Sun Java System Messaging Server 6 2005Q4 管理ガイド

MTA メッセージログの例

MTA メッセージファイルに記録されるフィールドの形式とフィールドのリストは、設定したログオプションによって異なります。ここでは、いくつかの典型的なログエントリの解釈の例を示します。その他のオプションのフィールドについては、「その他の MTA ログオプションの指定」を参照してください。


注 –

ここではログファイルエントリが複数行にわたって表示されていますが、実際のログファイルエントリは 1 行で記述されます。


ログファイルを確認するときは、通常のシステムでは一度に多くのメッセージが処理されていることに留意してください。通常、特定のメッセージに関連するエントリは、同時に処理されているその他のメッセージに関連するエントリの間に散らばっています。基本的なログ情報は、MTA を通過するメッセージの数が全部でいくつあるかを把握するのに役立ちます。

同じ受取人への同じメッセージに関連する特定のエントリを関連付ける場合は、LOG_MESSAGE_ID を有効にします。特定のメッセージを MTA キュー領域にある特定のファイルと関連付けたり、エントリを見てキューからの取り出しに成功していない特定のメッセージの配信を何回試行したかを確認する場合は、LOG_FILENAME を有効にします。SMTP メッセージ (TCP/IP チャネル経由で処理されるメッセージ) の場合、リモートシステムとの TCP 接続を送信メッセージと関連付けるには、LOG_PROCESS と何らかのレベルの LOG_CONNECTION を有効にします。

MTA ログの例: ユーザーがメッセージを送信する場合

ローカルユーザーが送信 TCP/IP チャネルからインターネットなどにメッセージを送信する場合に見られる、基本的なログエントリの例を次に示します。この例では、LOG_CONNECTION が有効になっています。(1) と (2) の行は 1 つのエントリで、実際のログファイルでは 1 行で記述されます。同様に、(3) 〜 (7) の行も 1 つのエントリで、実際のログファイルでは 1 行で記述されます。


例 21–1 MTA ログ: ローカルユーザーが送信メッセージを送った場合


19-Jan-1998 19:16:57.64 l            tcp_local    E 1         (1)
 adam@sesta.com rfc822;marlowe@siroe.com marlowe@siroe.com     (2)
 
 19-Jan-1998 19:17:01.16 tcp_local                  D 1        (3)
 adam@sesta.com rfc822;marlowe@siroe.com marlowe@siroe.com     (4)
 dns;thor.siroe.com
 (TCP|206.184.139.12|2788|192.160.253.66|25)                   (5)
 (THOR.SIROE.COM -- Server ESMTP [iMS V5.0 #8694])             (6)
 smtp;250 2.1.5 marlowe@siroe.com and options OK.              (7)
  1. この行は、1 ブロック (1) メッセージをチャネル l からチャネル tcp_local のキューに入れた (E) ときの日付と時刻を示します。

  2. この部分は、実際にはログファイルでは (1) と同じ行に表示されます。エンベロープ From: アドレス ( この例では adam@sesta.com) と、エンベロープ To: アドレスの元のバージョンと現在のバージョン (この例では marlowe@siroe.com) を示しています。

  3. 1 ブロック (1) メッセージを tcp_local チャネルのキューから取り出した (D) ときの日付と時刻を示しています。つまり、tcp_local チャネルがリモートの SMTP サーバーへの送信に成功したことを示しています。

  4. エンベロープ From: アドレス、元のエンベロープ To: アドレス、および現在の形式のエンベロープ To: アドレスを示しています。

  5. 接続先の実際のシステムの名前が DNS で thor.siroe.com であること、ローカルの送信システムの IP アドレスが 206.184.139.12 で、ポート 2788 から送信されていること、リモートの宛先システムの IP アドレスが 192.160.253.66 で、接続ポートが 25 であることを示しています。

  6. リモートの SMTP サーバーの SMTP 見出し行を示しています。

  7. このアドレスに返された SMTP ステータスコードを示しています。250 は基本的な SMTP 成功コードであり、このリモート SMTP サーバーは拡張 SMTP ステータスコードと追加テキストで応答しています。


