Sun Java System Messaging Server 6 2005Q4 管理ガイド

メッセージの制限、制限容量、受取人、認証の試行

この節では、メッセージのサイズ制限、ユーザー制限容量、権限を設定するキーワードについて説明します。この章には、次の節があります。

認証の試行失敗回数の制限

キーワード: disconnectbadauthlimit

このキーワードを使用すると、1 つのセッションで許可される認証の試行失敗の回数を制限できます。この回数に達するとセッションの接続は切断されます。このオプションのデフォルト値は 3 です。

絶対的なメッセージサイズ制限を指定する

キーワード: blocklimitnoblocklimitlinelimitnolinelimitsourceblocklimit

メッセージは断片化によって自動的に小さな部分に分割されますが、場合によっては、管理者が指定した制限より大きいメッセージを拒否しなければならないこともあります (たとえば、サービス拒否攻撃を回避するためなど)。

blocklimitlinelimit、および sourceblocklimit キーワードは、絶対的なサイズ制限を実施するために使用されます。これらのキーワードの後ろには、それぞれ 1 つの整数値が必要です。

blocklimit キーワードは、1 つのメッセージに許可するブロックの最大数を指定します。MTA は、これよりも多いブロックを含むメッセージがチャネルのキューに入れられるのを拒否します。1 つの MTA ブロックは通常 1024 バイトで、これは MTA オプションファイルにある BLOCK_SIZE オプションを使用して変更することができます。

sourceblocklimit キーワードは、着信メッセージに許可するブロックの最大数を指定します。MTA は、これよりも多いブロックを含むメッセージがチャネルのキューに入れられるのを拒否します。つまり、blocklimit は宛先チャネルに、sourceblocklimit はソースチャネルに適用されます。1 つの MTA ブロックは通常 1024 バイトで、これは MTA オプションファイルにある BLOCK_SIZE オプションを使用して変更することができます。

ソースブロック制限を、差出人ごとに指定することもできます。MTA オプション LDAP_SOURCEBLOCKLIMIT を使用してユーザー LDAP 属性を指定し、この属性を差出人の LDAP エントリに追加します。ソースブロック制限は差出人のドメイン単位でも指定できます。この場合は、MTA オプション LDAP_DOMAIN_ATTR_SOURCEBLOCKLIMIT を使用してドメイン LDAP 属性を指定し、この属性を差出人のドメイン LDAP エントリに追加します。上記のどちらの場合にも、デフォルト値は設定されていません。

linelimit キーワードは、1 つのメッセージに許可する最大行数を指定します。MTA は、この数以上の行を含むメッセージがチャネルのキューに入れられるのを拒否します。blocklimit キーワードと linelimit キーワードは、必要に応じて同時に指定することができます。

同じ制限をすべてのチャネルに課すためには、LINE_LIMIT および BLOCK_LIMIT オプションを使用します。これらの制限は、すべてのチャネルに適用できるという利点があります。したがって、MTA サーバーは、メッセージ受信情報を得る前に、それをメールクライアントに知らせることができます。この効果によって、メッセージ拒否の処理を簡略化できるプロトコルもあります。

nolinelimit および noblocklimit チャネルキーワードはデフォルトであり、LINE_LIMITBLOCK_LIMIT MTA オプションで適用されている全体的な制限以外の制限がないことを意味します。

サイズまたは受取人数の制限を超えるメッセージを再ターゲット化する

キーワード: alternatechannelalternateblocklimit alternatelinelimitalternaterecipientlimit

MTA では、受取人数、サイズ、または行数の指定制限を超えるメッセージを別の宛先チャネルに再ターゲットできます。これは alternatechannelalternateblocklimitalternatelinelimit、および alternaterecipientlimit のチャネルキーワードのセットで実装されます。これらのキーワードは、任意の宛先チャネルに指定できます。alternatechannel キーワードは、使用する代替チャネルの名前を指定する単一の引数をとります。これ以外のキーワードはそれぞれ、対応するしきい値を指定する整数の引数を受け入れます。これらのしきい値のいずれかを超えるメッセージは、元の宛先チャネルではなく、代替チャネルのキューに保管されます。

