4.8 記憶域リポジトリの準備および構成

4.8.1 記憶域リポジトリの作成
4.8.2 記憶域リポジトリの提示または非提示
4.8.3 記憶域リポジトリの編集
4.8.4 記憶域リポジトリの削除
4.8.5 記憶域リポジトリのバックアップの有効化

記憶域リポジトリを作成して構成し、サーバー・プール内のOracle VM Serverに1つ以上の記憶域リポジトリを提示するには、Oracle VM Managerを使用します。この章では、サーバー・プール内のOracle VM Serverに対して記憶域リポジトリを使用可能にするために、物理記憶域ハードウェア、LUN、ファイル・システムなどの検出後に実行する操作のフローについて説明します。記憶域リポジトリがアクセス可能になると、記憶域リソースを追加して、これらのリソースでVMを構築することを開始できます。

環境内のOracle VM Serverの構成によっては、記憶域リポジトリの作成に次の制限が適用される場合があります。

Oracle VM Managerを使用すると、その制御下の記憶域リポジトリで多数の管理操作を実行できます。表4.2「記憶域リポジトリの管理操作」に、記憶域リポジトリのレベルで可能な操作を示します。Oracle VM Managerのこれらの機能にアクセスするには、「Repositories」タブを開き、ナビゲーション・ペインのツリー・ビューを使用してリポジトリを選択し、次に、上部のツールバーから適切なボタンを選択します。

注意

記憶域リポジトリが個々のサーバーに提示されますが、これはすべてのリポジトリが必ずしも使用可能であるわけではないことを意味します(たとえば、特定のOracle VM ServerにVMをデプロイした場合など)。記憶域リポジトリにアクセスできるサーバーを確認するには、ナビゲーション・ペインでリポジトリを選択し、「Perspective」「Info」に設定して、管理ペインでアクセス・ステータスを確認します。

表4.2 記憶域リポジトリの管理操作

操作

説明

リポジトリの作成

4.8.1項「記憶域リポジトリの作成」を参照してください。

リポジトリの提示

  1. ツリー・ビューでリポジトリを選択し、上部のツールバーで「Present/Unpresent」「Present/Unpresent」アイコン。をクリックします。

  2. 「Present Repository」ダイアログ・ボックスで、矢印ボタンを使用して、現在のリポジトリを提示する(または提示しない)Oracle VM Serverを決定します。

  3. 「OK」をクリックして、変更内容を保存します。

4.8.2項「記憶域リポジトリの提示または非提示」を参照してください。

リポジトリの編集

  1. ツリー・ビューでリポジトリを選択し、上部のツールバーで「Edit Selected Repository」「Edit Selected Repository」アイコンをクリックします。

  2. 「Edit Repository」ダイアログ・ボックスで、次の変更を行うことができます。

    Name: 選択したリポジトリの名前を編集します。

    Description: 必要に応じて、選択したリポジトリの詳細な説明を入力します。

    Release Ownership: 別のOracle VM Managerでこのリポジトリを使用できるようにする場合は、このチェック・ボックスを選択します。

  3. 「OK」をクリックして、記憶域リポジトリの変更を保存します。

4.8.3項「記憶域リポジトリの編集」を参照してください。

リポジトリの削除

  1. 表でリポジトリを選択し、上部のツールバーで「Delete Selected Repository」「Delete Selected Repository」アイコンをクリックします。

  2. 「OK」をクリックして、削除操作を実行します。

4.8.4項「記憶域リポジトリの削除」を参照してください。

リポジトリのリフレッシュおよび再同期

表でリポジトリを選択し、上部のツールバーで「Refresh and Resync Selected Repository」「Resync Selected Repository」アイコンをクリックします。

Oracle VM Managerによって、選択したリポジトリのディスクの内容が再度確認されます。検出された変更は、記憶域リポジトリの様々な内容のタブ(アセンブリ、ISOファイルなど)に反映されます。


4.8.1 記憶域リポジトリの作成

前述の4.6.1項「ファイル・サーバーの検出」4.6.3項「SANサーバーの検出」で説明されている準備フェーズを完了すると、Oracle VM Managerでは、記憶域リポジトリとして使用可能な、基礎となる物理記憶域プロバイダが完全に認識されています。

重要

記憶域リポジトリのサイズは10GB以上である必要があります。この最小サイズ要件に加え、仮想マシン、テンプレート、ISOファイルおよびその他の仮想マシンのリソース用に十分な記憶領域が必要です。