MTA ログの例: オプションのログフィールドを含む場合

これは、例 21–3 に示されているログエントリと似ていますが、LOG_MESSAGE_ID=1 を設定することによりファイル名とメッセージ ID も記録されています。(1) と (2) を参照してください。特に、メッセージ ID は、エントリとそれに関連するメッセージの相関関係を示すために使われます。


例 21–2 MTA ログ: オプションのログフィールドを含む場合


19-Jan-1998 19:16:57.64 l            tcp_local    E 1
  adam@sesta.com rfc822;marlowe@siroe.com marlowe@siroe.com
  /imta/queue/tcp_local/ZZ01ISKLSKLZLI90N15M.00
   <01ISKLSKC2QC90N15M@sesta.com>    (1)
                  
 19-Jan-1998 19:17:01.16 tcp_local                  D 1
  adam@sesta.com rfc822;marlowe@siroe.com marlowe@siroe.com
  /imta/queue/tcp_local/Z01ISKLSKLZLI90N15M.00
    <01ISKLSKC2QC90N15M@sesta.com>   (2)
  dns;thor.siroe.com (TCP|206.184.139.12|2788|192.160.253.66|25)
  (THOR.SIROE.COM -- Server ESMTP [iMS V5.0 #8694])
  smtp;250 2.1.5 marlowe@siroe.com and options OK.

MTA ログの例: リストに送信する場合

この例は、LOG_FILENAME=1LOG_MESSAGE_ID=1、および LOG_CONNECTION=1 を有効にして、複数の受取人に送信する例を示しています。ここでは、ユーザー adam@sesta.com が MTA メーリングリスト test-list@sesta.com に送信し、それが bob@sesta.comcarol@varrius.com、および david@varrius.com に展開されています。それぞれの受取人の元のエンベロープ To: アドレスは test-list@sesta.com ですが、現在のエンベロープ To: アドレスは受取人ごとに異なるアドレスであることに注意してください。2 つのファイル (チャネル l と送信チャネル tcp_local 用) がありますが、メッセージ ID は同じです。


例 21–3 MTA ログ: リストに送信する場合


19-Jan-1998 20:01:44.10 l    l                    E 1
  adam@sesta.com rfc822;test-list@sesta.com bob
  imta/queue/l/ZZ01ISKND3DE1K90N15M.00
  <01ISKND2H8MS90N15M@sesta.com>
 
 19-Jan-1998 20:01:44.81 l            tcp_local    E 1
  adam@sesta.com rfc822;test-list@sesta.com carol@varrius.com
  imta/queue/tcp_local/ZZ01ISKND2WS1I90N15M.00 
  <01ISKND2H8MS90N15M@sesta.com>
 
 19-Jan-1998 20:01:44.81 l            tcp_local    E 1
  adam@sesta.com rfc822;test-list@sesta.com david@varrius.com
  imta/queue/tcp_local/ZZ01ISKND2WS1I90N15M.00
 <01ISKND2H8MS90N15M@sesta.com>
 
 19-Jan-1998 20:01:50.69 l                         D 1
  adam@sesta.com rfc822;test-list@sesta.com bob
  imta/queue/l/ZZ01ISKND3DE1K90N15M.00
  <01ISKND2H8MS90N15M@sesta.com>
 
 19-Jan-1998 20:01:57.36 tcp_local                  D 1
  adam@sesta.com rfc822;test-list@sesta.com carol@varrius.com
  imta/queue/tcp_local/ZZ01ISKND2WS1I90N15M.00
  <01ISKND2H8MS90N15M@sesta.com>
  dns;gw.varrius.com (TCP|206.184.139.12|2788|192.160.253.66|25)
  (gw.varrius.com -- SMTP Sendmail)
  smtp;250 OK.
 
 19-Jan-1998 20:02:06.14 tcp_local                  D 1
  adam@sesta.com rfc822;test-list@sesta.com david@varrius.com
  imta/queue/tcp_local/ZZ01ISKND2WS1I90N15M.00
  <01ISKND2H8MS90N15M@sesta.com>
  dns;gw.varrius.com (TCP|206.184.139.12|2788|192.160.253.66|25)
  (gw.varrius.com -- SMTP Sendmail)
  smtp;250 OK.

