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Oracle Fusion Middleware 2日で管理者ガイド
11g リリース1(11.1.1)
B55896-03
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9 環境のスケーリング

次の各トピックの説明に従って、管理対象サーバーを追加したり、WebLogic Serverドメインを拡張して他の製品を含めたり、Oracle SOA SuiteやOracle HTTP Serverなど既存のOracle Fusion Middlewareコンポーネント、または既存のMiddlewareホームをクローニングすることにより、環境を拡張できます。

9.1 環境のスケーリングの概要

スケーラビリティとは、使用可能なハードウェア・リソースに応じた(また、ハードウェア・リソースによってのみ制限される)スループットを提供する、システムの能力のことです。スケーラブルなシステムとは、レスポンス時間とスループットに悪影響を与えずに、リクエストの増加を処理するシステムです。

1つのオペレーティング環境内の計算能力を高めることを、垂直スケーリングと呼びます。水平スケーリングでは、複数のシステムを連携して、1つの共通の問題を並列処理します。

Oracle Fusion Middlewareでは、垂直と水平の両方でスケーリングを行います。水平スケーリングの場合、Oracle Fusion Middlewareでは、いくつかの管理対象サーバーをグループ化してワークロードを共有することで、スループットを増やすことができます。また、Oracle Fusion Middlewareは垂直スケーラビリティにも優れているため、多くの管理対象サーバーやコンポーネントを1つの同じホストに追加できます。

高可用性とは、システムにユーザーがアクセスできるようにする能力のことです。高可用性システムを配置することで、システムの停止時間(システムが使用不可な時間)を最小限に抑えながら、システムの稼働時間(システムが使用可能な時間)を最大化できます。Oracle Fusion Middlewareは、ロード・バランシングや基本的なクラスタリングから、壊滅的なハードウェアおよびソフトウェア障害時に最大のシステム可用性を実現する機能まで、多種多様な高可用性ソリューションの提供を目的として設計されています。

高可用性ソリューションは、ローカル高可用性および障害時リカバリという2つの基本的なカテゴリに分けられます。


関連項目:

  • 高可用性の詳細は、『Oracle Fusion Middleware高可用性ガイド』を参照してください。

  • 『Oracle Fusion Middlewareディザスタ・リカバリ・ガイド』


9.2 追加コンポーネントをサポートするWebLogic Serverドメインの拡張

Oracle WebLogic Serverドメインの作成は、特定のドメイン・テンプレートを使用して行います。そのテンプレートは、特定のコンポーネントや、Oracle SOA Suiteなどのコンポーネント・グループをサポートしています。WebLogic ServerドメインにOracle WebCenterなどの他のコンポーネントを追加する場合、そのコンポーネントのドメイン・テンプレートを使用して追加の管理対象サーバーをドメインに作成することで、そのドメインを拡張します。


関連項目:

既存のドメインに追加できるコンポーネントおよび必要なドメイン・テンプレートの詳細は、『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』のサポートされているドメイン拡張に関する表を参照してください。

ドメインを拡張する際には、ドメインをオフラインにする必要があります。

ドメインを拡張するには、必要なコンポーネントをインストールしたOracleホームから、Oracle WebLogic Server構成ウィザードを使用します。次に、拡張するドメインと追加するコンポーネントを選択します。

たとえば、当初Oracle SOA Suiteをサポートするように作成されたドメインを拡張して、Oracle WebCenterをサポートできるようにするには、次の手順に従います。

  1. 第3.2.1項の説明に従い、RCUを使用してコンポーネントに必要なスキーマを追加します。

  2. Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenterインストレーション・ガイド』の説明に従って、Oracle WebCenterをインストールします。

  3. 追加するコンポーネント(Oracle WebCenterなど)向けにインストールしたOracleホームから、次のコマンドを使用して構成ウィザードを起動します。

    (UNIX) ORACLE_HOME/common/bin/config.sh
    (Windows) ORACLE_HOME\common\bin\config.cmd
    

    構成ウィザードの「ようこそ」画面が表示されます。

  4. 既存のWebLogicドメインの拡張」を選択します。

  5. 次へ」をクリックします。

    「WebLogicドメイン・ディレクトリの選択」画面が表示されます。

  6. ドメインの中でコンポーネントの追加先とするディレクトリを選択します。

  7. 次へ」をクリックします。

    「拡張ソースの選択」画面が表示されます。

  8. 以下の追加製品をサポートするために、自動的にドメインを拡張する」を選択し、このドメインの拡張元となるソースを選択します。たとえば、Oracle WebCenter Spacesを選択します。

