この章は、JRockit JVMで使用できるすべての-X
コマンドライン・オプションに関する、アルファベット順に並んだリファレンスです。
-X
コマンドライン・オプションは、Oracle JRockit JVM専用のオプションです。-X
コマンドライン・オプションを使用すると、様々なJavaアプリケーションのニーズに合せてJRockit JVMの動作を変更できます。これらのオプションは他のJVMでは機能しません(反対に、他のJVMで使用される非標準のオプションはJRockit JVMでは機能しません)。
注意:
|
-Xbootclasspath
オプションは、ブートストラップ・クラスおよびリソースを検索するディレクトリ、JARファイルおよびZIPアーカイブのリストを指定します。これらはJava SE JDKに含まれるブートストラップ・クラス・ファイルのかわりに使用されます。
注意: rt.jar ファイルのクラスをオーバーライドする目的でこのオプションを使用するアプリケーションはデプロイしないでください。これは、Java SE Runtime Environmentバイナリ・コード・ライセンス違反になります。 |
ディレクトリ、JARファイルおよびZIPアーカイブのリストを指定するという点で、-Xbootclasspath/a
オプションは-Xbootclasspathに似ています。ただし、このリストはデフォルトのブートストラップ・クラス・パスの末尾に付加されます。
ディレクトリ、JARファイルおよびZIPアーカイブのリストを指定するという点で、-Xbootclasspath/p
オプションは-Xbootclasspathに似ています。ただし、このリストはデフォルトのブートストラップ・クラス・パスの先頭に付加されます。
-Xcheck:jni
オプションは、JNI関数に対する追加のチェックを有効にします。
注意: -Xcheck:jni のかわりに-XX:+CheckJNICalls を使用することをお薦めします。 |
-Xdebug
オプションは、JVM Tools Interface(JVMTI)で使用されるデバッグ機能を有効にします。
注意: -Xdebug はR28で有効ですが、-XX:+JavaDebug をかわりに使用することをお薦めします。 |
-Xdebug
の詳細は、次の場所でOracle JRockit R27のドキュメントを参照してください。
http://download.oracle.com/docs/cd/E13150_01/jrockit_jvm/jrockit/jrdocs/refman/optionX.html
警告: 本番環境では-Xdebug オプションを使用しないでください。-Xdebug オプションを指定して実行する場合、JVMは通常の速度では実行されないためです。 |
-Xgc
オプションは、ガベージ・コレクション・モードの指定を有効にします。
パラレル・マークまたはコンカレント・マークを指定し、パラレル・スイープまたはコンカレント・スイープを使用する、世代別ガベージ・コレクタもしくはシングル・スペース・ガベージ・コレクタを選択できます。
世代別ガベージ・コレクション
二世代のガベージ・コレクションでは、ヒープが2つのセクション、つまり、古い世代と若い世代(ナーサリ)に分割されます。オブジェクトがナーサリに割り当てられて、ナーサリが一杯になると、JVMはすべてのJavaスレッドを停止し、生存しているオブジェクトを若い世代(ナーサリ)から古い世代に移動します。
シングル・スペース・ガベージ・コレクション
ガベージ・コレクションのシングル・スペース・オプションの場合、すべてのオブジェクトは、経過時間に関係なく、ヒープ上の1つの領域内で生存期間を過ごします。つまり、シングル・スペース・ガベージ・コレクタにはナーサリはありません。
コンカレント・マーク・アンド・スイープ・アルゴリズム
コンカレント・ガベージ・コレクション・アルゴリズムでは、マークとスイープを他のすべての処理とコンカレント(同時)に行います。つまり、Javaスレッドを停止せずに完全なガベージ・コレクションを行います。
パラレル・ガベージ・コレクション・マーク・アンド・スイープ・アルゴリズム
パラレル・ガベージ・コレクション・アルゴリズムでは、ヒープが一杯になったときにJavaスレッドを停止し、すべてのCPUを使ってヒープ全体の完全なマーク・アンド・スイープを行います。パラレル・ガベージ・コレクタではコンカレント・ガベージ・コレクタよりも休止時間が長くなりますが、アプリケーションのスループットが最大になります。このようにパフォーマンスが最大になるため、アプリケーションで長い休止時間を許容できる場合は、シングルCPUマシン上でもパラレル・ガベージ・コレクタをお薦めします。