MTA ログ: 存在しないドメインに送信する場合

この例では、存在しないドメイン (ここでは very.bogus.com) への送信の試行を示しています。つまり、存在しないことが MTA の書き換えルールによって通知されないドメイン名であり、また、送信 TCP/IP チャネルに一致するドメイン名に送信しようとしました。この例では、LOG_FILENAME=1LOG_MESSAGE_ID=1 という MTA オプションが設定されていると仮定しています。

TCP/IP チャネルが作動していて、DNS のドメイン名をチェックしているとき、DNS はそのような名前は存在しないというエラーを返します。(5) の「拒否」エントリ (R) のように DNS はエラーを返し、(6) のようにドメイン名が不正であることを示します。

メッセージが発行されたあとでアドレスが拒否されたため、MTA は元の差出人へのバウンスメッセージを生成します。MTA は新しい拒否メッセージを元の差出人のキューに入れ (1)、元の送信メッセージを削除する ((5) の R エントリ) 前にポストマスターにコピーを送信します (4)。

(2) と (8) に示すように、バウンスメッセージなどの通知メッセージには空のエンベロープ From: アドレスがあります。エンベロープ From: フィールドは空白で示されています。MTA が生成したバウンスメッセージが最初にキューに入れられることにより、新しい通知メッセージのメッセージ ID の後ろに元のメッセージのメッセージ ID が表示されます (3)(この情報は MTA で常に利用できるわけではないが、利用できる場合は、失敗した送信メッセージに対応するログエントリを、通知メッセージに対応するログエントリに関連付けることができる)。この通知メッセージは、プロセスチャネルのキューに入れられたあと、該当する宛先チャネルのキューに入れられます (7)。


例 21–4 MTA ログ: 存在しないドメインに送信する場合


19-JAN-1998 20:49:04 l            tcp_local    E 1
  adam@sesta.com rfc822;user@very.bogus.com user@very.bogus.com
  imta/queue/tcp_local/ZZ01ISKP0S0LVQ94DU0K.00
 <01ISKP0RYMAS94DU0K@SESTA.COM>
 
19-JAN-1998 20:49:33 tcp_local    process      E 1                (1)
 rfc822;adam@sesta.com adam@sesta.com                             (2)
 imta/queue/process/ZZ01ISKP0S0LVQ94DTZB.00
 <01ISKP22MW8894DTAS@SESTA.COM>,<01ISKP0RYMAS94DU0K@SESTA.COM>    (3)

19-JAN-1998 20:49:33 tcp_local    process      E 1                (4)
 rfc822;postmaster@sesta.com postmaster@sesta.com
 imta/queue/process/ZZ01ISKP0S0LVQ94DTZB.00
 <01ISKP22MW8894DTAS@SESTA.COM>,<01ISKP0RYMAS94DU0K@SESTA.COM>
 
19-JAN-1998 20:50:07 tcp_local                  R 1               (5)
 adam@sesta.com rfc822;user@very.bogus.com user@very.bogus.com
 imta/queue/tcp_local/ZZ01ISKP0S0LVQ94DU0K.00
 <01ISKP0RYMAS94DU0K@SESTA.COM>
 Illegal host/domain name found                                   (6)

19-JAN-1998 20:50:08 process      l            E 3                (7)
 rfc822;adam@sesta.com adam                                       (8)
 imta/queue/l/ZZ01ISKP23BUQS94DTYL.00
 <01ISKP22MW8894DTAS@SESTA.COM>
 
19-JAN-1998 20:50:08 process      l            E 3
  rfc822;postmaster@sesta.com postmaster
  imta/queue/l/ZZ01ISKP23BUQS94DTYL.00
 <01ISKP22MW8894DTAS@SESTA.COM>
 
19-JAN-1998 20:50:12 l                         D 3
  rfc822;adam@sesta.com adam
  imta/queue/l/ZZ01ISKP23BUQS94DTYL.00
  <01ISKP22MW8894DTAS@SESTA.COM>
 
19-JAN-1998 20:50:12 l                         D 3
  rfc822;postmaster@sesta.com postmaster
  imta/queue/l/ZZ01ISKP23BUQS94DTYL.00
  <01ISKP22MW8894DTAS@SIROE.COM>

