Oracle® Fusion Middleware Oracle Application Development Frameworkデスクトップ統合開発者ガイド 11gリリース1(11.1.1.6.0) B66694-01 |
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この付録では、アプリケーションおよび統合Excelワークブックの使用時にエンド・ユーザーが実行するアクション(ADFデスクトップ統合のランタイム・エディションのインストール、統合されていないExcelワークブックからのデータのインポート、実行時のワークブックでの変更、 およびワークブックでの日時値のタイムゾーン変換処理など)について説明します。
この付録で説明するアクションは、開発したFusion WebアプリケーションがMaster Price Listモジュールのように機能することを前提としています。ただし、Master Price Listモジュールで提供されるすべてのアクションがサポートされている必要はありません。
この付録の内容は次のとおりです。
ADFデスクトップ統合および統合Excelワークブックをエンド・ユーザーが使用できるようにするために、開発者はADFデスクトップ統合のランタイム・エディションをインストールする必要があります。
ADFデスクトップ統合のセットアップ・ツールを実行すると、必要なソフトウェアがシステムにインストールされているかどうかが検証されます。必要なソフトウェアの詳細は、次を参照してください。
注意: ADFデスクトップ統合のランタイム・エディションのインストールには、JDeveloperは必要ありません。 |
ADFデスクトップ統合のランタイム・エディションのインストール手順:
MW_HOME
\oracle_common\modules\oracle.adf.desktopintegration_11.1.1
ディレクトリ(MW_HOME
はミドルウェア・ホーム・ディレクトリ)にナビゲートします。
adfdi-excel-runtime-client-installer.zip
の内容を一時ディレクトリに抽出します。
adfdi-excel-runtime-client-installer.zip
ファイルの抽出先ディレクトリにあるsetup.exe
ファイルを実行します。
setup.exe
で起動したダイアログ・ボックスに表示される手順に従い、必要なコンポーネントを正しくインストールします。
プロンプトが表示された場合は「はい」をクリックしてシステムを再起動し、ADFデスクトップ統合のセットアップを完了します。
注意: ADFデスクトップ統合のランタイム・エディションは、JDeveloperからインストールできません。 |
ADFデスクトップ統合のデザイナ・エディションとランタイム・エディションの両方を、同じシステムにインストールすることはできません。一方をインストールする前に、もう一方をアンインストールする必要があります。
統合ExcelワークブックのADF表コンポーネントを使用して、Fusion Webアプリケーションにデータ行の大規模なバッチをアップロードする場合、エンド・ユーザーは、統合されていないExcelワークシートでこれらのデータ行を準備できます。その後、ADF表コンポーネントのUpload
アクションを起動する前に、ADF表コンポーネントにデータを挿入できます。
統合されていないExcelワークブックでデータを準備する手順:
統合されていないExcelワークシートで、統合ExcelワークブックのADF表コンポーネントのレイアウトと一致するように、データのレイアウトを配置します。
たとえば、ADF表コンポーネントにProduct
、Price
およびDescription
などの列が含まれている場合、統合されていないExcelワークシートでこのレイアウトを複製します。
ヒント: ADF表コンポーネントの列ヘッダーを、統合されていないExcelワークシートにコピーします。 |
Excelの機能を使用して、手順1で配置した、統合されていないExcelワークシートの列の下に、データ行をインポートします。
TreeNodeListサブコンポーネントを使用するADF表コンポーネントの列に挿入される行の値は、値リストに含まれる選択肢の1つと一致する必要があります。
ヒント: このような行に対して適切な制約が定義され、複製が可能になるように、ADF表コンポーネントの行を統合Excelワークブックから同じワークブックの別のワークシートへコピーします。 |
統合されていないExcelワークブックからADF表コンポーネントへデータを挿入する手順:
ADF表コンポーネントで、n行のダウンロードされた既存の行またはADF表コンポーネントの最後にある新しい行を選択します(nは挿入する行数)。
統合されていないExcelワークシートで、手順2で作成したADF表コンポーネントの行に挿入するセルを選択します。
警告: 統合されていないExcelワークシートで、行や列ではなく、セルを選択してください。 |
Excelメニューで「ホーム」→「コピー」を選択します。
ADF表コンポーネントで、手順2で挿入した行の左上隅のセルを選択します。
Excelメニューで「ホーム」→「貼り付け」を選択します。キー列の値を貼り付けないようにしてください。
注意: ADF表コンポーネントを含む統合Excelワークシートでは、A列は表示されません。 |
7.8項「ADF表コンポーネントから変更をアップロードするためのOracle ADFコンポーネントの構成」に従って構成した専用の機能を使用して、ADF表コンポーネントのUpload
アクションを起動できます。
Excelワークブックと統合するFusion Webアプリケーションで、シングル・サインオンなどのセキュリティ・メカニズムを使用する場合、 エンド・ユーザーが統合ExcelワークブックにアクセスするシステムのCookieに、個人識別情報を格納できます。エンド・ユーザーは、Microsoft Internet Exploreを使用してこの情報を削除できます。エンド・ユーザーは、アクティブなCookieベースのWebセッションをすべて無効にするために、ログアウトしてすべての統合Excelワークブックを閉じる必要があります。
個人情報の削除の詳細は、Microsoft Internet Explorerのドキュメントを参照してください。