形式
-Xgc:mode
表2-1に、-Xgc
オプションで指定できるガベージ・コレクション・モードの一覧を示します。
表2-1 -Xgcで有効なガベージ・コレクション・モード
モード | 説明 |
---|---|
singlecon
Alias: singleconcon
|
シングル・スペース(非世代別)コンカレント・ガベージ・コレクション。
|
gencon
Alias: genconcon
|
世代別コンカレント・ガベージ・コレクション。
小さくて生存期間の短い多数のオブジェクトを割り当てるアプリケーションでは、ほとんどの場合、 |
singlepar Alias: singleparpar, parallel |
シングル・スペース・パラレル・ガベージ・コレクション。 このモードでは、ヒープが一杯になったときにすべてのJavaスレッドが停止し、JVMですべてのCPUが使用されてヒープ全体の完全なガベージ・コレクションが実行されます。 このモードは |
genpar
Alias: genparpar
|
世代別ガベージ・コレクション。
一般に、生存期間の短いオブジェクトを多数割り当てるアプリケーションでは、このモードの方が |
genconpar |
世代別ガベージ・コレクション。 コンカレント・マーク・アルゴリズムとパラレル・スイープ・アルゴリズムを使用する世代別(2つの領域の)ガベージ・コレクション・モードを設定します。 |
genparcon |
世代別ガベージ・コレクション。 パラレル・マーク・アルゴリズムとコンカレント・スイープ・アルゴリズムを使用する世代別(2つの領域の)ガベージ・コレクション・モードを設定します。 |
singleconpar |
シングル・スペース・ガベージ・コレクション。 コンカレント・マーク・アルゴリズムとパラレル・スイープ・アルゴリズムを使用するシングル・スペース・ガベージ・コレクション・モードを設定します。 |
singleparcon |
シングル・スペース・ガベージ・コレクション。 パラレル・マークとコンカレント・スイープ・アルゴリズムを使用するシングル・スペース・ガベージ・コレクション・モードを設定します。 |
throughput |
ガベージ・コレクタはアプリケーションのスループットを重視する方向で最適化されます。つまり、ガベージ・コレクタは最大限に効率的に動作し、できるかぎり多くのCPUリソースをJavaスレッドに与えます。しかし、これによって、ガベージ・コレクタがガベージ・コレクションのためにすべてのJavaスレッドを停止すると、非確定的な休止が生じる可能性があります。スループット優先順位は、非確定的な休止がアプリケーションの動作に影響しない場合に使用する必要があります。 |
pausetime |
ガベージ・コレクタはアプリケーションの短い休止時間を重視する方向で最適化されます。つまり、ガベージ・コレクションは、Javaスレッドが休止しないように、必要に応じてJavaアプリケーションと同時に機能します。コンカレント・ガベージ・コレクタは、最適なスループットを得るために使用されるパラレル・ガベージ・コレクタよりも多くのシステム・リソース(CPU時間やメモリー)を必要とするため、アプリケーションのパフォーマンス・オーバーヘッドがわずかに高くなります。デフォルトの目標休止時間は500ミリ秒です。デフォルトの目標休止時間を変更する方法については、「-XpauseTarget」を参照してください。 |
|
休止時間を非常に短く確定的にするためにガベージ・コレクタを最適化します。 ガベージ・コレクタは、ガベージ・コレクションの休止時間を、指定された休止時間の目標よりも短く維持しようとします。これが成功するかどうかは、アプリケーションとハードウェアによって決まります。低速のハードウェアで、異なるヒープ・サイズまたは大量の実データを使用して実行すると、確定的な動作を維持できなかったり、時間の経過とともにパフォーマンスが低下する可能性があります。高速なハードウェアや、実データが少ない場合は、目標休止時間をより小さな値に設定できます。deterministicモードの目標休止時間のデフォルト値は30ミリ秒で、この値は、コマンドライン・オプションの |
関連オプション
-XXsetGC(非推奨)または-XgcPrio(非推奨)オプションを指定すると、-Xgc
オプションがオーバーライドされます。その逆もまた同様です。最初にコマンドラインで指定されたオプションは無視されます。
-XgcPrio
オプションは、Oracle JRockit R28で非推奨とされています。このオプションはR28で機能しますが、かわりに-Xgc
