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Oracle Solaris のシステム管理 (ネットワークサービス)     Oracle Solaris 11 Information Library (日本語)
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ドキュメントの情報

はじめに

パート I ネットワークサービス (トピック)

1.  ネットワークサービス (概要)

2.  Web キャッシュサーバーの管理

3.  システムの時刻関連サービス

パート II ネットワークファイルシステムへのアクセス (トピック)

4.  ネットワークファイルシステムの管理 (概要)

5.  ネットワークファイルシステムの管理 (手順)

6.  ネットワークファイルシステムへのアクセス (リファレンス)

パート III SLP (トピック)

7.  SLP (概要)

8.  SLP の計画と有効化 (手順)

9.  SLP の管理 (手順)

SLP プロパティーの構成

SLP 構成ファイルの基本要素

設定プロパティー

コメント行と注釈

SLP 構成の変更方法

DA 通知と検出頻度の変更

UA と SA を静的に構成された DA に限定する

UA と SA を静的に構成された DA に限定する方法

ダイアルアップネットワークに対する DA 検出の構成

ダイアルアップネットワークに対する DA 検出の構成方法

頻繁なパーティション分割に対する DA のハートビートの構成

頻繁なパーティション分割に対して DA のハートビートを構成する方法

ネットワーク輻輳の軽減

異なるネットワーク媒体、トポロジ、または構成の調整

SA 再登録の削減

SA 再登録を削減する方法

マルチキャストの有効期限プロパティーの構成

マルチキャストの有効期限プロパティーの構成方法

パケットサイズの構成

パケットサイズの構成方法

ブロードキャスト専用ルーティングの構成

ブロードキャスト専用ルーティングの構成方法

SLP 検出要求のタイムアウトの変更

デフォルトのタイムアウトの変更

デフォルトのタイムアウトの変更方法

ランダム待ち時間の上限の構成

ランダム待ち時間の上限の構成方法

スコープの配置

スコープを構成する場合

スコープを構成する場合の検討事項

スコープの構成方法

DA の配置

SLP DA を配置する理由

DA を配置する場合

DA を配置する方法

DA を配置する場所

複数の DA を配置して負荷を均等にする

SLP とマルチホーム

SLP に対するマルチホームの構成

経路指定されていない複数のネットワークインタフェースに対して構成を行う場合

経路指定されていない複数のネットワークインタフェースの構成 (作業マップ)

net.slp.interfaces プロパティーの構成

net.slp.interfaces プロパティーの構成方法

マルチホームホスト上のプロキシ通知

DA の配置とスコープ名の割り当て

経路指定されていない複数のネットワークインタフェースを構成する場合の検討事項

10.  レガシーサービスの組み込み

11.  SLP (リファレンス)

パート IV メールサービス (トピック)

12.  メールサービス (概要)

13.  メールサービス (手順)

14.  メールサービス (リファレンス)

パート V シリアルネットワーキング (トピック)

15.  Solaris PPP 4.0 (概要)

16.  PPP リンクの計画 (手順)

17.  ダイアルアップ PPP リンクの設定 (手順)

18.  専用回線 PPP リンクの設定 (手順)

19.  PPP 認証の設定 (手順)

20.  PPPoE トンネルの設定 (手順)

21.  一般的な PPP 問題の解決 (手順)

22.  Solaris PPP 4.0 (リファレンス)

23.  非同期 Solaris PPP から Solaris PPP 4.0 への移行 (手順)

24.  UUCP (概要)

25.  UUCP の管理 (手順)

26.  UUCP (リファレンス)

パート VI リモートシステムの利用 (トピック)

27.  リモートシステムの利用 (概要)

28.  FTP サーバーの管理 (手順)

29.  リモートシステムへのアクセス (手順)

パート VII ネットワークサービスの監視 (トピック)

30.  ネットワークパフォーマンスの監視 (手順)

用語集

索引

SLP とマルチホーム

マルチホームサーバーは、複数の IP サブネット上でホストとして機能します。そのようなサーバーに複数のネットワークインタフェースカードが装着されると、ルーターとして機能できます。マルチキャストパケットを含む IP パケットは、このインタフェース間を経路指定されます。場合によっては、インタフェース間の経路指定ができないことがあります。この節では、そのような場合に SLP を構成する方法について説明します。

SLP に対するマルチホームの構成

構成を行わない場合、slpd はデフォルトのネットワークインタフェース上でマルチキャストと UDP/TCP ユニキャストに対して待機しています。ユニキャストルーティングとマルチキャストルーティングがマルチホームマシンのインタフェース間で使用できる場合は、追加の構成を行う必要はありません。追加の構成が必要ないのは、別のインタフェースに到達するマルチキャストパケットがデフォルトで正確に経路指定されているからです。その結果、DA またはほかのサービス通知のマルチキャスト要求は、slpd に届きます。経路指定がなんらかの理由で調整されていない場合は、構成が必要です。