MTA ログの例: 存在しないリモートユーザーに送信する場合

ここでは、リモートシステムの不正アドレスに送信しようとした場合の例を示します。この例では、LOG_FILENAME=1 および LOG_MESSAGE_ID=1 という MTA オプションと、LOG_BANNER=1 および LOG_TRANSPORTINFO=1 というチャネルオプションが設定されていると仮定しています。(1) の拒否エントリ (R) に注意してください。例 21–4 の拒否エントリとは異なり、この例の拒否エントリではリモートシステムに接続されたことが示されており、また、(2)、(3) にリモート SMTP サーバーが発行した SMTP エラーコードが示されています。(2) に示されている情報は、LOG_BANNER=1 および LOG_TRANSPORTINFO=1 というチャネルオプションが設定されていることを前提としています。


例 21–5 MTA ログ: 存在しないリモートユーザーに送信する場合


20-JAN-1998 13:11:05 l            tcp_local    E 1
  adam@sesta.com rfc822;nonesuch@siroe.com nonesuch@siroe.com
  imta/queue/tcp_local/ZZ01ISLNBB1JOE94DUWH.00
  <01ISLNBAWV3094DUWH@sesta.com>
 
20-JAN-1998 13:11:08 tcp_local    process      E 1
  rfc822;adam@sesta.com adam@sesta.com
  imta/queue/process/ZZ01ISLNBB1JOE94DSGB.00
  <01ISLNBFKIDS94DUJ8@sesta.com>,<01ISLNBAWV3094DUWH@sesta.com>
 
 20-JAN-1998 13:11:08 tcp_local    process      E 1
  rfc822;postmaster@sesta.com postmaster@sesta.com
  imta/queue/process/ZZ01ISLNBB1JOE94DSGB.00
  <01ISLNBFKIDS94DUJ8@sesta.com>,<01ISLNBAWV3094DUWH@sesta.com>
 
20-JAN-1998 13:11:11 tcp_local                  R 1       (1)
  adam@sesta.com rfc822;nonesuch@siroe.com nonesuch@siroe.com
  imta/queue/tcp_local/ZZ01ISLNBB1JOE94DUWH.00 
  <01ISLNBAWV3094DUWH@sesta.com>
  dns;thor.siroe.com
  (TCP|206.184.139.12|2788|192.160.253.66|25)             (2)
  (THOR.SIROE.COM -- Server ESMTP [iMS V5.0 #8694])
  smtp; 553 unknown or illegal user: nonesuch@siroe.com   (3)
 
20-JAN-1998 13:11:12 process      l            E 3
  rfc822;adam@sesta.com adam
  imta/queue/l/ZZ01ISLNBGND1094DQDP.00
  <01ISLNBFKIDS94DUJ8@sesta.com>
 
20-JAN-1998 13:11:12 process      l            E 3
  rfc822;postmaster@sesta.com postmaster
  imta/queue/l/ZZ01ISLNBGND1094DQDP.00
  <01ISLNBFKIDS94DUJ8@sesta.com>
 
20-JAN-1998 13:11:13 l                         D 3
  rfc822;adam@sesta.com adam@sesta.com
  imta/queue/l/ZZ01ISLNBGND1094DQDP.00
  <01ISLNBFKIDS94DUJ8@sesta.com>
 
20-JAN-1998 13:11:13 l                         D 3
  rfc822;postmaster@sesta.com postmaster@sesta.com
  imta/queue/l/ZZ01ISLNBGND1094DQDP.00
  <01ISLNBFKIDS94DUJ8@sesta.com>

MTA ログの例: リモート側のメッセージ送信試行が拒否される場合

この例では、MTA がリモート側のメッセージ送信の試行を拒否した場合のログエントリを示します。この例では、有効になっている LOG_* オプションがないと仮定されているため、基本的なフィールドだけがエントリにログ記録されています。LOG_CONNECTION オプションを有効にすると、J エントリなどにその他の情報フィールドが追加されます。これは、ORIG_SEND_ACCESS マッピングを使って SMTP リレーブロッキング (「SMTP リレーブロッキングを設定する」を参照) が設定されている MTA の場合の例です。

ORIG_SEND_ACCESS

! ...多数のエントリを省略...
!
   tcp_local|*|tcp_local|*   $NRelaying$ not$ permitted

alan@very.bogus.com は内部アドレスではありません。したがって、リモートユーザー harold@varrius.com が MTA システムを介してリモートユーザー alan@very.bogus.com にリレーしようとしても、拒否されます。


