Sun Java System Communications Services 6 2005Q4 配備計画ガイド

リモートサイトフェイルオーバーの理解

リモートサイトフェイルオーバーは、プライマリサイトに致命的な障害が発生した場合に、そのプライマリサイトに WAN で接続されているサイトでサービスを開始する機能です。リモートサイトフェイルオーバーにはいくつかの形式があり、それぞれにコストが異なります。

リモートサイトフェイルオーバーでは、すべてのケースでサーバーとストレージを追加して、リモートサイトにインストールおよび設定された、サービスのユーザー負荷のすべてまたは一部を処理する能力を持つようにする必要があります。すべてまたは一部というのは、顧客によっては優先するユーザーとそうでないユーザーがいることを意味します。ISP でも企業でも、そのような状況が起こります。ISP には、この機能のために割増料金を支払うユーザーがいます。企業では、全従業員に電子メールの機能を提供している部門内で、ユーザーによってはそのサポートが高くついている場合があるかもしれません。たとえば、カスタマサポートに直接関わるユーザーのメールに対してリモートサイトフェイルオーバーを選択した場合でも、製造ラインで勤務する従業員には、リモートサイトフェイルオーバーを用意しないというケースが考えられます。リモートハードウェアは、このようにリモートサイトフェイルオーバーメールサーバーにアクセスを許可されたユーザーの負荷を処理できます。

ユーザーベースの使用率だけを制限すると、必要な冗長サーバーとストレージハードウェアの数を減らすことができますが、フェイルバックの設定と管理も複雑になります。そのようなポリシーはまた、長期的には予期しない別の影響をユーザーに与えます。たとえば、ドメインメールルーターが 48 時間にわたって利用不能になった場合、インターネット上の他の MTA ルーターがそのドメイン宛てのメールを保持します。ある時点でサーバーがオンラインに戻った際に、メールが配送されます。さらに、すべてのユーザーをフェイルオーバーリモートサイトに設定していない場合は、MTA が起動して設定されていないユーザーに対して永続的なエラー (バウンス) が返されます。最後に、すべてのユーザーを受け入れるようにメールを設定している場合は、すべてのユーザーをフェイルバックするか、フェイルオーバーがアクティブな間使用できないアカウント宛てのメールを保持し、フェイルバックが起こったらそれを本来の配信の流れに戻すように MTA ルーターを設定する必要があります。

考えられるリモートサイトフェイルオーバーのソリューションには、次のようなものがあります。

ハードウェアやソフトウェアをはじめ、管理コスト、電力費、光熱費、ネットワークコストまで、これらのソリューションでは、さまざまなコストが発生します。これらのコストはすべてそのまま計算に入れて、数字をはじき出します。そうしなければ、いくつかのコストを算出するのが困難になります。そのようなコストには、めったに実施しない一連の手順を実施するときのミスによるコスト、停止時間による直接のコスト、データ損失によるコストなどがあります。このような種類のコストを正確に算定するのは不可能です。顧客によっては、停止時間とデータの損失は代償が高くつくか、まったく受け入れられません。別の顧客にとっては、それは単なる不愉快にすぎないかもしれません。

リモートサイトフェイルオーバーを行う場合には、リモートディレクトリが少なくとも最新のもので、メッセージデータの復元が可能な状態にあることも必要です。リモートサイトにリストアメソッドを使用する場合は、ディレクトリが完全に復元されてからメッセージを復元する必要があります。また、ユーザーをシステムから削除した場合、ディレクトリ内でそのユーザーに無効のタグがつけられるだけなのはやむをえません。ユーザーのデータがあるメッセージバックアップテープが使用されるかぎり、それらのユーザーをディレクトリから削除してはなりません。

リモートサイトフェイルオーバーについての質問

次の質問を参考にして、リモートサイトフェイルオーバーの計画を立ててください。


注 –

ローカル HA 用の Sun Cluster とリモートサイトフェイルオーバー用の Veritas ソフトウェアを併用しないでください。Sun Cluster は現時点ではリモートサイトフェイルオーバーをサポートしていません。

また、プライマリサイトからバックアップサイトへの自動フェイルオーバーをソフトウェアに許可しないでください。その場合、セカンダリサイトからプライマリサイトの障害が誤って検出される可能性がかなり高くなります。このようなケースでは、ソフトウェアにプライマリサイトを監視させ、障害を検出したときに警告を出させるように設定します。次に、バックアップサイトへの自動フェイルオーバープロセスを開始する前に、障害が実際に発生していることを確認します。