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Oracle® WebLogic Communication Services 管理ガイド
11g リリース 1 (11.1.1)
B55505-01
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14 SIP インフラストラクチャ アプリケーションのコンフィグレーション

この章では、Proxy Registrar と STUN サービスについて説明します。 以下のトピックがあります。

14.1 Proxy Registrar

Proxy Registrar は、RFC 3261 に規定されているプロキシおよびレジストラ機能を実装するユーザ エージェント サーバ (UAS) です。 この SIP エンティティは、メッセージのルータです。 Proxy Registrar のレジストラ機能では、ユーザ エージェント クライアントからの REGISTER リクエストが処理され、Location Service を使用して、ユーザのレコード アドレス (AOR) と、CONTACT フィールドにあるユーザの SIP または SIPS URI との間のバインディング (関連付け) が格納されます。 AOR へのリクエストが受信されると、プロキシ機能によって、Location Service のルックアップを通じてマップされた URI が特定され、このルックアップで取得されたロケーション情報を使用してリクエストがプロキシされます。 表 14-1 に、Proxy Registrar の属性を示します。

表 14-1 Proxy Registrar の属性

属性 説明

CurrentRegDevices

現在登録されているデバイスの数を示す、読み取り専用の属性です。

DefaultExpires

クライアントで優先的な値が指定されなかった場合の、REGISTER リクエストの有効期限の値を設定します。 この属性のデフォルト値は 3600 秒です。

MaxExpires

サーバが使用できる REGISTER リクエストの有効期限の最大値を設定します。 クライアントは REGISTER リクエストで任意の有効期限の値を要求できますが、サーバが有効期限として使用する最大期間を設定できます。 クライアントが要求した期間が MaxEpires に設定された値よりも長い場合、サーバはその特定の REGISTER リクエストの有効期限を MaxExpires の値に設定します。

この属性のデフォルト値は 7200 秒です。

MinExpires

サーバが使用できる REGISTER リクエストの有効期限の最小値を設定します。クライアントは任意の有効期限を要求できますが、REGISTER リクエストの有効期限として非常に低い値を指定することもできます。 これらの低い値では、クライアントが頻繁に登録情報を更新する必要があるため、ネットワーク上のトラフィックが生じます。 クライアントが要求した値がこの最小有効期限に満たない場合、サーバは REGISTER リクエストを受け入れず、RFC 3261 の 423 (間隔が短すぎる) エラー応答で応答します。 この応答メッセージでは、MinExpires 属性で設定された、許可されている最小有効期限が指定されます。 サーバは有効期限を短縮できますが、延長はできません。

この属性のデフォルト値は 60 秒です。

SipRegAllowThirdParty

Proxy Registrar でサードパーティの登録を許可するかどうかを指定します。 サードパーティの登録の場合、リクエストを発行するエンティティ (From ヘッダ内) は、提供された Contact 情報が適用される、登録されたエンティティ (To ヘッダ内) とは異なります。 true に設定すると、Proxy Registrar でサードパーティの登録が許可されます。 false (デフォルト値) に設定すると、サードパーティの登録は拒否されます (リクエスト側では 403 Forbidden ステータス コードが受信されます)。 これは、常に false に設定された読み取り専用の属性です。

SipRegMaxUsers

Proxy Registrar でサポートされる最大ユーザ数を指定する、読み取り専用の属性です。


14.2 STUN サービス

OWLCS STUN サービスは、STUN (Simple Traversal of User Datagram Protocol (UDP) Through Network Address Translators (NATs)) を実装します。 RFC 3489 に規定されているとおり、STUN によって、NAT 背後の STUN クライアント (つまり、ルータ背後のクライアント) は NAT の存在と NAT の種類を検出し、NAT が割り当てる (IP アドレスを含む) アドレス バインディングを認識できます。

STUN はクライアントとサーバ間のプロトコルであり、STUN クライアントがリクエスト (バインディング リクエスト) をサーバに送信すると、サーバから応答が返されます。 OWLCS ではクライアントからのバインディング リクエストの受信がサポートされます。これらのリクエストは UDP を介して送信され、NAT の存在の検出と、パブリック IP アドレスおよび生成されるポート マッピングの検出の両方に使用されます。 STUN クライアントがバインディング リクエストを STUN サーバに送信すると、STUN サーバはリクエストのソース IP アドレスとポートを調べて、これらがコピーされた応答を再びクライアントに送信します。 STUN クライアントがバインディング レスポンスを受信すると、パケット内の IP アドレスおよびポートと、STUN サーバへのバインディング リクエストの送信時にバインドされていたローカル IP アドレスおよびポートが比較されます。

STUN サービス MBean の属性 (表 14-2 を参照) を使用して、STUN サーバのプライマリおよびセカンダリの IP アドレスとポートを設定できます。これらは、STUN サーバがクライアントからのバインディング リクエストの受信に使用する、RFC 3489 で規定されているアドレス-ポートの 4 つの組み合わせを形成します。 RFC 3489 による組み合わせは、以下のとおりです。

通常、STUN サーバのプライマリ ポート (P1) は UDP ポート 3478 に設定されます。 STUN サーバでは、バインディング レスポンスに含まれている CHANGED-ADDRESS 属性のセカンダリ アドレスとセカンダリ ポートの値 (A2, P2) が使用されます。

表 14-2 STUN サービス MBean の属性

属性

Autostart

OWLCS の起動時に STUN サーバを自動的に起動するには、true に設定します。

PrimaryAddress

着信バインディング リクエストをリスンするプライマリ STUN アドレス。 デフォルト値は 127.0.0.1 です。

PrimaryPort

着信バインディング リクエストをリスンするプライマリ STUN ポート。 値は UDP ポート 3478 です。これは RFC 3489 で規定されているデフォルトの STUN ポートです。

SecondaryAddress

着信バインディング リクエストをリスンするセカンダリ STUN アドレス。 PrimaryAddress と同じ値にすることはできません。

SecondaryPort

着信バインディング リクエストをリスンするセカンダリ STUN ポート。 デフォルト値は UDP ポート 3479 です。