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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverの保護
11g リリース1(10.3.6)
B61617-04
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8 セキュリティ・データの移行

あるセキュリティ・レルムまたはセキュリティ・プロバイダからセキュリティ・データをエクスポートして、別のレルムまたはプロバイダにインポートできます。以下の節では、セキュリティ・データのエクスポートとインポートについて説明します。

セキュリティ・データ移行の概要

WebLogicセキュリティ・レルムには様々なセキュリティ・データが永続化されます。これには、WebLogic認証プロバイダのユーザーとグループ、XACML認可プロバイダのセキュリティ・ポリシー、XACMLロール・マッピング・プロバイダのセキュリティ・ロール、WebLogic資格証明マッピング・プロバイダの資格証明マップなどがあります。新しいセキュリティ・レルムまたはセキュリティ・プロバイダを構成する場合、すべてのユーザー、グループ、ポリシー、ロール、および資格証明マップを再作成せずに、既存のセキュリティ・レルムまたはセキュリティ・プロバイダのセキュリティ・データを使用できます。WebLogicセキュリティ・プロバイダの一部は、セキュリティ・データの移行をサポートしています。つまり、あるセキュリティ・レルムからセキュリティ・データをエクスポートして、新しいセキュリティ・レルムへインポートできます。各セキュリティ・プロバイダのセキュリティ・データを個別に移行したり、すべてのWebLogicセキュリティ・プロバイダのセキュリティ・データ(セキュリティ・レルム全体のセキュリティ・データ)を一度に移行したりできます。同じデータ・フォーマットを使用しているプロバイダ間でのみセキュリティ・データを移行できます。「WebLogicセキュリティ・プロバイダでサポートされるフォーマットと制約」を参照してください。セキュリティ・データの移行は、WebLogic管理コンソールまたはWebLogic Scripting Tool (WLST)を使用して行います。

セキュリティ・データの移行は次のような場合に有用です。

以降では、セキュリティの移行の概念、WebLogicセキュリティ・プロバイダでサポートされるフォーマットと制約、およびWLSTを使用してセキュリティ・データを移行する手順について説明します。

WebLogic管理コンソールを使用したセキュリティ・データの移行については、Oracle WebLogic Server管理コンソール・オンライン・ヘルプにある次のトピックを参照してください。

移行の概念

フォーマットとは、セキュリティ・データのエクスポートまたはインポートの方法を指定するデータ・フォーマットです。サポートされるフォーマットは、特定のセキュリティ・プロバイダが処理方法を理解しているデータ・フォーマットのリストです。

制約とは、エクスポートまたはインポート処理のオプションの指定に使用されるキーと値の組合せです。制約を使用すると、セキュリティ・プロバイダのデータベース(WebLogic Serverセキュリティ・プロバイダの場合は組込みLDAPサーバー)からエクスポートまたはインポートするセキュリティ・データを制御できます。たとえば、認証プロバイダのデータベースから、グループではなくユーザーだけをエクスポートすることができます。サポートされる制約とは、特定のセキュリティ・プロバイダの移行処理で指定できる制約のリストのことを指します。たとえば、認証プロバイダのデータベースを使用してユーザーとグループをインポートするように指定できますが、セキュリティ・ポリシーはインポートできません。

エクスポート・ファイルは、移行処理のエクスポートの段階で、セキュリティ・データを(指定されたフォーマットで)書き込むファイルです。インポート・ファイルとは、移行処理のインポートの段階で、セキュリティ・データを(指定されたフォーマットで)読み込むファイルです。エクスポート・ファイルとインポート・ファイルはどちらも、あるセキュリティ・プロバイダのデータ・ストアから別のセキュリティ・プロバイダのデータ・ストアに移行する際の、セキュリティ・データの単なる一時的な格納場所です。

WebLogicセキュリティ・プロバイダでサポートされるフォーマットと制約

セキュリティ・プロバイダ間でセキュリティ・データをエクスポートおよびインポートするには、両方のセキュリティ・プロバイダが同じフォーマットを処理する必要があります。WebLogic Serverセキュリティ・プロバイダで使用されるデータ・フォーマットの一部は非公開なので、WebLogicセキュリティ・プロバイダとカスタム・セキュリティ・プロバイダの間で非公開のフォーマットを使用してセキュリティ・データを移行することは、現時点ではできません。