を使用することをお薦めします。詳細は、「-Xgc」を参照してください。
-XgcPrio
の形式および使用に関する詳細は、次の場所でR27のドキュメントを参照してください。http://download.oracle.com/docs/cd/E13150_01/jrockit_jvm/jrockit/jrdocs/refman/index.html
-XlargePages
オプションは、JavaヒープやJVMの他の領域に、可能であればラージ・ページを使用するように指定します。ラージ・ページを使用すると、アプリケーションでプロセッサ内のTLB(Translation Look-aside Buffer)をより効果的に利用できるようになります。
形式
-XlargePages:exitOnFailure=true
Windows、LinuxおよびSolarisは、x86およびSPARCアーキテクチャ上で複数のページ・サイズをサポートしています。x86では4KBと4MB(PAEモードでは2KBと2MB)がサポートされます。SPARCでは、モデルに応じて4KBから256MBの範囲の様々なサイズがサポートされます。
デフォルトでは、-XlargePages
オプションが有効になっているときにラージ・ページを取得できない場合、JVMはラージ・ページを使用せずに実行を継続します。ラージ・ページを十分に取得できない場合は、拡張オプション(-XlargePages:exitOnFailure
)を使用してこの動作をオーバーライドし、JVMを強制的に終了します。
注意: このオプションを使用する場合、使用するオペレーティング・システムに適した手順に従ってラージ・ページをシステム上で構成する必要があります。Linuxのラージ・ページの詳細は、Linuxカーネルのドキュメントに含まれる Solarisオペレーティング・システムでは、アプリケーションでのラージ・ページの使用を有効にするための構成は必要ありません。 |
JRockit JVMがラージ・ページの取得に失敗した場合は、次のような警告が出力されますが、実行は続行されます。
[ERROR][osal ] Unable to set Lock Page Privilege: ... [WARN ][memory ] Could not acquire large pages for Java heap. [WARN ][memory ] Falling back to normal page size.
-Xmanagement
オプションは、JRockit JVMと管理サーバーを同時に起動します。また、ネットワーク内のJVMインスタンスの自動検出、SSL暗号化および認証などの機能を、有効にして構成したり、または明示的に無効にすることができます。
形式
-Xmanagement[:parameter1=value[,parameter2=value2]]
表2-6に、parametern=v
aluen
ペアの有効な値の一覧を示します。
表2-2 -Xmanagementパラメータ
パラメータ | 説明 | デフォルト値 |
---|---|---|
なし |
プライベート・インタフェースでパブリッシュされたJMXコネクタを経由するJMXローカル監視を有効にします。このインタフェースは、Attach APIを使用するローカルJMXクライアントで使用されています。JMXクライアントは、エージェントを起動したユーザーと同じユーザーによってコネクタが起動されていれば、このコネクタを使用できます。このコネクタを経由してきたリクエストには、パスワードやアクセス・ファイルは必要ありません。 |
|
autodiscovery=true|false |
リモートJMXコネクタの自動検出を有効または無効にします。自動検出を有効にすると、Oracle JRockit Mission Controlは、マルチキャストベースのJRockit Discovery Protocol(JDP)を通じて、実行中のJRockit JVMインスタンスを自動的に検出できます。自動検出では、同じサブネット上の他のマシンでも、リモート管理対応のJVMを自動的に検出できます。 注意: Oracle JRockit Mission ControlのJVM Browserは、このオプションが有効な場合のみ、リモートJVMインスタンスを自動的に検出します。 関連する-Dオプション: -Dcom.oracle.management.autodiscovery |
|
autodiscovery_name= |
