第2章 始める前に

この章では、このガイドの残りの手順を進める前の前提条件について説明します。

ハードウェア

このガイドでは、単一ホストを使用して Oracle VDI の完全な配備を行います。このホストは、仮想化プラットフォームやストレージをはじめ、仮想デスクトップを実行して利用するために必要なすべてのものを提供します。

このホストは、次の最小限のハードウェア要件を満たす必要があります。

  • 8G バイト (GB) のランダムアクセスメモリー (RAM)

    約 6 台の仮想デスクトップを実行するためには 8G バイトで十分です。

  • クアッドコアの x86-64 (64 ビット) 中央演算処理装置 (CPU)、仮想化サポート (Intel VT-x または AMD-V) 付き

  • 100G バイト (GB) の空きディスクスペース

    このガイドでは、仮想デスクトップの格納にローカルディスクが使用されます。1 台のホストを少なくとも 2 つのディスクとともに使用して、ストレージをオペレーティングシステムと切り離せるようにするのが最善の策です。必ずストレージ用のディスクに仮想デスクトップを格納するための十分な容量があるようにしてください。

  • 1G ビット (Gbit) のネットワークインタフェースカード (NIC)

これらの要件は、ホストが Oracle VDI にのみ使用される専用ホストであることを前提としています。

オペレーティングシステム

ホストのオペレーティングシステムとして Oracle Linux または Oracle Solaris を使用できます。

評価目的のみの場合の主な要件のサマリーを次に示します。本稼働環境向けの詳細なシステム要件については、『Oracle Virtual Desktop Infrastructure 管理者ガイド』で次の情報を参照してください。

次は、Oracle Linux プラットフォームの主な要件のサマリーです。

  • Oracle Linux リリース 5.8 または 6.3 がサポートされています。

  • Oracle の Unbreakable Enterprise Kernel を使用する必要があります。現時点では、その他のカーネルで単一ホストの配備はできません。

  • Oracle Linux 5 プラットフォームでは、デフォルトパッケージセットが必須であり、ホストにインストールされている必要があります。

  • Oracle Linux 6 プラットフォームでは、Desktop パッケージセットが必須であり、ホストにインストールされている必要があります。

    Oracle Linux 6 GDM Multiseat リポジトリを有効にする必要もあります。

  • yum が正しく構成され、それが動作していることを確認して、Oracle VDI のインストール時に不足している必須パッケージが自動的にインストールされるようにします。

    Oracle Linux サポートを購入しておらず、ホストがインターネットにアクセスできる場合は、Oracle Public Yum Server を使用してパッケージの依存関係を解決できます。これらのリポジトリへのアクセスを有効にする方法の詳細は、http://public-yum.oracle.com を参照してください。

    Oracle Linux 6 プラットフォームの場合は、最新の yum 構成ファイル (http://public-yum.oracle.com/public-yum-ol6.repo) をダウンロードし、ホストの /etc/yum.repos.d ディレクトリにコピーする必要があります。最新の yum 構成ファイルには、Oracle Linux 6 GDM Multiseat リポジトリのエントリが含まれています。

  • ループバックネットワークインタフェースの最大転送単位 (MTU) を確認します。

    ループバックネットワークインタフェースの最大転送単位 (MTU) が高すぎる場合は、デスクトップのパフォーマンスが低下する可能性があります。MTU を確認し、必要であれば次のようにして小さくすることができます。

    1. ifconfig コマンドを使用してループバックインタフェースの現在の MTU を確認します。

      例:

      # /sbin/ifconfig lo
      lo        Link encap:Local Loopback  
                inet addr:127.0.0.1  Mask:255.0.0.0
                inet6 addr: ::1/128 Scope:Host
                UP LOOPBACK RUNNING  MTU:16346  Metric:1
                RX packets:134095573 errors:0 dropped:0 overruns:0 frame:0
                TX packets:134095573 errors:0 dropped:0 overruns:0 carrier:0
                collisions:0 txqueuelen:0 
                RX bytes:82894163173 (77.2 GiB)  TX bytes:82894163173 (77.2 GiB)
      