経路指定されていない複数のネットワークインタフェースに対して構成を行う場合

マルチホームマシンの構成が必要と考えられるのは、主に次の場合です。

マルチキャストルーティングがインタフェース間で使用できない場合は、通常、マルチキャストがネットワークに配置されていないことが原因です。この場合は通常、それぞれのサブネット上の DA ベースでないサービス検出および DA 検出にブロードキャストが使用されます。ブロードキャストは、net.slp.isBroadcastOnly プロパティーを True に設定することによって構成します。

経路指定されていない複数のネットワークインタフェースの構成 (作業マップ)

表 9-5 経路指定されていない複数のネットワークインタフェースの構成

作業
説明
参照先
net.slp.interfaces プロパティーを構成します
このプロパティーを設定することで、slpd は、指定されたインタフェース上でユニキャストとマルチキャスト/ブロードキャストの SLP 要求を待機できます。
サブネット上の UA が到達可能なアドレスを持つサービス URL を取得できるように、プロキシサービス通知を配置します
マルチホームホストではなく単一のサブネットに接続された slpd を実行しているマシンにプロキシ通知を限定します。
UA と SA 間で確実に到達できるように DA を配置してスコープを構成します
マルチホーム上の net.slp.interfaces プロパティーを単一インタフェースのホスト名またはアドレスで構成します。

マルチホームホスト上で DA を実行し、各サブネット上の SA と UA は別のホストを使用するように構成します。

net.slp.interfaces プロパティーの構成

net.slp.interfaces プロパティーが設定されている場合、slpd は、ユニキャストとマルチキャスト/ブロードキャストの SLP 要求を、デフォルトのインタフェース上ではなく、プロパティーに一覧表示されたインタフェース上で待機します。

通常、net.slp.interfaces プロパティーを設定すると同時に、net.slp.isBroadcastOnly プロパティーも設定することでブロードキャストを有効にします。このようにするのは、マルチキャストがネットワークに配置されていないためです。ただし、マルチキャストは配置されているが、この特定のマルチホームホスト上で経路指定されていない場合、マルチキャスト要求は、複数のインタフェースから slpd に到達できます。このような状況は、パケットの経路指定が、別のマルチホームホストまたはインタフェースからサービスを受けるサブネットに接続されているルーターによって制御されている場合に起こります。

このような状況が発生する場合、SA サーバーまたは要求を送っている UA は、マルチホームホストの slpd から 2 つの応答を受け取ります。これらの応答はクライアントライブラリによってフィルタにかけられて除かれるので、クライアントには見えません。ただし、この応答は、snoop トレースで見ることができます。


注 -

ユニキャストルーティングがオフになっている場合、マルチホームホスト上の SA クライアントによるサービス通知がすべてのサブネットに到達できないことがあります。サービスが到達できない場合、SA クライアントは次のことを実行できます。


SA クライアントライブラリには、到達可能な URL が確実に通知されるようにするためのしくみはありません。したがって、到達可能な URL が確実に通知されるようにするには、経路指定のないマルチホームホストを処理できるかどうかにかかわらず、サービスプログラムに任せる必要があります。

ユニキャストルーティングが無効なマルチホームホストにサービスを配置する前に、snoop を使ってサービスが複数のサブネットからの要求を正確に処理するかどうかを判断してください。さらに、マルチホームホストに DA を配置することを計画している場合は、「DA の配置とスコープ名の割り当て」を参照してください。

net.slp.interfaces プロパティーの構成方法

次の手順を使用して、slp.conf ファイルの net.slp.interfaces プロパティーを変更します。

  1. 管理者になります。

    詳細は、『Oracle Solaris の管理: セキュリティーサービス』の「管理権限を取得する方法」を参照してください。

  2. ホスト上の slpd とすべての SLP 動作を停止します。
    # svcadm disable network/slp
  3. 構成の設定を変更する前に、デフォルトの /etc/inet/slp.conf ファイルのバックアップをとります。
  4. slpd.conf ファイル内の net.slp.interfaces プロパティーを変更します。
    net.slp.interfaces=value
    value

    IPv4 アドレスまたはネットワークインタフェースカードのホスト名のリストで、そこに存在する DA や SA はポート 427 上でマルチキャスト、ユニキャスト UDP、および TCP の各メッセージを待機する必要がある

    たとえば、3 枚のネットワークカードを持ち、マルチキャストルーティングがオフになっているサーバーが、3 つのサブネットに接続されているとします。その 3 つのネットワークインタフェースの IP アドレスは 192.147.142.42192.147.143.42、および 192.147.144.42 です。サブネットマスクは 255.255.255.0 です。次のプロパティーの設定を行うと、slpd はユニキャストおよびマルチキャストまたはブロードキャストのメッセージについて、3 つすべてのインタフェース上のものに対して待機します。

    net.slp.interfaces=192.147.142.42,192.147.143.42,192.147.144.42

    注 - net.slp.interfaces プロパティーには、IP アドレスまたは解決可能なホスト名を指定できます。


  5. 変更を保存し、ファイルを閉じます。
  6. 変更を反映するには、slpd を再起動します。
    # svcadm enable network/slp