ネットワークで実行中の各種のJRockit JVMインスタンスに関する情報をOracle JRockit Mission Controlが検出できる場所を示す、クラスタおよびノードのパスおよび名前を指定できます。 注意: このオプションは、 |
|
authenticate=true|false |
認証を有効または無効にします。 このプロパティが 関連する-Dオプション: -Dcom.oracle.management.jmxremote.authenticate |
|
|
クラスがロードされ、JVM起動時の早い段階でそのクラスの空のコンストラクタが呼び出されます。このコンストラクタから、新しいスレッドが起動され、そのスレッドで管理クライアントが実行されます。 |
- |
|
その他の管理構成プロパティをロードできるファイルの場所を指定します。 関連する-Dオプション: -Dcom.oracle.management.config.file |
|
|
リモート・マシンのIPアドレスまたはホスト名を指定します。 このオプションが設定されている場合は、指定したIP(またはホスト)への接続のみが許可されます。JMXエージェントは引き続き、すべてのインタフェース上の接続をリスニングして応答しますが、このオプションで指定したアドレス以外のアドレスに対する接続は無視されます。 関連する-Dオプション: -Dcom.oracle.management.jmxremote.interface |
|
|
ローカルJMXコネクタを有効または無効にします。 関連する-Dオプション: -Dcom.oracle.management.jmxremote |
|
port=portNumber
|
管理サーバーがリモート・アクセス用に開くポートを指定します。 ポート番号を指定すると、JMXリモート・エージェントが有効になり、指定したポート経由でリスニングするためのリモートJMXコネクタが作成されます。デフォルトで、SSL、パスワードおよびアクセス・ファイルのプロパティがこのコネクタのために使用されます。このオプションではローカル監視も有効になります。 関連する-Dオプション: -Dcom.oracle.management.jmxremote.port |
7091(このオプションの値を指定しない場合) |
|
RMIコネクタ・スタブを、SSLで保護されたRMIレジストリにバインドします。 関連する-Dオプション: -Dcom.oracle.management.jmxremote.registry.ssl |
|
|
リモートJMXコネクタを有効または無効にします。 |
|
|
RMIサーバーを、指定したポートにバインドします。 関連する-Dオプション: -Dcom.oracle.management.jmxremote.rmiserver.port |
RMIレジストリと同じポートにバインドします。RMIサーバーがSSLを使用中でレジストリはSSLを使用していない場合、ランダム・ポートが選択されます。 |
ssl=true|false |
SSL暗号化を有効または無効にします。 |
|
例
java -Xmanagement:ssl=false,authenticate=false myApplication
SSL暗号化および認証を無効にします。
java -Xmanagement:autodiscovery=true myApplication
自動検出を有効にします。
java -Xmanagagement:autodiscovery=true,autodiscovery_name=/mycluster/mymachine/Node1
JRockit JVMは、接続名Node1
とともにJDP/mycluster/mymachine
フォルダの下に表示されます。パスの末尾にフォワード・スラッシュ(/
)を指定すると、生成される記述子の名前がリバースDNS参照によって決められます。
java -Xmanagagement:port=1234 myApplication
管理サーバーにポート1234を開くことを指示します。
ほとんどのJRockit JVMデプロイメントのセキュリティ・リスクおよびミッション・クリティカルな特性により、JRockit JVMの新しいデフォルトの動作では、セキュリティを明示的に無効にするか、または構成してセキュリティを有効にすることが要求されます。これらの手順を実行しないと、管理サーバーはリモート・アクセス用のポートを開きません。また、セキュリティ構成に関するエラー・メッセージが表示され、JVM起動が停止する可能性があります。
-Xmanagement
