Sun Java System Communications Services 6 2005Q4 配備計画ガイド

その他の配備の課題

この節では、いくつかの共通の Communications Services 配備の最良の方法とその他の配備に関する考慮事項について説明します。

Messaging Server に対する LMTP (Local Message Transfer Protocol) の実装

最良の方法は、メッセージ配信のために SMTP の代わりに LMTP を実装することです。LMTP アーキテクチャーがバックエンドメッセージストアへの配信に関して効率性が高い理由は次のとおりです。

LMTP を実装するには 2 層アーキテクチャーが必要です。LMTP の設定手順については、『Sun Java System Messaging Server 6 2005Q4 管理ガイド』「LMTP 配信の設定」を参照してください。

Realtime Blackhole List (RBL) の実装

Mail Abuse Protection System の Realtime Blackhole List (MAPS RBL) は、送信元の IP アドレスで識別される、一方的に送られてくる大量電子メール (UBE: Unsolicited bulk email) の既知の送信元の動的な更新リストです。Messaging Server SMTP サーバーは RBL の使用をサポートし、UBE またはスパムとして RBL が識別する送信元からの受信メールを拒否することができます。

すべての配備において RBL の実装を考慮する必要があります。通常、MTA の前に配備された高品質の RBL は、最低でも 10%、場合によってはそれ以上 MTA に対するトラフィックを軽減します。

RBL と BrightMail などのアンチスパムまたはアンチウィルスサーバーは連携して動作することができます。たとえば、アンチスパムサーバーが特定の IP アドレスからの 100 通の電子メールから 95〜99 通のメールを排除した場合、その IP アドレスを RBL に追加することができます。また、BrightMail 分析の実行時に、BrightMail の誤検知によって RBL を調整することができます。この結果、UBE の特定の変動を処理する上で、RBL を一層有効に活用できるようになります。

MTA ディスパッチャーの ENABLE_RBL オプションの設定に関する詳細については、『Sun Java System Messaging Server 6 2005Q4 Administration Reference』を参照してください。

論理サービス名の使用

Communications Services サーバーの論理名を使用する配備を設計します。将来の拡張や拡大を容易にするために、単一システムの配備においても論理名を使用する必要があります。論理名の使用は、DNS の格納以外に追加の配備設定費用は不要です。

これらの論理名を次の 2 つのカテゴリに分けて考えることができます。1 つは電子メールクライアントプログラムの設定などエンドユーザーに影響を与え、もう 1 つはインバウンド SMTP サーバーなどバックエンドの管理に影響を与えるものです。

次表でこれらの論理名について説明します。

表 5–1 ユーザー側の論理名

例 

説明 

mail.siroe.com

エンドユーザーが電子メールを収集するサーバーの名前 

imap.siroe.com

エンドユーザーが電子メールを収集する IMAP サーバーの名前

pop.siroe.com

エンドユーザーが電子メールを収集する POP サーバーの名前

smtp.siroe.com

送信メールサーバーとしてユーザーが指定する SMTP サーバーの名前 

webcal.siroe.com または ce.siroe.com

Communications Express (以前の Calendar Express) サーバーの名前 

表 5–2 保守レベルの論理名

例 

説明 

relay-in.siroe.com

インバウンド SMTP サーバーのバンクに相当します。 

relay-out.siroe.com

アウトバウンド SMTP サーバーのバンクに相当します。 

mmp.siroe.com

MMP サーバーのバンクに相当します。 

mem.siroe.com

MEM サーバーのバンクに相当します。 

storeAA.siroe.com

バックエンドメッセージストア。たとえば、storeAA.siroe.comstoreZZ.siroe.com のように、使用するトポロジで動作するネーミング方式を選択します。

calstoreAA.siroe.com

バックエンドカレンダストア。たとえば、calstoreAA.siroe.comcalstoreZZ.siroe.com のように、使用するトポロジで動作するネーミング方式を選択します。

表 5–3 ユーザーレベルの保守レベル論理名へのマッピング

保守レベル 

ユーザーレベル 

relay-in.siroe.com

なし 

relay-out.siroe.com

smtp.siroe.com

mmp.siroe.com

mmp.siroe.compop.siroe.comimap.siroe.com のうちの 1 つまたは複数の名前

mem.siroe.com

webmail.siroe.com

storeAA.siroe.comstoreZZ.siroe.com

なし。エンドユーザーには隠されている 

calstore_aa.siroe.comcalstore_az.siroe.com

なし。エンドユーザーには隠されている