サーバー・プールの記憶域リポジトリを作成するには、次の手順を実行します。

  1. Oracle VM Managerで、「Repositories」タブを開きます。

  2. ナビゲーション・ペイン上部のツールバーで「Create New Repository」「Create New Repository」アイコンをクリックします。

  3. 「Create a Data Repository」ダイアログ・ボックスで、次の情報を入力します。

    • Repository Name: リポジトリの識別に使用する名前。

    • Repository Location: ネットワーク・ファイル・サーバーまたは物理ディスク。

  4. 場所として「Physical Disk」を選択した場合は、「リポジトリの場所としての物理ディスク」に進みます。場所として「Network File Server」を選択した場合は、「Search」「Search」アイコンをクリックしてSelect Network File Systemダイアログ・ボックスで場所を選択します。

    • リストから「Network File Server」を選択します。使用可能なファイル・システムが表示されます。リフレッシュされたファイル・システムのみが使用可能であることに注意してください。

    • 記憶域リポジトリをインストールするファイル・システムを選択します。「OK」をクリックします。

      この図は、「Repository Information」ダイアログ・ボックスを示しています。
  5. 必要に応じて、次の追加情報を指定します。

  6. 「Repository Location」としてPhysical Diskを選択した場合は、「Search」「Search」アイコンをクリックしてSelect Physical Diskダイアログ・ボックスで場所を選択します。

    • 「Storage Array」と、該当する場合は、それぞれのリストから「Volume Group」を選択します。使用可能なディスクが表示されます。

    • 記憶域リポジトリをインストールする物理ディスクを選択します。「OK」をクリックします。

      この図は、「Repository Information」ダイアログ・ボックスを示しています。
  7. リストから、この記憶域リポジトリが提供される「Server Pool」を選択します。必要に応じて、この記憶域リポジトリについての追加情報を「Description」フィールドに入力します。

    注意

    記憶域リポジトリをLUNに作成する場合は、クラスタ化されたサーバー・プールのみが選択可能です。

  8. 「Next」をクリックして、ウィザードの2番目のセクションである「Present to Servers」に進みます。

    記憶域リポジトリを準備して作成しても、移入するにはOracle VM Serverで使用可能にすることも必要です。通常、記憶域リポジトリはサーバー・プール内のすべてのOracle VM Serverに対して提示します。ただし、記憶域を異なる方法で設定する必要がある場合、Oracle VM Managerでは、サーバー・プール全体ではなく、選択したOracle VM Serverに対してリポジトリを提示できます。4.8.2項「記憶域リポジトリの提示または非提示」も参照してください。

  9. 「Present to Servers」ダイアログ・ボックスで、矢印ボタンを使用して、目的のOracle VM Serverを左側から右側のペインに移動します。

    この図は、「Present to Servers」ダイアログ・ボックスを示しています。
  10. 「Finish」をクリックして、新しい記憶域リポジトリを作成し、選択したOracle VM Serverに提示します。新しい記憶域リポジトリが、管理ペインの「Repositories」表に表示されます。

この時点で、記憶域リポジトリが作成され、Oracle VM Managerは所有権を取得し、選択したOracle VM Serverは、仮想マシン、ISOファイル、テンプレートなどを格納するためのアクセス権を持っています。記憶域リポジトリへのアクセス権を持つサーバーの構成を変更するには、4.8.2項「記憶域リポジトリの提示または非提示」を参照してください。

4.8.2 記憶域リポジトリの提示または非提示

記憶域リポジトリ作成の一部として、リポジトリを使用可能にする必要のあるOracle VM Serverを選択できます。ただし、この選択は後で変更したり、新しいサーバーにリポジトリを提示したり、すでに選択したサーバーから非提示にすることもできます。

記憶域リポジトリをOracle VM Serverに提示することは、ファイル・システムをマウントすることに相当します。実質的に、リポジトリをサーバー・プール内のOracle VM Serverに提示すると、リポジトリのファイル・システムが各Oracle VM Serverのrootユーザーによってマウントされます。これは、Oracle VM設定のHA構成の重要な要素です。

記憶域リポジトリをOracle VM Serverに提示するには、次の手順を実行します。

  1. 「Repositories」タブを開き、ナビゲーション・ペインでリポジトリを選択します。

  2. 上部のツールバーで「Present/Unpresent」「Present/Unpresent」アイコン。をクリックして、リポジトリを提示するサーバーのリストを変更します。

  3. 「Present Repository」ダイアログ・ボックスで、矢印ボタンを使用して目的のOracle VM Serverを提示ペインおよび非提示ペイン間で移動します。

    この図は、「Present this Repository to Servers(s)」ダイアログ・ボックスを示しています。
  4. 「Present Repository」ダイアログ・ボックスで、矢印ボタンを使用して目的のOracle VM Serverを提示ペインおよび非提示ペイン間で移動します。

