述べられているすべての必要条件、手順、制限は Sun Cluster の DR サポートにも適用されます (オペレーティング環境での休止状態中を除く)。したがって、Sun Cluster ソフトウェアで DR 機能を使用するには、必ず、Solaris の DR 機能についての説明を参照してください。特に、DR Detach 操作中に、ネットワークに接続されていない入出力デバイスに影響する問題について確認してください。

Sun Enterprise 10000 Dynamic Reconfiguration ユーザーマニュアル』と『Sun Enterprise 10000 Dynamic Reconfiguration リファレンスマニュアル』が、http://docs.sun.com で参照できます。

SPARC: 動的再構成の概要

DR 機能を使用すると、システムハードウェアの切り離しなどの操作をシステムの稼動中に行うことができます。DR プロセスの目的は、システムを停止したり、クラスタの可用性を中断したりせずにシステム操作を継続できるようにすることです。

DR はボードレベルで機能します。したがって、DR 操作はボード上のすべてのコンポーネントに影響します。ボードには、CPU やメモリー、ディスクドライブやテープドライブ、ネットワーク接続の周辺機器インタフェースなど、複数のコンポーネントが取り付けられています。

アクティブなコンポーネントを含むボードを切り離すと、システムエラーになります。DR サブシステムは、ボードを切り離す前に、ほかのサブシステム (Sun Cluster など) に問い合わせてボード上のコンポーネントが使用されているかを判別します。ボードが使用中であることがわかると、DR のボード切り離し操作は行われません。つまり、アクティブなコンポーネントを含むボードに DR のボード切り離し操作を発行しても、DR サブシステムがその操作を拒否するため、DR のボード切り離し操作はいつ発行しても安全です。

同様に、DR のボード追加操作も常に安全です。新たに追加されたボードの CPU とメモリーは、システムによって自動的にサービス状態になります。ただし、そのボードのほかのコンポーネントを意図的に使用するには、管理者がそのクラスタを手動で構成する必要があります。


注 –

DR サブシステムにはいくつかのレベルがあります。下位のレベルがエラーを報告すると、上位のレベルもエラーを報告します。ただし、下位のレベルが具体的なエラーを報告しても、上位のレベルは「Unknown error」を報告します。このエラーは無視してもかまいません。


次の各項では、デバイスタイプごとに DR の注意事項を説明します。

SPARC: CPU デバイスに対する DR クラスタリング

CPU デバイスが存在していても、Sun Cluster ソフトウェアは DR のボード切り離し操作を拒否しません。

DR のボード追加操作が正常に終わると、追加されたボードの CPU デバイスは自動的にシステム操作に組み込まれます。

SPARC: メモリーに対する DR クラスタリング

DR では、次の 2 種類のメモリーを考慮してください。

これらの違いはその使用方法だけであり、実際のハードウェアは同じものです。カーネルメモリーケージとは、Solaris オペレーティングシステムが使用するメモリーのことです。Sun Cluster ソフトウェアは、カーネルメモリーケージを含むボードに対するボード切り離し操作をサポートしていないため、このような操作を拒否します。DR のボード切り離し操作がカーネルメモリーケージ以外のメモリーに関連するものである場合、Sun Cluster ソフトウェア はこの操作を拒否しません。メモリーに関連する DR のボード追加操作が正常に終わると、追加されたボードのメモリーは自動的にシステム操作に組み込まれます。

SPARC: ディスクドライブとテープドライブに対する DR クラスタリング

Sun Cluster は、主ホストのアクティブなドライブに対する動的再構成 (Dynamic Reconfiguration、DR) のボード切り離し操作を拒否します。DR のボード切り離し操作を実行できるのは、主ホストのアクティブでないドライブと、二次ホストの任意のドライブです。DR 操作が終了すると、クラスタのデータアクセスが前と同じように続けられます。


注 –

Sun Cluster は、定足数デバイスの使用に影響を与える DR 操作を拒否します。定足数デバイスの考慮事項と、定足数デバイスに対する DR 操作の実行手順については、「SPARC: 定足数デバイスに対する DR クラスタリング」を参照してください。


これらの操作の詳細な実行手順については、『Sun Cluster のシステム管理 (Solaris OS 版)』「定足数デバイスへの動的再構成」を参照してください。

SPARC: 定足数デバイスに対する DR クラスタリング

DR のボード切り離し操作が、定足数デバイスとして構成されているデバイスへのインタフェースを含むボードに関連する場合、Sun Cluster ソフトウェアはこの操作を拒否します。Sun Cluster ソフトウェアはまた、この操作によって影響を受ける定足数デバイスを特定します。定足数デバイスとしてのデバイスに対して DR のボード切り離し操作を行う場合は、まずそのデバイスを無効にする必要があります。

定足数の詳細な管理手順については、『Sun Cluster のシステム管理 (Solaris OS 版)』の第 6 章「定足数の管理」を参照してください。

SPARC: クラスタインターコネクトインタフェースに対する DR クラスタリング

DR のボード切り離し操作が、アクティブなクラスタインターコネクトインタフェースを含むボードに関連する場合、Sun Cluster ソフトウェアはこの操作を拒否します。Sun Cluster ソフトウェアはまた、この操作によって影響を受けるインタフェースを特定します。DR 操作を成功させるためには、Sun Cluster 管理ツールを使用して、アクティブなインタフェースを無効にしておく必要があります。


注意 – 注意 –

Sun Cluster ソフトウェアでは、各クラスタノードは、ほかのすべてのクラスタノードへの有効なパスを、少なくとも1 つ、持っておく必要があります。したがって、クラスタ内の個々の Solaris ホストへの最後のパスをサポートするプライベートインターコネクトインタフェースは無効にしないでください。


これらの操作の詳細な実行方法については、『Sun Cluster のシステム管理 (Solaris OS 版)』「クラスタインターコネクトの管理」を参照してください。

SPARC: パブリックネットワークインタフェースに対する DR クラスタリング

DR のボード切り離し操作が、アクティブなパブリックネットワークインタフェースを含むボードに関連する場合、Sun Cluster ソフトウェアはこの操作を拒否します。Sun Cluster ソフトウェアはまた、この操作によって影響を受けるインタフェースを特定します。アクティブなネットワークインタフェースが存在するボードを切り離す前に、まず、if_mpadm コマンドを使って、そのインタフェース上のすべてのトラフィックを、同じマルチパスグループの正常なほかのインタフェースに切り替える必要があります。


注意 – 注意 –

無効にしたネットワークアダプタに対する DR 切り離し操作中に、残りのネットワークアダプタで障害が発生すると、可用性が影響を受けます。これは、DR 操作の間は、残りのネットワークアダプタのフェイルオーバー先が存在しないためです。


パブリックネットワークインタフェースに対する DR 切り離し操作の詳細な実行手順については、『Sun Cluster のシステム管理 (Solaris OS 版)』「パブリックネットワークの管理」を参照してください。