  9. 次へ」をクリックします。

    「JDBCデータ・ソースの構成」画面が表示されます。

  10. 次の情報を入力し、追加した新しいコンポーネントのスキーマを選択します。

    • ベンダー」で、「Oracle」を選択します。

    • ドライバ」で、「Oracle's Driver (Thin) for Service connections; Versions:9.0.1,9.2.0,10,11」を選択します。

    • スキーマ・オーナー」には何も入力しないでください。各データソースは、この表で指定されたユーザー名を使用します。

    • スキーマ作成時と同じパスワードを使用する場合は、すべてのスキーマを選択して、そのパスワードを「スキーマ・パスワード」に入力します。

      または、各スキーマを個別に選択し、パスワードを入力することによって、データ・ソースごとに異なるパスワードを指定することができます。

    • すべてのスキーマを選択し、「DBMS/サービス」にデータベースのSIDを入力します。

    • すべてのスキーマを選択し、「ホスト名」にデータベースのホスト名を入力します。

    • すべてのスキーマを選択し、「ポート」にデータベースのリスニング・ポートを入力します。

  11. 次へ」をクリックします。

    「コンポーネント・スキーマのテスト」画面が表示されます。

  12. テストに成功したら、「次へ」をクリックします。

    「オプションの構成を選択」画面が表示されます。

  13. この画面とその後に続くカスタマイズ画面で、カスタマイズすることを選択できます。そのためには、カスタマイズのタイプを選択します。設定をカスタマイズしない場合は、「次へ」をクリックします。

    「構成のサマリ」画面が表示されます。

  14. この画面に表示されている情報を確認して、正しければ「拡張」をクリックします。

  15. 操作が完了したら、「完了」をクリックします。


関連項目:

追加の管理対象サーバーの作成の詳細は、Oracle WebLogic Server管理コンソールのオンライン・ヘルプを参照してください。

9.3 WebLogic Serverドメインへの管理対象サーバーの追加

管理対象サーバーをドメインに追加して、システムの性能を向上させることができます。管理対象サーバーは、クラスタに追加できます。

クラスタに追加した管理対象サーバーは、そのクラスタを対象としているアプリケーションとサービスを継承します。ドメインに追加した管理対象サーバーは、テンプレートからアプリケーションとサービスを自動的には継承しません。

管理対象サーバーをドメインに追加するには、Oracle WebLogic Server管理コンソールまたはWLSTを使用できます。


関連項目:

管理対象サーバーの追加の詳細は、管理コンソールのオンライン・ヘルプおよびOracle Fusion Middleware WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンスを参照してください。

管理コンソールを使用して、追加の管理対象サーバーを作成するには:

  1. 第2.3.1項の説明に従って、管理コンソールを表示します。

  2. 第2.3.2項の説明に従って、Oracle WebLogic Server構成をロックします。

  3. 左側のペインで、「環境」を開いてから、「サーバー」を選択します。

  4. 「サーバー」の表で、「新規」をクリックします。

    「新しいサーバーの作成」の「サーバーのプロパティ」ページが表示されます。

  5. 次の情報を入力します。

    • 名前」にサーバーの名前を入力します。

      ドメインにある各サーバーの名前は、そのドメインにあるすべての構成オブジェクトに対して一意としておく必要があります。ドメインにあるすべてのサーバー、コンピュータ、クラスタ、JDBC接続ツール、仮想ホストおよびその他のタイプのリソースの名前は一意であることが必要です。また、ドメイン名と同じ名前とすることはできません。

    • サーバー・インスタンスの有効なアドレスを制限する場合は、「リスニング・アドレス」に特定のIPアドレスまたはDNS名を入力します。制限しない場合は、サーバーへのURLとして、ホスト・コンピュータのIPアドレス、IPアドレスにマップされた任意のDNS名またはlocalhost文字列を指定できます。