    2. MTU が 8155 バイト以上である場合は、ifconfig コマンドを使用してループバックインタフェースの MTU を 8154 バイトに変更します。

      例:

      # /sbin/ifconfig lo mtu 8154

      ifconfig コマンドを使用してループバックインタフェースの MTU が変更されたことを確認します。

  • ホストはランレベル 5 (グラフィカルユーザーインタフェースを使用する完全なマルチユーザーモード) で実行されている必要があります。

  • SELinux は無効である必要があります。

次は、Oracle Solaris プラットフォームの主な要件のサマリーです。

  • Oracle Solaris 10 リリース 8/11 (update 10) 以降および Oracle Solaris 11.1 以降がサポートされます。

  • Oracle Solaris 10 プラットフォームでは、全体ディストリビューションソフトウェアクラスタが必須であり、ホストにインストールされている必要があります。

  • Oracle Solaris 11 プラットフォームでは、デフォルト Oracle Solaris 11 パッケージ (solaris パッケージ発行元を通じて提供されます) が必須であり、ホストにインストールされている必要があります。

    Oracle Solaris Image Packaging System (IPS) が正しく構成され、それが動作していることを確認して、Oracle VDI のインストール時に不足している必須パッケージが自動的にインストールされるようにします。

  • システムが実行レベル 3 (NFS リソースが共有されているマルチユーザーレベル) で動作している必要があります。

  • Solaris ゾーンを使用する場合は、このガイドに記載されたすべての構成手順を大域ゾーンで実行する必要があります。非大域ゾーンはサポートされていません。

  • ホストで少なくとも 8G バイト (GB) のスワップ領域を確保します。スワップ領域の構成については:

  • zfs_arc_min パラメータが /etc/system ファイルで設定されている必要があります。このパラメータが設定されていない場合は、それをまず 1G バイト (GB) に設定します (システムパフォーマンスに影響がある場合はあとでそれを調整できます)。また、zfs_arc_max パラメータが zfs_arc_min と同じ値になるように設定してください。それらのパラメータ値は、次のようにバイト単位で設定します。

    set zfs:zfs_arc_min = 1073741824
    set zfs:zfs_arc_max = 1073741824

その他のホスト要件

ホストで、root ユーザーとしてログインする (Oracle Solaris の場合は root ロールになる) 必要があります。ユーザーにホームディレクトリを割り当てる必要があり、このホームディレクトリは、VirtualBox が稼働する複数のホスト間で共有されていてはなりません。

SSH がホストで有効になっており、SSH が root ユーザー (Oracle Solaris の場合は root ロールを担うことができるユーザー) によるログインを許可するように構成されている必要があります。SSH が標準以外のポートを使用するように構成されている場合は、必ずポート番号がわかるようにしてください。

Oracle VDI をインストールする前に、ホストのファイアウォールを無効にする必要があります。これにより、必要な構成を実行できるようになります。ファイアウォールを再度有効にする場合は、開く必要がある可能性のあるポートの詳細について、『Oracle Virtual Desktop Infrastructure 管理者ガイド』のファイアウォールのポートとプロトコルを参照してください。

ホストに、クライアントで解決できるドメインネームシステム (DNS) エントリが含まれている必要があります。ホストの DNS 前方参照および逆引き参照は、常に成功する必要があります。正引き検索と逆引き検索の間に 1 対 1 のマッピングが存在する必要があります。

ホストには、固定ホスト名と静的 IP アドレスが必要です。ホストは DHCP クライアントになることはできません。

現在のところ、Oracle VDI は IPv6 や IP マルチパス (IPMP) をサポートしていません。

Oracle VDI ソフトウェア

ホストの一時的な場所に Oracle VDI ソフトウェアアーカイブをダウンロードするようにしてください。ソフトウェアのダウンロードとダウンロード手順へのリンクは、次にあります。

http://www.oracle.com/technetwork/server-storage/virtualdesktop/downloads/index.html