例 21–6 MTA ログ: リモート側のメッセージ送信試行が拒否される場合


28-May-1998 12:02:23 tcp_local            J 0               (1)
 harold@varrius.com rfc822; alan@very.bogus.com             (2)
 550 5.7.1 Relaying not permitted: alan@very.bogus.com      (3)
  1. このログは、MTA がリモート側のメッセージ送信の試行を拒否した日付と時刻を示しています。拒否は J レコードで示されています。MTA チャネルが拒否されるメッセージを送信しようとすると、例 21–4例 21–5 で示されているように R レコードで示されます。


    注 –

    ログに書き込まれた最後の J レコードは、特定のセッションの最後のレコードであることを示します。また、Messaging Server の現在のバージョンは J レコードの数を制限しません。


  2. 試行されたエンベロープ From: および To: アドレスが示されています。この場合、利用できる元のエンベロープ To: 情報がなかったため、フィールドは空です。

  3. このエントリには、MTA がリモート (試行した差出人) 側に発行した SMTP エラーメッセージが含まれています。


MTA ログの例: 配信試行が複数回行われた場合

ここでは、メッセージを最初の試行で配信できなかったために、MTA が何度もメッセージを送信しようとする場合のログエントリの例を示します。この例では、LOG_FILENAME=1LOG_MESSAGE_ID=1 というオプションが設定されていると仮定しています。


例 21–7 MTA ログ: 配信試行が複数回行われた場合


15-Jan-1998 10:31:05.18 tcp_internal   tcp_local   E 3          (1)
 adam@hosta.sesta.com rfc822;user@some.org user@some.org
 imta/queue/tcp_local/ZZ01IS3D2ZP7FQ9UN54R.00 
 <01IRUD7SVA3Q9UN2D4@sesta.com>
 
15-Jan-1998 10:31:10.37 tcp_local                  Q 3          (2)
 adam@hosta.sesta.com rfc822;user@some.org user@some.org
 imta/queue/tcp_local/ZZ01IS3D2ZP7FQ9UN54R.00                   (3)
 <01IRUD7SVA3Q9UN2D4@sesta.com>
 TCP active open: Failed connect()    Error: no route to host   (4)
 
     ...several hours worth of entries...

15-Jan-1998 12:45:39.48 tcp_local                  Q 3          (5)
  adam@hosta.sesta.com rfc822;user@some.org user@some.org
  imta/queue/tcp_local/ZY01IS3D2ZP7FQ9UN54R.00                  (6)
  <01IRUD7SVA3Q9UN2D4@sesta.com>
  TCP active open: Failed connect()    Error: no route to host
 
  ...several hours worth of entries...

 15-Jan-1998 16:45:24.72 tcp_local                  Q 3
  adam@hosta.sesta.com rfc822;user@some.org user@some.org
  imta/queue/tcp_local/ZX01IS67NY4RRK9UN7GP.00                  (7)
                   <01IRUD7SVA3Q9UN2D4@sesta.com>
  TCP active open: Failed connect() Error: connection refused   (8)

  ...several hours worth of entries...

 15-Jan-1998 20:45:51.55 tcp_local                  D 3         (9)
  adam@hosta.sesta.com rfc822;user@some.org user@some.org
  imta/queue/tcp_local/ZX01IS67NY4RRK9UN7GP.00
  <01IRUD7SVA3Q9UN2D4@sesta.com>
  dns;host.some.org (TCP|206.184.139.12|2788|192.1.1.1|25)
  (All set, fire away)
  smtp; 250 Ok
  1. メッセージは tcp_internal チャネルに入ります。これは、おそらく POP または IMAP クライアント、または SMTP リレーとして MTA を使用している組織内の別のホストから来たものです。MTA はこれを送信 tcp_local チャネルのキューに入れます。

  2. 最初の配信試行に失敗しています。これは Q エントリで示されています。

  3. これが最初の配信試行であることは、ZZ* ファイル名からわかります。

  4. この配信試行は、TCP/IP パッケージがリモート側への経路を見つけられなかったために失敗しました。例 21–4 とは異なり、DNS は宛先ドメイン名 some.org を否定していません。「no route to host」」というエラーは、送信側と受信側の間にネットワーク上の問題があることを示しています。

