メッセージストアの制限容量は、ユーザーまたはドメインが使用できるディスク容量またはメッセージ数の「制限容量」を設定するしくみです。この節では、次の情報について説明します。
詳細については、「制限容量を監視するには」を参照してください。
ユーザーの制限容量は、ディスク容量またはメッセージの数によって指定できます。ディスク制限容量は、各ユーザーに割り当てられるディスク容量をバイト単位で指定します。ディスク制限容量は、ユーザーのメールフォルダの数に関係なくユーザーのメッセージの合計サイズに適用されるか、ユーザーメッセージの合計数に適用されます。メッセージ制限容量は、ユーザーのメールボックスに保存されるメッセージの数を制限するものです。
制限容量の情報は、LDAP 属性 (表 18–6) および configutil 変数 (表 18–7) に保存されます。最新の詳細情報については、『Sun Java System Communications Services 6 2005Q4 Schema Reference』を参照してください。Messaging Server では、制限容量を設定する以外にも、次の機能を制御できます。
制限容量の適用は、制限容量を超過したあとはメッセージストアへのメッセージの配信を停止します。制限容量を超過した場合でもメッセージを配信できるようにすることもできます。
制限容量を超過したためにメッセージ配信が停止された場合、次のどちらかの状態になるまで、着信メッセージは MTA キューに残ったままとなります。
ユーザーのメッセージのサイズまたは数が制限容量を超えない状態になったとき。この時点で MTA によってメッセージが配信されます。
未配信のメッセージの MTA キューに残留している期間が、メッセージが差出人に返されるよう指定された猶予期間を超えてしまったとき。(「猶予期間を設定するには」を参照)。
ディスク容量は、ユーザーがメッセージを削除または消去したときや、設定された存続期間決定ポリシーに従ってサーバーがメッセージを削除したときに使用可能になります。
デフォルトの制限容量は、すべてのユーザーに対してデフォルトの制限容量を設定するか、ユーザーごとに異なる制限容量を設定します。ユーザーが制限容量を超えているかどうかを判別するために、Messaging Server は、まず個々のユーザーに対する制限容量が設定されているかどうかを確認します。個別の制限容量が設定されていない場合、Messaging Server はすべてのユーザーに対して設定されているデフォルトの制限容量を確認します。
ユーザーの場合と同様、制限容量はドメインに対しても、バイト数またはメッセージ数のどちらかを設定できます。この制限容量は、特定のドメイン内のすべてのユーザーの、累積されたバイトまたはメッセージすべてに対するものです。
統一されたメッセージング要件をサポートするために、Messaging Server ではメッセージストアによって課された制限容量を無効にする機能を提供しています。これにより、特定のエージェント、つまり Telephony Application Servers (TAS) が受け取ったメッセージが確実に配信されます。TAS によって受け入れられたメッセージは特別な MTA チャネルを通るようにルーティングされ、メッセージは制限容量に関係なくストアに配信されるようになります。TAS チャネルの設定の詳細については、第 12 章「チャネル定義を設定する」を参照してください。
この節では、メッセージストアの制限容量の属性およびパラメータについて説明します。これらの属性およびパラメータの詳細については、『Sun Java System Communications Services 6 2005Q4 Schema Reference』を参照してください。
表 18–6 メッセージストアの制限容量の属性
属性 |
説明 |
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ユーザーのメールボックスに指定できるディスク容量のバイトです。固有の値は次のとおりです。 0 - ユーザーのメールボックスに領域を割り当てません。 –1 - 領域の容量を制限しません。 -2 - システムのデフォルトの容量を使用します。(configutil パラメータ store.defaultmailboxquota) |
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ユーザーに許可された最大メッセージ数です。ストア内のすべてのフォルダの累積カウント。固有の値は次のとおりです。 0 - ユーザーのメールボックスにメッセージを割り当てません。 -1 - 許可するメッセージ数を制限しません。 -2 - システムのデフォルトの容量を使用します。(configutil パラメータ store.defaultmessage.quota) |
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メールユーザーのステータス。次の値のいずれかとなります。 active - メールは通常どおり処理されます。デフォルトは active です。 inactive - ユーザーのメールアカウントが非アクティブです。一時的な失敗が返されます。 deleted - 削除済みで消去可能というマークが付いたアカウントです。永久的な失敗が返されます。メールボックスへのアクセスがブロックされます。 hold - 保留キューに送信され、メールボックスにアクセスするメールが拒否されます overquota - このステータスの場合、MTA はメールをメールボックスに配信しません。これは、configutil パラメータの store.overquotastatus が on の場合に設定されるステータスです。 |
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ドメイン内のすべてのメールボックスの累積カウントに指定できるディスク容量のバイトです。-1 の値は、領域の容量を制限しないことを示します (デフォルト)。ドメインのディスク制限容量を適用するには、次のコマンドを実行します。imquotacheck -f -d domain |
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ドメインに許可された最大メッセージ数です。つまり、ストア内のすべてのメールボックスの総数です。-1 の値は、制限がないことを示します。 (デフォルト)。ドメインのメッセージ制限容量を適用するには、次のコマンドを実行します。imquotacheck -f -d domain |
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メールドメインのステータスです。値とデフォルトは mailUserStatus と同じ。 |
表 18–7 メッセージストアの configutil パラメータ
パラメータ |
説明 |
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制限容量の適用を有効にします。オフの場合も、制限容量データベースは更新されますが、メッセージは常に配信されます。デフォルト: On |
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制限容量の通知を有効にします。デフォルト: On |
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デフォルトの制限容量をバイト数によって保存します。デフォルト: -1 (無制限) |
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デフォルトの制限容量をメッセージ数によって保存します。数値です。デフォルト: -1 (無制限) |
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制限容量の警告メッセージです。指定しない場合、通知は送信されません。デフォルト: なし |
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制限容量の超過の通知を送信する間隔 (日単位) です。デフォルト: 7 |
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メールボックスへのメッセージが差出人に戻されるときの、メールボックスが制限容量を超過した時間です。時間数です。デフォルト: 120 |
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制限容量の警告のしきい値です。クライアントに制限容量の超過の警告が送信されるときの、制限容量を超えるパーセントです。デフォルト: 90 |
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Netscape Messaging Server から移行したシステムとの互換性を提供するために使用されます。ON のとき、ディスク容量が制限容量を超過するメッセージを 1 つ配信できます。制限容量を超過すると、メッセージが遅延またはバウンスされ、制限容量の警告メッセージが送信され、制限容量の猶予期間のタイマーが開始されます。デフォルトでは、メッセージストアがしきい値に達したときに、制限容量の警告メッセージが送信されます。デフォルト: Off です。ただし、store.overquotastatus が設定されている場合は on とみなされます。そうでない場合、ユーザーは制限容量を超過することはできず、overquotastatus が使用されることはありません。 |
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メッセージが MTA のキューに入れられる前に、制限容量の適用を有効にします。これによって、MTA キューがいっぱいになりません。このパラメータが設定されている場合、ユーザーがまだ制限容量を超過していないが、着信メッセージが制限容量を超過すると、メッセージが配信され、MTA がそれ以降はメッセージを受け入れないように mailuserstatus LDAP 属性に overquota が設定されます。デフォルト: off |