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Oracle® Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Publisher管理者ガイド
リリース11g (11.1.1)
B66709-02
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15 環境間でのカタログ・オブジェクトの移動

この章では、BI Publisherのカタログ・ユーティリティを使用して、テスト、本番および開発の各環境間でオブジェクトを移動する方法について説明します。

内容は次のとおりです。

15.1 概要

BI Publisherカタログ・ユーティリティによって、管理者とレポート開発者は、すべてのBI Publisherレポートが格納されているカタログからレポート・オブジェクト関連のファイルをエクスポートしたり、それらを異なるカタログにインポートしたりできます。このツールは、サード・パーティのツールをソース制御として使用してBI Publisherレポートを管理したり、特定のレポート・セットを開発環境から品質保証環境や本番環境に移動する場合に使用します。カタログ・ユーティリティは、レポート・オブジェクトの翻訳を管理するために使用することもできます。

BI Publisherカタログ・ユーティリティを使用して、次のタスクを実行できます。

15.1.1 カタログ・ユーティリティを使用する場合

カタログ・ユーティリティは、BI Publisherレポート・アーティファクトをある環境から別の環境へ移動する際に使用します。たとえば、カタログ・ユーティリティを使用して、レポートを開発環境から品質保証環境へ移動できます。このプロセスを図15-1に示します。

図15-1 カタログ・ユーティリティの使用

図15-1については周囲のテキストで説明しています。

15.1.2 カタログのオブジェクトを移動するその他のオプション

少数のオブジェクトをダウンロードまたはアップロードする場合は、BI Publisherカタログのダウンロード機能を使用すると、アーカイブ・ファイルにマルチコンポーネント・オブジェクト(レポートなど)をバンドルしてダウンロードできます。その後、アップロード機能を使用して、カタログ内の別の場所へデータをアンアーカイブします。この機能の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Enterprise Editionユーザーズ・ガイド』のカタログ・オブジェクトのダウンロードとアップロードに関する項を参照してください。


注意:

BI Publisherのファイルをファイル・システム上で手動で編集しないでください。BI Publisherは、メタデータ・ファイルを使用してカタログ・オブジェクトに関する情報を保持しています。ファイル・システム内のオブジェクトを手動で編集すると、メタデータ・ファイルが破損することがあります。メタデータ・ファイルが破損した場合は、破損したファイルを削除し、BI Publisherを再起動すると、そのファイルを復元できます。


15.1.3 移動対象のファイル

表15-1に、オブジェクトをカタログからエクスポートしたときに含まれるファイルを示します。

表15-1 カタログのエクスポート時に含まれるファイル

オブジェクト ファイル

レポート例: Balance+Letter.xdo

  • _report.xdo: レポート定義ファイル

  • xdo.cfg: レポート・プロパティ設定を含む構成ファイル

  • ~metadata.meta: カタログ・パス情報を含むメタデータ・ファイル。このファイルは、ユーティリティがオブジェクトを元の場所にインポートするために使用

  • security.xmlファイル: レポートに定義されるオブジェクト・レベルの権限を指定

  • テンプレート・ファイル: レポート定義にロードされたすべてのテンプレート・ファイル。ファイル名には言語サフィックスを含む。例: My_RTF_template_en_us.rtf、 My_BIP_layout_en_us.xpt

  • 翻訳ファイル: すべての翻訳ファイル(.xlf)。例: My_RTF_template_jp_jp.xlf

データ・モデル例: myDataModel.xdm

  • _datamodel.xdm: レポート定義ファイル

  • ~metadata.meta: カタログ・パス情報を含むメタデータ・ファイル。このファイルは、ユーティリティがオブジェクトを元の場所にインポートするために使用

  • security.xmlファイル: データ・モデルに定義されるオブジェクト・レベルの権限を指定

サブ・テンプレート例: mysubtempate.xsb

  • _template_en_us.rtf: ロケールが指定されたサブテンプレート・ファイル

  • ~metadata.meta: カタログ・パス情報を含むメタデータ・ファイル。このファイルは、ユーティリティがオブジェクトを元の場所にインポートするために使用

