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Solaris のシステム管理 (IP サービス) Oracle Solaris 10 8/11 Information Library (日本語) |
1. Oracle Solaris TCP/IP プロトコル群 (概要)
5. TCP/IP ネットワークサービスと IPv4 アドレス指定の構成 (作業)
10. TCP/IP と IPv4 の詳細 (リファレンス)
18. DHCP コマンドと DHCP ファイル (リファレンス)
21. IP セキュリティーアーキテクチャー (リファレンス)
25. Oracle Solaris の IP フィルタ (概要)
29. モバイル IP のファイルおよびコマンド (リファレンス)
ネットワークデータベースは、ネットワークの構成に必要な情報を提供するファイルです。ネットワークデータベースには次のものがあります。
hosts
netmasks
ethers データベース
bootparams
protocols
services
networks
構成工程の一環として、ネットワークをサブネット化する場合は、hosts データベースと netmasks データベースを編集します。システムをネットワーククライアントとして構成するには、bootparams と ethers の 2 つのネットワークデータベースを使用します。残りのデータベースはオペレーティングシステムが使用するもので、編集が必要になることはほとんどありません。
nsswitch.conf ファイルはネットワークデータベースではありませんが、このファイルは関連するネットワークデータベースと共に構成する必要があります。nsswitch.conf は、特定のシステムに、 ローカルファイル、NIS、DNS、または LDAP のどのネームサービスを使用するかを指定します。
ネットワークデータベースの形式は、ネットワークで選択したネームサービスの種類によって異なります。たとえば、hosts データベースには、少なくとも、ローカルシステムとそのシステムに直接接続されているネットワークインタフェースのホスト名と IPv4 アドレスだけは含まれています。しかし、ネットワークで使用するネームサービスの種類によっては、その他の IPv4 アドレスとホスト名も hosts データベースに含まれていることがあります。
次の図に、これらのネームサービスで使用する hosts データベースの形式を示します。
図 10-2 ネームサービスが使用する hosts データベースの形式
次の表に、ネットワークデータベースと対応するローカルファイルおよび NIS マップを示します。
注 - Solaris 10 11/06 よりあとの Oracle Solaris リリースでは、ipnodes データベースは削除されます。
表 10-1 ネットワークデータベースと対応ネームサービスファイル
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このドキュメントでは、ネームサービス用にローカルファイルを使用するネットワークから見たネットワークデータベースについて説明します。
hosts データベースについては、「hosts データベース」に記載されています。
netmasks データベースについては、「netmasks データベース」に記載されています。
Solaris 10 11/06 以前のリリースの場合、ipnodes データベースについては、「ipnodes データベース」に記載されています。
NIS、DNS、および LDAP でのネットワークデータベースの対応関係については、『Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)』を参照してください。
/etc/nsswitch.conf ファイルは、ネットワークデータベースの検索順序を定義します。Oracle Solaris インストールプログラムは、インストール中にネットワーク管理者が指定するネームサービスに基づいて、ローカルシステム用のデフォルトの /etc/nsswitch.conf ファイルを作成します。「None」オプションを指定して、ローカルファイルをネームサービスとして使用することを指示した場合は、nsswitch.conf ファイルは次の例のようになります。
例 10-5 ネームサービスにファイルを使用するネットワーク用の nsswitch.conf
# /etc/nsswitch.files: # # An example file that could be copied over to /etc/nsswitch.conf; # it does not use any naming service. # # "hosts:" and "services:" in this file are used only if the # /etc/netconfig file contains "switch.so" as a # nametoaddr library for "inet" transports. passwd: files group: files hosts: files networks: files protocols: files rpc: files ethers: files netmasks: files bootparams: files publickey: files # At present there isn't a 'files' backend for netgroup; the # system will figure it out pretty quickly, # and won't use netgroups at all. netgroup: files automount: files aliases: files services: files sendmailvars: files
このファイルについての詳細は、nsswitch.conf(4) のマニュアルページを参照してください。基本構文は、次のとおりです。