WebLogicセキュリティ・プロバイダは、表8-1に提示されているインポートおよびエクスポート・フォーマットをサポートします。

表8-1 WebLogicセキュリティ・プロバイダでサポートされるインポートおよびエクスポート・フォーマット

WebLogicプロバイダ サポートされるフォーマット

WebLogic認証プロバイダ

DefaultAtn - 非公開のフォーマット

XACML認可プロバイダ

XACML - 標準のXACML 2.0フォーマット

DefaultAtz - 非公開のフォーマット

WebLogic認可プロバイダ

DefaultAtz - 非公開のフォーマット

XACMLロール・マッピング・プロバイダ

XACML - 標準のXACML 2.0フォーマット

DefaultRoles - 非公開のフォーマット

WebLogicロール・マッピング・プロバイダ

DefaultRoles - 非公開のフォーマット

WebLogic資格証明マッピング・プロバイダ

DefaultCreds - 非公開のフォーマット

SAML IDアサーションV2

SAML資格証明マッピング・プロバイダV2

XMLパートナ・レジストリ - SAMLパートナ・レジストリ・スキーマで定義されているXMLフォーマット

JKSキーストア - パートナ証明書のインポートおよびエクスポート専用のキーストア・ファイル・フォーマット

LDIFテンプレート - LDIFフォーマット


WebLogicセキュリティ・プロバイダは、表8-2に提示されているインポートおよびエクスポートの制約をサポートします。

表8-2 WebLogicセキュリティ・プロバイダでサポートされる制約

WebLogicセキュリティ・プロバイダ サポートされる制約 説明

デフォルト認証

users

groups

すべてのユーザーまたはすべてのグループをエクスポートします。

  • XACML認可

  • WebLogic認可

  • XACMLロール・マッピング

  • WebLogicロール・マッピング

なし

なし

WebLogic資格証明マッピング

passwords

passwords=cleartext制約を使用した場合、パスワードはクリア・テキストでエクスポートされます。それ以外の場合、パスワードは暗号化された形式でエクスポートされます。

  • SAML IDアサーションV2

  • SAML資格証明マッピングV2

partners

インポートまたはエクスポートするパートナ。制約値は以下のいずれかになります。

  • all - すべてのパートナ

  • none - パートナなし

  • list - リストされたパートナのみ

  • enabled - 有効化されたパートナのみ

  • disabled - 無効化されたパートナのみ

  • SAML IDアサーションV2

  • SAML資格証明マッピングV2

certificates

インポートまたはエクスポートする証明書。制約値は以下のいずれかになります。

  • all - すべての証明書

  • none - 証明書なし

  • list - リストされた証明書のみ

  • referenced - パートナによって参照される証明書のみ

  • SAML IDアサーションV2

  • SAML資格証明マッピングV2

passwords

passwords=cleartext制約を使用した場合、パスワードはクリア・テキストでエクスポートされます。それ以外の場合、パスワードは暗号化された形式でエクスポートされます。

  • SAML IDアサーションV2

  • SAML資格証明マッピングV2

importMode

インポートされたデータとSAMLレジストリ内の既存のデータとの間の名前の競合を解決する方法を指定します。制約値は以下のいずれかになります。

  • fail - 競合が検出された場合、インポート操作は失敗します(デフォルト)

  • rename - 競合しているインポートされたエントリの名前を変更します

  • replace - 既存のエントリを、競合しているインポートされたエントリで置き換えます


WebLogic資格証明マッピング・プロバイダ、SAML資格証明マッピング・プロバイダ、またはSAML IDアサーション・プロバイダからエクスポートする場合、資格証明のパスワードをクリア・テキストでエクスポートするかどうかを指定する必要があります。passwords=cleartext制約を指定すると、パスワードはクリア・テキストでエクスポートされます。それ以外の場合、パスワードは暗号化された形式でエクスポートされます。パスワードの暗号化に使用されるメカニズムはWebLogicドメインごとに異なるため、別のWebLogicドメインで使用する場合は、パスワードをクリア・テキストでエクスポートできます。新しいWebLogicドメインに資格証明マップがインポートされると、パスワードは暗号化されます。移行処理中にシステムでセキュアなデータを利用できるようにするため、クリア・テキストの資格証明マップのエクスポート先となるディレクトリとファイルは慎重に保護してください。


注意:

WebLogic認証プロバイダは、デフォルトでは一方向のハッシュを使用してパスワードを格納します。このプロバイダによって暗号化されたパスワードは、データのエクスポート時にpasswords=cleartext制約を使用しても、暗号化せずに送信することはできません。このプロバイダからクリア・テキストでパスワードをエクスポートできるようにしたい場合は、それらのパスワードを作成または更新する前に、「パスワード・ダイジェストの有効化」属性をtrueに設定する必要があります。詳細は、Oracle WebLogic Server管理コンソール・オンライン・ヘルプのデフォルト認証プロバイダ: プロバイダ固有に関する項を参照してください。

WLSTを使用したデータの移行

WebLogic Scripting Tool (WLST)を使用して、セキュリティ・プロバイダからデータをエクスポートしてインポートできます。セキュリティ・プロバイダの実行時MBeanにアクセスして、そのimportData操作またはexportData操作を使用します。たとえば、以下のようなコマンドでWLSTを使用してデータをインポートします。

domainRuntime() 
cd('DomainServices/DomainRuntimeService/DomainConfiguration/mydomain
/SecurityConfiguration/mydomain/DefaultRealm/myrealm/path-to-MBean/mbeanname')
cmo.importData(format,filename,constraints) 

説明:

詳細は、『Oracle WebLogic Scripting Tool』を参照してください。