1.1. Sun Ray コンピューティングとは

1.1.1. ステートレス
1.1.2. セキュア
1.1.3. 可用性

Sun Ray コンピューティングは、基幹業務アプリケーションでデスクトップライクなユーザー機能と十分な速度および信頼性の両方を提供するシンクライアント実装です。Sun Ray Software は、ハードウェアベースとソフトウェアベースの両方のクライアントをサポートし、Oracle Linux と Oracle Solaris (Oracle Solaris Trusted Extensions を含む) の両方で実行されます。

ほかのクライアントサーバーモデルでは、リモートとローカルのオペレーティングシステム、アプリケーション、メモリー、ストレージを組み合わせて使用することが一般的ですが、Sun Ray コンピューティングモデルは、すべてのコンピューティングをサーバーに移行します。Sun Ray モデルでは、PC のようなデスクトップデバイスでアプリケーションの実行、データの格納、計算の実行を行うのではなく、クライアントと Sun Ray サーバー (オペレーティングシステムやアプリケーションが存在) の間で入出力データを渡すだけです。

Sun Ray コンピューティングの特性に関する次の説明は Sun Ray クライアントに基づいていますが、多くの点は Oracle Virtual Desktop Client にも当てはまります。

1.1.1. ステートレス

Sun Ray クライアントはローカルのディスク、アプリケーション、またはオペレーティングシステムを持たないため、ステートレスであるとみなされます。このセットアップが真のシンクライアントになる要素です。ステートレスデバイスは、管理者や技術者がソフトウェアをインストール、アップグレード、構成したり、デスクトップのハードウェアコンポーネントを交換したりする必要がないため、安価に保守できます。

Sun Ray クライアントには、キーボードやマウスのイベントを送信したりピクセルデータを表示したりする小さなタスクセットを実行する、ファームウェアモジュールのみが含まれます。ユーザーの要求でコードを実行できるオペレーティングシステムがデスクトップデバイスに含まれている場合は、ステートがあることになり、真のシンクライアントではありません。このタイプのデバイスは、サーバーレベルではなくデスクトップでの更新や保守が必要であり、ウイルスに感染しやすくなります。

1.1.2. セキュア

Sun Ray クライアントは非常にセキュアです。たとえば、USB 外部ストレージデバイスを管理すること、つまり使用可能と使用不可を切り替える機能を制御することは、サーバーまたはグループレベルで行われます。この機能により、特定のセキュリティーや知的所有権に関心のあるサイトで、PC やその他のファットクライアント (ローカルオペレーティングシステム、ローカルアプリケーション、およびローカルデータキャッシュを利用する) によって招かれるリスクの多くを取り除けます。重要なデータは、「ファット」クライアントをホストする物理デバイスが盗難または破損にあったときに、危険にさらされたり失われたりする可能性があります。

1.1.3. 可用性

Sun Ray セッションは、セッションマネージャーによって制御され、認証トークンを介してユーザーと関連付けられるサービスのグループです。セッションは、デスクトップでなくサーバーに常駐します。Sun Ray クライアントはステートレスであるため、ユーザーがログインまたはスマートカードを挿入するときに、適切なネットワークまたはサブネットワーク上の Sun Ray クライアントにセッションを送信またはリダイレクトできます。

セッションはサーバー上にそのまま残っているのに、セッションがユーザーを新しいクライアントまで追いかけているように見えます。この機能は、ホットデスクと呼ばれ、ユーザーがネットワークの任意のクライアントからセッションにアクセスできる機能を提供します。ホットデスクは、スマートカードを使用して実装することも、または非スマートカードセッションモビリティー (NSCM) 機能によりスマートカードを使用せずに実装することもできます。

また、ほとんどの大規模 Sun Ray 実装には、Sun Ray サーバーのフェイルオーバーグループが 1 つ含まれ、サーバーがオフラインになってもサービスの無中断を可能にします。フェイルオーバーグループが構成されている場合、Sun Ray Software はグループ内のサーバー間でコンピューティング負荷を分散させることにより、パフォーマンスを最適化します。