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Oracle® Enterprise Manager Cloud Control Oracle Fusion Middlewareマネージメント・ガイド
リリース12.1.0.8
B66835-11
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2 ミドルウェア・ターゲットの管理

この章では、Enterprise Managerを使用してミドルウェア・ソフトウェアを監視する方法について説明します。


注意:

Oracleでは、WebLogicおよびService Oriented Architecture(SOA)のアプリケーションとインフラストラクチャの管理におけるベスト・プラクティスについて、自身のペースで進められる無料のコースが提供されます。このコースは、対話式の講義、ビデオ、レビュー・セッション、オプションの実演で構成され、約2時間行われます。

Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12c: ミドルウェア管理の自己学習のベスト・プラクティスは、http://www.oracle.com/webfolder/technetwork/tutorials/tutorial/em/Oracle%20Enterprise%20Manager%20Cloud%20Control%2012c%20Middleware%20Management%20Best%20Practices%20Self-Study%20Course/player.htmlで利用できます。


この章の内容は次のとおりです。

ミドルウェア・ターゲットの検出の詳細は、『Oracle Enterprise Manager Cloud Control管理者ガイド』を参照してください。

2.1 Enterprise Managerのミドルウェア・ターゲット

ミドルウェア・ターゲット(Oracle Fusion Middleware、Oracle WebLogic Domain、Oracle Application Server、JBoss Application Serverなど)を追加した後、ターゲットに関する情報全般(そのステータスや可用性など)を「ミドルウェア」ページで表示できます。各ターゲットをドリルダウンして、ターゲットの実行状況、デプロイされた場所、バージョン、ホーム・ディレクトリの場所などの詳細を知ることができます。

Oracle Enterprise Manager Cloud Controlを使用して、次のミドルウェア・ソフトウェアを監視できます。

  • Oracle Fusion Middlewareソフトウェア

  • Oracle Application Serverソフトウェア

  • Oracle以外のミドルウェア・ソフトウェア

2.1.1 Oracle Fusion Middlewareコンポーネント

ファームとは、Fusion Middleware Controlで管理されるコンポーネントの集まりです。これは、1つのOracle WebLogicドメイン、1台の管理サーバー、1台以上の管理対象サーバー、およびOracle Fusion Middlewareコンポーネント(ドメインにインストールおよび構成され、稼働している)で構成されます。


注意:

Enterprise Managerは、Fusion Middlewareリリース12.1.1ドメイン以降のファーム・ターゲットを作成しません。

Enterprise Managerを使用すると、次のOracle Fusion Middlewareコンポーネントを監視できます。

  • Oracle WebLogicドメイン、クラスタおよび管理対象サーバー: WebLogic Serverドメインは、1つの単位として管理する、論理的に関連付けられたWebLogic Serverリソースのグループです。ドメインには1つまたは複数のWebLogic Serverが含まれ、WebLogic Serverクラスタが含まれる場合もあります。クラスタは、アプリケーションのスケーラビリティおよび高可用性を提供するために連携して機能するWebLogic Serverインスタンスのグループです。Oracle Enterprise Managerを使用すると、ファーム、ドメイン、クラスタ、サーバーおよびデプロイされたアプリケーションを監視および管理できます。

  • Oracle SOA Suite: Oracle SOA Suiteでは、サービスを作成および管理し、SOAコンポジット・アプリケーションにオーケストレートできます。コンポジット・アプリケーションを使用すると、複数のテクノロジ・コンポーネントを1つのSOAコンポジット・アプリケーション内に容易に収集できます。Oracle SOA Suiteは異機種混在インフラストラクチャへの導入が可能であるため、SOAを段階的に企業に導入できます。次のいずれかを実行します。

    • BPEL Process Manager、Oracle Service Bus、Service EnginesなどのSOAコンポーネントの自動検出およびモデル化。

    • SOAコンポーネントの状態およびパフォーマンスの監視。

    • すべてのSOAインフラストラクチャ・アプリケーションにわたるインスタンスのフローの追跡。

    • システム、サービスおよび集合サービスの作成。

  • Oracle WebCenter: Oracle WebCenterは、標準ベースのサービス指向アーキテクチャで構築された、ソーシャル・アプリケーション、エンタープライズ・ポータル、コラボレート・コミュニティ、コンポジット・アプリケーションを作成できるコンポーネントの統合セットです。高度なインターネット・アプリケーションを開発するための動的なユーザー・インタフェース・テクノロジ、統合されたマルチチャネル・ポータル・フレームワークの柔軟性および機能、コンテンツ、コラボレーション、プレゼンス、およびソーシャル・ネットワーク機能を提供するサービスとして配信される水平的なEnterprise 2.0の機能のセットを組み合せています。これらのコンポーネントに基づいて、Oracle WebCenterは追加設定が不要な、エンタープライズ対応のカスタマイズ可能なアプリケーションであるWebCenter Spacesを、個人およびグループがより効率的に作業およびコラボレートできる構成可能な作業環境とともに提供します。

  • Oracle Web層: 構成内容は次のとおりです。

    • Oracle HTTP Server: Oracle HTTP Server(OHS)は、Oracle Fusion Middlewareがサポートするすべてのプログラミング言語およびテクノロジの基盤となるデプロイメント・プラットフォームです。これは、Webリスナーと、Webを介して静的および動的なページやアプリケーションをホストするフレームワークを提供します。Apache 2.xインフラストラクチャの実績あるテクノロジを基盤とするOHSには、ロード・バランシング、管理および構成を容易にする重要な拡張が組み込まれています。さらに、拡張モジュール(mod)も多数用意されており、これらをHTTPサーバーに追加することで他のエンタープライズ・アプリケーションやサービス向けの機能を拡張できます。次のいずれかを実行します。

      • Oracle HTTP Serverの検出および監視

      • サーバー・パフォーマンスおよび仮想ホスト・パフォーマンスを測定するメトリック・リストの表示。

      • アクセス中の上位URLの表示。

      • 構成情報の表示、比較および検索などのエンタープライズ構成管理タスクの実行。

      • Oracle HTTP Serverの起動、停止および再起動これは、管理対象およびスタンドアロンの両方のOracle HTTP Serverに適用されます。スタンドアロン・サービスとは、WebLogicドメインに関連付けられていないサービスです。

      注意: Cloud Controlコンソールは、管理対象およびスタンドアロンの両方のHTTP Serverをサポートします。

    • Oracle Web Cache: Oracle Web Cacheは、Web層で使用されるコンテンツ認識型のサーバー・アクセラレータ(リバース・プロキシ)で、Oracle HTTP ServerやOracle WebLogic Serverなど任意のWebサーバーまたはアプリケーション・サーバーで稼働するWebサイトのパフォーマンス、スケーラビリティおよび可用性を改善します。Oracle Web Cacheは、Oracle Fusion Middlewareで提供される主要なキャッシュ・メカニズムです。キャッシュ機能は、頻繁にアクセスされるURLをメモリーに格納することによって、Oracle Fusion Middlewareで稼働するWebサイトのパフォーマンス、スケーラビリティおよび可用性を改善します。次のいずれかを実行します。

      • アプリケーション・サーバーで稼働しているOracleAS Web Cacheインスタンスの自動検出および監視。

      • ターゲットに関連付けられたメトリックの表示、およびそのパフォーマンスの分析。

      • 構成情報の表示、比較および検索などのエンタープライズ構成タスクの実行。

  • Oracle Identity Management: これは、企業のリソース内のユーザーのアクセス権限を自動的に管理するエンタープライズID管理システムです。Oracle Identity Managementのアーキテクチャは、既存のインフラストラクチャ、ポリシーまたはプロシージャを変更することなく、要求の厳しいビジネス要件の大部分に対応します。すべてのOracleアプリケーションに共有インフラストラクチャを提供します。また、サード・パーティによるエンタープライズ・アプリケーション開発を容易にするサービスやインタフェースも提供します。これらのインタフェースは、アプリケーションにID管理を組み込む必要のあるアプリケーション開発者にとって有用です。

  • Oracle Portal: これは、E-Businessポータルの構築とデプロイを目的としたWebベースのツールです。これにより、エンタープライズ・ソフトウェア・サービスや情報リソースへのアクセス、および対話を目的としたセキュアで管理可能な環境が実現します。ポータル・ページは、複数ソースからのデータを単一ロケーションからアクセス可能にします。

  • Oracle Forms Servicesは、複雑なトランザクション・フォーム・アプリケーションをイントラネットやインターネットなどのネットワークにデプロイするための中間層アプリケーション・フレームワークです。Oracle Forms Servicesを使用することで、ビジネス・アプリケーション開発者はJavaコードを書くことなく、インターネットに対して最適化され、プロフェッショナルなユーザー・コミュニティの要件を満たす(あるいは超える)包括的なJavaクライアント・アプリケーションを迅速にビルドできます。これらのJavaクライアント・アプリケーションは、大量のデータの高速処理と、複雑な計算、分析およびトランザクションの迅速な完了を目的とした、必要に応じて利用可能なWebデプロイされるアプリケーションです。

  • Oracle Coherenceは、ミッション・クリティカルなアプリケーションの計画的な拡張を可能にするOracle Fusion Middlewareコンポーネントで、頻繁に使用されるデータに対する高速かつ信頼性の高いアクセス機能を提供します。Oracle Coherenceでは、複数のサーバー間でメモリのデータを自動的かつ動的にパーティション化することにより、サーバーの障害時にも継続的なデータの可用性およびトランザクションの整合性が確保されます。Oracle Coherenceは、共有インフラストラクチャとして、データの場所とローカル処理能力を結合し、リアルタイム・データ分析、インメモリー・グリッド計算、トランザクションおよびイベントの並列処理を実行します。Oracle Coherenceには、3つのエディションがあります。次のいずれかを実行します。

    • Coherenceクラスタおよびその様々なエンティティの検出と管理。

    • Coherenceクラスタのノード、キャッシュ、サービス、接続、接続マネージャ・インスタンスなど様々なコンポーネントの監視および構成。

    • プロビジョニング・アドバイザ・フレームワークに基づくCoherenceノードのデプロイおよびインストール。

  • Oracle Business Intelligenceは、ビジネス・インテリジェンス要件に対応する完全な統合ソリューションです。Oracle Business Intelligenceには、Oracle Business Intelligence Reporting and Publishing、Oracle Business Intelligence DiscovererおよびOracle Business Intelligence Publisherが含まれます。次のいずれかを実行します。