通常、Sun Ray クライアントは Oracle VDI デスクトップを表示するために使用されます。Sun Ray クライアントは省電力のハードウェアデバイスです。アクセスの容易さと速度を考慮して、このガイドではデスクトップへのアクセスに Oracle Virtual Desktop Client を使用します。Oracle Virtual Desktop Client は Sun Ray クライアントに代わって使用されるソフトウェアです。Oracle Virtual Desktop Client のダウンロードとダウンロード手順へのリンクは、次にあります。

http://www.oracle.com/technetwork/server-storage/sunrayproducts/downloads/index.html

Oracle Virtual Desktop Client をダウンロードしたあと、それをインストールします。Oracle Virtual Desktop Client をサーバーにインストールする必要はなく、デスクトップ PC またはノートパソコンにそれをインストールできます。クライアントプラットフォームが Oracle VDI ホストに接続できる必要があります。サポートされているプラットフォームおよびインストール手順の詳細は、次でダウンロード対象クライアントのバージョンのリリースノートを参照してください。

http://www.oracle.com/technetwork/server-storage/sunrayproducts/docs/index.html

仮想化プラットフォーム

Oracle VDI 用のデフォルトの仮想化プラットフォームは Oracle VM VirtualBox であり、このガイドではそのプラットフォームが使用されています。

VirtualBox に精通していて、既存の仮想マシンがある場合、このガイドではその仮想マシンをデスクトップテンプレートとして使用できるように準備する方法について説明します。

別の仮想化プラットフォームで準備されたもので、そのプラットフォームから Open Virtualization Format (OVF または OVA) でエクスポートできる既存の仮想マシンがある場合、このガイドではマシンを VirtualBox にインポートする方法について説明します。エクスポートしたファイルはすべて、ホストの一時的な場所にコピーするようにしてください。

VirtualBox に精通していない場合、このガイドではインストールメディアを必要とする仮想マシンの作成手順について説明します。このガイドでは Windows 7 を使用します。インストールメディアは、物理 CD/DVD であっても、ISO イメージであってもかまいません。ISO イメージを使用する場合は、そのイメージをホストの一時的な場所にコピーしてください。Windows のアクティブ化のようなことに関する問題を回避するために、選択したデスクトップオペレーティングシステム用の Windows ボリュームライセンスキーを持っていることが最善の策です。

ユーザーディレクトリ

通常は、企業のユーザーディレクトリに保持されている情報を使用するように Oracle VDI を構成します。このガイドは、Microsoft Active Directory を使用していることを前提としていますが、このガイドに記載されたユーザーディレクトリへの接続手順はサポートされているどのユーザーディレクトリにも役立つはずです。サポートされているディレクトリの詳細は、『Oracle Virtual Desktop Infrastructure 管理者ガイド』に記載されています。接続に SSL (LDAPS) が必要かどうかも含め、ディレクトリへのアクセスに使用する URL を書きとめてください。また、ディレクトリへの読み取りアクセスを持つユーザーの識別名 (cn=Jane Doe,cn=Users,dc=example,dc=com など) およびパスワードも必要です。

Windows ドメイン

このガイドでは、Windows デスクトップを自動ログインおよび Oracle VDI の高速準備用に構成するために必要な手順を実行します。これらの手順はオプションですが、それによってユーザーの利便性が向上します。この構成によって、Oracle VDI にログインしたユーザーは、それぞれのデスクトップに自動的にログインし、そのデスクトップは Windows ドメインに参加します。これを成功させるためには、次の情報が必要です。

  • コンピュータアカウントの作成とドメインへの参加に必要なアクセス権を持つドメイン管理者の資格情報。

  • Active Directory がコンピュータに使用するコンテナの識別名。デフォルトのコンテナは ou=Computers です。

  • Windows Server 2008 およびそれ以降では、ドメインコントローラが読み取り専用として構成されているかどうか。

準備が完了したあとは、このソフトウェアをいつでもインストールできます。「3章ソフトウェアのインストール」では、この方法について説明します。