Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Server JDBCデータ・ソースの構成と管理 11gリリース1 (10.3.6) B60997-04 |
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この章では、WebLogic ServerでOracle Real Application Clusters (Oracle RAC)を使用する場合の要件および構成タスクについて説明します。
Oracle WebLogic Serverは、Oracleデータベース11gのOracle Real Application Clusters (RAC)機能に関する強力なサポートを提供し、接続パフォーマンスと可用性の両方を最大化する豊富なプーリング管理機能への透過的アクセスを許可する一方で、データベース・アクセス時間を最小化します。
Oracle RACとWebLogic Serverはどちらも複雑なシステムです。これらを一緒に使用するには、クラスタリング・ソフトウェアおよび共有ストレージ・ソリューションに加え、両方のシステム上での固有の構成が必要になります。このドキュメントでは、要求される構成について概要レベルで説明します。Oracle RAC、使用しているクラスタリング・ソフトウェア、使用しているオペレーティング・システム、および使用しているストレージ・ソリューションの構成に関する詳細は、それぞれのベンダーが提供するドキュメントを参照してください。
Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)は、複数のマシンのユーザーが単一のデータベースに高いパフォーマンスでアクセスすることを可能にする高可用性ソリューションに追加できるソフトウェア・コンポーネントです。Oracle RACは、複数のクラスタ化マシン上で実行され、クラスタ技術によって共有ストレージ・デバイスにアクセスする複数のOracleデータベース・インスタンスで構成されます。このアーキテクチャをサポートするため、データベース・インスタンスをホストするマシンは高速のインターコネクトでリンクされて、クラスタを形成します。インターコネクトとは、クラスタのノード間の通信手段として使用される物理的なネットワークです。クラスタ機能は、オペレーティング・システムまたは互換性のあるサード・パーティのクラスタリング・ソフトウェアによって提供されます。
インストールされているOracle RACは、単一の標準的なOracleデータベースのように見え、同じツールと実行方法で管理されます。クラスタのすべてのノードは同じデータベースに対してトランザクションを実行し、Oracle RACにより各ノードから共有データへのアクセスが調整されて一貫性が維持され、整合性が確保されます。クラスタにはノードを簡単に追加でき、追加時にデータを分割する必要もありません。つまり、Oracle RACノード、ストレージ、またはその両方を追加することで、処理とリクエストの増加に伴い、データベース層を水平方向に拡張できます。
WebLogic ServerをOracle RACで使用するには、各Oracle RACノードに次のソフトウェアをインストールする必要があります。
Oracle RACのサポートに必要なオペレーティング・システムのパッチ。詳細は、Oracleが提供するリリース・ノートを参照してください。
Oracle 11gデータベース管理システム。『Oracle® Fusion Middlewareライセンス情報』を参照してください。
使用しているオペレーティング・システム用のクラスタリング・ソフトウェア。サポートされるクラスタリング・ソフトウェアおよびクラスタ構成については、Oracleのドキュメントを参照してください。
Veritas Cluster File Systemなどの共有ストレージ・ソフトウェア。一部のクラスタリングソフトウェアには、ファイル・ストレージ・ソリューションが含まれています。その場合は、共有ストレージ・ソフトウェアは必要ありません。
注意: WebLogic Serverでサポートされるハードウェア・プラットフォームやオペレーティング・システム、およびWebLogic Serverの各バージョンやサービス・パックでサポートされるOracle RACのバージョンの最新情報については、『Oracle WebLogic Serverの新機能』のサポートされる構成に関する項を参照してください。Oracle RACソフトウェアを実行する上でのハードウェア要件およびソフトウェア要件については、Oracleのドキュメントを参照してください。 |
WebLogic ServerをOracle RACとともに使用するには、WebLogic JDBCデータ・ソースでOracle JDBC Thin Driver 11gを使用して、データベース接続を作成する必要があります。
WebLogic ServerおよびOracle RACの標準的なシステムには、WebLogic Serverクラスタ、Oracle RACクラスタ、および共有ストレージ用のハードウェアが含まれます。
WebLogic Serverクラスタを構成する複数の方法および様々なハードウェア・オプションがあります。WebLogic Serverクラスタの構成については、『Oracle WebLogic Serverクラスタの使い方』を参照してください。
Oracle RACに関する最新のハードウェア要件については、Oracle RACのドキュメントを参照してください。ただし、WebLogic ServerでOracle RACを使用するには、堅牢な本番品質のハードウェア上でOracle RACインスタンスを実行する必要があります。Oracle RACの構成では、アプリケーションの負荷要件を適切に予想し、それに見合ったデータベース処理性能を実現する必要があります。データベースのレスポンスが著しく遅れると、データベースのフェイルオーバー処理の間に予期しない動作が生じるおそれがあります。
Oracle RACでWebLogic Serverを使用する場合、Oracle RACインスタンスと対話でき、期待どおりに動作するようにWebLogicドメインを構成する必要があります。次の項では、構成のオプションと要件について説明します。
次の代替について考察します。
GridLinkデータ・ソースの使用に関しては、『Oracle® Fusion Middlewareライセンス情報』を参照してください。
グローバル・トランザクション(XA)の使用時に複数のOracle RACインスタンスに接続するには、(フェイルオーバーとロード・バランシングをサポートする)トランザクション対応のWebLogic JDBCマルチ・データ・ソースを使用してOracle RACノードに接続することをお薦めします。詳細は、「グローバル・トランザクションを利用する場合のマルチ・データ・ソースの使用」を参照してください。
XAを使用していない場合に複数のOracle RAC 11gインスタンスに接続するには、(非トランザクション対応の)マルチ・データ・ソースを使用してOracle RACノードに接続することをお薦めします。フェイルオーバーとロード・バランシングをサポートする、標準的なマルチ・データ・ソース構成を使用してください。詳細は、「グローバル・トランザクションを利用しない場合のマルチ・データ・ソースの使用」を参照してください。
以下の表を、特定のアプリケーションに適した構成を判断する際の指標としてご利用ください。
表11-1 Oracle RACと併用するための構成の選択
ロード・バランシングは必要? | フェイルオーバーは必要? | グローバル・トランザクション(XA)は必要? | Oracle RACサービスを使用 | 次を参照 |
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はい |
はい |
はい |
はい |
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はい |
はい |
はい |
いいえ |
グローバル・トランザクションを利用する場合のマルチ・データ・ソースの使用 |
はい |
はい |
はい |
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はい |
はい |
いいえ |
はい |
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はい |
はい |
いいえ |
いいえ |
グローバル・トランザクションを利用しない場合のマルチ・データ・ソースの使用 |
アプリケーションは、JDBC 4.0 Connection.isValid APIを使用して接続の実行可能性を検証できます。
注意: WebLogic Serverはoracle.ucp.jdbc.ValidConnection.isValid or oracle.ucp.jdbc.ValidConnection.setInvalid をサポートしません。 |
Oracle RACでのGridLinkデータ・ソースまたはマルチ・データ・ソース使用時にトランザクションを調整する場合、分散トランザクション処理(DTP)はサポートされていません。