Sun Java System Communications Express 6 2005Q4 管理ガイド

アドレス帳サーバーの水平方向のスケーラビリティーのサポート

以前のリリースの Sun Java System Communications Express の場合、特定のドメインの個人用アドレス帳エントリは、db_config.properties ファイルに定義された defaultserver インスタンスで表現される LDAP の単一の場所に格納されていました。db_config.properties ファイルは、ドメインの personalstore.properties で示されるディレクトリ内に存在していました。たとえば、「uwc-install/WEB-INF/config/ldappstore」です。

この配備を、各個人用アドレス帳で多数のユーザーと連絡先をサポートするように拡張することはできませんでした。この制限を克服するために、Sun Java System Communications Express 6.2 では、管理者が psRoot 属性を使用して、各ユーザーの PAB データが LDAP の複数の場所に分散するようにユーザーをプロビジョニングできるようになりました。

たとえば、「ldap://mydir.com:389/piPStoreOwner=jsmith,o=siroe.com,o=PiServerDb」と指定できます。

図 3-1 は、アドレス帳サーバーの水平方向の拡張に使用されるアーキテクチャーの高レベルの概要を示しています。

アドレス帳の水平方向のスケーラビリティーアーキテクチャーの主要なコンポーネントは、次のとおりです。

個人ストアには、ユーザーのアドレス帳情報が保持されます。ユーザーが作成したすべてのアドレス帳の定義のほか、それらのアドレス帳内のすべてのエントリが含まれています。個人ストアは、それが格納されているディレクトリインスタンスと、その特定のディレクトリインスタンス内の DN を示す URL として表現されます。

DB には個人ストアの集合が含まれており、図 3-1 に示すように、アドレス帳サーバーは任意数の DB にアクセスできます。すべての DB は、その DB 用の接続パラメータを指定する DB ID で定義されます。各 DB のタイプは異なっていてもよく、また別の DB の場所を指すこともできます。

DBMap は、同じタイプの DB の集合です。各 DBMap には、その DBMap 用の設定情報を示す ID が割り当てられます。

図 4–1 アドレス帳の水平方向のスケーラビリティー

アドレス帳の水平方向のスケーラビリティー

psRoot は、ユーザーの LDAP 内の属性であり、ホスト、ディレクトリインスタンスのポート、およびユーザーのアドレス帳エントリがある DN を指定します。psRoot は次の形式になります。ldap://ldap_host:ldap_port/DN

psRoot 属性の値によって、DB のタイプと DB の場所が決定されます。

psRoot の例では、「ldap://mydir.com:389/piPStoreOwner=jsmith,o=siroe.com,o=PiServerDb」になっています。

ldap://」は、ユーザーのアドレス帳個人ストアが LDAP DB プラグインを使用してアクセスされることを示しています。

mydir.com:389」は、LDAP のホストとポートを指定しています。

piPStoreOwner=jsmith,o=siroe.com,o=PiServerDb」は、個人ストアの DN を指定しています。


注 –

アドレス帳サーバーには、スケーラビリティーポリシーに従ってユーザーの psRoot 値を分散するためのユーティリティーは用意されていません。管理者は、組織にもっとも適した特定のポリシーを設定し、カスタムスクリプトでそのポリシー用の psRoot 値を設定する必要があります。


psRoot 属性は、ドメイン固有の personalstore.properties ファイル内にある db.UserPsRoot パラメータを使用して、有効または無効にすることができます。db_config.properties ファイル内の defaultserver パラメータを使用するには、このパラメータを “false” に設定します。ユーザーの psRoot 値を使用するには、このパラメータを「true」に設定します。psRoot で使用する各 Directory Server インスタンスには、「db_config.properties ファイルでのアドレス帳個人ストアパラメータの設定」に一覧表示されている個人ストアパラメータを指定する必要があります。実行時に、psRoot 属性の値は db-key.ldaphostdb-key.ldapport を使用して、ディレクトリインスタンスに解決されます。ここで、db-key は、各インスタンスを区別するための任意の文字列です。db-key.ldaphostdb-key.ldapport の一致がまったく発見されなかった場合は、defaultserver インスタンスが使用されます。

psRoot 値の自動設定

新規ユーザーがログインすると、ユーザーのエントリ内の psRoot 属性にデフォルト値が設定されます。

新規ユーザーの psRoot 値は、personalstore.properties ファイル内に定義されている psRoot パターンと、db_config.properties ファイル内の defaultserverhost および defaultserverPort 値を使用して作成されます。たとえば、デフォルトの psRoot パターンを使用すると、デフォルトの psRoot 値は次の形式になります。

ldap://defaultserver_host :defaultserver_port/piPStoreOwner=%U,o=%D,o=PiServerDb

各表記の意味は次のとおりです。

%U = ユーザーのログイン ID。 たとえば、「jsmith」。

%D = ユーザーのドメイン。 たとえば、「siroe.com」。