  • security.xmlファイル: サブテンプレートに定義されるオブジェクト・レベルの権限を指定

  • 翻訳ファイル: 任意の翻訳ファイル(存在する場合)。たとえば、_template_jp_jp.rtfなどです。

スタイル・テンプレート例: myStyleTemplate.xss

  • _template_en_us.rtf: ロケールが指定されたスタイル・テンプレート・ファイル

  • ~metadata.meta: カタログ・パス情報を含むメタデータ・ファイル。このファイルは、ユーティリティがオブジェクトを元の場所にインポートするために使用

  • security.xmlファイル: スタイル・テンプレートに定義されるオブジェクト・レベルの権限を指定

  • 翻訳ファイル: 任意の翻訳ファイル(存在する場合)。たとえば、_template_jp_jp.rtfなどです。


15.2 BI Publisherカタログ・ユーティリティを使用するための準備

BI Publisherカタログ・ユーティリティは次の場所にインストールされます。

ORACLE_HOME/clients/bipublisher

15.2.1 環境の構成

カタログ・ユーティリティを実行する環境ごとに構成を行う必要があります。

カタログ・ユーティリティ用に環境を構成する手順は次のとおりです。

  1. 各環境変数を次に示す値に設定します。

    • path = ($HOME/BIPCatalogUtil/bin $path)

    • BIP_LIB_DIR = $HOME/BIPCatalogUtil/lib

    • BIP_CLIENT_CONFIG = $HOME/BIPCatalogUtil/config

    • JAVA_HOME = $HOME/java/jdk1.6.0_18

    次の例は、Cシェルの環境変数の設定を示しています。

    % set path = ($HOME/BIPCatalogUtil/bin $path)
    % setenv BIP_LIB_DIR $HOME/BIPCatalogUtil/lib
    % setenv BIP_CLIENT_CONFIG $HOME/BIPCatalogUtil/config
    % setenv JAVA_HOME $HOME/java/jdk1.6.0_18
    
  2. xmlp-client-config.xmlを編集します。この構成ファイルは、BIPCatalogUtil/configディレクトリの下にあります。

    BI PublisherインスタンスのURL(bipurl)、およびエクスポート元またはインポート先のBI Publisherインスタンスのユーザー名とパスワードを指定します。

    <?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
    <!DOCTYPE properties SYSTEM "http://java.sun.com/dtd/properties.dtd">
    <properties>
            <comment>BIP Server Information</comment>
        <entry key="bipurl">http://sta00XXX.us.oracle.com:14001/xmlpserver/</entry>
            <entry key="username">OPERATIONS</entry>
        <entry key="password">welcome</entry>
    </properties>
    

    この情報を構成ファイルに格納しない場合は、インポート/エクスポート時に、コマンドラインでbipurl、usernameおよびpasswordをパラメータとして設定し、xmlp-client-config.xmlに定義された値を上書きすることもできます。

15.3 BI Publisherレポート・オブジェクトのエクスポート

エクスポート・コマンドを使用して、単一のレポート・オブジェクト、または指定したフォルダ内の一連のBI Publisherレポート・オブジェクトをエクスポートできます。2つのエクスポート・コマンドがあります。

表15-2に、-exportコマンドと-exportfolderコマンドでサポートされるパラメータを説明します。

表15-2 エクスポート・コマンドのパラメータ

パラメータ 使用されるコマンド 説明

catalogpath

-export -exportfolder

/Samples/Financials/Balance+Letter.xdo

カタログ内のオブジェクトへのパス。名前にスペースがある場合は、かわりに+記号を使用する。

target

-export

/tmp/Financials/BalanceLetter

抽出したレポート・オブジェクトを配置するエクスポート先ディレクトリ。

basedir

-exportfolder

/home/bipub/samples

抽出されたレポート・オブジェクトのサブフォルダを配置するベース・ディレクトリ。存在する場合は、データ・モデルは{basedir}/datamodelsに、レポートは{basedir}/reportsに、スタイルとサブ・テンプレートは{basedir}/templateに保存されます。