    • Oracle BI Suite EEのターゲットの手動での検出、および全体的な状態の監視。

    • Oracle BI Suite EEのターゲットにおけるパフォーマンスおよび可用性の問題の診断、通知および修正。

    • グラフおよびレポートを使用した、現在および履歴のパフォーマンス情報へのアクセス。

    • 構成情報の表示、比較および検索などのエンタープライズ構成管理タスクの実行。

  • Oracle Universal Content Managementシステムは、複数の異なる種類のコンテンツ管理に対応する統合アプリケーションを提供します。それはエンタープライズ・コンテンツ管理プラットフォームであり、これを使用すると、ドキュメント管理、Webコンテンツ管理、デジタル資産管理およびレコード保持機能を活用して、ビジネス・アプリケーションの構築と補完を行うことができます。コンテンツおよびアプリケーションの戦略的なエンタープライズ・コンテンツ管理インフラストラクチャを構築すると、コストの削減、エンタープライズ間のコンテンツ共有の容易化、リスクの最小化、高価で時間のかかる手動プロセスの自動化、および複数のWebサイトの単一プラットフォームへの(一元管理を目的とした)統合化が促進されます。ユーザー・フレンドリなインタフェース、ロールベースの認証およびセキュリティ・モデルを通じて、Oracle Universal Content Managementは、エンタープライズ全体のユーザーがコンテンツの表示、コンテンツでのコラボレーションおよびコンテンツのリタイアを行うことを可能にします。これにより、配布済または公開済のアクセス可能なすべての情報が確実に保護され、正確かつ最新のものとなります。

2.1.2 Oracle Application Serverコンポーネント

Oracle Application Server 10gのコンポーネント(Oracle Application Server Farms、Oracle Application Server Clusters、Oracle Application Servers、OC4J、Oracle HTTP Servers、Oracle Web Cache、Oracle Portal、Oracle Wireless、Oracle Forms Services、Oracle Reports Services、Oracle Business IntelligenceおよびOracle Identity Managementなど)を監視できます。

2.1.3 Oracle以外のミドルウェア・コンポーネント

Enterprise Managerは、Oracleミドルウェア・コンポーネントの監視だけではなく、Oracle以外のミドルウェア・ソフトウェアの監視にも使用できます。監視できるサード・パーティ・ミドルウェア・ソフトウェアには、次が含まれます。

  • WebSphereアプリケーション・サーバー

  • WebSphere MQ

  • JBoss Application Server

  • Apache Tomcat

  • Apache HTTPサーバー

監視可能なその他のサードパーティ・ミドルウェア・ソフトウェアは、My Oracle Support (http://support.oracle.com)のEnterprise Manager動作保証マトリックスを参照してください。

2.2 ミドルウェア・ターゲットの監視

Enterprise Managerでは、様々なパフォーマンス・データおよび管理機能が、ドメイン、サーバー、コンポーネントおよびアプリケーションごとに個別のWebベースのホーム・ページに編成されます。

2.2.1 ミドルウェアのサマリー・ページ

Enterprise Managerでは、ドメイン全体の集中監視、構成管理、プロビジョニング、リアルタイムのパフォーマンスおよび履歴パフォーマンスの分析を行えます。Fusion Middlewareプラグイン・リリース12.1.0.4から、一部の管理機能がCloud Controlコンソールで利用できます。これらの機能を使用すると、Oracle WebLogic Server管理コンソールやOracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlコンソールなどの管理コンソールにドリルダウンすることなく、Cloud Controlコンソールから直接、構成を変更できます。Cloud Controlで利用できる管理機能の例としては、JDBCデータ・ソースの管理(たとえば、データ・ソースの作成、編集、削除、テスト、制御)およびシステムMBeanブラウザへのアクセスによるMBeanの表示、編集および起動があります。ただし、管理および構成のすべての操作がCloud Controlから実行できるわけではなく、多くの場合、引き続き管理コンソールにドリルダウンする必要があります。

「ターゲット」メニューからアクセスできるミドルウェアのサマリー・ページには、管理対象ターゲットとして構成されているミドルウェア・コンポーネントの2つの異なるビューが表示されます。

これら2つのビューは、表ビューとヒート・マップ・ビューと呼ばれます。より一般的な表ビューには、ミドルウェアに関連するターゲットの詳細なサマリーが表示されるのに対し、ヒート・マップ・ビューでは、同じデータをより効率的でグラフィカルな方法で分析できます。ヒート・マップ・ビューでは、ターゲットはボックスとして表示され、各ボックスのサイズと色は潜在的な問題の領域を示します。管理者は、このビューを使用することにより、大量のデータを迅速に分析し、フィルタリングをカスタマイズし、問題をより効率的に特定できます。

「表」タブを使用して、ミドルウェア・ターゲットの追加や削除、およびターゲットに対する特定の監視構成プロパティの設定を行うことができます。

デフォルトでは、名前、タイプ、ステータスおよびメンバー・ステータス・サマリーがミドルウェア・ターゲットにリストされます。この表に、部門やライン・オブ・ビジネスなどの任意のグローバル・ターゲット・プロパティを列として追加できます。「ビュー」メニューから、「列」「列の管理」を選択します。

特に関連性の高い列は次のとおりです。

  • タイプ: 管理されるターゲットのタイプ。

  • ステータス: ターゲットの可用性(該当する場合)。Fusion Middlewareファームなど、コンポーネントのコレクションを表す一部のターゲットは、スタンドアロン・ステータスを持たないことに注意してください。

  • ステータスの詳細: ターゲットに関連付けられたミドルウェア・コンポーネントの可用性。WebLogicドメインに関連付けられたWebLogic Serverインスタンスの数など、ターゲットに関連付けられたコンポーネントの合計数がカッコの外側に表示されます。

  • バージョン: ターゲットのバージョン。

  • コンプライアンス・スコア: エンタープライズで定義されているコンプライアンス標準ルールへのターゲットのコンプライアンスの全体的な評価をコンプライアンス率として示します。100%のコンプライアンス・スコアは、ポリシーに完全に準拠していることを意味します。

2.2.1.1 ヒート・マップ

「ヒート・マップ」タブを使用して、ミドルウェア・ターゲットのヒート・マップ(「表」タブに表示されているルート・ターゲットに相当するヒート・マップのボックスとして示されるターゲット・セットのグラフィカル表現)を表示できます。バージョンや場所などの属性によってグループ化したり、場合によってはサマリー化できます。ボックスのサイズはメンバー・ターゲットの数を表します。ステータスの色は、「ステータス」またはWebLogic Serverのみ: CPU使用率に基づいてボックスの色付けを選択できます。グラフ要素にカーソルを合せるかをクリックすると、詳細を表示できます。

「WebLogic Serverのみ: CPU使用率」を選択すると、グラフにWebLogicサーバーを含むルート・ターゲットであるボックスが表示されます。ルート・ターゲットにWebLogicサーバーが含まれない場合、ビューに表示されません。ボックスのサイズは、含まれるWebLogicサーバーの数に基づいています。ボックスの色は、含まれるすべてのサーバーの平均CPU値に基づいています。ボックスを選択した後、右下の隅の「プロパティ」リージョンには、含まれるWebLogicサーバーの数および平均CPU値が表示されます。ツールチップを使用してこの情報を表示することもできます。

ボックスの色には意味があります。「ステータス」を選択した場合、赤はターゲットの複数のメンバーが停止していることを意味します。「WebLogic Serverのみ: CPU使用率」を選択した場合、その色はWebLogic ServerのCPU使用率を表します。赤はCPU使用率が高いことを示すのに対し、緑は低いことを指定します。

スライダを使用すると、どのCPU使用率が赤でどのCPU使用率が緑であるかを判断できます。


注意:

Enterprise Managerは、Fusion Middlewareリリース12.1.1ドメイン以降のファーム・ターゲットを作成しません。

ステータスおよびCPU使用率

「表示」ドロップダウン・メニューを使用して、2つの表示(「ステータス」または「WebLogicサーバーのみ: CPU使用率」)のいずれかに変更できます。

デフォルトのビューはステータス別であり、ターゲット・バージョンによって編成されています。これがデフォルトのビューですが、「オプション」リージョンを使用して様々な方法でデフォルトを変更してデータを整理できます。たとえば、ターゲットの場所やターゲットのライフサイクル・ステータスによってデータを整理できます。また、複数のレベルの組織を指定することもできます。たとえば、最初に場所によって整理してからバージョンによって整理することにより、異なる地理的領域における異なるバージョンのミドルウェア・ターゲットのヘルスを把握できます。

WebLogic Serverのみ: CPU使用率オプションは、WebLogic Serverのみをサポートします。各ボックスは、WebLogic ServerまたはWebLogic Serverの親(クラスタなど)を表します。WebLogic Serverが停止している場合や、CPUメトリック・データがまだ収集されていない場合、WebLogic Serverはグラフから除外されます。

「オプション」リージョンを使用したデータの編成

ヒート・マップ・ビュー内の各ボックスは、ターゲットまたはターゲット・セット(ファームやドメイン・ターゲットなど)を表します。ボックスのサイズは、メンバー・ターゲットの数を表します。したがって、ボックスが大きくなるほど、ターゲットに含まれるメンバーの数が増えます。

表示の優先順位を決定するフィールドを選択できる「最初の基準」フィールドおよび「次の基準」フィールドを使用して、表示を編成できます。

ドリルにより、「編成」メニューを使用してグループ化されたヒート・マップの1つのセクションに焦点を合せることができます。ヒート・マップの1つのセクションに焦点を当てるには、セクション・ヘッダーをダブルクリックしてドリルインします。そのボックス内にあるボックスのみ表示され、他のすべては非表示になります。ビューからドリルダウンするには、ヒート・マップの上で使用可能なロケータ・リンクを使用します。