オプションを指定すると、ローカルなメモリー内エージェントも有効になり、開発者の視点から見た場合のユーザー操作が改善されます。たとえば、あるマシンのJRockit JVMでWebLogic Serverインスタンスを実行している開発者は、-Xmanagement
オプションを指定することによってローカルなメモリー内エージェントを有効にして、別のマシンのOracle JRockit Mission Control Clientからそのエージェントに接続できます。一方、開発者は、Oracle JRockit Mission Controlからローカル・アクセスするのに-Xmanagement
オプションを指定する必要はありません。メモリー内エージェントには、いつでもローカルにアクセスできます。マシン上で複数のJRockit JVMインスタンスが実行しているときにJRockit Mission Control Clientを起動すると、JVMが自動的に検出され、アクセスすることができます。JRockit JVMインスタンスとJRockit Mission Control Clientが同じユーザーによって実行されている場合、このような種類のローカル・アクセスを許可することによってのみ、セキュリティが適用されます。
セキュリティを適用しない管理エージェントを有効にするには、SSLおよび認証を無効にすることを指定する必要があります。
ユーザビリティを最大限に高めるには、自動検出メカニズムも有効にしてください。これによって、JRockit Mission Controlは、マルチキャストベースのJRockit Discovery Protocolを通じて、実行中のJRockit JVMインスタンスを自動的に検出できます。これは通常、ローカル・サブネットでのみ有効です。
-Xms
オプションでは、Javaヒープの初期サイズと最小サイズを設定します。Javaヒープ(ヒープ)は、メモリーのブロックがオブジェクトに割り当てられ、ガベージ・コレクション時に解放されるメモリーの部分です。
注意: -Xms オプションでは、JVMで使用できるメモリーの合計は制限されません。 |
例
java -Xms:64m myApp
このコマンドはJavaヒープの初期サイズと最小サイズを64MBに設定します。
単位を追加しないと、そのままの値として解釈されます。たとえば、64は64バイトとして解釈されます。64MBや64KBにはなりません。
パフォーマンスを向上するには、-Xms
オプションを最大ヒープ・サイズと同じサイズに設定します。例:
java -Xmx:64m -Xms:64m myApp
-Xmx
オプションでは、Javaヒープの最大サイズを設定します。Javaヒープは、メモリーのブロックがオブジェクトに割り当てられ、ガベージ・コレクション時に解放されるメモリーの部分です。実行中のオペレーティング・システムの種類によって、Javaヒープに設定できる最大値は異なります。
注意: -Xmx オプションでは、JVMで使用できるメモリーの合計は制限されません。 |
例
java -Xmx:1g myApp
このコマンドはJavaヒープの最大サイズを1GBに設定します。
単位を追加しないと、そのままの値として解釈されます。たとえば、64は64バイトとして解釈されます。64MBや64KBにはなりません。
-Xmx
オプションと-Xms
オプションを組み合せて使い、Javaヒープ・サイズを制限します。Javaヒープが-Xmx
より大きいサイズになることはありません。また、-Xms
値を最小ヒープ・サイズとして使用し、固定のヒープ・サイズを設定できます。たとえばベンチマーク・テストを実行する場合には、-Xms = -Xmx
のように設定します。
-XnoClassGC
オプションは、Oracle JRockit R28で非推奨とされています。このオプションはR28で機能しますが、かわりに-XX:-UseClassGC
を使用することをお薦めします。詳細は、「-XX:+|-UseClassGC」を参照してください。
-XnoClassGC
の形式および使用に関する詳細は、次の場所でR27のドキュメントを参照してください。http://download.oracle.com/docs/cd/E13150_01/jrockit_jvm/jrockit/jrdocs/refman/index.html
-XnoOpt
オプションは、適応性のある最適化を無効にします。
通常、最適化されたコードは、最適化されていないコードより高速に実行されますが、コードを最適化するのに要する時間が、望ましくない処理の遅れを引き起こすことがあります。-XnoOpt