database name-service-to-search
database フィールドには、オペレーティングシステムが検索する多くの種類のデータベースの 1 つを指定できます。たとえば、passwd や aliases などのようにユーザーに影響を与えるデータベースでも、またネットワークデータベースでも指定できます。ネットワークデータベースの場合、 name-service-to-search パラメータの値は、files、nis、 nis+ のどれかです。hosts データベースの場合は、検索するネームサービスとして dns も値に指定できます。nis+ と files のように、複数のネームサービスも指定できます。
例 10-5 では、表示されている検索オプションは files だけです。したがって、ローカルシステムは、/etc ディレクトリと /etc/inet ディレクトリに入っているファイルから、ネットワークデータベース情報のほか、セキュリティーと自動マウントに関する情報を入手します。
/etc ディレクトリには、Oracle Solaris インストールプログラムが作成する nsswitch.conf ファイルが含まれています。そのほかに、次のネームサービス用のテンプレートファイルも含まれています。
nsswitch.files
nsswitch.nis
あるネームサービスから別のネームサービスに変更したい場合は、対応するテンプレートを nsswitch.conf にコピーできます。また、nsswitch.conf ファイルを選択的に編集して、個々のデータベースを見つけるために検索するデフォルトのネームサービスを変更できます。
たとえば、NIS を実行するネットワークでは、ネットワーククライアントについての nsswitch.conf ファイルの変更が必要な場合があります。bootparams データベースと ethers データベースの検索順序では、最初のオプションとして files、次に nis が指定されている必要があります。次のコード例に、正しい検索順序を示します。
例 10-6 NIS を実行するネットワーク上のクライアントのための nsswitch.conf
# /etc/nsswitch.conf:# . . passwd: files nis group: files nis # consult /etc "files" only if nis is down. hosts: nis [NOTFOUND=return] files networks: nis [NOTFOUND=return] files protocols: nis [NOTFOUND=return] files rpc: nis [NOTFOUND=return] files ethers: files [NOTFOUND=return] nis netmasks: nis [NOTFOUND=return] files bootparams: files [NOTFOUND=return] nis publickey: nis netgroup: nis automount: files nis aliases: files nis # for efficient getservbyname() avoid nis services: files nis sendmailvars: files
ネームサービススイッチの詳細は、『Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)』を参照してください。
bootparams データベースには、ネットワーククライアントモードで起動されるように構成されたシステムが使用する情報が含まれています。ネットワーククライアントを持つネットワークの場合は、このデータベースの編集が必要になります。手順については、「ネットワーククライアントの構成」を参照してください。このデータベースは、/etc/bootparams ファイルに入力した情報をもとにして構築されます。
このデータベースの構文についての詳細は、bootparams(4) のマニュアルページに含まれています。基本構文は、次のとおりです。
system-name file-key-server-name:pathname
個々のディスクレスまたはネットワーククライアントシステムについて、エントリが 1 つずつ含まれています。 各エントリに入っている情報は、クライアント名、キーのリスト、サーバー名、パス名です。各エントリの最初の項目は、クライアントシステムの名前です。最初の項目以外は、すべてオプションです。次に例を示します。
例 10-7 bootparams データベース
myclient root=myserver : /nfsroot/myclient \ swap=myserver : /nfsswap//myclient \ dump=myserver : /nfsdump/myclient
この例の dump= はダンプファイルを探さないようクライアントホストに指示しています。
ほとんどの場合、ワイルドカードエントリを使用するのは、bootparams データベースを編集してクライアントをサポートするときです。次のようにしてワイルドカードエントリを使用します。
* root=server:/path dump=:
アスタリスク (*) ワイルドカードは、このエントリが、bootparams データベース内で明示的に指定されていないすべてのクライアントに適用されることを示します。
ethers データベースは、/etc/ethers ファイルに入力した情報から構築されます。このデータベースは、ホスト名を「メディアアクセス制御」(MAC) アドレスに関連付けます。ethers データベースの作成が必要になるのは、RARP デーモンを実行する場合だけです。つまり、ネットワーククライアントを構成する場合だけです。
RARP は、このファイルを使用して、MAC アドレスを IP アドレスにマッピングします。RARP デーモン in.rarpd を実行する場合は、ethers ファイルを設定し、このファイルをこのデーモンを実行するすべてのホストに格納して、ネットワークに対する変更が反映されるようにする必要があります。