「サマリー」オプションを使用すると、最も深い「最初の基準」ボックスが、それが含む個々のボックスのすべてを要約することによって1つのボックスになります。

潜在的に問題のあるターゲットに関する情報を取得するには、ターゲットのボックスにマウスを合せてクリックします。右側に表示される「プロパティ」リージョンには、ターゲットおよびそのメンバーの追加の詳細が表示され、より深くドリルダウンできます。

「プロパティ」リージョン

ボックスをクリックすると、選択されたターゲットに関連するプロパティが「プロパティ」リージョンに表示されます。これには、現在のヒープ・マップ・ビューに応じてメンバーのステータスまたは含まれるWebLogicサーバーの数の内訳が含まれる場合があります。「プロパティ」リージョンには、タイプやターゲット・バージョンなどのターゲット・プロパティが表示されます。定義されている場合、連絡先、ロケーション、部署などのユーザー定義プロパティも表示されます。このターゲットおよびその子のインシデント情報も表示されます。件数をクリックして、例外および問題を検索、表示および管理し、未処理のインシデントおよび問題を追跡できるインシデント・マネージャ・ページに移動できます。

色の重要度

ボックスの色にも意味があります。たとえば、ステータスの場合、赤はターゲットが停止中であることを示し、緑はターゲットが稼働中であることを示します。「オプション」リージョンを使用すると、色の範囲(赤の意味に対する緑の意味)をカスタマイズできます。デフォルトでは、ターゲットのメンバーの60%未満が稼働している場合、ヒート・マップ・ビューのボックスは赤ですが、メンバーの少なくとも95%が稼働している場合、ヒート・マップのボックスは緑になります。WebLogic Serverのみ: CPU使用率ビューの場合、色はWebLogic ServerターゲットのCPU使用率の範囲を表します。この場合、ボックスが赤くなるほど、CPUの使用率が高くなります。

色の範囲を変更するには、スライダを調整します。

2.2.1.2 ミドルウェアの管理対象ターゲットの検索

表およびグラフに表示されるターゲットの数を最小化してページのパフォーマンスおよびユーザビリティを向上するには、検索機能を使用します。

左にある「検索」リストは、ターゲット・タイプおよびコスト・センターなどのターゲット・プロパティを指定するために使用されます。ターゲット・タイプは、その領域の1つ以上のターゲットにアクセスできる場合にのみ、リストに表示されます。

右上にある「表示」メニューを使用して、チャート形式で表示するプロパティを選択します。たとえば、ライフサイクル・ステータスを選択して、ターゲット間のライフサイクル・ステータスの分布を表示します。

検索結果は階層として表示されます。この場合、表示されたすべてのターゲットがすべての検索フィールドと一致します。リーフ・ノードは、親のコンテキストで表示されます。この階層情報なしでフラット・リストとして結果を表示するには、表のツールバーで「階層の表示」ボックスの選択を解除します。

フィルタをクリアするには、プロパティ名の横にある「x」をクリックします。「検索」リストで、あるプロパティに対して複数のオプションが選択されている場合、その情報がチャートの上部に表示される(たとえば、複数のターゲット・タイプ)ことに注意してください。

注意: 1つのターゲットを検索しており、階層情報を必要としない場合、ほとんどのページで右上にある「ターゲット名」オプションを使用できます。

検索機能のその他の特長は、次のとおりです。

  • 「検索」ツリーのオプションが縮小されている場合も、表示されていないすべての検索オプションが適用されます。

  • 検索オプションを変更すると、ページの内容が自動的にリフレッシュされます。検索基準は、次回ページにアクセスしたときの新しいデフォルト検索として自動的に保存されます。

  • 表の「メンバー・ステータス・サマリー」列は、検索基準でフェッチされたターゲットのみを示します。たとえば、Smithという連絡先を持つターゲットのOracle WebLogicターゲット・タイプを検索する場合、Smithに一致するターゲットとその親のみがフェッチされ、「メンバー・ステータス・サマリー」列の番号を計算するために使用されます。Smithと一致しないターゲットは表示されず、サマリー列の計算に使用されません。

  • 検索問合せの結果がしきい値未満である場合にのみ、表に移入されます。

    たとえば、サイトに5000個のミドルウェア・ターゲットが存在し、しきい値が2000個のターゲットの表示に設定されている場合、ターゲットが多すぎて結果をフィルタ処理する必要があることを示す文とともに表が空になります。フィルタ処理後に基準と一致する1500個のターゲットがある場合、合計数が2000の制限未満であるため、すべてのターゲットが表に表示されます。しきい値が6000に設定されていた場合、ページにすべてのターゲットが表示されます。しきい値制限が非常に大きい場合はページが遅く実行されるので注意してください。

    デフォルトではしきい値は2000です。

    しきい値を変更するには、次のemctlコマンドを使用してoracle.sysman.emfa.MWTableTargetLimitプロパティを更新します。

    emctl set property -name oracle.sysman.emas.MWTableTargetLimit -value 2000
    

2.2.2 ターゲットのホームページ

ホームページにより、最も重要な監視データおよび最も頻繁に使用される管理機能をすべてWebブラウザから簡単に利用できます。

Enterprise Managerにログインし、ミドルウェア・ターゲットを選択すると、そのターゲットのホームページが表示されます。たとえば、「ミドルウェア」ページで「WebLogic Server」ターゲットをクリックすると、次の画面が表示されます。

図2-1 WebLogic Serverのホームページ

WebLogic Serverのホームページ

この図は、左側にターゲットのナビゲーション・ペイン、右側にコンテンツ・ページを示しています。ターゲット・ナビゲーション・ペインから、ツリーを開き、コンポーネントまたはアプリケーションを選択できます。ターゲットを選択すると、コンテンツ・ペインにターゲットのホームページが表示され、そのターゲットのメニューがページ上部のコンテキスト・ペインに表示されます。また、ターゲットのメニューは、ナビゲーション・ペインでターゲットを右クリックしても表示できます。

この図のコールアウト・テキストの説明は、次のとおりです。

  • ターゲット・ナビゲーション・ペインには、ナビゲーション・ツリー内のすべてのターゲットが示されます。

  • ページ・リンクのパーソナライズには、「ページのパーソナライズ」が表示されます。ここでは、たとえば表示するリージョン、リージョンの表示順序など、ページでのデータの表示方法をカスタマイズできます。

  • コンテンツ・ペインには、ターゲットの現在のページが表示されます。最初にターゲットを選択する場合、そのターゲットのホーム・ページが表示されます。

  • 動的ターゲット・メニューには、現在選択されているターゲットで実行できる操作のリストが表示されます。表示されるメニューは、選択するターゲットによって異なります。特定のターゲットのメニューには、右クリック・ターゲット・メニューで表示される操作と同じ操作が含まれます。

  • 右クリック・ターゲット・メニュー: 現在選択されているターゲットで実行可能な操作のリストが表示されます。このメニューは、ターゲット・ナビゲーション・ペインでターゲットの名前を右クリックすると表示されます。この図は、WebLogic Serverを選択してそのホームページを表示した後の時点を示すものですが、右クリック・ターゲット・メニューには、選択したターゲットの操作が表示されています。

  • ターゲット名には、現在選択されているターゲットの名前が示されます。

  • コンテキスト・ペインには、ホスト名、最後のページ・リフレッシュ時刻、「リフレッシュ」アイコンおよび「ページのパーソナライズ」アイコンが表示されます。

  • ビュー: ナビゲーション・ツリーでは、すべてを開く、すべて閉じる、最初にスクロール、最後にスクロールの各オプションを選択できます。

  • 「リフレッシュ」アイコンは、ページがいつリフレッシュされているかを示します。これをクリックすると、新しいデータでページがリフレッシュされます。(ブラウザ・ウィンドウをリフレッシュするとページ自体はリフレッシュされるが、新しいデータは取得されない)。

ページ上で適切なリンクをクリックするか、適切なメニュー項目を選択することで、ホームページから、Fusion Middleware ControlおよびWebLogic Server管理コンソールにもアクセスできます。

2.2.3 即時利用可能なパフォーマンス・メトリック

Enterprise Managerには、各ミドルウェア・ターゲットに対して事前定義されたパフォーマンス・メトリックのセットが用意されています。メトリック・データは、管理リポジトリで収集され、格納されます。事前定義済のメトリックの詳細は、Oracle Fusion Middlewareメトリック・リファレンス・ガイドを参照してください。管理リポジトリのデータ保持ポリシーの詳細は、『Oracle Enterprise Manager Cloud Control管理者ガイド』を参照してください。

たとえば、Enterprise Managerを使用すると、次のことを自動的に監視できます。

  • アプリケーション・サーバーのCPUまたはメモリー使用(Oracle WebLogic Serverによって実行されている個々のJava Virtual Machine(JVM)の詳細な監視を含む)。

  • アプリケーションから個々のサーブレットおよびEnterprise JavaBeans(EJB)までを含む、Java EEアプリケーションの応答性

  • Oracle HTTP Serverセッションのボリューム、接続時間およびエラー率

  • Oracle Web Cacheのヒット率およびボリューム

  • リクエスト数、最大処理時間および最大平均処理時間に基づく上位サーブレット

パフォーマンス・メトリックでは、メトリックの詳細は、現在のリアルタイムの値(30秒、1分または5分)または過去の値(過去24時間、7日または31日)で表されます。履歴情報は、グラフおよび表で表示されます。傾向を確認する場合はグラフを使用し、過去のメトリック重大度履歴の詳細を調査する場合は、表を使用します。即時利用可能なメトリックは、次の図に示されるパフォーマンス・サマリー・ページで表示できます。

図2-2 パフォーマンス・サマリー・ページ

「パフォーマンス・サマリー」ページ

パフォーマンス・ページに表示するグラフを変更し、その変更をユーザーごと、ターゲット・タイプごとに保存できます。カスタマイズした複数のバージョンのパフォーマンス・ページそれぞれに名前を付けて保存することもできます。これにより、前に作成したバージョンのページにすばやくアクセスできるため、時間を節約できます。パフォーマンス・サマリー機能を使用すると、名前付きのグラフ・ビューを作成できます。1つのプライマリ・ターゲットのコンテキストでは、常に汎用のパフォーマンス・ページが表示されます。ただし、そのターゲットのパフォーマンスは、他のターゲットのパフォーマンスに依存していたり、他のターゲットのパフォーマンスに影響する場合があります。これらの関係を調べるには、単一のパフォーマンス・ページで複数の関連するターゲットのメトリックをグラフ化できます。パフォーマンス・サマリー機能を使用すると、複数の関連するターゲットのメトリックをグラフ化できます。