  5. MTA の定期的なジョブの次の実行時に、配信が再試行され、再び失敗しています。

  6. ここでファイル名が ZY* になり、2 回目の試行であることを示しています。

  7. ファイル名が ZX* になり、3 回目の失敗した試行であることを示しています。

  8. 定期的なジョブが配信を再試行し、再び失敗しています。ただし、ここでは TCP/IP パッケージがリモートの SMTP サーバーに接続できなかったことが示されているのではなく、リモートの SMTP サーバーが接続を受け入れないことを示しています。リモート側のネットワーク上の問題は解決されても、SMTP サーバーをまだ起動していない、またはその SMTP サーバーのメッセージ処理が追いつかないなどの理由で、MTA が接続しようとした時点で接続が受け入れられなかったことが考えられます。

  9. メッセージがキューから取り出されています。


MTA ログ: 変換チャネルを通過する着信 SMTP メッセージ

ここでは、メッセージが変換チャネルを通過する場合の例を示します。このサイトには、以下のような CONVERSIONS マッピングテーブルがあると仮定しています。

CONVERSIONS
  IN-CHAN=tcp_local;OUT-CHAN=l;CONVERT   Yes

この例では、LOG_FILENAME=1LOG_MESSAGE_ID=1 というオプションが設定されていると仮定しています。


例 21–8 MTA ログ: 変換チャネルを通過する着信 SMTP メッセージ


04-Feb-1998 00:06:26.72 tcp_local    conversion   E 9      (1)
  amy@siroe.edu rfc822;bert@sesta.com bert@sesta.com
  imta/queue/conversion/ZZ01IT5UAMZ4QW98518O.00
  <01IT5UALL14498518O@siroe.edu>
 
 04-Feb-1998 00:06:29.06 conversion   l            E 9     (2)
                   amy@siroe.edu rfc822;bert@sesta.com bert
  imta/queue/l/ZZ01IT5UAOXLDW98509E.00  <01IT5STUMUFO984Z8L@siroe.edu>
 
04-Feb-1998 00:06:29.31 conversion                D 9      (3)
 amy@siroe.edu rfc822;bert@sesta.com bert
 imta/queue/conversion/ZZ01IT5UAMZ4QW98518O.00
 <01IT5UALL14498518O@siroe.edu>
 
 04-Feb-1998 00:06:32.62 l                         D 9     (4)
  amy@siroe.edu rfc822;bert@siroe.com bert
  imta/queue/l/ZZ01IT5UAOXLDW98509E.00
  <01IT5STUMUFO984Z8L@siroe.edu>

               
  1. 外部ユーザー amy@siroe.edu からのメッセージがチャネル l の受取人 bert@sesta.com に届きました。しかし、CONVERSIONS マッピングエントリにより、このメッセージは直接チャネル l には送られず、最初に変換チャネルのキューに入れられます。

  2. 変換チャネルが実行され、メッセージがチャネル l のキューに入れられます。

  3. 変換チャネルはメッセージをキューから取り出す (古いメッセージファイルを削除する) ことができます。

  4. 最後に、チャネル l のキューからメッセージが取り出され (配信され) ています。


MTA ログの例: 送信接続ログ

この例は、LOG_CONNECTION=3 によって接続ログが有効になっているときの送信メッセージのログ出力を示します。この例では、LOG_PROCESS=1LOG_MESSAGE_ID=1、および LOG_FILENAME=1 も設定されていると仮定されています。この例は、ユーザー adam@sesta.com が 3 人の受取人 (bobby@hosta.sesta.comcarl@hosta.sesta.com、および dave@hostb.sesta.com) に同じメッセージ (各メッセージコピーのメッセージ ID は同じ) を送信している場合を示しています。この例では、メッセージが (同様のチャネルが大抵そうであるように) single_sys チャネルキーワードで示された tcp_local チャネルから送信されていると仮定しています。したがって、(1)、(2)、(3) で示されているように、それぞれの受取人に対して、別々のメッセージファイルが別々のホスト名のディスク上に作成されます。bobby@hosta.sesta.comcarl@hosta.sesta.com の受取人は同じメッセージファイルに保存されますが、dave@hostb.sesta.com の受取人は別のメッセージファイルに保存されます。