extract

-export -exportfolder

true/false

デフォルトはfalseで、レポート・オブジェクトは、.xdo、.rtf、.cfgなどの関連ファイルをすべて含むzip形式でエクスポートされます。値をtrueに設定すると、レポート・オブジェクト関連のファイルが指定されたターゲット・フォルダにエクスポートされます。

subfolders

-exportfolder

true/false

フォルダをcatalogpathパラメータとして指定した場合は、このsubfoldersパラメータを使用して、すべてのサブフォルダの内容をダウンロードするかどうかを制御できます。trueを指定すると、すべてのサブフォルダ内のすべてのレポート・オブジェクトがダウンロードされます。falseを指定すると、サブフォルダの内容はダウンロードされません。

overwrite

-export -exportfolder

true/false

trueを指定すると、ターゲット領域内の既存のオブジェクトが上書きされます。


15.3.1 エクスポートのコマンドラインの例

次の例は、ユーティリティを使用してレポート・オブジェクトをエクスポートする方法を示しています。

15.3.1.1 単一のレポートをアーカイブ形式でエクスポート

次の例では、レポート・オブジェクトをzip形式でエクスポートしています。zipファイルには、.xdo、.rtf、.cfgなどのすべてのレポート・オブジェクト関連のファイルが含まれます。レポートをアーカイブ形式で抽出するには、ターゲットに対して.xdoz拡張子を使用します。データ・モデルをエクスポートするには、.xdmz拡張子を使用します。

$ BIPCatalogUtil.sh -export catalogpath=/Samples/Financials/Balance+Letter.xdo target=/home/bipub/reports/BalanceLetter.xdoz extract=false

15.3.1.2 抽出したファイルとともに単一のレポートをエクスポート

次の例では、レポート・オブジェクト関連のファイルを/home/bipub/reports/BalanceLetterディレクトリに抽出しています。既存のファイルは上書きされます。

$ BIPCatalogUtil.sh -export catalogpath=/Samples/Financials/Balance+Letter.xdo target=/home/bipub/reports/BalanceLetter extract=true overwrite=true

15.3.1.3 指定したフォルダにレポート・セットをエクスポート

次の例では、カタログ内の/Samplesフォルダとそのサブフォルダの下のすべてのレポート・オブジェクトを抽出しています。データ・モデルは{basedir}/datamodelsに保存されます。レポートは{basedir}/reportsに保存されます。スタイルとサブテンプレートは{basedir}/templatesに保存されます。

$ BIPCatalogUtil.sh -exportfolder catalogpath=/Samples basedir=/home/bipub/samples subfolders=true extract=true overwrite=true

15.4 BI Publisherレポート・オブジェクトのインポート

importコマンドを使用して、単一のBI Publisherレポート・オブジェクトまたは指定したフォルダの下の一連のパブリッシャ・レポート・オブジェクトをインポートできます。表15-3に、インポート・コマンドでサポートされるパラメータを説明します。

表15-3 インポート・コマンドのパラメータ

パラメータ 説明

catalogpath

/Samples/Financials/Balance+Letter.xdo

デフォルトの情報を上書きする場合のみ、レポート・オブジェクトのインポート先にするカタログ・パスを指定する。このパラメータを指定しない場合、レポート・オブジェクトは本来のエクスポート元と同じ場所にインポートされる。

source

/tmp/Financials/BalanceLetter

レポート・オブジェクトが置かれているディレクトリ。このパラメータは、単一のレポートをインポートするときに使用する。

basedir

/home/bipub/samples

インポートする複数のレポートまたはデータ・モデルを含むディレクトリ。このパラメータは、一連のレポートまたはデータ・モデルをインポートするときに指定する。

overwrite

true/false

trueに指定すると、ターゲット・エリア内に既存のオブジェクトが上書きされる。


通常、レポート・オブジェクトは本来のエクスポート元にインポートされます。ユーティリティを使用してレポート・オブジェクトをエクスポートする場合は、カタログ・パス情報を含むメタファイル(.meta)が生成されます。ユーティリティでは、この情報を使用して元の場所にレポート・オブジェクトをインポートします。ただし、オブジェクトを異なる場所にインポートする場合は、catalogpathパラメータを指定することで、元のカタログ・パスの場所をオーバーライドできます。

