18.1. Windows Connector の概要

Note

Sun Ray Software 5.2 よりも前のリリースでは、Windows Connector は Sun Ray Connector for Windows OS または SRWC と呼ばれており、別にインストールする必要がありました。このリリースでは、Windows Connector は Sun Ray Software 製品の一部として自動的にインストールされます。

Windows Connector は、Microsoft リモートデスクトッププロトコル (Remote Desktop Protocol、RDP) クライアントです。これにより Sun Ray ユーザーはリモートの Microsoft Windows システムで実行するアプリケーションにアクセスできます。このクライアントは、Windows ベースのアプリケーションを使い慣れているユーザー、または Sun Ray クライアントから特定の形式のドキュメントにアクセスするユーザーに特に便利です。ユーザーは、全画面またはウィンドウで Sun Ray クライアントから Windows デスクトップにアクセスできます。

Windows Connector を構成するには、キオスクモードを推奨します。キオスクモードを使用すると、Sun Ray クライアントの動作を Windows システムのように設定できます。これは、ユーザーが Oracle Solaris または Oracle Linux のログイン画面と対話する必要がなく、uttsc コマンドを指定する必要がなくなることを意味します。詳細については、Chapter 10, キオスクモードを参照してください。

前述のように、Windows Connector は Sun Ray クライアントと Windows システムの間に介在します。Figure 18.1, “Windows Connector の概要”に示すように、Windows Connector はリモートデスクトッププロトコル (RDP) を使用して Windows システムと通信し、Appliance Link Protocol (ALP) を使用して Sun Ray クライアントと通信します。

Figure 18.1. Windows Connector の概要

オプションのセッションディレクトリサーバー、Windows ターミナルサーバー、オプションのロードバランサ、RDP パス、Sun Ray サーバー、ALP パス、および Sun Ray クライアントを含む、Windows Connector アーキテクチャーを示した図。

Windows Connector が構成されると、ユーザーはキオスクモードが構成されていない場合は uttsc コマンドを使用して Windows システムに接続する必要があります。ユーザーはコマンドを変更して、画面サイズの指定や使用可能なプリンタのリストの指定など、さまざまな設定の変更やオプションに対応できます。

Table 18.1, “Windows Connector の機能”に、Windows Connector が提供する機能を一覧表示します。

Table 18.1. Windows Connector の機能

機能

説明

Section 18.6, “USB デバイスリダイレクション”

適切なデバイスドライバが Windows システムにインストールされていれば、ユーザーは Sun Ray クライアントに接続された USB デバイスに Windows セッションからアクセスできます。

Section 18.5, “ビデオの高速化”

Windows Connector は、ビデオストリームおよび Adobe Flash コンテンツのパフォーマンスを向上させる機能を提供します。提供されるサポートは、Windows OS によって異なります。

Section 18.4, “オーディオ入力”

ユーザーは、Windows システムに配置されているオーディオアプリケーションで、Sun Ray クライアント上のサウンドファイルを再生 (オーディオ出力) できます。Sun Ray クライアントから Windows システムへの録音 (オーディオ入力) もサポートされます。

クリップボード

Windows Connector では、Windows アプリケーションと、Oracle Solaris または Oracle Linux デスクトップで実行しているアプリケーションとの間で、テキストのカット&&ペーストは、サポートされているすべての言語 (中国語、日本語、韓国語などの 2 バイト言語を含む) で使用できます。Windows Connector は、RTF (リッチテキストフォーマット) でのコピー&ペースト機能をサポートしていません。

異なるアプリケーションの制限事項によって、同じような次の動作が発生します:

  • dtterm ウィンドウからコピー&ペースト操作を実行すると、それ以降、同じウィンドウから Windows アプリケーションに行うコピー&ペースト操作で、最初に行なった操作のデータが常に示されます。

  • dtpad から Windows アプリケーションへのカット&ペースト操作は機能しません。

  • カット&ペーストのメニューオプションは StarSuite アプリケーションからの転送では正しく機能しません。

Section 18.11, “圧縮”

Windows Connector は、RDP の一括圧縮を使用して、Windows Connector を実行している Sun Ray サーバーと Windows システムとの間で送受信されるデータを圧縮します。

Section 18.9, “ネットワークのセキュリティー”

Windows Connector は、さまざまなサイズのデータを 56 ビットまたは 128 ビットの鍵で暗号化する RSA Security 社の RC4 暗号化方式を使用し、Windows システムとの間で転送されるすべてのデータを保護します。または、ネットワークセキュリティーの拡張オプションにより TLS/SSL または CredSSP を使用して、プロトコルの使用およびシステム構成ごとにすべてのトラフィックを暗号化します。

ローカルドライブのマッピング

Sun Ray クライアントの USB ポートに接続されているフラッシュドライブなどのリムーバブルメディアデバイスのファイルシステムは、Windows 環境にマップされ、ローカルにマウントされたドライブとして表示されます。どのファイルも Sun Ray 環境から Windows 環境にマウントしてマップできます。通常は、代わりに USB リダイレクションを使用するようにしてください。

Section 18.16, “印刷”

Windows セッションから、Windows システム上のネットワークプリンタまたはローカルプリンタ、Sun Ray サーバー上のネットワークプリンタまたはローカルプリンタ、あるいは Sun Ray クライアントに接続されたローカルプリンタのいずれかの構成を使用して、Windows アプリケーションから印刷できます。

シリアルポートのマッピング

Sun Ray クライアントに接続されたシリアルデバイスに対して、Windows セッションからアクセスできます。シリアルデバイスは、Sun Ray クライアント上のシリアルポートに直接接続されるか、シリアルアダプタを使って接続されます。

Section 18.8, “セッションディレクトリ”

Windows Connector は、負荷分散情報とセッションディレクトリに基づいてサーバーセッションの再接続をサポートします。セッションディレクトリは、どのユーザーがどの Windows システムで、どのセッションを実行しているかを管理するデータベースです。セッションディレクトリの機能により、ユーザーは適切な Windows セッションに自動的に再接続できます。ターミナルサービスセッションの負荷分散は、Windows ターミナルサーバーにより透過的に処理されます。

Section 18.13, “スマートカード”

Windows Connector は PC/SC フレームワークを使用して、Windows システム上のアプリケーションが Sun Ray クライアントに挿入されたスマートカードにアクセスできるようにします。一般に、この機能は、デジタル証明書による二要素認証を提供するため、またはスマートカードに格納された電子シグニチャーやほかの情報の使用を許可するために使用されます。