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Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverクラスタの使い方
11g リリース1 (10.3.3)
B60992-01
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C MAN/WANフェイルオーバーに関するF5ロード・バランサの構成

WebLogic Serverでは、MANおよびWANネットワーク内でフェイルオーバー機能が提供されています。広範囲な地理的領域にまたがってフェイルオーバーを行うことによって、信頼性を高めることができます。複数のWebLogic Serverドメインにまたがってフェイルオーバーを行うこともできます。

MAN/WAN環境でフェイルオーバー機能を実装するには、ハードウェア・ロード・バランサを使用する必要があります。ここでは、F5ハードウェア・ロード・バランサがWebLogic Serverとともに機能するように構成する手順の概要を示します。

WebLogic ServerでMAN/WANを使用するように構成する方法は、「MAN/WAN内のクラスタ間でのセッション状態レプリケーション」を参照してください。F5ハードウェア・ロード・バランサの構成の詳細は、http://www.f5.comを参照してください。

次の項では、F5ハードウェア・ロード・バランサを構成する方法を説明します。

要件

この付録で説明する手順を実行する前に、次が実行済みであることが必要です。

これらの要件が満たされている場合、次の手順を実行して、ロード・バランサがMAN/WAN環境内で機能するように構成します。

ローカル・ロード・バランサの構成

次の項では、F5ローカル・ロード・バランサがMAN/WAN環境内でWebLogic Serverとともに機能するように構成する手順について説明します。

仮想サーバーのIPおよびプール

各ローカル・ロード・バランサで2つの仮想サーバーIP、1つのマルチレイヤー・プールおよび1つのフェイルオーバー・トリガー・プールを構成する必要があります。図C-1は、これらのプールと仮想サーバーIPがMAN/WAN環境で機能する方法を示します。

図C-1 MAN/WAN環境におけるハードウェア・ロード・バランサ

図C-1の説明が続きます
「図C-1 MAN/WAN環境におけるハードウェア・ロード・バランサ」の説明

この図では、複数の管理対象サーバーが、物理的に離れた場所に分散されています。この図は、個々の管理対象サーバーを示していますが、クラスタ化構成も表しています。

各ローカル・ロード・バランサは、マルチレイヤー・プールを参照する仮想サーバーIPを持ちます。マルチレイヤー・プールは、各ローカルWebLogic Server IPアドレス、ホスト名、およびフェイルオーバー・トリガー・プールの仮想サーバーを参照します。フェイルオーバー・トリガーは、サイトが停止していることを示すために使用されます。このトリガーは、他のローカル・ロード・バランサにフェイルオーバーします。

次の項では、マルチレイヤー・プールおよびフェイルオーバー・トリガー・プールを構成する方法について説明します。

フェイルオーバー・トリガーの仮想サーバーおよびプールの作成

ロード・バランシング対象のローカルWebLogic Serverのホスト名およびポートをそれぞれ参照するローカル・ロード・バランサでBIG-IPプールを作成します。次に、このプールを指定する仮想サーバーを新規に作成します。この仮想サーバーは3-DNSグローバル・ロード・バランサによってヘルス・モニタリングに利用され、後で、別のローカル・ロード・バランサのプールおよび仮想サーバー内に組み込まれます。

  1. BIG-IPのナビゲーション・パネル内で、「Pools」をクリックします。

  2. プール名を追加します。

  3. ロード・バランシング対象のWebLogicサーバーのhost:portの組合せをすべて追加します。

    デフォルトの優先順位を使用できます。セッション永続性は、構成する必要はありません。

  4. BIG-IPのナビゲーション・パネル内で、「Virtual Servers」をクリックします。

  5. 新しいプールを参照する仮想サーバーを追加します。

    1. フェイルオーバー・トリガー・ポートとなるポートを指定する必要があります(17001など)。

    2. 仮想サーバーのIPアドレスを指定します(10.254.34.151など)。

マルチレイヤーの仮想サーバーおよびIPプールの作成

F5管理ユーティリティを使用して、ローカルWebLogicサーバー・インスタンスのホスト、ポート、およびフェイルオーバー・トリガーの仮想サーバーをそれぞれ参照するローカル・ロード・バランサでBIG-IPプールを新規作成します。フェイルオーバー・トリガーの仮想サーバーは、WebLogicサーバーより優先順位を低くする必要があります。低い優先順位を割り当てることによって、フェイルオーバー・トリガーの仮想サーバーは、すべてのWebLogicサーバーで障害が発生しないかぎり、クライアントのリクエストを受け取ることはありません。セッションの永続性も構成する必要があります。

  1. BIG-IPのナビゲーション・パネル内で、「Pools」をクリックします。

  2. プール名を追加します(たとえば、multilayeredPool)。

    1. ロード・バランシング対象のWebLogicサーバーのhost:portの組合せをすべて追加します。host:portの組合せはすべて、priority=10で構成する必要があります。