    • リスニング・ポート」には、サーバー・インスタンスへのアクセスに使用するポート番号を入力します。

      1台の同じコンピュータ上で複数のサーバー・インスタンスを実行する場合は、サーバーごとに専用リスニング・ポートを使用する必要があります。

    • このサーバーをスタンドアロン・サーバーにするか、既存のクラスタまたは新しいクラスタに属するサーバーにするかを指定します。

      • このサーバーをスタンドアロン・サーバーにする場合は、「いいえ、これはスタンドアロン・サーバーです。」を選択します。

      • 既存のクラスタに属するサーバーとする場合は、「はい、このサーバーを既存のクラスタのメンバーにします。」を選択します。次に、所属先とするクラスタを選択します。

        既存のクラスタが存在しない場合、このオプションは表示されません。

      • 新しいクラスタに属するサーバーとする場合は、「はい、このサーバー用に新しいクラスタを作成します。」を選択します。

  6. 次へ」をクリックします。

    「選択内容の確認」ページが表示されます。

  7. 表示された情報を確認します。情報が正しい場合は、「終了」をクリックします。

  8. 第9.3.1項の説明に従って、Oracle JRFを管理対象サーバーまたはクラスタに適用します。

ドメインに管理対象サーバーを追加するときには、Fusion Middleware Controlを使用することもできます。「ファーム」メニューから、「コンポーネントの作成/削除」を選択します。「Fusion Middlewareコンポーネント」ページで、「作成」→「WebLogic Server」を選択します。

9.3.1 管理対象サーバーまたはクラスタへのOracle JRFの適用

Oracle JRF(Java Required Files)は、Oracleビジネス・アプリケーションおよびアプリケーション・フレームワークに共通の機能を提供するコンポーネントのうち、Oracle WebLogic Serverと同時にインストールされないコンポーネントで構成されています。

JRFは、共通の場所にデプロイされる、別々に開発された多数のライブラリとアプリケーションで構成されます。JRFに属すると見なされるコンポーネントには、Oracle Application Development Frameworkの共有ライブラリやODLロギング・ハンドラなどがあります。

一定の条件下では、管理対象サーバーまたはクラスタにJRFを適用する必要があります。JRFを適用できる管理対象サーバーは、JRFを構成済のドメインにあるもののみです。つまり、ドメインを作成または拡張するときに、構成ウィザードでOracle JRFを選択しておく必要があります。

JRFの適用が必要となる条件については、次の点を考慮してください。

  • すでにJRFを構成済の既存のクラスタに管理対象サーバーを追加する場合は、管理対象サーバーにJRFを適用する必要はありません。

  • 管理対象サーバーをドメインに追加する場合、その管理対象サーバーがJRFのサービスを必要とするにもかかわらず、クラスタに属していないときは、管理対象サーバーにJRFを適用する必要があります。

  • 新しいクラスタを作成する場合、そのクラスタがJRFを必要とするときは、クラスタにJRFを適用する必要があります。

  • テンプレート拡張プロセス時に製品のテンプレートによって追加した管理対象サーバーには、JRFを適用する必要はありません(ただし、構成ウィザードでJRFを選択する必要があります)。

  • JRFの適用後、サーバーまたはクラスタを再起動する必要があります。

  • サーバーの作成にFusion Middleware Controlを使用した場合は、JRFテンプレートが自動的に適用されます。

管理対象サーバーまたはクラスタをJRFで構成するには、カスタムWLSTコマンドapplyJRFを使用します。カスタムWLSTコマンドを使用するには、Oracle CommonホームからWLSTスクリプトを起動する必要があります。詳細は、第2.4.1.1項を参照してください。

applyJRFコマンドの形式は、次のとおりです。

applyJRF(target={server_name | cluster_name | *}, domainDir=domain_path
        [,shouldUpdateDomain= {true | false}])

applyJRFコマンドは、次のようにオンラインまたはオフラインで使用できます。

  • オンライン・モードでは、shouldUpdateDomainオプションをtrue値(デフォルト値)に設定して使用すれば、JRFの変更内容は暗黙的にアクティブになります。オンライン・モードでは、このオプションにより、オンラインWLSTコマンドのsave()とactivate()がコールされます。

  • オフライン・モードでは、管理サーバーの再起動が必要なほか、管理対象サーバーまたはクラスタも再起動する必要があります (オフライン・モードでは、shouldUpdateDomainオプションをtrue値に指定しておくと、WLSTコマンドupdateDomain()がコールされます)。