2.2.4 履歴パフォーマンスの分析

Enterprise Managerでは、履歴メトリック・データを分析し、傾向分析を実行できます。Fusion Middleware Controlでは、履歴メトリック・データの分析は行えず、リアルタイム分析は1つのドメインに限定されます。Enterprise Manager Cloud Controlでは、収集されたメトリックは管理リポジトリに格納されるため、状況が変化した後もデータの分析が可能です。たとえば、履歴データおよび診断レポートを使用すると、数日前または数週間前に発生したアプリケーションのパフォーマンスの問題を調べることができます。

さらに、データを管理リポジトリから取得する期間をカスタマイズすることもできます。カスタマイズできる期間は、次のとおりです。

  • 過去24時間、過去7日間または過去31日間の事前定義済範囲

  • カスタマイズした任意の日、週、月、年数範囲

  • 任意の開始日および終了日(ただし、この期間は99年以内)

2.2.5 アラート通知用のメトリックしきい値の設定

メトリック設定を編集する場合、しきい値の提案機能を使用して、過去のパフォーマンスとの相違に基づくしきい値を計算します。しきい値は、監視するメトリック値が比較される境界の値です。たとえば、監視対象のメトリック値がしきい値を超えたときにアラートを生成するというように、しきい値を指定できます。監視対象のメトリックがそのクリティカルなしきい値を超えた場合にクリティカル・アラートを、または監視対象のメトリックがその警告のしきい値を超えた場合に警告のアラートを受け取ることができます。

ターゲットのホームページからしきい値の提案機能にアクセスするには、次の手順を実行します。

  1. ページの左上にあるターゲットのメニューから、「監視」「メトリックと収集設定」の順に選択します。

  2. 「メトリックと収集設定」ページで、目的のメトリックを見付けて、メトリックに関連付けられている鉛筆アイコンをクリックします。

  3. 「詳細設定の編集」ページで、「しきい値の提案」リージョンを見付けて、必要に応じてしきい値を変更します。

Enterprise Managerには、自動監視およびアラートの生成を簡単に行うための包括的な機能セットが用意されています。企業全体に分散しているターゲットの診断情報を収集して評価でき、また、ミドルウェアの広範囲にわたるパフォーマンス・メトリックは、事前定義済しきい値に対して自動的に監視されます。メトリックを選択すると、そのメトリックにしきい値が定義されているかどうかを判別できます。これらのしきい値は、アラートを生成するメカニズムとして使用されます。さらに、これらのアラートを使用して、ターゲットが稼働中か停止中か、レスポンス時間が遅くなっているかなどが通知されます。つまり、全体的なパフォーマンスを監視できます。

アラート条件を自動的に解決するための修正処理を設定できます。これらの修正処理により、アラートに対する日々の対応が自動的に実行されるため、処理時間を短縮し、ユーザーに問題が著しく影響する前に問題に対処できるようになります。

2.2.6 監視テンプレート

また、監視テンプレートを使用して、エンタープライズ全体の監視設定を簡単に標準化することもできます。パフォーマンス・メトリックと構成収集の設定を指定し、特定のターゲット・タイプの複数のターゲット全体に適用できます。

監視テンプレートには、次に示すとおり、通常Middlewareターゲットの監視に設定するすべてのパラメータが定義されています。

  • テンプレートを適用するターゲット・タイプ

  • メトリック(ユーザー定義のメトリックなど)、しきい値、メトリック収集スケジュールおよび修正処理

テンプレートを変更する場合、新しい変更内容を伝播するために、このテンプレートを関連するターゲットに再適用できます。監視テンプレートは必要に応じて何度でも再適用できます。

2.2.7 ブラックアウトの管理および作成

Enterprise Managerに同梱されるパフォーマンスおよび状態メトリックにより、使用する環境のアプリケーション・ターゲットを自動的に監視できます。メトリックが事前定義済の警告またはクリティカルしきい値に達すると、アラートが生成され、管理者に通知されます。

ただし、ミドルウェア・ターゲットでメンテナンス作業を実行する際に、ターゲットを停止している間はアラートを発生させたくない場合があります。その場合は、ブラックアウトをスケジュールし、ミドルウェア・ターゲットの監視を一時停止できます。

ブラックアウトによって、1つ以上の監視対象ターゲットに対するデータ収集アクティビティを一時停止できるため、ターゲットに対して計画されたメンテナンスを実行できます。この間に監視を続行すると、収集されたデータには、通常の日常操作の結果にはみられない傾向とその他の監視情報が表示されます。ターゲットのパフォーマンスについて、より正確で長期にわたる実態を把握するには、ブラックアウトを使用してデータ分析から特殊な状況を排除する必要があります。Enterprise Managerでは、新しいブラックアウトの定義、既存のブラックアウトのステータスの表示、および不要なブラックアウトの編集、停止、削除ができます。

2.2.8 WebLogic Serverにデプロイされたアプリケーションの監視機能の拡張

管理者の多くはしばしば、アプリケーション環境に固有の条件を確認するためのカスタム・ロジックを作成する必要があります。Enterprise Managerでは、Enterprise Managerのイベント監視インフラストラクチャにアプリケーション・インスツルメンテーションを統合できます。アプリケーション開発者がJMXまたはWebサービス操作などの規格を使用してアプリケーション・インスツルメンテーションを公開する場合、使いやすいコマンドライン・ツールを使用してインスツルメンテーション用の管理プラグインを作成し、Enterprise Managerのイベント監視システムを利用してそれを監視できます。このようなインスツルメンテーションを統合するためにXMLファイルを編集したり、統合コードを作成する必要はありません。次の手順にそのまま従い、アプリケーション定義のインスツルメンテーションを統合します。

  • JMXのMBeanインタフェースとWebサービスのWSDLを分析するコマンドライン・インタフェースを使用して、管理プラグインを作成します。

  • Enterprise Managerに管理プラグイン・アーカイブをインポートします。

  • 管理プラグインを管理エージェントにデプロイします。

  • 管理プラグイン・アーカイブに定義されているターゲット・タイプのターゲット・タイプ・インスタンスを作成します。

  • Enterprise Managerのイベント監視システム(監視テンプレート、修正処理、履歴およびリアルタイム・メトリック・ビュー、アラート、通知ルールのカスタマイズ、アプリケーション・インスツルメンテーション・メトリックから生成されたイベントのメソッドなど)を利用します。

管理者は、即時利用可能なパフォーマンス・メトリックの他に、Oracle WebLogic ServerにデプロイされるJMX装備のアプリケーション用のパフォーマンス・メトリックを追加できます。さらに、管理者はJMX対応のアプリケーションを監視できます。これを行うには、管理プラグインを使用して監視できる新しいターゲット・タイプを定義し、コマンドライン・ツールemjmxcliを使用してターゲット・メタデータと収集ファイルの生成を自動化します。管理ツールであるEnterprise Managerだけで、WebLogic ServerにデプロイされているすべてのJMX対応アプリケーションを統合および監視できます。

管理プラグインを作成する方法の詳細は、『Oracle Enterprise Manager Cloud Control拡張プログラマーズ・ガイド』を参照してください。メトリック拡張を作成する方法の詳細は、『Oracle Enterprise Manager Cloud Control管理者ガイド』を参照してください。

2.3 パフォーマンスの問題の診断

この項では、パフォーマンスの問題の診断に使用するメソッドとツールについて説明します。次のいずれかを実行します。

  • 最もアクティブなサーブレットおよびJSPの一覧表示、およびボトルネックの原因となっているサーブレットおよびJSPの特定。

  • アプリケーションの依存性とパフォーマンスを使用したJava EEおよびSOAアプリケーションの分析。

  • Java診断を使用した本番環境でのパフォーマンスの問題の診断。

2.3.1 ホームページを使用したパフォーマンスの問題の診断

パフォーマンスの問題をトラブルシューティングする場合、最もアクティブなサーブレットまたはJSPを認識しておくと役立ちます。WebLogic Serverのホームページの「最も頻度の高いリクエスト」セクションでは、WebLogic Serverインスタンスで実行されている最もアクティブなJavaサーブレット、JSP、WebサービスまたはJava EEサービスを識別できます。

アラート通知を受信した場合、Enterprise Managerを使用して簡単にその問題を調べ、必要に応じて修正処理を実行できます。たとえば、CPUがWebLogic Serverによって過剰に使用された場合は、そのインスタンスで実行されているアプリケーションが調べられることになります。WebLogic Serverのホームページの「最も頻度の高いリクエスト」セクション内の「サーブレットとJSP」タブを使用すると、ボリュームが最大または応答性が最小のアプリケーションを迅速に識別できます。その後、ボトルネックを特定するために、アプリケーションのサーブレット、Java Server Pages(JSP)またはEJBをドリルダウンして診断できます。

図2-3 WebLogic Serverのホームページ

WLSのホームページ(最も頻度の高いリクエスト)

2.3.2 診断スナップショット

診断スナップショットには、問題を診断するために必要なすべてのデータが格納されています。実際の診断スナップショット・データは、診断スナップショットの生成に含まれるターゲットによって異なります。JVMとWebLogic Serverの両方の診断情報とログ・データをスナップショットにまとめて表示し、別のCloud Controlシステムにエクスポートまたはインポートして後で分析することができます。これにより、管理者は問題の根本原因を特定して、再発を防止することができます。これらのスナップショットは、Fusion Middlewareのサポート・ワークベンチ機能を補完するもので、現在はサポート・リクエストへの診断スナップショットの添付が含まれています。

診断スナップショットは、WebLogic Java EE Server、Java EE Application、Fusion Java EE ApplicationまたはCustom Java EE Applicationターゲットなど、1つ以上のEnterprise Managerターゲットのコンテキストで生成できます。これらのターゲットは単一のWebLogicドメインの一部であることも、複数のWebLogicドメインであることも可能です。

