負荷の大きいメッセージングサーバーでは、メッセージストアの容量が非常に大きくなることがあります。このような場合は、ユーザーメールボックスとユーザー接続を複数のサーバーに振り分けると、容量を拡張し、パフォーマンスを向上させることができます。また、大容量の大型マルチプロセッサマシンを 1 台使用するよりも、小さなサーバーマシンを数台使う方が費用効率が高い場合があります。
メールサーバーのインストールで複数のメッセージストアを使用する必要がある場合は、マルチプレクサを使用すると便利です。ユーザーからメッセージストアへの接続が間接的であること、および複数のメッセージングサーバー間でのユーザーアカウントの再設定が簡単であることから、次のような利点が生まれます。
ユーザー管理の簡易化
すべてのユーザーが 1 台 のサーバー (POP、IMAP、SMTP、Web アクセス用に別のマルチプレクサマシンがある場合は複数台) に接続するので、電子メールクライアントをあらかじめ設定しておき、すべてのユーザーに同一のログイン情報を配布することができます。これにより管理タスクが簡易化され、間違ったログイン情報を配布する可能性が減ります。
特に負荷が大きい状況では、同じ設定を使用して複数のマルチプレクササーバーを実行し、DNS ラウンドロビンや負荷分散システムによってこれらのマルチプレクササーバーへの接続を管理することができます。
マルチプレクサは LDAP ディレクトリに格納されている情報を使って各ユーザーの Messaging Server を検出します。このため、システム管理者は、ユーザーに意識させることなく、ユーザーを簡単に新しいサーバーに移動することができます。管理者はユーザーのメールボックスをある Messaging Server から別の Messaging Server に移動し、その後 LDAP ディレクトリでユーザーのエントリを更新することができます。ユーザーのメールアドレス、メールボックスアクセス、およびその他のクライアント設定は変更する必要がありません。
パフォーマンスの向上
メッセージストアの処理量が 1 台のマシンで可能な範囲を超えた場合は、メッセージストアの一部をほかのマシンに移動して負荷を均等にすることができます。
異なるクラスのユーザーを異なるマシンに割り当てることができます。たとえば、重要なユーザーを大型の強力なマシンに割り当てることもできます。
マルチプレクサでは一定のバッファリングが行われるので、ユーザーが低速で接続 (モデム経由など) しても Messaging Server の速度が下がることはありません。
コストの削減: マルチプレクサを使うと複数の Messaging Server を効率的に管理できるので、小型のサーバーマシンを数台購入しても超大型マシンを 1 台購入するほどにはコストがかからず、全体のコストを抑えることができます。
スケーラビリティーの向上: マルチプレクサを使うと、構成を簡単に拡張できます。パフォーマンスやストレージ容量を強化する必要があれば、既存のシステムを無駄にすることなく、マシンを段階的に追加することができます。
最小限のユーザーダウンタイム: マルチプレクサを使用すると、大規模なユーザーベースを多数の小さなストアマシンに振り分けることで、ユーザーダウンタイムを抑えることができます。あるサーバーが故障しても、影響を受けるのはそのサーバーのユーザーだけです。
セキュリティーの強化: マルチプレクサがインストールされているサーバーマシンをファイアウォールマシンとして使用することができます。クライアント接続をすべてこのマシンにルーティングすることで、外部のコンピュータから内部のメッセージストアマシンへのアクセスを制限することができます。マルチプレクサは、クライアントとの非暗号化通信および暗号化通信をサポートしています。