管理対象サーバーにJRFを構成するには、次のコマンドを使用します。

applyJRF(target='server1', domainDir='/scratch/Oracle/Middleware/user_projects/domains/domain1')

ドメインにあるすべての管理対象サーバーにJRFを構成するには、targetオプションの値としてアスタリスク(*)を指定します。

クラスタにJRFを構成するには、次のコマンドを使用します。

applyJRF(target='cluster', domainDir='/scratch/Oracle/Middleware/user_projects/domains/domain1')

関連項目:

  • Oracle Fusion Middleware WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンスのJava Required FilesカスタムWLSTコマンドに関する項

  • JRFとともに提供されるものとは別のバージョンのSpringを使用するには、『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』の別バージョンのSpringの使用に関する項を参照してください。


9.4 クラスタの作成

WebLogic Serverクラスタは、スケーラビリティや信頼性を向上させるために同時に稼働および連携する、WebLogic Server上の複数のサーバー・インスタンスで構成されています。クライアントから見ると、クラスタはWebLogic Serverの1つのインスタンスです。クラスタを構成するサーバー・インスタンスは、同じコンピュータ上で実行することや、別のコンピュータに配置することが可能です。既存のコンピュータ上のクラスタに別のサーバー・インスタンスを追加することで、クラスタの性能を向上させることができます。または、クラスタにコンピュータを追加して、さらに多くのサーバー・インスタンスをホストできます。クラスタ内の各サーバー・インスタンスは、同じバージョンのWebLogic Serverを実行する必要があります。

WLST、Oracle WebLogic Server管理コンソールまたはFusion Middleware Controlを使用して、管理対象サーバーのクラスタを作成できます。この項では、Fusion Middleware Controlを使用してクラスタを作成する方法を説明します。


注意:

Identity Managementコンポーネント、Oracle Portal、Oracle Forms Services、Oracle ReportsおよびOracle Business Intelligence Discovererでは、クラスタに含める1つ以上の管理対象サーバーがリモート・ホストにある場合、WebLogic Serverホームのフルパスは、他の管理対象サーバーのWebLogic Serverホームのフルパスと同じである必要があります。

たとえば、ホストAとホストBにそれぞれ管理対象サーバーがあり、それらをクラスタに含めるとします。ホストA上のWebLogic Serverホームが/scratch/oracle/Middleware/wlserver_10.3にある場合、ホストB上のWebLogic Serverホームも/scratch/oracle/Middleware/wlserver_10.3にある必要があります。


Fusion Middleware Controlを使用して、soa_server1とsoa_server2という2つの管理対象サーバーのクラスタを作成するには:

  1. 「ファーム」メニューから、「コンポーネントの作成/削除」を選択します。

    「Fusion Middlewareコンポーネント」ページが表示されます。

  2. 作成」→「WebLogicクラスタ」を選択します。

    「WebLogicクラスタの作成」ページが表示されます。

  3. 名前」にクラスタの名前を入力します。

  4. 「クラスタ・メッセージング・モード」セクションで、次のいずれかのオプションを選択します。

    • ユニキャスト 」。「ユニキャスト・ブロードキャスト・チャネル」にチャネルを入力します。このチャネルは、クラスタ内でのメッセージ転送に使用されます。

    • マルチキャスト 」。マルチキャスト・ブロードキャスト・チャネルにチャネルを入力します。マルチキャスト・アドレスは、224.0.0.0から239.255.255.255の範囲のIPアドレスです。「マルチキャスト・ポート」にポート番号を入力します。


      注意:

      指定したマルチキャスト・アドレスが使用中でないことを確認する必要があります。

  5. 「サーバー」セクションで、クラスタに追加する1つ以上のサーバーを選択します。このシナリオでは、soa_server1とsoa_server2を選択します。

  6. 作成」をクリックします。

これで、soa_server1とsoa_server2という2つのメンバーを持つクラスタが存在することになります。


関連項目:

クラスタの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverクラスタの使い方』を参照してください。

サーバーの作成にFusion Middleware Controlを使用した場合は、JRFテンプレートが自動的に適用されます。

9.5 Middlewareホームまたはコンポーネントのクローニング

既存のMiddlewareホーム、Oracleホーム、およびいくつかのコンポーネントをクローニングすることで環境を拡張し、増加する要求に応えることができます。

クローニングとは、既存のエンティティ状態を維持しながら別の場所にコピーするプロセスのことです。クローニングされたエンティティは元のエンティティと同じ動作をします。たとえば、クローニングされたOracleホームは、インストーラを使用して削除またはパッチ適用を行うことができます。また、これを別のクローニング操作のソースとして使用することもできます。