マルチホームホスト上のプロキシ通知

複数のインタフェースを持つホストが slpd およびプロキシ登録を使ってサービスを通知する場合は、slpd によって通知されるサービス URL に到達可能なホスト名またはアドレスが含まれている必要があります。インタフェース間でユニキャストルーティングが有効な場合は、すべてのサブネット上のホストは別のサブネット上のホストに到達できます。任意のサブネット上のサービスに対してプロキシ登録も行うことができます。ただし、ユニキャストルーティングが無効な場合は、1 つのサブネット上のサービスクライアントはマルチホームホストを通じて別のサブネット上のサービスに到達することはできません。ただし、これらのクライアントが別のルーターを通じてサービスに到達できる可能性はあります。

たとえば、デフォルトのホスト名が bigguy のホストが、経路指定されていない異なる 3 つのサブネット上に 3 枚のインタフェースカードを持っているとします。これらのサブネット上のホスト名は、IP アドレス 192.147.142.42 を持つ bigguy、IP アドレス 192.147.143.42 を持つ bigguy1、IP アドレス 192.147.144.42 を持つ bigguy2 です。ここで、レガシープリンタ oldprinter がサブネット 143 に接続され、すべてのインタフェース上で待機するために、URL service:printing:lpr://oldprinter/queue1net.slp.interfaces で構成されているとします。oldprinter の URL はすべてのインタフェース上でプロキシ通知されます。サブネット 142144 上のマシンは、サービス要求に対する応答でこの URL を受信しますが、oldprinter サービスにアクセスすることはできません。

この問題の解決方法は、マルチホームホスト上ではなく、サブネット 143 だけに接続されたマシン上で動作している slpd を使ってプロキシ通知を行うことです。サブネット 143 上のホストだけがサービス要求に対する応答でこの通知を取得できます。

DA の配置とスコープ名の割り当て

マルチホームホストを持つネットワーク上で DA の配置とスコープ名の割り当てを行う場合は、クライアントがアクセス可能なサービスを確実に取得できるように注意してください。経路指定が無効で net.slp.interfaces プロパティーが構成されている場合は特に注意してください。また、マルチホームマシン上のインタフェース間でユニキャストルーティングが有効な場合は、特別な DA やスコープを構成する必要はありません。これは、DA にキャッシュされている通知が任意のサブネットからアクセス可能なサービスを識別するためです。ただし、ユニキャストルーティングが無効な場合は、DA をうまく配置しないと問題になることがあります。

前述の例で何が問題になりうるかを見るために、bigguy が DA を実行し、すべてのサブネット上のクライアントが同じスコープを持つ場合に何が起こるかを考えてみます。サブネット 143 上の SA はサービス通知を DA に登録します。サブネット 144 上の UA は、サブネット 143 上のホストに到達できなくても、それらのサービス通知を入手できます。

この問題の 1 つの解決方法は、マルチホームホスト上ではなく、各サブネット上で DA を実行することです。この場合は、マルチホームホスト上の net.slp.interfaces プロパティーを、単一のインタフェースホスト名またはアドレスを使って構成するか、構成しないでそのままにし、強制的にデフォルトのインタフェースを使用するようにします。この解決方法の欠点は、通常大規模なマシンであり、DA として高機能であるマルチホームホストを DA に設定できないことです。

もう 1 つの解決方法は、マルチホームホスト上で DA を実行するが、各サブネット上の SA および UA が異なるスコープを持つようにスコープを構成することです。たとえば、前述の場合、142 サブネット上の UA と SA がスコープ scope142 を持つようにスコープを構成することができます。143 サブネット上の UA と SA は、scope143 という別のスコープを持ち、144 サブネット上の UA と SA は scope144 という 3 番目のスコープを持つことができます。3 つのインタフェースを持つ bigguy 上の net.slp.interfaces プロパティーを構成して、DA を 3 つのサブネット上の 3 つのスコープに作用させることができます。

経路指定されていない複数のネットワークインタフェースを構成する場合の検討事項

net.slp.interfaces プロパティーを構成すると、マルチホームホスト上の DA がサブネット間のサービス通知をブリッジできます。このような構成は、ネットワークでマルチキャストルーティングがオフで、マルチホームホスト上のインタフェース間でユニキャストルーティングが有効な場合に便利です。ユニキャストはインタフェース間を経路指定しているため、サービスが置かれているサブネットと異なるサブネット上のホストは、サービス URL を受信すればそのサービスに接続することができます。DA がない場合は、特定のサブネット上の SA サーバーが同じサブネット上に出されたブロードキャストだけを受信するので、そのサブネット以外にサービスを置くことはできません。

net.slp.interfaces プロパティーの構成を必要とする最も一般的な状況は、マルチキャストがネットワークに配置されておらず、代わりにブロードキャストが使用されている場合に発生します。その他の場合は、不必要な応答の重複や到達できないサービスを避けるために、入念に検討および計画を行なってください。