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Oracle® Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Discoverer Plusユーザーズ・ガイド
11gリリース1 (11.1.1)
E51907-01
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3 Discoverer Plusをマルチディメンション・データ・ソースで使用する方法

この章では、Discoverer Plus OLAPについて説明します。項目は次のとおりです。

3.1 Discoverer Plusをマルチディメンション・データ・ソースで使用する場合の識別方法

マルチディメンション・データ・ソースでDiscoverer Plusを使用すると、Discoverer Plusを開始するために選択した接続の「接続先」プロパティが「OracleBI Discoverer for OLAP」に設定されます。

ログイン詳細をDiscovererの接続ページに直接入力して、マルチディメンション・データ・ソースでDiscoverer Plusを開始する場合は、「接続先」ドロップダウン・リストから「OracleBI Discoverer for OLAP」を選択する必要があります。

3.2 Discoverer Plus OLAPの概要

Discoverer Plus OLAPを使用すると、データベースの複雑な概念を理解する必要なく、会社のデータベース内のマルチディメンション・データにアクセスし、分析できます。Discoverer Plus OLAPはウィザードおよびメニューを使用して、ビジネス上の意思決定を支援するデータを取得および分析する手順をわかりやすくガイドします。

図3-1 Oracle BI Discovererコンポーネント

説明は周囲のテキストにあります
「図3-1 Oracle BI Discovererコンポーネント」の説明

注意: Discoverer Plus OLAPには、Discovererを理解するために使用できるサンプル・ワークブックが用意されており、Discovererカタログに格納されています。サンプル・ワークブックにアクセスする方法の詳細は、Discovererマネージャに問い合せてください。

3.3 オンライン分析処理(OLAP)

オンライン分析処理(OLAP)は、マルチディメンション・データ・ソースに対して実行するクエリーを示します。たとえば、「注文84305はいつ出荷されたか」は単純なクエリーの例です。また、「南西地域の今四半期の売上を、1年前の売上とどのように比較するか、次の四半期の売上予測はどうなるか、売上予測を改善するために変更できる要因は何か」は、典型的な一連のOLAPクエリーの例です。

最も標準的なクエリーは、単純なデータ選択と取得で構成されます。ただし、OLAPクエリーは詳細に構造化されているため、計算、時系列の分析、および集計済の履歴データや現行データへのクイック・アクセスを含めることができます。OLAPクエリーでは、メジャーで使用するディメンションおよび階層を使用します。データをクエリーする際は、「当地区で製品をどのように販売するか」のようにビジネス用語を使用します。各ディメンションには、質問する方法を反映した独自の選択内容が含まれます。

3.4 マルチディメンション・データ・ソース

マルチディメンション・データ・ソースは、大量のデータを分析するために最適化されています。このようなデータ・ソースは、データ・ウェアハウス、またはオンライン分析処理(OLAP)データ・ソースとも呼ばれます。

リレーショナル・データ・ソースでは、データがテーブルに編成されています。テーブルは、列と行を持つデータ構造です。これに対して、マルチディメンション・データは、1つ以上のディメンションで編成されたデータです。通常、マルチディメンション・データ構造はキューブと呼ばれます。図3-2は、リレーショナル・データ・ソースのテーブルとマルチディメンション・データ・ソースのキューブを表しています。Oracle9i以上のデータベースには、リレーショナル・データ構造(テーブルと列)とマルチディメンション・データ構造(キューブ)の両方を含めることができます。これら2つの構造を組み合せることによって、マルチディメンション・データに迅速にアクセスする一方で、リレーショナル・データを集計することも可能です。

図3-2 Oracleデータベースのテーブルとキューブ

図3-2の説明が続きます
「図3-2 Oracleデータベースのテーブルとキューブ」の説明

リレーショナル・データ・ソースの詳細は、「リレーショナル・データ・ソースの概要」を参照してください。

3.5 マルチディメンション・キューブ

マルチディメンション・データ・ソースのキューブには次のコンポーネントがあります。

たとえば、図3-3は、様々な製品の年別および都市別の売上高が含まれるキューブを示しています。

図3-3 Salesデータのキューブ

図3-3の説明が続きます
「図3-3 Salesデータのキューブ」の説明

キューブには、複数のディメンションの可能な各組合せに対するメジャー値が含まれます。したがって、Discoverer Plus OLAPなどのアプリケーションでは、特定の年度の特定都市における特定製品の売上値を非常にすばやく検索できます。たとえば、Dallasにおける2003年のProduct Cの売上を検索するには、Discoverer Plus OLAPでは、Product、TimeおよびCityの各ディメンションを使用して、必要な値が含まれているセルを識別します(図3-4を参照)。