15.4.1 インポートのコマンドラインの例

次の例は、ユーティリティを使用してレポートをインポートする方法を示しています。

15.4.1.1 レポートを元の場所にインポート

次の例では、レポートをメタファイル(.meta)に保存されたカタログ・パスにインポートしています。既存のレポートは上書きされます。

$ BIPCatalogUtil.sh -import source=/tmp/Financials/BalanceLetter overwrite=true

15.4.1.2 レポートを新しい場所にインポート

次の例では、レポートをカタログ内の新しい場所へインポートしています。

$ BIPCatalogUtil.sh -import source=/home/bipub/reports/BalanceLetter catalogpath=/Production/Financials/Balance+Letter+Report.xdo 

15.4.1.3 圧縮されたレポートをインポート

次の例では、圧縮されたレポート・オブジェクトをカタログ内の元の場所へインポートしています。

$ BIPCatalogUtil.sh -import source=/home/bipub/reports/BalanceLetter.xdoz overwrite=true

15.4.1.4 指定したフォルダの下のBI Publisherレポート・オブジェクトのセットをインポート

次の例では、ベース・ディレクトリ(basedir)の下のすべてのレポートをカタログ内の元の場所へインポートします。

$ BIPCatalogUtil.sh -import basedir=/Users/bipub subfolders=true overwrite=true

15.5 翻訳ファイルの生成と翻訳可能性のチェック

カタログ・ユーティリティは、特定のファイルの翻訳可能なXLIFFファイルを生成するための-xliffコマンドをサポートしています。表15-4に、XLIFFファイルの生成でサポートされるパラメータを説明します。

ソース・ファイルは、レポート定義ファイル(.xdo)、RTFテンプレート・ファイル(.rtf)またはBI Publisherレイアウト・テンプレート・ファイル(.xpt)のいずれかになります。ソースが.xdoファイルの場合は、生成されたXLIFFファイルに、レポート定義インタフェースからユーザーが入力したすべての文字列(説明、レイアウト名、パラメータ名など)が含まれます。

表15-4 XLIFFファイル生成のパラメータ

パラメータ 説明

source

/Samples/Financials/Balance+Letter.xdo

XLIFFファイルを生成するレポートまたはテンプレート・ファイル(RTFまたはXPT)へのパス

target

/home/bipub/reports/Balance+Letter/Balance+Letter.xlf

生成された.xlfドキュメントの保存場所

basedir

/home/bipub/reports/Balance+Letter/

生成された.xlfファイルを配置するディレクトリ


次の例は、翻訳ファイルの生成方法を示しています。

15.5.1 レポート定義ファイル(.xdo)の翻訳ファイルの生成

次の例では、単一のレポート定義ファイルのXLIFFファイルを生成しています。

$ BIPCatalogUtil.sh -xliff source=/home/bipub/reports/Balance+Letter/Balance+Letter.xdo target=/home/bipub/reports/Balance+Letter/Balance+Letter.xlf

XLIFFをベース・ディレクトリに保存するには:

$ BIPCatalogUtil.sh -xliff source=/home/bipub/reports/Balance/Balance+Letter.xdo basedir=/home/bipub/reports/Balance+Letter/

15.5.2 RTFテンプレートの翻訳ファイルの生成

次の例では、単一のRTFテンプレート・ファイルのXLIFFファイルを生成しています。

$ BIPCatalogUtil.sh -xliff source=/home/bipub/reports/Balance+Letter/Balance+Letter+Template.rtf target=/home/bipub/reports/Balance+Letter/Balance+Letter+Template.xlf

XLIFFをベース・ディレクトリに保存するには:

$ BIPCatalogUtil.sh -xliff source=/home/bipub/reports/Balance/Balance+Letter+Template.rtf basedir=/home/bipub/reports/Balance+Letter/