診断スナップショットの生成時には、診断スナップショットの名前付け、診断スナップショットの生成に使用するターゲットの選択、スナップショット用のデータを収集する期間の選択、そして生成された診断スナップショット・データを同じEnterprise Managerインスタンスにインポートするか、単一または複数のファイルにエクスポートして後で別のEnterprise Managerインスタンス(または同じEnterprise Managerインスタンス)にインポートできるようにするかのオプション選択を行うことができます。

ビデオ・デモンストレーション

診断スナップショットを取得する方法のデモンストレーションを表示するには、次のURLにアクセスして「Begin Video」をクリックします。

https://apex.oracle.com/pls/apex/f?p=44785:24:0::NO:24:P24_CONTENT_ID,P24_PREV_PAGE:5465,1

2.3.3 ログ・ファイル・ビューア

WebLogicやOracle Fusion Middlewareで生成されたログをすべてのOracle Fusion Middlewareコンポーネントにわたって集中して検索することができます。時間、重大度、実行コンテキストID(ECID)などのログ・プロパティに基づいて、構造化されたログ検索を実行できます。ログ・ファイルをダウンロードするか、メッセージをファイルにエクスポートすることも可能です。この機能を使用すれば、ファイル・システム上の格納先を問わず、ログ・ファイルに簡単にアクセスできます。

2.4 サポート・ワークベンチを使用した問題の監視

Enterprise Managerサポート・ワークベンチを使用すると、問題(クリティカル・エラー)を調査および報告でき、解決できる場合もあります。最初の障害診断データの収集、サポート・リクエスト番号の取得およびOracleサポートへの診断データのアップロードを実行できます。また、サポート・ワークベンチでは、データ破損の問題などを解決できるOracleアドバイザへの容易なアクセスをお薦めおよび提供します。

Fusion Middlewareコンポーネントとの互換性

サポート・ワークベンチを使用して、次の操作を実行できます。

  • Oracle WebLogic Server

  • SOAインフラストラクチャ

サポート・ワークベンチの基本的なワーク・フロー

サポート・ワークベンチを使用して2つの基本的な方法で問題を管理できます。

  • 関連する問題をパッケージして、それらを解決するためにOracleサポートにアップロードすることによって、アラート通知に応答します。

  • 監視対象の問題を事前にパッケージして、それらを解決するためにOracleサポートにアップロードします。

アラートを受信して、サポート・ワークベンチを使用するプロセスは次のとおりです。

  1. Enterprise Managerエージェントが、設定されたしきい値を超えている1つ以上のメトリックを収集しました。

  2. アラート・ログがインシデントを生成し、管理者に保留中のアラートが通知されます。

  3. サポート・ワークベンチ内の問題を検索して表示します。

  4. My Oracleサポートにアクセスしてこの問題または類似している問題を検索し、この問題を解決する適切なアクションを決定します。検索が十分でない場合は、次の手順に進みます。

  5. 外部ファイルや実行したダンプなどのサポート資料を含む、My Oracleサポート用のパッケージを作成します。

  6. サービス・リクエストを作成します。

  7. パッケージをMy Oracleサポートにアップロードできます。

事前に問題を監視してOracleサポートにアップロードするプロセスは、前述の手順3から7と同じですが、手順5に進む前に、ユーザー報告の問題を開始してください。

この後の各項では、これらのタスクを実行する手順について説明します。

2.4.1 サポート・ワークベンチへのアクセスおよびログイン

次の各項では、サポート・ワークベンチにアクセスして、ログインする方法について説明します。

2.4.1.1 サポート・ワークベンチへのアクセス

サポート・ワークベンチにアクセスするには、次の手順に従います。

  1. ミドルウェアのホームページの「詳細」表で、「Oracle WebLogicドメイン」「Oracle WebLogicクラスタ」「Oracle WebLogicサーバー」のいずれかをクリックします。

  2. 「Oracle WebLogicドメイン」または「Oracle WebLogicサーバー」メニューから、「診断」を選択し、次に、「サポート・ワークベンチ」を選択します。

2.4.1.2 ログイン

ログインには、すでに設定してある優先資格証明または名前付き資格証明を使用します。あるいは、「新規資格証明」オプションを選択して、2つのログイン・オプションをオーバーライドできます。

  • 前提条件

    • ホスト資格証明には、ターゲットのAdrHomeの場所への書込み権限が必要です。

    • WebLogic資格証明は、WebLogic Serverに対する監視権限を持つ必要があります。

  • 優先資格証明の選択

    優先資格証明ページで優先資格証明としてすでに登録されている資格証明を使用する場合、これを選択します。

    優先資格証明により、ターゲットのログイン資格証明が管理リポジトリに格納され、管理対象ターゲットへのアクセスが簡素化されます。優先資格証明が設定されている場合、ターゲットへのログインは要求されず、自分の資格証明が認識されるEnterprise Managerターゲットにアクセスできます。優先資格証明はユーザーごとに設定されるため、管理されるエンタープライズ環境のセキュリティが保証されます。

  • 名前付き資格証明の選択

    名前付き資格証明ページで作成した名前付きプロファイルの資格証明を使用する場合は、これを選択します。

    このオプションを使用してホストまたはWebLogic Serverの優先資格証明をオーバーライドできます。名前付き資格証明は、システムでのユーザーの認証情報を指定します。名前付き資格証明にはユーザー名/パスワード、公開鍵と秘密鍵のペア、またはX509v3証明書を使用できます。

  • 新規資格証明の選択

    「新規資格証明」オプションを使用すると、定義済の優先資格証明または名前付き資格証明をオーバーライドできます。新しい資格証明を入力するとき、資格証明を保存して名前を付けることができます。このような資格証明は名前付き資格証明になります。


    注意:

    「新規資格証明」オプションを選択すると、サポート・ワークベンチにより資格証明を保存するよう求められます。

2.4.2 Fusion Middlewareサポート・ワークベンチの使用

Fusion Middleware内のサポート・ワークベンチを使用して、次の操作を実行できます。

  • 集計診断サマリーの表示

  • 問題を診断するためのテストの実行

  • 問題の作成、パッケージ化およびOracleサポートへのアップロード

後続の各項では、これらの診断タスクについて説明します。

2.4.2.1 診断の表示

この手順は、WebLogic Serverでインシデントが発生し、アラート通知が受信されたことを想定しています。問題を解決する適切なアクションを決める必要があります。

  1. ドメイン・ホームページのドロップダウンメニューから、「監視」を選択し、「インシデント・マネージャ」を選択します。

  2. 調査するインシデントの「ターゲット」列のリンクをクリックします。

  3. 表示されるページの「モニタリングと診断」セクションで、「サポート・ワークベンチの問題」番号付きリンクをクリックします。

2.4.2.2 集計診断サマリーの表示

Fusion Middlewareは複数のシステムにデプロイされているため、インシデントは複数の自動診断リポジトリ・ホームに記録されます。次の手順は、インスタンス、製品ファミリまたはクラスタ・アプリケーションによって集計されたすべてのターゲットおよび自動診断リポジトリ・ホームにわたる診断データのクイック・サマリーを取得する方法を示します。

この手順は、Fusion Middlewareのコンテキスト内のWebLogicドメインおよびWebLogicクラスタに適用されます。この手順は、WebLogicドメインにデプロイされているサーバー上で、複数のFusion Middlewareインシデントが発生したことを想定しています。

  1. 関連するターゲットからアラートを受信した後、Fusion Middlewareインスタンス、製品ファミリまたはクラスタ・アプリケーションのホームページにアクセスします。

  2. ドロップダウン・メニューから、「診断」を選択し、次に、「サポート・ワークベンチ」を選択します。

    サポート・ワークベンチのホームページが表示され、アプリケーション別に集計された問題およびインシデントのサマリー表が表示されます。

    図2-4 集計診断サマリー

    図2-4の説明が続きます
    「図2-4 集計診断サマリー」の説明

  3. 表をソートし、問題およびインシデントの数が最も多いWebLogic Serverを確認します。

  4. 個別のサーバーのサポート・ワークベンチ・ページをドリルダウンし、サーバーに関する詳細な診断情報(問題やインシデントなど)を表示します。

2.4.2.3 問題の検索

次の手順は、すでに問題がEnterprise Manager内に記録されていることを前提としています。

  1. サポート・ワークベンチのホームページで、「問題キーによるフィルタ」フィールドに検索基準を入力し、次に「実行」をクリックします。

    検索基準には、日付範囲、SR番号、バグ番号などの検索に使用するキーワードが含まれます。

あるいは、「拡張検索」リンクをクリックして検索基準を指定し、次に「検索」をクリックします。

2.4.2.4 問題に関する注釈の追加

問題に関して短いメモを追加して、この問題を他の管理者にも通知しておくような場合があります。

  1. ドメイン・ホームページのドロップダウンメニューから、「監視」を選択し、「インシデント・マネージャ」を選択します。

    インシデント・マネージャ・ページが表示され、表内にオープンなインシデントが表示されます。

  2. インシデント・マネージャ・ページの右下で、「コメントの追加」リンクをクリックします。

  3. 表示されたポップアップにコメントを追加して、「OK」をクリックします。

    このコメントはEnterprise Managerによって記録され、この管理者または他の管理者がこの問題を調べる場合に再表示されます。

2.4.2.5 ファイルの追加

診断ダンプなどの診断に使用できる情報をさらにインシデントに追加する場合があります。

  1. サポート・ワークベンチのホームページで、診断を追加する問題の「ID」リンクを選択します。

  2. インシデントの詳細ページで、関連するインシデントの「ID」をクリックします。

  3. 「追加の診断」タブを選択します。

  4. 表内のリストから診断を選択して、「実行」をクリックします。

  5. ユーザー処理を実行ページで必要なパラメータに値を入力し、実行スケジュールを設定して、次に「送信」をクリックします。

  6. 確認メッセージが表示された「OK」をクリックします。

    診断ダンプが実行され、結果がインシデントに追加されます。

2.4.2.6 パッケージの作成

パッケージを作成するには2つのオプションがあります。次のいずれかを実行します。

  • アラート通知から開始されるパッケージを作成します。

  • 監視対象の問題からパッケージを事前に作成します。

アラート通知から開始されるパッケージを作成するには、次の手順を実行します。

  1. サポート・ワークベンチのホームページで、パッケージする問題の「ID」リンクを選択します。

  2. 表示される「問題の詳細」ページで、「クイック・パッケージ」をクリックします。

    「クイック・パッケージング」ウィザードが表示されます。

  3. ウィザードで必要な情報入力し、「送信」をクリックします。

    このウィザードのほとんどは説明を必要としません。次のウィザード手順は、入力が必要です。

    • 新規パッケージの作成

      • パッケージ名: システム提供の名前を使用するか、任意の説明的な名前を指定します。

      • パッケージの説明: このパッケージに含まれる内容の確認用に任意の長さの説明を指定します。

      • Oracleサポートに送信: このオプションを有効にすると、処理が完了した場合に、パッケージ用のアップロード・ファイルが正常に生成されたことを示す確認メッセージが表示され、また、そのファイルの場所も表示されます。