次のチャネルブロックの例では、tcp_local チャネルからインターネットに送信されるはずだった 5,000 ブロックを超える大きなメッセージが tcp_big チャネルから送信されています。


tcp_local smtp ...other keywords... alternatechannel tcp_big alternateblocklimit 5
tcp-daemon


tcp_big smtp ...rest of keywords...
tcp-big-daemon

次に、alternate* チャネルキーワードの使用例を示します。

制限容量超過ユーザーへのメール配信を処理する

キーワード: holdexquotanoexquota

noexquota および holdexquota キーワードは、Berkeley メールボックスユーザー (UNIX) 宛のメッセージの処理を制御します。ここでいうユーザーとは、ディスク制限容量を超過していて、ネイティブチャネルのユーザー ID に配信されたユーザーを指します。

noexquota は MTA に、制限容量を超過したユーザー宛のメッセージを、差出人に返送するように指示します。holdexquota は MTA に、制限容量超過ユーザー宛のメッセージを保留にするように指示します。これらのメッセージは、配信可能になるまで、またはタイムアウトになってメッセージ返送ジョブによって返送されるまで、MTA キュー内に保持されます。

1000 文字を超える行を含む SMTP メールを処理する

キーワード: rejectsmtplonglineswrapsmtplonglinestruncatesmtplonglines

rejectsmtplonglines は、SMTP で許可されている 1000 文字 (CRLF を含む) を超える行を含むメッセージを拒否するオプションを追加します。この領域のほかのオプションは wrapsmtplonglinestruncatesmtplonglines です。wrapsmtplonglines は長すぎる行を折り返し、truncatesmtplonglines は長すぎる行を切り捨てます。デフォルトは truncatesmtplonglines です。これらのキーワードは両方とも、送信に最初に使用されたチャネル (tcp_local など) に適用される必要があります。その後切り替えられるチャネルには影響はありません。

General Content-type、Filename Content-type、および Content-disposition パラメータの長さを制御する

キーワード: parameterlengthlimit および nameparameterlengthlimit

parameterlengthlimit は、general content-type および content-disposition パラメータが切り捨てられる位置を制御します。デフォルト値は 1024 です。nameparameterlengthlimit は、name content-type および filename content-disposition パラメータが切り捨てられる位置を制御します。デフォルト値は 128 です。メッセージ上で MIME 処理が実行されていない場合、もっとも外側のメッセージヘッダーのみが処理されるので注意してください。MIME 処理は、inner キーワードや文字セット変換の使用、そのほかさまざまな方法で有効化できます。

メッセージの受取人を制限する

キーワード: recipientlimit および recipientcutoff

recipientlimit は、メッセージが受け付ける受取人の合計アドレス数を指定します。recipientcutoff は、MTA に対して提示された受取人の合計数を指定した値と比較します。値が制限を超えた場合、配信のためのメッセージは受け付けられません。これらのキーワードは両方とも、1 つの整数引数を受け入れます。対応するチャネルキーワードが設定されていない場合、これらのデフォルトは無限大です。

受取人の制限を、差出人または差出人のドメインに設定することもできます。このためには、適切な MTA オプションを使用してユーザー LDAP 属性を指定し、その属性を差出人のユーザーエントリまたはドメインエントリに追加します。適切な MTA オプションには LDAP_RECIPIENTLIMITLDAP_RECIPIENTCUTOFFLDAP_DOMAIN_ATTR_RECIPIENTLIMITLDAP_DOMAIN_ATTR_RECIPIENTCUTOFF があります。

ヘッダーのサイズを制限する

キーワード: headerlimit

プライマリ (もっとも外側の) メッセージヘッダーの最大サイズを制限します。この制限に達すると、プライマリメッセージヘッダーはそのまま切り捨てられます。グローバル MTA オプション HEADER_LIMIT が設定されている場合、このチャネルレベルの制限よりも優先されます。デフォルトでは制限なしです。