を指定すると、最適化を無効にすることによって、このような遅延を回避できます。このオプションは、システム・クラッシュや起動時のパフォーマンス不足など、JVMまたはアプリケーションの問題が最適化に関係しているおそれがある場合にも役立ちます。最適化を無効にして、アプリケーションを再実行してみてください。正常に動作する場合は、コードの最適化に問題があると判断できます。
-XnoOpt
を設定しない場合、コードは通常どおりに最適化されます。
-Xns
オプションはナーサリ・サイズを設定します。JRockit JVMでナーサリが使用されるのは、世代別ガベージ・コレクタを使用しているときです。
-XpauseTarget
オプションでは、短い休止時間を最適化するガベージ・コレクション・モード(-Xgc:pausetime)と確定的な休止時間を最適化するガベージ・コレクション・モード(-Xgc:deterministic)の目標休止時間を設定します。目標値が休止時間の目標として使用されます。目標を設定することで、ガベージ・コレクタは自身をより正確に構成し、休止時間を目標値に近づけることができます。このオプションを使用すると、1ミリ秒から5秒の間で目標休止時間を指定できます。確定的ガベージ・コレクタを使用する場合は、値を200ミリ秒未満に設定できます。
形式
-XpauseTarget=value
このオプションで設定する値は、柔軟な目標と見なされることに注意してください。つまり、目標を100ミリ秒に指定した場合、ガベージ・コレクタは休止時間が100ミリ秒にできるだけ近づくような構成を目指して自身をチューニングします。しかし、ガベージ・コレクタをチューニングした後でも、この目標を実現できないアプリケーションおよびヒープ構成を使用している場合は、目標が守られません。このオプションは目標休止時間を指定するだけで、最大許容休止時間を指定するわけではありません。
このオプションを正しく使用すれば、休止時間が改善されます。しかし正しく使用しないと、ガベージ・コレクタの動作に異常が起きることがあります。
デフォルト値
-Xgc
:pausetimeで-XpauseTargetを使用している場合、デフォルトの目標の設定は500ミリ秒です。-Xgc:deterministicを使用している場合、デフォルト値は30ミリ秒です。
関連オプション
通常、このオプションは休止時間を最適化するガベージ・コレクション・モード(-Xgc:pausetimeまたは-Xgc:deterministic)で使用する必要があります。ガベージ・コレクタを指定しない場合は、このオプションによってデフォルトのガベージ・コレクタが変更され、休止時間を最適化するガベージ・コレクタ(-Xgc:pausetimeを指定したときと同じコレクタ)が使用されます。
Oracle JRockit Real Timeを使用している場合は、-XgcPauseTarget
を200ミリ秒未満に設定して、ガベージ・コレクタは指定しないでください。ガベージ・コレクタは-Xgc:deterministic.に設定されます。
注意: -Xrs は、HotSpot JVMの非標準オプションです。JRockit JVMでは、このオプションが引き続きサポートされます。ただし、JRockit JVMの非標準オプションの-Xnohup および-XX:+|-ReduceSignalUsage で同じ機能が提供されています。 |
-Xrs
は、JVMによるオペレーティング・システム・シグナルの使用を減らします。JVMをサービスとして実行している場合(Webサーバーのサーブレット・エンジンなど)、JVMはCTRL_LOGOFF_EVENT
を受け取ることがありますが、停止処理を開始すべきではありません。オペレーティング・システムが実際にはプロセスを終了させないからです。このような障害を回避するために、-Xrs
コマンドライン・オプションは、コンソール制御ハンドラをインストールしません - つまり、CTRL_C_EVENT
、CTRL_CLOSE_EVENT
、CTRL_LOGOFF_EVENT
、またはCTRL_SHUTDOWN_EVENT
の監視および処理は行われません。
-Xss
オプションでは、スレッド・スタック・サイズを設定します。スレッド・スタックは、各Javaスレッドが内部的に使用するために割り当てられるメモリー領域です。ここにスレッドのローカルの実行状態が格納されます。
-XstrictFP
のかわりに-XX:+StrictFP
を使用することをお薦めします。
-XstrictFP
の詳細は、次の場所でR27のドキュメントを参照してください。http://download.oracle.com/docs/cd/E13150_01/jrockit_jvm/jrockit/jrdocs/refman/index.html