        すぐにパッケージをOracleサポートに送信しない場合、後でパッケージの詳細ページから実行できます。「いいえ」を選択すると、アップロード・ファイルは生成されますが、Oracleに送信されません。

      • サービス・リクエスト番号: このパッケージに関連するSRを入力します。これは、アップロードする場合のみ必要です。

    • スケジュール

      • 即時/後で: すぐにではなく、後でアップロード・ファイルを生成する場合に、データベース・タイムゾーン、OMSタイムゾーンなど、別のタイムゾーンで時間を指定しないかぎり、タイムゾーンを変更する必要はありません。

      • ホスト資格証明: 要求されるホスト資格証明は、ターゲット・データベースを起動するために使用される資格証明と同じである必要があります。

監視対象の問題からパッケージを事前に作成するには、次の手順を実行します。

  1. サポート・ワークベンチのホームページの「関連リンク」セクションで、「ユーザー報告の問題の作成」をクリックします。

  2. 表示されるページで、問題のタイプを選択して「問題の作成の続行」をクリックします。

  3. 前述の手順2と3の指示に従います。

2.4.2.7 ファイルの追加

外部ファイルなどの追加の情報をパッケージに追加する場合があります。この手順は、パッケージが作成されていて、問題に関して追加の診断が生成されていることを想定しています。

  1. サポート・ワークベンチのホームページで、変更するパッケージの「パッケージ済」列で、「はい」をクリックします。

  2. パッケージ・ページで、パッケージ名のリンクをクリックします。

  3. パッケージの詳細ページで「パッケージのカスタマイズ」をクリックします。

    パッケージのカスタマイズ・ページが表示され、このページでパッケージのコンテンツを編集し、追加の診断データを生成および含め、またはユーザー・データを修正できます。

2.4.2.8 Oracleサポートへのパッケージのアップロード

  1. 前述の項で説明しされているパッケージの詳細ページで、「アップロード・ファイルの生成」をクリックします。

  2. パッケージ・ファイル・タイプを指定し、スケジュールを選択して、「送信」をクリックします。

  3. 確認メッセージが表示されたら、「OK」をクリックします。

  4. 「Oracleに送信」をクリックします。

  5. 既存のSRを選択するか、またはパッケージをアップロードするための新規のSRを作成します。

2.4.2.9 サービス・リクエストの作成

問題を作成してOracleサポートにアップロードした後、Oracleサポートを通じて問題に対応するためにサービス・リクエストを作成する場合があります。

  1. Cloud Controlコンソールの「エンタープライズ」メニューから、「My Oracle Support」を選択してから、「サービス・リクエスト」を選択します。

    シングル・サインオン資格証明を入力すると、My Oracle Supportサイトの「サービス・リクエスト」が開きます。

  2. 「「問合せ」SRの作成」をクリックします。

  3. 表示されるウィザードで必要な入力を行い、「送信」をクリックします。

2.4.2.10 問題の解決の管理

問題が解決したら、自動診断リポジトリ(ADR)が問題に必要なメモリーをパージできるように、問題をクローズします。

  1. サポート・ワークベンチのホームページで、管理する問題の「ID」リンクをクリックします。

  2. 問題の詳細ページの「調査と解決」セクションで、「問題解決の管理」をクリックします。

    表示されるインシデント・マネージャ・ページでは、いくつかの管理オプションが使用できます。

Enterprise Managerでのインシデントの管理の詳細は、『Oracle Enterprise Manager Cloud Control管理者ガイド』インシデント管理の使用の章を参照してください。

2.5 ミドルウェア・ターゲットの管理

IT組織には通常、定期的に管理をする複数のWebLogicドメインがあります(テスト環境、ステージ環境、本番環境など)。これらの各ドメインの管理コンソールの詳細(URLや資格情報など)を覚えておくことは難しく、また、管理操作を実行する必要があるごとに、適切なコンソールにログオンするのは煩雑な場合があります。

Enterprise Manager Cloud Controlは、共通のWebLogic管理操作をそのコンソールを使用して直接実行し、それによって、Oracle WebLogic Server管理コンソールやOracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlのコンソールにドリルダウンする必要を排除することで、こうした問題に対応します。

Cloud ControlコンソールおよびFusion Middlewareプラグインから直接利用できる管理操作を、次に示します。

  • 編集セッション中に他の管理者が変更を加えないように、構成変更する前に、チェンジ・センターを使用してドメイン構成をロックします。チェンジ・センターを使用すると、管理者は構成変更を有効にするためにはどのサーバー・インスタンスを再起動する必要があるかがわかるので、ロックを解除し、変更を有効にしまたは変更を取り消して、変更の管理を続行できます。

  • システムMBeanブラウザを使用して、特定のOracle WebLogic Serverまたはアプリケーション・デプロイメント・ターゲットのMBeansを表示、構成および使用します。

  • JDBCデータ・ソースを作成、編集、削除、管理および検査します。

  • ドメインの構成タスクを自動化するために、Cloud Controlコンソールでの構成アクションを一連のWebLogic Scripting Tool (WLST)コマンドとして記録し、その後、WLSTを使用してそれらのコマンドを再生します。

  • ログ・ファイルの場所、メッセージの形式(Oracle Diagnostic Logging - Text、Oracle Diagnostics Logging - XMLなど)、永続ロガーおよびアクティブ・ランタイム・ロガー両方のログ・レベル、ローテーション・ポリシー(サイズ・ベースか、時間ベースか)などのログ・ファイル設定を構成します。こうした設定は、次のFusion Middlewareターゲット・タイプのログ・ファイルで使用できます。Oracle WebLogic Server、アプリケーション・デプロイメント、SOAインフラストラクチャ、Essbaseサーバー、ディレクトリ統合プラットフォーム・サーバー、Oracle Virtual Directory、Oracle Reportsアプリケーション、Oracle Reports Bridge、Oracle Reports ServerおよびOracle Reportsツール。

  • 選択的トレースを実行すると、特定のアプリケーション名やリクエストの他の特定の属性(ユーザー名やクライアント・ホストなど)に限定した、よりきめ細かいログ・データを取得できます。

  • 管理サーバー、管理対象サーバー、クラスタ、ドメインまたは他のFusion Middlewareコンポーネント(たとえば、管理対象およびスタンドアロンのOracle HTTP Server、Oracle Data Integratorエージェントなど)をただちに起動、停止、再起動します。または将来の時点で発生するように操作をスケジュールします。詳細は、2.5.1項を参照してください。

  • Oracle WebLogicドメイン、Oracle WebLogicクラスタ、Oracle WebLogic Server、サーバー・テンプレート(WebLogicリリース12以降のみに適用可能)、マシン構成の各設定の表示および編集。これらの構成に対して行われた変更は、Cloud Controlコンソールのチェンジ・センター機能によって管理されます。

2.5.1 ミドルウェア・ターゲットの停止、起動または再起動

管理サーバー、管理対象サーバー、クラスタ、ドメインまたは他のFusion Middlewareコンポーネント(たとえば、管理対象およびスタンドアロンのOracle HTTP Server、Oracle Data Integratorエージェントなど)の停止、起動または再起動ができます。次の手順を実行します。

  1. 「ターゲット」メニューから、「ミドルウェア」を選択します。

  2. ミドルウェア・ページで、管理サーバー、管理対象サーバー、クラスタ、ドメインまたは他のFusion Middlewareコンポーネント(たとえば、管理対象およびスタンドアロンのOracle HTTP Server、Oracle Data Integratorエージェントなど)のいずれかを選択します。

  3. ホームページのコンテキスト・メニューから、「制御」を選択し、次に、要件に応じて「起動」、「停止」または「再起動」のいずれかを選択します。


    注意:

    Oracle WebLogicドメインおよびクラスタでは、起動および停止操作のみがサポートされます。再起動操作はサポートされていません。

  4. 「起動」、「停止」または「再起動」のページで、次の詳細を指定して「OK」をクリックします。

要素 デフォルト値 説明
停止前にブラックアウトを作成

(停止操作の場合のみ表示されます)

選択 ターゲットが停止される前にターゲットでブラックアウトを作成します。デフォルトでは、このオプションが選択されます。ターゲットでブラックアウトが自動的に作成されないようにする場合、選択を解除します。

注意:

  • このオプションは再起動操作には表示されません。

  • 選択したターゲットがコンポジット・ターゲットの場合、Enterprise Managerはそのすべてのメンバー・ターゲットに対してブラックアウトを作成します。

  • このオプションを選択すると、起動または停止操作が失敗した場合でもブラックアウトがターゲット上に作成されます。

起動後にブラックアウトを終了

(起動操作の場合のみ表示されます)

選択 ターゲットが起動した後にターゲットでブラックアウトを終了します。デフォルトでは、このオプションが選択されます。ターゲットでブラックアウトが自動的に終了されないようにする場合、選択を解除します。

注意:

  • このオプションは再起動操作には表示されません。

  • 選択したターゲットがコンポジット・ターゲットの場合、Enterprise Managerはそのすべてのメンバー・ターゲットに対してブラックアウトを終了します。

  • このオプションを選択すると、起動または停止操作が失敗した場合でもブラックアウトがターゲット上で終了します。

管理サーバーを含む

(Oracle WebLogicドメインの場合のみ表示されます)