例 21–9 MTA ログ: 送信接続ログ


19-Feb-1998 10:52:05.41 1e488.0 l            tcp_local    E 1
 adam@sesta.com rfc822;bobby@hosta.sesta.com bobby@hosta.sesta.com
 imta/queue/tcp_local/ZZ01ITRF7BO388000FCN.00                    (1)
  <01ITRF7BDHS6000FCN@SESTA.COM>

19-Feb-1998 10:52:05.41 1e488.0 l            tcp_local    E 1
 adam@sesta.com rfc822;carl@hosta.sesta.com carl@hosta.sesta.com
 imta/queue/tcp_local/ZZ01ITRF7BO388000FCN.00                    (2)
   <01ITRF7BDHS6000FCN@SESTA.COM>

19-Feb-1998 10:52:05.74 1e488.1 l            tcp_local    E 1
 adam@sesta.com rfc822;dave@hostb.sesta.com dave@hostb.sesta.com
 imta/queue/tcp_local/ZZ01ITRF7C11FU000FCN.00                    (3)
   <01ITRF7BDHS6000FCN@SESTA.COM>

19-Feb-1998 10:52:10.79 1f625.2.0 tcp_local    -            O    (4)
 TCP|206.184.139.12|5900|206.184.139.66|25
 SMTP/hostb.sesta.com/mailhub.sesta.com                          (5)
 
19-Feb-1998 10:52:10.87 1f625.3.0 tcp_local    -            O    (6)
 TCP|206.184.139.12|5901|206.184.139.70|25
 SMTP/hosta.sesta.com/hosta.sesta.com                            (7)

19-Feb-1998 10:52:12.28 1f625.3.1 tcp_local                  D 1
 adam@sesta.com rfc822;bobby@hosta.sesta.com bobby@hosta.sesta.com
 imta/queue/tcp_local/ZZ01ITRF7BO388000FCN.00
  <01ITRF7BDHS6000FCN@SESTA.COM>
 hosta.sesta.com dns;hosta.sesta.com                            (8)
 (TCP|206.184.139.12|5901|206.184.139.70|25)
 (hosta.sesta.com -- Server ESMTP [iMS V5.0 #8790])
 (TCP|206.184.139.12|5901|206.184.139.70|25)
 smtp;250 2.1.5 bobby@hosta.sesta.com and options OK.

19-Feb-1998 10:52:12.28 1f625.3.1 tcp_local                  D 1
 adam@sesta.com rfc822;carl@hosta.sesta.com carl@hosta.sesta.com
 imta/queue/tcp_local/ZZ01ITRF7BO388000FCN.00
  <01ITRF7BDHS6000FCN@SESTA.COM>
 hosta.sesta.com dns;hosta.sesta.com
 (TCP|206.184.139.12|5901|206.184.139.70|25)
 (hosta.sesta.com -- Server ESMTP [iMS V5.0 #8790])
 (TCP|206.184.139.12|5901|206.184.139.70|25)
 smtp;250 2.1.5 carl@hosta.sesta.com and options OK.

19-Feb-1998 10:52:12.40 1f625.3.2 tcp_local      -            C  (9)
 TCP|206.184.139.12|5901|206.184.139.70|25
 SMTP/hosta.sesta.com/hosta.sesta.com

19-Feb-1998 10:52:13.01 1f625.2.1 tcp_local                  D 1
 adam@sesta.com rfc822;dave@hostb.sesta.com dave@hostb.sesta.com
 imta/queue/tcp_local/ZZ01ITRF7C11FU000FCN.00
  <01ITRF7BDHS6000FCN@SESTA.COM>
 mailhub.sesta.com dns;mailhub.sesta.com
 (TCP|206.184.139.12|5900|206.184.139.66|25)
 (MAILHUB.SESTA.COM -- Server ESMTP [iMS V5.0 #8694])
 (TCP|206.184.139.12|5900|206.184.139.66|25)
 smtp;250 2.1.5 dave@hostb.sesta.com and options OK.