    2. priority=1のフェイルオーバー・トリガーの仮想サーバーを追加します。

    3. プールの永続性の属性を指定します(挿入モードでアクティブ)。

    4. BIG-IPのナビゲーション・パネル内で、「Virtual Servers」をクリックします。

  3. 新しいプールを参照する仮想サーバーを作成します(10.254.34.151:7001など)。

3-DNSグローバル・ハードウェア・ロード・バランサの構成

認証DNSサーバーとして機能し、選択した条件に基づいて複数のBIG-IP仮想サーバーに対してWebリクエストを分散できるネットワーク・ハードウェアのグローバル・ロード・バランサの一種です。クライアントはhttpリクエストをグローバル・ロード・バランサに送信しますが、グローバル・ロード・バランサでは、組込みのヘルス・モニターが使用され、選択したロード・バランシング方法に基づいてWebリクエストが最適なサーバーに送信されます。

通常のDNSサーバーはグローバル・ロード・バランサが実行できることをモニタできないため、グローバル・ロード・バランサは、DNSの信頼できるソースである必要があります。通常のDNSサーバーは、デフォルトのラウンドロビン・ロード・バランシング方法において次の順番にあるサーバーが停止している場合でも、そのサーバーにhttpリクエストを送信します。通常のDNSサーバーの複数の短所を補うために、F5などの多くのベンダーは、DNS解決のみでなく、ネットワーク・トラフィックのインテリジェント・ルーティングも実行可能な専用のハードウェアおよびソフトウェアを作成しています。

F5の3-DNSグローバル・ロード・バランサの主な構成手順は次のようになります。DNS名を定義し、BIG-IPホストを構成し、データ・センターを構成し、複数の仮想サーバー(VIP)へのタスクの3-DNS分散を構成します。これらの手順については、次の項で説明します。

DNSゾーンの構成

グローバル・サーバー・ロード・バランサは、自身のDNSゾーンを管理するように構成する必要があります。これには、ローカルのDNS管理マシン上に新しい委任を作成します。次の手順は、DNSゾーンを構成する方法を示しています。

  1. DNS管理マシン上で、新しい委任(gslbなど)を作成します。

  2. ネーム・サーバーとして3-DNSマシンの完全修飾名を指定します。

  3. ネーム・サーバーとして3-DNSマシンのIPアドレスを指定します。

3-DNSによって管理されるBIG-IPアドレスの構成

3-DNSグローバル・バランサは、BIG-IPローカル・ロード・バランサのアドレスを使用して構成する必要があります。次の手順は、BIG-IPアドレスを構成する方法の概要を示しています。

  1. 3-DNSのナビゲーション・パネルで、「Servers」、「BIG-IP」の順にクリックします。

  2. BIG-IPを追加します。

  3. BIG-IPボックスの名前およびそのIPアドレスを指定します。

  4. BIG-IPボックスのリストを再度表示すると、各BIG-IPボックスで利用可能な仮想サーバーの数が含まれた列が3-DNSデバイスで表示されます。仮想サーバーのこの数をクリックします。

  5. マルチレイヤーの仮想サーバーを検索し、依存関係をクリックします。

  6. 依存関係として、関連フェイルオーバー・トリガーの仮想サーバーを指定します。

データ・センターの構成

多くの場合、グローバル・ロード・バランサは、複数の物理的なサイトにある仮想サーバーにサービス・リクエストを分散します。これらのサイトはデータ・センターと呼ばれ、データ・センターは2つ作成する必要があります。データ・センターは、BIG-IPローカル・ロード・バランサの2つの異なるサブネットに解決します。

ワイドIPの構成

3-DNSデバイスが一方のデータ・センター内の1つのVIP内の複数のサーバーに均等にリクエストを分散するように構成することが推奨されます。これらのサーバーで障害が発生すると、もう一方のデータ・センターのVIPにリクエストを送信できません。均等にリクエストを分散するためには、ワイドIPアドレスを作成する必要があります。このワイドIPアドレスは、クライアント・リクエストのターゲットとなり、完全修飾ドメイン名が与えられます。ワイドIPによって、ローカル・ロード・バランサの複数の仮想サーバーに接続が分散される方法が定義されます。

次の手順は、ワイドIPを構成する方法を示しています。

  1. 3-DNSのナビゲーション・パネルで、「Wide IPs」、「Add Wide IP」の順にクリックします。

  2. ワイドIPに利用できるネットワーク・アドレス、ワイドIPのポート(7001など)、および、関連する完全修飾ドメイン名(cs.gslb.bea.comなど)を指定します。

  3. ローカル・ロード・バランサ上の仮想サーバーを指定する3-DNSプールを追加します。3-DNSグローバル・ロード・バランサは、BIG-IPホストを構成すると、各ローカル・ロード・バランサで利用可能な仮想サーバーを自動的に識別します。マルチレイヤーの仮想サーバーを指定します。

  4. DNSネーム・サーバー上のDNSデータベースに、wideipに解決する2つのエントリを作成します。

WebLogic Serverコンポーネントの構成

F5デバイスを構成したら、WebLogic ServerでMAN/WANフェイルオーバー機能を使用するように構成する必要があります。WebLogic ServerでMAN/WANを使用するように構成する方法は、「MAN/WAN内のクラスタ間でのセッション状態レプリケーション」を参照してください。