選択されていない 管理サーバーが属するOracle WebLogicドメインの起動または停止時に、管理サーバーも起動または停止させる場合に選択します。

注意: 管理サーバーを停止できるのは、管理サーバーを監視している管理エージェントが管理サーバーと同じホスト上で稼働している場合のみです。

タイムアウトまでの時間(分) ターゲットごとに5分 ターゲットの起動、停止または再起動の試行を終了して、エラーを生成するまでジョブが待機する時間制限(分)を設定します。

デフォルトでは、5分に設定され、各ターゲットに適用されます。コンポジット・ターゲットが選択されている場合、タイムアウトはメンバー・ターゲット単位です。

プロセス制御方法

(Oracle WebLogicドメイン、Oracle WebLogicクラスタ、Oracle WebLogic Serverの場合のみ表示されます)

管理サーバー 停止、起動または再起動操作を実行する方法を次のいずれかから選択します。

注意: 特定のターゲット・タイプに適用不可能なオプションは無効です。

  • 管理サーバー

    管理サーバーを使用してターゲットを起動、停止または再起動します。

    このオプションの場合、前提条件として、管理サーバーが起動しており、サーバーを監視するOracle Management Agentによってアクセス可能であることを確認します。

  • デフォルト・スクリプト

    <DOMAIN_HOME>/binディレクトリにあるstartManagedWeblogicスクリプトおよびstopManagedWeblogicスクリプトを使用して、ターゲットを起動、停止または再起動します。

    このオプションの場合、前提条件として、管理サーバーが起動しており、サーバーを監視するOracle Management Agentによってアクセス可能であることを確認します。また、サーバー用にboot.propertiesファイルを構成します。起動アイデンティティ・ファイルおよび構成手順の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverサーバーの起動と停止の管理』を参照してください。

  • カスタム・スクリプト

    指定するカスタム・スクリプトを使用して、ターゲットを起動、停止または再起動します。

    このオプションの場合、前提条件として、管理サーバーが起動しており、サーバーを監視するOracle Management Agentによってアクセス可能であることを確認します。また、サーバー用にboot.propertiesファイルを構成します。ブート・アイデンティティ・ファイルの詳細およびこれらの構成方法については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverサーバーの起動と停止の管理』を参照してください。

資格証明 優先 ターゲットのタイプがスタンドアロンOracle HTTP Serverの場合は、スタンドアロンのOracle HTTP Serverが稼働しているホストの資格証明を入力します。他のすべてのターゲット・タイプの場合は、ターゲットが稼働しているホストの資格証明と、Oracle WebLogicドメインの資格証明を入力します。

すでにEnterprise Manager Cloud Controlに資格証明を登録している場合は、優先資格証明または名前付き資格証明を使用できます。または、優先資格証明または名前付き資格証明をオーバーライドする新しい資格証明を入力することもできます。



注意:

リモート管理エージェントがOracle Data IntegratorエージェントなどのJava EEアプリケーション・ターゲットを監視している場合、このJava EEアプリケーション・ターゲットの起動、停止または再起動時にエラーが表示される可能性があります。リモート管理エージェントは、ターゲットが稼働しているホストにインストールされていない管理エージェントです。

このエラーを回避するには、次の手順を実行します。

  1. Java EEアプリケーション・ターゲットが稼働しているホストで、ミドルウェア・ホーム内の次の場所に移動します。

    cd $<MIDDLEWARE_HOME>/wlserver_10.3/server/lib

    次に例を示します。

    cd /u01/software/middleware/wlserver_10.3/server/lib/

  2. wlfullclient.jarファイルを生成します。

    java -jar wljarbuilder.jar

  3. 管理エージェントが稼働しているリモート・ホストで、生成されたwlfullclient.jarファイルを管理エージェント・ホームの次の場所にコピーします。

    <AGENT_HOME>/sysman/jlib

    次に例を示します。

    cp /u01/software/middleware/wlserver_10.3/server/lib/wljarbuilder.jar /u01/software/agent/core/12.1.0.3.0/sysman/jlib/



注意:

起動、停止または再起動のステップで、ジョブが次のエラーによって失敗した場合は、この注意で説明されている回避手順に従って問題を解決してください。

リモート操作は終了しましたが、プロセスでstdout/stderrが閉じられませんでした

  1. ユーザー定義のカスタム・スクリプト・ファイルを開きます。

  2. エラーを発生させているコマンドを呼び出している行を特定します。

    次に例を示します。

    my $startStopScript = "/scratch/aime/wl_home/user_projects/domains/base_domain/bin/startManagedWebLogic.sh"; 
    
  3. 前述の行の後に、次のコード・スニペットを追加します。

    if($isWindows){
         $startStopScript= "cmd /c start /b $startStopScript";
         # redirecting to NUL
         close STDOUT;
         close STDERR;
         open(STDOUT, ">", "NUL");
         open(STDERR, ">", "NUL");
     } else{
         $startStopScript= "$startStopScript > /dev/null 2>&1 &";
    } 
    

2.6 ライフサイクル管理

Enterprise Manager Cloud Controlは、クローニング、パッチ適用、構成管理、継続的な変更管理、コンプライアンス管理、障害時リカバリ操作など、時間のかかるタスクを自動化することにより、ライフサイクル管理のあらゆる課題に簡単に対応できるライフサイクル管理ソリューションを提供します。

2.6.1 構成の管理

Enterprise Managerには、ミドルウェア・ターゲットに対して実行可能な一連の構成管理機能が用意されています。

Oracle Management Agentは、個々の構成からOracle Fusion Middlewareターゲットに関する構成情報を収集し、HTTP/HTTPSを介してこの情報をOracle Management Serviceに伝達します(そこで管理リポジトリに格納)。この情報は定期的に収集および更新され、変更内容の監査が保持されます。ミドルウェア・ターゲットの構成も収集されます。たとえばWebLogic Serverの場合、config.xml構成ファイルがWebLogic管理サーバーから収集されます。Enterprise Managerの構成管理機能により、ユーザーは特定のコンポーネントにある目的の構成データに効率的にアクセスできます。

これらの構成詳細を比較し、ミドルウェア・ターゲットの2つのインスタンス間の相違点と類似点を確認できます。最後に収集された2つの構成を比較したり、保存されている2つの構成を比較できるという柔軟性があります。また、1つの構成を複数の構成と比較したり、管理リポジトリ内の1つの構成を保存済構成と比較することもできます。比較操作で不要な矛盾が生じた場合、いずれかの構成がそれ以外の構成を置き換えるように構成を同期できます。この同期は、比較する構成に基づきオンデマンドで実行できます。

図2-5 構成の比較

構成ファイルの同期

デフォルトの比較テンプレートを使用して構成を比較することもできます。比較テンプレートは、特定のターゲット・タイプに関連付けられ、比較する構成アイテムのタイプおよびプロパティを決定します。テンプレートではルールまたは式を指定して、比較データの解析と比較の調整を行うことができます。たとえば、構成を比較したときの相違の内容によって、電子メール通知を開始する必要があるか無視するかをルールで指示できます。

Enterprise Managerを使用して、複数のミドルウェア・ターゲットにわたって構成を検索し、たとえばOracle Fusion Middlewareソフトウェアのインストール/パッチ・バージョンの組合せが適切でない、またはソフトウェア構成データの組合せが適切でないなど、構成の異常を検出できます。より高度な検索を実行すると、特定のアプリケーションまたはその他のリソースをホストしているすべてのコンポーネントを識別できます。よりインテリジェントな検索を作成して保存できます。たとえば、JDK 1.6.0_31を使用しているLinux 64ビット・プラットフォームで稼働する10.3.5のWebLogic Serverターゲットをすべて取得する新しい検索を作成できます。

また、BPEL Process Managerのターゲットの場合は、BPELプロセス、その様々なバージョン、および各バージョンに関連付けられているスーツケース・ファイルを表示できます。さらに、様々なバージョンのBPELプロセス・スーツケース・ファイルを比較し、各バージョンで実行された変更を追跡することもできます。これにより、BPELプロセス・スーツケース・ファイル内の変更に起因するパフォーマンスの改善または劣化の原因を特定できます。

2.6.2 コンプライアンスの管理

Enterprise Manager Cloud Controlは、次のコンプライアンス管理機能を提供します。

  • コンプライアンス結果機能では、ミドルウェア・ターゲットおよびシステムが、構成、セキュリティおよび記憶域の観点から企業のベスト・プラクティスに準拠しているかどうかを評価できます。さらに、コンプライアンス結果から、ミドルウェア・ターゲットおよびシステムをコンプライアンスに準拠させるために構成を変更する方法のアドバイスが得られます。

  • コンプライアンス・ライブラリを使用すると、次の対象を定義、カスタマイズおよび管理できます。

    • コンプライアンス・フレームワーク

    • コンプライアンス標準

    • コンプライアンス標準ルール

    このような自己定義型のエンティティを使用すると、企業または規制当局が定義した基準に対して環境をテストできます。

コンプライアンス管理の詳細は、『Oracle Enterprise Managerライフサイクル管理の管理者ガイド』を参照してください。

2.6.3 パッチの管理

パッチ適用は、ソフトウェア・ライフサイクルの重要なフェーズの1つであり、ソフトウェアを一定期間にわたって管理し、ソフトウェア・ベンダーから提供されるバグ修正や最新機能でソフトウェアを最新の状態にする場合に役立ちます。ただし、今日では、多数のソフトウェア・デプロイメントがエンタープライズで使用され、パッチ適用はかなり複雑になり、実際の管理は不可能です。

適用するパッチに関する自動化されたパッチ推奨をMy Oracle Supportから取得し、その後、パッチ計画を使用してパッチを適用できます。パッチ計画を使用することにより、1つ以上のターゲットに適用するパッチの集まりを作成できます。各ターゲットには、別々のパッチ・グループがあります。

さらに、パッチ計画のデプロイメント・オプションをパッチ・テンプレートとして保存すれば、そのパッチ・テンプレートから新しいパッチ計画を作成できます。これにより、ダウンタイムを最小化するためにローリング方式で、またはパラレル方式でパッチを適用できるため、組織にとって最善のパッチ・ロールアウトを実装できます。

