Sun Java System Communications Services 6 2005Q4 配備計画ガイド

第 15 章 Messaging Server インストール前の考慮事項と手順について

この章では、Messaging Server をインストールする前に検討しなければならない考慮事項と、実行しなければならない手順について説明します。Java Enterprise System インストーラの実行手順については、『Sun Java Enterprise System 2005Q4 Installation Guide for UNIX』を参照してください。

この章には、次の節があります。

Messaging Server インストールの考慮事項

この節では、Messaging Server のインストールの準備のための考慮事項について説明します。

表 15–1 可能性のあるポート番号の競合

ポート番号の競合 

コンポーネント 

コンポーネント 

143 

IMAP サーバー 

MMP IMAP プロキシ 

110 

POP3 サーバー 

MMP POP3 プロキシ 

993 

SSL を使用した IMAP 

SSL を使用した MMP IMAP プロキシ 

80 

Access Manager (Web サーバーのポート) 

Messenger Express

可能であれば、ポート番号が競合する製品は別のホストにインストールします。それができない場合は、競合する製品のいずれかでポート番号を変更する必要があります。ポート番号を変更するには、configutil ユーティリティーを使用します。手順については、『Sun Java System Messaging Server 6 2005Q4 Administration Reference』を参照してください。

次の例では、configutilservice.http.port パラメータを使用して、Messenger Express の HTTP ポート番号を 8080 に変更しています。


configutil -o service.http.port -v 8080

Messaging Server インストール用ワークシート

Messaging Server をインストールするときに、次のインストールワークシートを使用して記録をつけておくと、インストールプロセスで役立ちます。これらのインストールワークシートは、Messaging Server を何度もインストールしたり、アンインストールしたり、アップグレードのためにアップグレードしたりする際に再使用できます。


ヒント –

インストール中に指定したすべてのポート番号と、そのポート番号を使用する特定のコンポーネントを記録しておきます。


ワークシートには次のものがあります。

Directory Server インストール用ワークシート

Java Enterprise System インストーラ、または以前の Directory Server インストールにより、Directory Server をインストールできます。Directory Server のインストール情報と設定パラメータを表 15–2 に記録します。管理サーバーと Messaging Server のインストールと設定を行うときや、Messaging Server の実行時初期設定を行うときに、これらのパラメータが必要となります。その他の情報については、『Sun Java System Messaging Server 6 2005Q4 管理ガイド』を参照してください。

表 15–2 Directory Server インストールパラメータ

パラメータ 

説明 

例 

設定対象 

実際の設定値 

Directory Installation Root 

Directory Server ホストにあるディレクトリで、サーバープログラム、設定、保守、および情報のファイルの格納専用に使用されます。 

/var/opt/mps/serverroot

comm_dssetup.pl Perl スクリプト

 

ホスト 

完全修飾ドメイン名。完全修飾ドメイン名は、ホスト名とドメイン名の 2 つの部分から構成されます。 

svr1.west.sesta.com

管理サーバー設定 

 

LDAP Directory Port Number 

LDAP ディレクトリサーバーのデフォルトは 389 です。

389

管理サーバー設定と Messaging Server 設定 

 

Administrator ID and Password 

設定情報を担当する、または設定情報に責任を持つ管理者。 

管理者のパスワード。 

AdminPaSsWoRd

管理サーバー設定 

 

User and Group Tree Suffix 

ユーザーとグループのデータが格納されるディレクトリツリーの最上部の LDAP エントリの識別名。 

o=usergroup

comm_dssetup.pl Perl スクリプト

 

Directory Manager DN and Password 

UNIX の ルート に相当する権限を持つディレクトリ管理者。通常この管理者は、ユーザーとグループのデータに責任を持ちます。

ディレクトリマネージャのパスワード 

cn=Directory Manager

pAsSwOrD

comm_dssetup.pl Perl スクリプトと Messaging Server 設定

 

Administration Domain 

管理制御の対象範囲。 

System Lab

管理サーバー設定 

 

管理サーバー初期実行時設定用ワークシート

Java Enterprise System インストーラを通じて管理サーバーの初期実行時設定プログラムを実行するときは、インストールパラメータを次の表に記録します。これらのパラメータの中には、Messaging Server 初期実行時設定に必要なものがあります。いくつかの質問項目については、「Directory Server インストール用ワークシート」も参照してください。