図3-4 キューブ内の1つのメジャー値

図3-4の説明が続きます
「図3-4 キューブ内の1つのメジャー値」の説明

3.6 メジャー

OLAPメタデータでは、メジャーは、クロス集計やグラフで調査および分析が可能なデータを表します。Sales、CostおよびProfitなどがメジャーの例です。

図3-5は、Discoverer Plus OLAPのクロス集計を示しており、Salesメジャーのデータが表示されています。クロス集計の上にはページ・アイテムがあり、表示するデータのページを選択できます。

図3-5 Salesメジャーを表示しているクロス集計

図3-5の説明が続きます
「図3-5 Salesメジャーを表示しているクロス集計」の説明

3.7 ディメンションおよびディメンション・メンバー

メジャーには、メジャー内のデータを分類するディメンションがあります。たとえば、Salesメジャーには、そのディメンションとして、Product、TimeおよびGeographyがあります。メジャーに特定のディメンションがある場合、メジャーはそのディメンションによってディメンション化されているといいます。たとえば、SalesはProductによってディメンション化されています。メジャーに対するディメンション・グループによって、そのメジャーのディメンショナリティが構成されます。たとえば、Salesのディメンショナリティは、Product、TimeおよびGeographyです。

ディメンション内の各要素はディメンション・メンバーです。たとえば、January 2001、February 2001、March 2001、Quarter 1 2001およびyear 2001などがTimeディメンションのメンバーです。

メジャーは、4つ以上のディメンションでディメンション化することもできます。このドキュメントでは、仮想の理解しやすいマルチディメンション・データ表現を示すために、3次元のキューブを使用しています。

3.8 ディメンション階層

ディメンション階層は、2つ以上のメンバー間の階層関係を示します。

個々のディメンション・メンバーは、階層という方法で互いに関連付けられている場合があります。たとえば、特定の日は特定の月に属し、その特定の月は特定の年の中にあります。このような関係を表すために、ディメンション・メンバーはディメンション階層に編成されます。階層を使用することによって、データを下の階層までドリルインでき、より詳細な情報を表示できます。

ディメンション階層は、順序付けられたレベルを使用して、データを編成および集計できます。たとえば、Timeディメンションには、データをMonthレベルからQuarterレベル、さらにYearレベルに集計する階層を作成できます。図3-6は、Timeディメンションのディメンション階層の例を表しており、Month、QuarterおよびYearでデータがどのように順序付けられているかを示しています。キューブ内の強調表示されているセルは、2003年度のCincinnatiにおけるProduct Dの売上を示しています。このセルは、Timeディメンションに沿って四半期に分割でき、四半期の各セルはさらに月に分割できます。

図3-6 サンプルのディメンション階層

図3-6の説明が続きます
「図3-6 サンプルのディメンション階層」の説明

図3-7は、Timeディメンションの階層を別の方法で示しています。2003年度のデータは4つの四半期に分割でき、各四半期は3つの月に分割できます。

図3-7 時間階層の別の表示方法

説明は周囲のテキストにあります
「図3-7 時間階層の別の表示方法」の説明

1つのディメンションには複数の階層があります。たとえば、Timeディメンションでは、会社が暦年に対応しない会計年度を使用している場合は、異なる階層がある可能性があります。ある階層は、Calendar Year→Calendar Quarter→Monthであるのに対して、別の階層はFiscal Year→Fiscal Quarter→Monthとなる場合があります。同じディメンションに対して複数のディメンション階層が存在する場合、あるディメンション階層をデフォルト階層として指定する必要があります。

3.9 ディメンション属性

ディメンション属性は、ディメンション・メンバーが共有する特性を表します。ディメンション属性を使用すると、類似特性に基づいてデータを選択できます。たとえば、ProductディメンションにColor属性を設定すると、赤色の全製品の検索が可能になります。