このデータベースの構文についての詳細は、ethers(4) のマニュアルページに含まれています。基本構文は、次のとおりです。
MAC-address hostname #comment
ホストの MAC アドレス
ホストの公式名
ファイルのエントリに追加する注釈
MAC アドレスは装置の製造元から提供されます。システムの起動プロセス中に、システムが MAC アドレスを表示しない場合は、お使いのハードウェアのマニュアルを参照してください。
ethers データベースにエントリを追加するときは、ホスト名が、ニックネームではなく、hosts データベース内と ipnodes データベース内 (Solaris 10 11/06 以前のリリースの場合) の基本名に一致していることを確認してください (次のコード例を参照)。
例 10-8 ethers データベース内のエントリ
8:0:20:1:40:16 fayoum 8:0:20:1:40:15 nubian 8:0:20:1:40:7 sahara # This is a comment 8:0:20:1:40:14 tenere
残りのネットワークデータベースについては、編集が必要になることはほとんどありません。
networks データベースは、ネットワーク名をネットワーク番号と関連付けて、いくつ かのアプリケーションが番号ではなく名前を使用または表示できるようにします。networks データベースは、/etc/inet/networks ファイルの中の情報に基づいています。このデータベースには、このネットワークがルーターを介して接続されるすべてのネットワークの名前が含まれています。
初期 networks データベースは、Oracle Solaris インストールプログラムが設定します。ただし、既存のネットワークトポロジに新たなネットワークを追加する場合は、このデータベースを更新する必要があります。
/etc/inet/networks の構文についての詳細は、networks(4) のマニュアルページに含まれています。基本形式は、次のとおりです。
network-name network-number nickname(s) #comment
ネットワークの公式名
ISP またはインターネットレジストリが割り当てた番号
そのネットワークの別名
ファイルのエントリに追加する注釈
networks ファイルは必要に応じて更新する必要があります。netstat プログラムは、このデータベース内の情報を使用して状態テーブルを作成します。
次のコード例に、/etc/networks ファイルのサンプルを示します。
例 10-9 /etc/networks ファイル
#ident "@(#)networks 1.4 92/07/14 SMI" /* SVr4.0 1.1 */ # # The networks file associates Internet Protocol (IP) network # numbers with network names. The format of this file is: # # network-name network-number nicnames . . . # The loopback network is used only for intra-machine communication loopback 127 # # Internet networks # arpanet 10 arpa # Historical # # local networks eng 192.168.9 #engineering acc 192.168.5 #accounting prog 192.168.2 #programming
protocols データベースには、システムにインストールされている TCP/IP プロトコルとプロトコル番号の一覧が含まれています。このデータベースは、Oracle Solaris インストールプログラムによって自動的に作成されます。このファイルの管理が必要になることは、ほとんどありません。
このデータベースの詳しい構文については、protocols(4) のマニュアルページを参照してください。次のコード例に、/etc/inet/protocols ファイルのサンプルを示します。
例 10-10 /etc/inet/protocols ファイル
# # Internet (IP) protocols # ip 0 IP # internet protocol, pseudo protocol number icmp 1 ICMP # internet control message protocol tcp 6 TCP # transmission control protocol udp 17 UDP # user datagram protocol
services データベースは、TCP と UDP サービスの名前および既知のポート番号の一覧を含んでいます。このデータベースは、ネットワークサービスを呼び出すプログラムにより使用されます。Oracle Solaris インストールプログラムは、services データベースを自動的に作成します。通常は、このデータベースの管理作業を必要としません。
構文についての詳細は、services(4) のマニュアルページを参照してください。次に、典型的な /etc/inet/services ファイルからの抜粋を示します。
例 10-11 /etc/inet/サービス ファイル
# # Network services # echo 7/udp echo 7/tcp echo 7/sctp6 discard 9/udp sink null discard 11/tcp daytime 13/udp daytime 13/tcp netstat 15/tcp ftp-data 20/tcp ftp 21/tcp telnet 23/tcp time 37/tcp timeserver time 37/udp timeserver name 42/udp nameserver whois 43/tcp nickname