表 15–3 管理サーバー初期実行時設定プログラムのパラメータ

パラメータ 

説明 

例 

実際の設定値 

Fully Qualified Domain Name 

ホストマシンの完全修飾ドメイン名。 

svr1.west.sesta.com

 

Server Root Definition 

管理サーバーがインストールされる root ディレクトリで、サーバープログラム、設定、保守、および情報ファイルの格納専用に使用されます。 

/var/opt/mps/serverroot

 

UNIX System User 

システムユーザーに特定の権限を指定することで、ユーザーが実行するプロセスに適切な許可を与えることができます。値は常に root となります。

root

 

UNIX System Group 

特定の UNIX ユーザーが属するグループ。値は常に other となります。

other

 

Configuration Directory Server 

「Directory Server インストール用ワークシート」で指定されるホストとポート。

Host svr1.west.sesta.com

Port 390

 

Configuration Directory Server Administrator and Password 

「Directory Server インストール用ワークシート」で指定される管理者 ID。

管理者 ID のパスワード。 

Admin

PaSsWoRd

 

Administration Domain 

管理制御の対象範囲。 

Messaging Server と Directory Server を同じマシンにインストールした場合は、「Directory Server インストール用ワークシート」で同じ管理ドメインを選択する必要があります。

System Lab2 

 

Administrative Server Port 

管理サーバー専用の固有のポート番号。 

5555

 

設定する Messaging Server コンポーネントの選択

Messaging Server ソフトウェアをインストールするときに、Java Enterprise System インストーラによりすべての Messaging Server がインストールされます。次に、Messaging Server 設定プログラムを使用して、Messaging ホスト上で適切なMessaging Server コンポーネント (MTA、メッセージストア、Messenger Express、MMP) を選択します。

次の表は、それぞれのタイプの Messaging ホストで設定する必要のあるコンポーネントを示します。

表 15–4 Messaging Server で設定するコンポーネントの選択

設定するメッセージングホストのタイプ 

設定プログラムで選択されるコンポーネント 

MTA 

メッセージ転送エージェント 

メッセージストア (バックエンド) 

メッセージ転送エージェント、メッセージストア、Messenger Express 

注: 設定の終了後、MEM プロキシの保存を設定する必要があります。 

Messenger Express (フロントエンドのみ、保存または SMTP の機能なし) 

Messenger Express、Messaging マルチプレクサ 

注: Messenger Express だけを設定する場合は、メッセージストアと MTA を選択するか、少なくとも既存の MTA を指定します。 

Messenger マルチプレクサ (フロントエンドのみ、保存または SMTP の機能なし) 

Messaging マルチプレクサ 


注 –

LMTP 配信メカニズムを設定するには、MTA とバックエンドストアの両方の設定が必要です。LMTP の設定手順については、『Sun Java System Messaging Server 6 2005Q4 管理ガイド』の第 15 章「LMTP 配信」を参照してください。


sendmail デーモンを無効にする

Messaging Server のインストールに先立ち、もしも sendmail デーモンが実行中であれば無効にしておくことをお勧めします。Messaging Server SMTP サーバーが実行する Dispatcher には、ポート 25 を割り当てる必要があります。ポート 25 で sendmail デーモンが実行されていると、Dispatcher をポート 25 に割り当てることができません。

Proceduresendmail デーモンを無効にするには

手順
  1. /etc/init.d ディレクトリに移動します。


    cd /etc/init.d
    
  2. sendmail が実行されている場合は、停止します。


    ./sendmail stop
    
  3. /etc/default/sendmailMODE="" を追加します。

    sendmail ファイルが存在しない場合は、ファイルを作成し、MODE="" を追加します。

    この修正の追加は、ユーザーが誤って sendmail start を実行したり、パッチにより sendmail が再起動されたりする場合に、sendmail がデーモンモードで起動するのを防ぎます。


    注 –

    場合によっては (特に Solaris 10 上において)、/etc/init.d/sendmail stop コマンドを実行したあとでも、sendmail が自動的に再起動されます。その場合は、次のコマンドを使って sendmail プロセスを停止します。

    svcadmin disable network/smtp:sendmail