3.10 マルチディメンション・データの集計およびフィルタ処理

この項では、Discoverer Plus OLAPの集計およびフィルタ処理について説明します。

3.11 マルチディメンション・データ集計後のフィルタの適用

一般的なビジネスの問題を問い合せるとき、通常は値をフィルタ処理します。つまり、特定の条件を満たすディメンション値を検索しようとします。たとえば、Salesが20億ドルを超えた地域を参照する場合があります。これらの地域の成功の一因となっている値を調べる場合がよくあります。

マルチディメンション・データの場合、階層内の様々なレベルに、その下位レベルのデータの集計が含まれます。最初にデータ値の集計が行われ、その後でこれらの値をフィルタ処理します。したがって、集計データの値はフィルタに依存しません。たとえば、Total Companyの値、およびSalesが20億ドルを超えていてQuota Varianceが7%を超える地域の値を表示するクエリーを作成する場合があります(「集計後のフィルタ適用の例」を参照)。

表3-1 集計後のフィルタ適用の例

Regions Sales Dollars Quota Variance

- Company A

100億ドル(固定)

10%

+ Northeast

35億

8%

+ Southwest

22億

12%


Company AのSalesの値は、基礎となるディメンション値がフィルタ処理されている場合でも変わりません。そのため、この例では、クエリーでSalesが20億ドルを超えている地域のみが表示される場合でも、Company AのSalesは100億ドルのままです。

集計値は、その子すべてがフィルタ条件と一致しない場合でも一致するため、潜在的な問題にドリルインできます。たとえば、前述の例で、Company A、およびNortheast地域とSouthwest地域についてQuota Varianceが7%を超えている場合を考えてみます。Southwest地域にドリルインすると、アリゾナ州のQuota Varianceが-50%であることがわかります。これは、早急に対処する必要がある問題です。

集計値とその子は、スケールが異なることがよくあります。たとえば、地域は、その子の100倍の場合などがあります。

3.12 フィルタおよびディメンション

フィルタはディメンションに適用されます。各ディメンションには関連付けられたクエリーがあります。あるディメンションのクエリーによって選択されるデータは、別のディメンションのクエリーによって選択されるデータに依存する場合と依存しない場合があります。次の例について考えてみます。

明確にするために、フィルタは完全に修飾されている必要があります。たとえば、各Geographyで最もよく売れている3つの製品を表示するクエリーを作成するとします。TimeはJanuaryに設定されています。Timeの値をFebruaryに変更すると、クエリーの結果も変わります。つまり、最もよく売れている3つの製品は、Februaryの場合は異なる可能性があります。

3.13 Discovererカタログ

Discovererカタログは、Discoverer Plus OLAP用のオブジェクトの定義を格納および取得するためのリポジトリで、Oracle Business Intelligence Beans (BI Beans)を使用して作成されたアプリケーションで使用できます。Discoverer Plus OLAPで、カタログを使用してワークブック、計算、保存済選択などのオブジェクトを格納し、カタログにアクセスする他のユーザーとそれらのオブジェクトを共有します。たとえば、BI Beansアプリケーションを使用してグラフを作成し、カタログに格納できます。他のユーザーは、適切なアクセス権を持っている場合、カタログに格納されたグラフを取得して、Discoverer Plus OLAPで新規ワークシートにそのグラフを挿入できます。

カタログでは、オブジェクト・レベルでセキュリティが提供され、ユーザーおよびシステム管理者は特定のオブジェクトに対するアクセス権限を指定できます。

3.14 Discoverer Plus OLAPのチュートリアルの概要

Discoverer Plus OLAP使用方法の体験型の手引きは、Discoverer Plus OLAPチュートリアルを参照してください。チュートリアルでは、架空の会社に関するデータを表示するサンプル・ワークブックの作成手順が示されます。

Discoverer Plus OLAPチュートリアルおよびDiscovererのその他の情報(ホワイト・ペーパーやベスト・プラクティスなど)には、Oracle Technology Network (www.oracle.com/technology)からアクセスできます。

3.15 Discoverer Plus OLAPの詳細の参照先

Discoverer Plus OLAPの詳細は、次の情報を参照してください。