開発者が第14章「統合Excelワークブックのデプロイ」に従って最終の統合Excelワークブックを公開およびデプロイした後、エンド・ユーザーは実行時にワークブックに対して次の変更を行えます。
ADF表コンポーネントまたはADF読取り専用表コンポーネントからの列の削除
ADFボタン・コンポーネント以外のADFコンポーネントを移動するためのセルのドラッグ・アンド・ドロップ
ADF表コンポーネントへの新しい行の挿入
ADF表コンポーネントまたはADF読取り専用表コンポーネントの列の順序変更
ADF表コンポーネントまたはADF読取り専用表コンポーネントの列間への統合されていない列の挿入
ただし、実行時のワークブックへの変更には、統合の破損を引き起こす、サポート対象外のものもあります。たとえば、ADF表コンポーネントまたはADF読取り専用表コンポーネントの最初の列を、実行時に削除したり移動することはできません。実行時に許可されない変更の詳細は、I.5項「実行時の統合Excelワークブックの制限」を参照してください。
ADFデスクトップ統合コンポーネントの実行時の変更には、既知の制限があります。
ADF読取り専用表コンポーネントの列の移動 – エンド・ユーザーがADF読取り専用表コンポーネントの列を移動して表の一番左の列にした場合、エンド・ユーザーがデータをダウンロードしようとすると、ADFデスクトップ統合によって例外が生成されます。
この問題を解決するには、変更を保存せずにワークブックを閉じて開きなおす必要があります。
統合Excelワークシートの削除 – エンド・ユーザーがExcelワークシートを削除した場合、エンド・ユーザーが統合Excelワークブックを保存しようとすると、ADFデスクトップ統合によって例外が生成されます。
この問題を解決するには、変更を保存せずにワークブックを閉じて開きなおす必要があります。
その他の既知の制限:
実行時、Excelのセルの条件付き書式は、選択したセルまたはワークブックの統合に影響しません。
エンド・ユーザーが統合Excelワークシートで拡大または縮小を行うと、ADFボタン・コンポーネントは無効になります。ADFボタン・コンポーネントがアクティブになるのは、ズームが100%の場合のみです。
Excelの「シートの保護」機能は、統合Excelワークブックと互換性がありません。
ADFデスクトップ統合テクノロジおよび統合Excelワークブックを初めて使用するエンド・ユーザーは、次に示す一般的なアクションについて理解しておく必要があります。
ADF表コンポーネントに行を挿入する際には、ワークシートの行全体を挿入し、すべての必須列にデータを追加します。行を部分的に挿入することは、ADF表コンポーネントの破損につながるため、行わないでください。
詳細は、7.5項「データを挿入するためのADF表コンポーネントの構成」を参照してください。
Webアプリケーションから行を削除するには、「フラグ付き」列の各セルをダブルクリックして行にフラグを付け、それぞれの削除ボタンをクリックします。行のセルの値をクリアしたり、ワークシートから行を削除しても、その行はWebアプリケーションから削除されません。また、Excelから行を削除しても、その行はWebアプリケーションから削除されません。
行のフラグ付けの詳細は、7.10.2項「ADF表コンポーネントでの行のフラグ付け」を参照してください。
変更済データのアップロード後にすべての行をダウンロードするには、「アップロード・オプション」ダイアログ・ボックスの「正常にアップロードした後はすべての行をダウンロードします」チェック・ボックスが選択されていることを確認します。
特定の列を基準にして表のデータをソートするには、その列の任意のセルまたは列ヘッダーを選択します。「ホーム」タブの「並べ替えとフィルタ」をクリックして、目的のオプションを選択します。
複数の列を基準にして表のデータをソートする場合は、データの行または列を部分的に選択しないでください。表の任意のセルを選択し、「ホーム」タブの「並べ替えとフィルタ」をクリックして「ユーザー設定の並べ替え」を選択し、目的の列を指定します。これによって表のすべての列が自動的に選択されます。続行する前に、キー列も選択されていることを確認してください。「並べ替え」ダイアログ・ボックスで、列を追加し、その優先順序を設定して「OK」をクリックします。「OK」をクリックする前に、「先頭行をデータの見出しとして使用する」チェック・ボックスが選択されていることを確認してください。
変更をアップロードする前に、変更されたすべての行の「変更済」列に、上向き三角形のマークが付いていることを確認してください。上向き三角形をダブルクリックすると、このマークが削除され、関連する行のデータはアップロードされません。
テキスト・スタイルで書式設定されているセルの数値または日付値の書式が、アップロード時にExcelで保持されるようにするには、値を入力する前にアポストロフィ記号(')を追加します。アポストロフィ記号はエスケープ文字として機能するため、値と一緒に表示されません。
表のキー列のいずれのセルも、削除、編集またはクリアしないでください。これらの値を変更すると、アップロードに失敗するだけでなく、データが破損する可能性があります。
Excelの「シートの保護」または「ブックの保護」の設定を変更しないでください。これらの設定は、「校閲」タブの「変更」グループに含まれています。
統合Excelワークブックを構成して、日時を表すデータ値の取得、編集および送信を実行できます。システム・タイムゾーンの変更時に日時データを管理するための固有のサポートがExcelには用意されていないため、ADFデスクトップ統合は、ワークブックのタイムゾーンの変更を追跡し、検出します。ワークブックを開いたときにエンド・ユーザーにタイムゾーンの更新を通知し、その後、ワークブックの日時データをシステムの現在のタイムゾーン設定に変換します。
たとえば、アリゾナ(GMT -07:00)にいるエンド・ユーザーがサーバーから統合Excelワークブックへデータをダウンロードし、ワークブックの日時データを編集して保存したものの、アップロードしなかったとします。その後、ソウルに旅行してコンピュータのタイムゾーンの選択をGMT +09:00に変更したとします。このソウルのタイムゾーンに変更した後、エンド・ユーザーがワークブックを開き、メッセージを受信すると、ADFコンポーネントのすべての日時データの値がGMT -07:00(アリゾナ)からGMT +09:00(ソウル)に変換されます。