-Xverbose
オプションは、システムに関する固有の情報を提供します。デフォルトでは、エラー・メッセージ用の標準出力(stderr
)に出力されますが、-XverboseLogコマンドライン・オプションを使用してファイルにリダイレクトすることもできます。表示される情報は、オプションとともに指定するパラメータによって異なります。たとえば、パラメータcpuinfo
を指定すると、CPUに関する情報が表示され、ハイパースレッディングが有効かどうかをJVMが判断できるかどうかがわかります。
形式
-Xverbose:parameter
[=log_level
]
表2-6はパラメータの一覧を、表2-7はログ・レベルの一覧を示します。
注意: 複数のパラメータを使用する場合はカンマで区切ります(例:-Xverbose:gc,opt )。 |
表2-6 -Xverboseのパラメータ
表2-7 Xverboseのログ・レベル
ログ・レベル | 説明 |
---|---|
quiet |
ログなし。メッセージもエラーも生成されません。 |
error |
エラー・メッセージだけがログに記録されます。 |
warn |
エラーに加えて警告メッセージもログに記録されます。まだ低レベルのログ・レベルであり、 |
info |
|
debug |
|
trace |
|
デコレーションは、冗長な出力にさらに意味を持たせるために使用される、通常はシステム関連の追加情報です。メッセージの生成元のモジュールの名前や、現在のJRockit JVMセッションが開始してからの経過時間(ミリ秒単位)などがその例です。-Xverbosedecorations
オプションはこの情報を冗長出力に追加します。
形式
-Xverbosedecorations=decoration names
注意: 診断コマンドverbosity と引数decorations をともに使用することもできます。 |
表2-8は可能なデコレーションの一覧を示します。
表2-8 冗長出力のデコレーション
デコレーション | 説明 |
---|---|
level |
メッセージのログ・レベルを出力します。 |
millis |
1970年1月1日0時(協定世界時)からの経過時間(ミリ秒単位)を出力します。この値は、 |
millisstart |
JRockit JVMが開始してからの経過時間(ミリ秒単位)を出力します。 |
module |
メッセージの生成元のモジュールを出力します。 |
nanos |
|
nanosstart |
JRockit JVMが開始してからの経過時間(ミリ秒単位)を出力します。 |
pid |
プロセスIDを出力します。 |
threadid |
スレッドの索引を出力します。これは、スレッド・ダンプ内で |
timestamp |
理解しやすい形式のタイムスタンプを出力します。これは、-XverboseTimeStampオプションを使用した場合に表示される値と同じ値です。 |
例
java -Xverbose:gcpause -Xverbosedecorations=timestamp,module myApp
出力には次のデコレーションが含まれます。
理解しやすい形式のタイムスタンプ。
メッセージの生成元のモジュールの名前。
-XverboseLog
オプションは、Oracle JRockit JVMからのメッセージ(冗長出力やエラー・メッセージなど)をstderr
ではなく、指定したファイルに出力します。
-XverboseTimeStamp
オプションは、冗長出力にタイムスタンプを追加します。イベントのログを記録するときに役立ちます。
例
java -Xverbose -XverboseTimeStamp myApp
次のように、-XverboseTimeStamp
で生成される出力は、-Xverboseで出力される情報よりも前に表示されます。
L:\src>D:\jrockits\R28.0.0-617_1.6.0\bin\java -Xverbose -XverboseTimeStamp HelloWorld [load ][Mon Sep 25 09:57:56 2006][00624] opened zip D:\jrockits\R28.0.0-617_1.6.0\jre\lib\rt.jar
-Xverify
オプションを使用すると、バイトコードの正確性を手動で検証することができます。これらのチェックを実行時に繰返し行わずに、クラスのロード時に一度だけ行うことにより、実行時の効率を高めることができます。