Fusion Middlewareは、次の操作を可能にするために最善のパッチ管理を使用します。

  • 1つ以上のドメインにまたがるWebLogicサーバーへの1つ以上のパッチの適用

  • SOAインフラストラクチャ・ターゲットへのパッチ適用

  • パッチを実際に適用する前にパッチの競合または他の潜在的な問題を識別するための検証チェックの使用。

パッチ適用の詳細は、『Oracle Enterprise Managerライフサイクル管理の管理者ガイド』を参照してください。

2.6.4 プロビジョニング

管理者は、Oracle Fusion Middlewareソフトウェアの手動でのインストールおよび構成にリソースを費やすより、戦略的イニシアチブに時間と費用をかけたいと考えるでしょう。これを実現するために、Enterprise Managerでは、Oracle WebLogicドメインの拡張など共通的なプロビジョニング操作が自動化されています。クリティカルなデータ・センターに対する操作を、容易で、効率的で、かつスケーラブルなものにすることで、操作上のリスクや所有コストも低減できます。これらのプロビジョニング操作にアクセスするには、「エンタープライズ」メニューから、「プロビジョニングとパッチ適用」「Middlewareプロビジョニング」を順に選択します。

「Middlewareプロビジョニング」ページでは、次の操作を行うことができます。

  • Fusion Middleware関連のすべての操作へのアクセス

  • 将来のクローニング操作で使用できるプロファイルのソフトウェア・ライブラリでの作成。WebLogicドメインのプロビジョニング・プロファイルは、ミドルウェア・ホーム、バイナリおよびドメイン構成で構成されます。プロファイルを作成し、それをソフトウェア・ライブラリに保存し、保存済のプロファイルを新規WebLogicドメインを作成するためのソースとして使用できます。これにより、以降のWebLogicインストールでも標準の一貫した構成に準拠することができます。

  • 事前定義およびユーザー定義の両方のデプロイメント・プロシージャにアクセスして、ソフトウェアと構成をプロビジョニングできます。

  • 参照インストールまたはソフトウェア・ライブラリにあるプロファイルからWebLogicドメインまたはミドルウェア・ホーム(あるいはその両方)をクローニングする作業を自動化できます。

  • 新しい管理対象サーバーを既存のクラスタに追加するか、管理対象サーバーをクローニングすることにより、ドメインまたはクラスタのスケール・アップまたはスケール・アウトを自動化できます。

プロビジョニングの使用方法の詳細は、『Oracle Enterprise Managerライフサイクル管理ガイド』のミドルウェアのプロビジョニングに関する説明を参照してください。

2.6.4.1 テスト環境から本番環境へのクローニング

一般的に、WebLogicドメインをサポートする新しい環境を作成する場合、エラーの発生しやすい手動によるインストール手順や構成手順をいくつか伴います。Oracle Enterprise Managerでは、事前定義済でカスタマイズ可能なデプロイメント・プロシージャを使用して、わずかな作業と時間で新しい環境を作成できます。このデプロイメント・プロシージャでは、階層的な一連の手順により既存のWebLogicドメイン環境を新しいハードウェア・セットにクローニングできます。この事前定義済の手順は、編集または無効化でき、新しい手順またはカスタム・スクリプトを独自のビジネス・ニーズに合わせてデプロイメント・プロシージャに追加することもできます。

また、デプロイメント・プロシージャでは、sudo(super user do)またはPAM(Pluggable Authentication Modules)を使用したセキュアなホスト認証もサポートしています。管理者は、デプロイメント・プロシージャの実行時、ドメイン名、管理コンソールの資格証明、ポート値およびJDBCデータ・リソースなどの構成設定値を指定できます。プロシージャが完了すると、新しく作成されたWebLogicドメイン環境が検出され、集中管理および監視のために自動的にコンソールに追加されます。

2.6.4.2 ドメインのスケール・アウト

拡大するビジネス需要に対応するために、最新のデータ・センターではリソースの迅速な拡大と再配置が求められます。Oracle Enterprise Managerを使用すると、管理者は、管理対象サーバーを追加することでWebLogicドメインおよびクラスタを迅速に拡張し、増大するアプリケーションの負荷に対応できます。

2.6.4.3 Java EEアプリケーションのデプロイおよびアンデプロイ

WebLogic Server上でJava EEアプリケーション(たとえば、.warおよび.earファイル)をデプロイ、アンデプロイおよび再デプロイできます。ソフトウェア・ライブラリにJava EEアプリケーション・コンポーネントを作成し、アプリケーションの複数のバージョンをデプロイしたり、以前のバージョンにロールバックすることができます。

2.7 サービス・レベルの管理

Enterprise Managerを使用すると、Oracle BPEL Process Managerターゲット、Oracle Service Busターゲット、Oracle SOAコンポジット・インスタンスおよびSOAインフラストラクチャ・インスタンスなどのミドルウェア・ターゲットに対してインフラストラクチャ・サービスを作成できます。

インフラストラクチャ・サービスは依存性サービスで、ミドルウェア・ターゲットが依存するインフラストラクチャ・コンポーネントを識別します。インフラストラクチャ・コンポーネントとは、ホスト、データベース、アプリケーション・サーバーなどの、連携してミドルウェア・ターゲットをホストするインフラストラクチャ・コンポーネントを指します。

インフラストラクチャ・サービスは新しいシステムまたは既存のシステムのいずれかに作成でき、すでにインフラストラクチャ・サービスがある場合は、それをリフレッシュしても構いません。インフラストラクチャ・サービスおよびシステムを作成すると、ミドルウェア・ターゲットおよびミドルウェア・ターゲットが依存するコンポーネントの管理が向上します。

図2-6 SOAインフラストラクチャのサービスの作成

SOAインフラのインフラストラクチャ・サービスの作成

たとえば、Oracle SOAインフラストラクチャ・ターゲットにインフラストラクチャ・サービスの作成が終了すると、Enterprise Managerを使用して該当するSOAインフラストラクチャ・ターゲット内のすべてのプロセスの集合サービスを作成できます。集合サービスは、サービスの論理グループ化で、ここでは、インフラストラクチャ・サービスおよび可用性サービスを指します。集合サービスにより、SOAインフラストラクチャ・ターゲットに作成されたサービスの全体がわかり、それらの可用性、パフォーマンスおよび使用状況の監視に役立ちます。サービスの可用性は、基礎となるターゲットについてのメトリックと、期間の統合的トランザクションの実行に対するサービス・テスト結果の両方から構成できます。

サービスにはサービス・レベル(サービス品質の指標)を定義できます。サービス・レベルは、サービスが特定の可用性、パフォーマンスおよびビジネス基準を満たす時間の営業時間に対する割合として定義されます。

サービス・レベルは、サービスがサービス・レベル・ルールで定義されたパフォーマンスと可用性の基準を満たす時間の割合を示します。デフォルトでは、規定された営業時間の85%の期間、指定された基準を満たしていることが期待されます。サービスの期待度に応じて、この割合のレベルを上下できます。サービス・レベルでは、予測されるサービス・レベルと実際のサービス・レベルの2つのパラメータによりサービス品質が測定されます。

  • 予測されるサービス・レベル: サービス・レベルは、サービスがサービス・レベル・ルールで定義されたパフォーマンスと可用性の基準を満たす時間の割合を示します。デフォルトでは、規定された営業時間の85%の期間、指定された基準を満たしていることが期待されます。サービスの期待度に応じて、この割合のレベルを上下できます。

  • 実際のサービス・レベル: 実際のサービス・レベルでは、サービス品質の定義に使用されるベースライン基準を定義します。

2.7.1 サービス・ダッシュボード

サービス・ダッシュボードでは、サービスの重要な特徴(サービスのステータス、可用性およびタイプ、パフォーマンス、および該当のサービスに対して有効にされたSLAなど)を統合して表示できます。また、サービスのパフォーマンスや使用量のメトリック、主要コンポーネントのステータス、システム・インシデントも表示します。

サービスに関連するすべての情報を単一のページに表示でき、サービスの状態を評価できます。要件に応じてリージョンを追加または削除することでダッシュボードをカスタマイズし、すべてのユーザーがこれらの変更を利用できます。

また、ダッシュボードをパーソナライズして、変更が自身以外のユーザーに表示されないようにすることもできます。

2.8 ジョブ・システム

Enterprise Managerのジョブ・システムを使用して、自動化するタスクをスケジュールできます。ホームページで「制御」メニュー・オプション(プロセス制御ジョブのみで利用可能)を選択することにより、ターゲットのジョブをスケジュールできます。たとえば、Oracle WebLogic Serverに関して、そのWebLogic Serverの起動または停止の操作をスケジュールするジョブを作成できます。スケジュール済、稼働中、一時停止中のジョブ、または問題があるジョブの詳細を表示できます。また、ジョブを使用して、WLST(WebLogic Scripting Tool)スクリプトの実行を自動化することもできます。

WLSTスクリプトにアクセスするには、次の手順を実行します。

  1. 「エンタープライズ」メニューから「ジョブ」「ライブラリ」を順に選択します。

  2. 「ライブラリ・ジョブの作成」フィールドから、「WLSTスクリプト」を選択します。

ジョブ・システムとその機能の詳細は、『Oracle Enterprise Manager Cloud Control管理者ガイド』を参照してください。

2.9 トポロジ・ビューアのルーティング

Enterprise Managerには、ターゲット、コンポーネントおよび要素間のルーティング関係をグラフィカルに表現した、トポロジ・ビューアのルーティングが用意されています。リクエストがコンポーネント間でどのようにルーティングされているかを容易に確認できます。たとえば、Oracle Web CacheからOracle HTTP Server、管理対象サーバー、データソースに、リクエストがどのようにルーティングされるかがわかります。

トポロジ・ビューアのルーティングには、ズーム、パン、コンテンツ全体の表示などの基本的なナビゲーション・アプリケーションが用意されています。表示するデータのソース、レイアウト・モードおよびオブジェクト間のフローの向きを変更できます。フィルタを使用すると、トポロジ・ダイアグラムのグローバル・プロパティ(リンク・ラベルの表示、リンク・スタイルなど)を変更できます。また、パフォーマンス・メトリック・データを含む環境を容易に監視できるようになります。どのエンティティが稼働中でどのエンティティが停止しているかを確認できます。プリンタの設定またはオプションで「ファイルへ出力」機能を使用することにより、トポロジを印刷することもできます。詳細は、Enterprise Managerのオンライン・ヘルプを参照してください。