同一ホスト上または別のホスト上でクローニングできるものは、次のとおりです。クローンはソースと同じオペレーティング・システムを使用する必要があります。

Middlewareホームまたはコンポーネントのクローニングに使用するスクリプトは次のとおりです。

各クローニング・スクリプトでは、-silent trueオプションを指定しない場合は常に、続行するかどうかを確認するメッセージが表示されます。続行するには、Yesと入力します(大/小文字は区別されません)。Yes以外の語句を入力すると、スクリプトからエラーが返されます。また、silentモードでは、必要な箇所にパスワードを入力しないと、スクリプトによってエラーが生成されます。

追加のJavaオプションを指定するには、T2P_JAVA_OPTIONS環境変数を定義し、変数定義でオプションを指定します。次の例では、Java一時ディレクトリの値を設定します。


関連項目:

構文を含む、クローニングの詳細は、『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』のOracle Fusion Middlewareのクローニングに関する項を参照してください。


注意:

Oracle Fusion MiddlewareがまだインストールされていないホストにMiddlewareホームのクローンを適用している場合、次の点に注意してください。
  • ホストには、JDK 1.6.04以降がインストールされている必要があります。さらに、PATH、CLASSPATHおよびJAVA_HOMEの各環境変数が、このJDKを指すようにします。

  • ソース・ホストの次の場所からpasteBinaryスクリプトをターゲット・ホストにコピーします。

    (UNIX) ORACLE_COMMON_HOME/bin/pasteBinary.sh
    (Windows) ORACLE_COMMON_HOME\bin\pasteBinary.cmd
    
  • ソース・ホストの次の場所から次のファイルをターゲット・ホストにコピーします。

    (UNIX) ORACLE_COMMON_HOME/jlib/cloningclient.jar
    (Windows) ORACLE_COMMON_HOME\jlib\cloningclient.jar
    
  • ORACLE_COMMON_HOME/bin以外の場所からpasteBinaryスクリプトを実行する場合は、pasteBinaryスクリプトとcloningclient.jarファイルが同一ディレクトリにある必要があります。

  • ファイルに実行権限があることを確認してください。


9.5.1 Middlewareホームのクローニング

Middlewareホームはクローニングが可能で、Oracleホーム(1つ以上またはなし)と1つのOracle WebLogic Serverホームを組み込むことができます。


注意:

  • このクローニング操作でアーカイブが作成されるOracleホームは、Middlewareホーム内に配置されているもののみです。Middlewareホームの外部に配置されているOracleホームはクローニングされません。

  • 一度にクローニングできるMiddlewareホームは1つだけです。

  • Oracle WebLogic ServerがMiddlewareホームにない場合、Oracle WebLogic Serverホームはアーカイブおよびクローニングされませんが、Middlewareホーム内のOracleホームはアーカイブおよびクローニングされます。

  • Windowsの場合は、クローニング元のMiddlewareホームでOracle WebLogic Serverのプロセスが実行されていないことを確認してください。

  • ターゲット・ホストにファイルoraInst.locが含まれていない場合は、このファイルを作成する必要があります(スーパー・ユーザー権限またはルート権限が必要です)。デフォルトでは、クローニング操作でこのファイルが/etcディレクトリ内で検索されます。このファイルを別の場所に作成した場合は、pasteBinaryコマンドに-invPtrLocパラメータを使用して場所を指定します。

    このファイルには、次の行が含まれている必要があります。

    inventory_loc=oraInventory_location
    inst_group=user_group
    

Middlewareホームをクローニングするには:

  1. Windowsの場合は、ソースMiddlewareホームで、管理サーバーおよびMiddlewareホームで実行されている管理対象サーバーをすべて停止します。

  2. ソースMiddlewareホームで、copyBinaryスクリプトを実行します。このスクリプトは、Middlewareホーム内にあるWebLogic ServerホームおよびOracleホームを検索します。MiddlewareホームにOracleホームがない場合、アーカイブにOracleホームが存在しなくなります。