19-Feb-1998 10:52:13.05 1f625.2.2 tcp_local      -            C  (10)
                  
 TCP|206.184.139.12|5900|206.184.139.66|25
 SMTP/hostb.sesta.com/mailhub.sesta.com

               
  1. 1 人目の受取人へのメッセージがキューに入れられます。

  2. 次に、2 人目の受取人へのメッセージがキューに入れられます。

  3. 最後に、3 人目の受取人へのメッセージがキューに入れられます。

  4. LOG_CONNECTION=3 が設定されているため、MTA がこのエントリを書き込みます。マイナス記号 (-) は、このエントリが送信接続であることを示しています。O は、このエントリが接続開始に対応することを意味しています。この接続開始はスレッド 2 とスレッド 3 によって実行されていますが、これらの個別の接続開始に対するマルチスレッド TCP/IP チャネルに同じプロセスが使用されているため、プロセス ID は同じ (1f625) であることに注意してください。

  5. 2 つの異なるリモートシステムに接続するため、別々のスレッドにあるマルチスレッド SMTP クライアントがそれぞれの接続を開いています。最初の接続はこのエントリで、2 番目の接続は 7 に示されています。エントリのこの部分には、送信側と受信側の IP 番号とポート番号、および最初のホスト名と DNS 検索で見つかったホスト名の両方が示されています。SMTP/initial-host/dns-host には、最初のホスト名と、DNS MX レコード検索を実行したあとで使用されるホスト名が表示されています。mailhub.sesta.com は、hostb.sesta.com の MX サーバーであることがわかります。

  6. マルチスレッド SMTP クライアントが、別のスレッドで 2 番目のシステムとの接続を開いています (プロセスは同じ)。

  7. 2 つの異なるリモートシステムに接続するため、別々のスレッドにあるマルチスレッド SMTP クライアントがそれぞれの接続を開いています。2 番目の接続はこのエントリで、最初の接続は上記の 5 に示されています。エントリのこの部分には、送信側と受信側の IP 番号とポート番号、および最初のホスト名と DNS 検索で見つかったホスト名の両方が示されています。この例では、hosta.sesta.com というシステムがメールを直接受信することがわかります。

  8. この例に示されているように、特定の接続エントリのほか、LOG_CONNECTION=3 によって接続に関連する情報が標準のメッセージエントリに組み込まれます。

  9. LOG_CONNECTION=3 が設定されているため、MTA がこのエントリを書き込みます。メッセージ (この例では bobby と carl のメッセージ) がキューから取り出されたあと、接続が終了します。このエントリでは C で示されています。


MTA ログの例: 受信接続ログ

この例では、LOG_CONNECTION=3 によって接続ログが有効になっているときの着信 SMTP メッセージのログ出力を示します。


例 21–10 MTA ログ: 受信接続ログ


19-Feb-1998 17:02:08.70 tcp_local    +            O          (1)
 TCP|206.184.139.12|25|192.160.253.66|1244 SMTP              (2)

19-Feb-1998 17:02:26.65 tcp_local    l             E 1
 service@siroe.com rfc822;adam@sesta.com adam
 THOR.SIROE.COM (THOR.SIROE.COM [192.160.253.66])            (3)

 19-Feb-1998 17:02:27.05 tcp_local    +             C        (4)
                   TCP|206.184.139.12|25|192.160.253.66|1244 SMTP
 
19-Feb-1998 17:02:31.73 l                          D 1
  service@siroe.com rfc822;adam@sesta.com adam
  1. リモートシステムが接続を開きます。O は、このエントリが接続開始に対応したものであることを示しています。+ は、このエントリが着信接続であることを示しています。

  2. 接続の IP 番号とポートが示されています。このエントリでは、受信システム (ログファイルエントリを記録しているシステム) の IP アドレスは 206.184.139.12、ポート番号は 25、送信システムの IP アドレスは 192.160.253.66、ポートは 1244 です。

  3. このエントリは、着信 TCP/IP チャネル (tcp_local) からチャネル l の受取人に送られるメッセージがキューに入っていることを示しています。LOG_CONNECTION=3 が有効になっているため、デフォルト以外の情報も含まれています。特に、送信システムがその HELO または EHLO 行に示す名前、接続 IP 番号の DNS リバース検索で見つかった送信システムの名前、および送信システムの IP アドレスが、すべてログに記録されます。この動作に影響するチャネルキーワードについては、第 12 章「チャネル定義を設定する」を参照してください。

  4. 着信接続が閉じています。C は、このエントリが接続終了に対応したものであることを示しています。+ は、このエントリが着信接続であることを示しています。