    たとえば、/scratch/Oracle /Middleware1のMiddlewareホームをクローニングするには、次のコマンドを使用します。

    copyBinary.sh -javaHome /scratch/Oracle/Middleware1/jrockit_160_20_D1.1.0-18
                  -archiveLoc /tmp/mw_clone.jar
                  -sourceMWHomeLoc /scratch/Oracle/Middleware1 
                  -invPtrLoc /scratch/oracle/oraInst.loc
    
  3. Middlewareホームを別のホストにクローニングする場合は、そのシステムにアーカイブ・ファイルをコピーします。

  4. pasteBinaryスクリプトとcloningclient.jarファイルをターゲット・システムにコピーし、実行権限があることを確認します。ファイルの場所については、第9.5項を参照してください。

    pasteConfigなど他のスクリプトをコピーしないでください。これらのスクリプトは、ステップ5で説明しているように、ファイルの抽出時に生成されます。

  5. クローニング先で、pasteBinaryスクリプトを使用してアーカイブからファイルを抽出します。

    たとえば、/scratch/oracle/MW_Home_cloneディレクトリにクローンを適用するには、次のコマンドを使用します。

    pasteBinary.sh -javaHome /scratch/Oracle/Middleware1/jrockit_160_20_D1.1.0-18 
                   -archiveLoc  /tmp/mw_clone.jar 
                   -targetMWHomeLoc  /scratch/oracle/MW_Home_clone 
    

    Middlewareホームが/scratch/oracle/MW_Home_cloneに抽出され、その下にWebLogic Serverホーム、およびソースOracleホーム名と同じ名前ですべてのOracleホームが抽出されます。

9.5.2 コンポーネントのクローニング時の移動プランのカスタマイズ

Oracle Fusion Middlewareコンポーネントをクローニングする際、 クローニングするコンポーネントの移動プランを作成するには、extractMovePlanスクリプトを実行します。extractMovePlanスクリプトは、構成情報をアーカイブから移動プランに抽出します。必要となる構成プランも抽出します。クローンをターゲットに適用する前に、ターゲットの環境の値を反映するよう、移動プランを編集する必要があります。

次に、WebLogic Javaコンポーネントの移動プランの抜粋を示します。

<?xml version="1.0" encoding="UTF-8" standalone="yes"?>
<movePlan>
    <movableComponent>
        <componentType>J2EEDomain</componentType>
        <moveDescriptor>
            <configProperty>
                <name>Startup Mode</name>
                <value>PRODUCTION</value>
                <itemMetadata>
                    <dataType>STRING</dataType>
                    <scope>READ_WRITE</scope>
                </itemMetadata>
            </configProperty>
            <configGroup>
                <type>SERVER_CONFIG</type>
                <configProperty id="Server1">
                    <configProperty>
                        <name>Server Name</name>
                        <value>AdminServer</value>
                        <itemMetadata>
                            <dataType>STRING</dataType>
                            <scope>READ_ONLY</scope>
                        </itemMetadata>
                    </configProperty>
                    <configProperty>
                        <name>Listen Address</name>
                        <value>example.com</value>
                        <itemMetadata>
                            <dataType>STRING</dataType>
                            <scope>READ_WRITE</scope>
                        </itemMetadata>
                    </configProperty>

READ_WRITEのスコープのプロパティを変更できます。READ_ONLYのスコープのプロパティは変更しないでください。

編集するプロパティは、コンポーネントのタイプにより異なります。各タイプのコンポーネントで編集するプロパティの詳細は、『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』のコンポーネントのクローニング時の移動プランのカスタマイズに関する項にある表を参照してください。

9.5.3 Javaコンポーネントのクローニング

Oracle SOA SuiteなどのWebLogic Javaコンポーネントをクローニングできます。

WebLogic Javaコンポーネントをクローニングするには:

  1. ソースMiddlewareホームで、管理サーバーとすべての管理対象サーバーが起動されていることを確認します。

  2. ソースMiddlewareホームで、copyConfigコマンドを実行します。

    たとえば、Middlewareホーム/scratch/Oracle/Middleware1内のSOA_domain1という名前のOracle SOA Suiteドメインをクローニングするには、次のコマンドを使用します。

    copyConfig.sh -javaHome /scratch/Oracle/Middleware1/jrockit_160_20_D1.1.0-18 
                  -archiveLoc /tmp/soa.jar
                  -sourceDomainLoc /scratch/Oracle/Middleware1/user_projects/domains/SOA_domain1
                  -sourceMWHomeLoc /scratch/Oracle/Middleware1
                  -domainHostName example.com
                  -domainPortNum 8001
                  -domainAdminUserName admin_username
                  -domainAdminPassword /scratch/admin/passwd.txt
                  -logDirLoc /tmp/logs
    
  3. コンポーネントを別のホストにクローニングする場合は、そのシステムにアーカイブ・ファイルをコピーします。

  4. extractMovePlanスクリプトを使用して、アーカイブから移動プランを抽出します。例:

    extractMovePlan.sh -javaHome /scratch/Oracle/Middleware1/jrockit_160_20_D1.1.0-18
                     -archiveLoc /tmp/soa.jar
                     -planDirLoc /tmp/Oracle/t2p_plans/soa
    
  5. Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』のコンポーネントの移動プランに関する項にある表に従ってプロパティを変更し、移動プランを編集します。

  6. クローニング先で、pasteConfigスクリプトを使用してアーカイブからファイルを抽出します。たとえば、Middlewareホーム/scratch/Oracle/Middleware1にクローンを適用するには、次のコマンドを使用します。

    pasteConfig.sh -javaHome /scratch/Oracle/Middleware1/jrockit_160_20_D1.1.0-18
                -archiveLoc /tmp/soa.jar
                -movePlanLoc /tmp/Oracle/t2p_plans/soa/moveplan.xml
                -targetDomainLoc /scratch/Oracle/Middleware1/user_projects/domains/SOA_domain1
                -targetMWHomeLoc /scratch/Oracle/Middleware1/
                -domainAdminPassword /scratch/pwd_dir/pass.txt 
    

9.5.4 システム・コンポーネントのクローニング

Oracle HTTP ServerやOracle Virtual Directoryなどのシステム・コンポーネントをクローニングできます。

システム・コンポーネントをクローニングするには:

  1. ソースMiddlewareホームで、管理サーバーとすべての管理対象サーバーが起動されていることを確認します。

  2. ソースMiddlewareホームで、copyConfigコマンドを実行します。

    たとえば、/scratch/Oracle/Middleware1/webtier_1にあるOracleインスタンス内のohs1という名前のOracle HTTP Serverインスタンスをクローニングするには、次のコマンドを使用します。

    copyConfig.sh -javaHome /scratch/Oracle/Middleware1/jrockit_160_20_D1.1.0-18 
                  -archiveLoc /tmp/ohs1.jar
                  -sourceInstanceHomeLoc /scratch/Oracle/Middleware1/webtier_1
                  -sourceComponentName ohs1
    
  3. コンポーネントを別のホストにクローニングする場合は、そのシステムにアーカイブ・ファイルをコピーします。

  4. extractMovePlanスクリプトを使用して、アーカイブから移動プランを抽出します。例:

    extractMovePlan.sh -javaHome /scratch/Oracle/Middleware1/jrockit_160_20_D1.1.0-18
                     -archiveLoc /tmp/ohs1.jar
                     -planDirLoc /tmp/Oracle/t2p_plans/ohs
    
  5. Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』のコンポーネントの移動プランに関する項にある表に従ってプロパティを変更し、移動プランを編集します。

  6. クローニング先で、pasteConfigスクリプトを使用してアーカイブからファイルを抽出します。たとえば、Oracleインスタンスwebtier_2にクローンを適用し、クローンOracle HTTP Serverインスタンスにohs_clという名前を付けるには、次のコマンドを使用します。

    pasteConfig.sh -javaHome /scratch/Oracle/Middleware/jrockit_160_20_D1.1.0-18
                -archiveLoc /tmp/ohs1.jar
                -movePlanLoc /tmp/Oracle/t2p_plans/ohs/moveplan.xml
                -targetOracleHomeLoc /scratch/Oracle/Middleware/Oracle_WebTier 
                -targetInstanceHomeLoc /scratch/Oracle/Middleware/webtier_2 
                -targetInstanceName webtier_2 
                -targetComponentName ohs_cl 
                -domainHostName myhost
                -domainPortNum 7001 
                -domainAdminUserName domain_admin_username
                -domainAdminPassword domain_admin_password_file 
    

9.6 関連情報

この章で説明した内容の詳細は、次を参照してください。