  5. 「OK」をクリックして、記憶域リポジトリを選択したOracle VM Serverに提示します。

注意

NFSベースの記憶域リポジトリは、同じOracle VM Managerによって制御される複数のサーバー・プールで共有できます。OCFS2ベースの記憶域リポジトリは、常に、クラスタ化された単一のサーバー・プールに属します。そのため、そのサーバー・プールのメンバーだけがどちらのペインにも表示されます。

これで、外部記憶域の設定が完了しました。記憶域リポジトリはOracle VM Serverに対して使用可能になっています。サーバー・プールの準備ができると、仮想マシンの作成を開始できます。詳細は、第6章「サーバー・プールの管理」を参照してください。

4.8.3 記憶域リポジトリの編集

記憶域リポジトリを編集するには、次の手順を実行します。

  1. ナビゲーション・ペインのツリー・ビューでリポジトリを選択し、上部のツールバーで「Edit Selected Repository」「Edit Selected Repository」アイコンをクリックします。

  2. 「Edit Repository」ダイアログ・ボックスで、次の変更を行うことができます。

    Name: 選択したリポジトリの名前を編集します。

    Description: 必要に応じて、選択したリポジトリの詳細な説明を入力します。

    Release Ownership: 別のOracle VM Managerでこのリポジトリを使用できるようにする場合は、このチェック・ボックスを選択します。

  3. 「OK」をクリックして、記憶域リポジトリの変更を保存します。

4.8.4 記憶域リポジトリの削除

所有する記憶域リポジトリを削除するには、次の手順を実行します。

  1. 削除する記憶域リポジトリからすべてのコンテンツが削除されていることを確認します。

  2. ナビゲーション・ペインのツリー・ビューでリポジトリを選択し、上部のツールバーで「Delete Selected Repository」「Delete Selected Repository」アイコンをクリックします。

  3. この記憶域リポジトリを削除することを確認し、「OK」をクリックして続行します。

コンテンツを削除せずに記憶域リポジトリを削除するには、次の手順を実行します。

  1. ナビゲーション・ペインのツリー・ビューでリポジトリを選択し、上部のツールバーで「Present/Unpresent」「Present/Unpresent」アイコン。をクリックします。

  2. 「Present Repository」ダイアログ・ボックスで、すべてのOracle VM Serverに対して記憶域リポジトリを非提示にします。「OK」をクリックします。

  3. ナビゲーション・ペインのツリー・ビューでリポジトリを選択し、上部のツールバーで「Edit Selected Repository」「Edit Selected Repository」アイコンをクリックします。Release Ownershipチェック・ボックスを選択して、「OK」をクリックします。

  4. 表で、所有権をリリースしたリポジトリを選択し、「Delete」をクリックします。

  5. この記憶域リポジトリを削除することを確認し、「OK」をクリックして続行します。

サーバー・プールがOracle VM Server、ネットワークおよび記憶域で完全に構成されている場合は、記憶域リポジトリでのすべての管理およびメンテナンス操作にOracle VM Managerを使用します。リポジトリに存在する記憶域リソース(ISOファイル、テンプレートなど)もOracle VM Managerを介して管理します。記憶域リポジトリ内の記憶域リソースでの管理操作の詳細は、別の章(7.5項「仮想マシン・リソース」)を参照してください。仮想マシンで各種の記憶域エンティティを使用する手順の詳細は、第7章「仮想マシンの管理」を参照してください。

4.8.5 記憶域リポジトリのバックアップの有効化

Oracle VM Serverでは、サード・パーティのアプリケーションを使用して、記憶域リポジトリのコンテンツをバックアップできるように構成できます。これを行うために、Oracle VM ServerはNFS共有を提供するように構成されており、サード・パーティのバックアップ・ツールはこの共有を使用してリポジトリのコンテンツにアクセスできます。Oracle VM Serverがクラスタ化されたサーバー・プールにあり、OCFS2ベースの記憶域リポジトリがOracle VM Serverに提示されている必要があります。

リポジトリのエクスポートを作成している場合は、「Repository Path」(管理ペインの表に表示)およびOracle VM Serverのホスト名またはIPアドレスを使用して、サード・パーティのバックアップ・ソフトウェアからNFSマウント・ポイントに接続します。

リポジトリのエクスポートを作成するには、次の手順を実行します。

  1. 「Servers and VMs」タブをクリックします。

  2. ナビゲーション・ペインで、リポジトリのエクスポートの場所を作成するOracle VM Serverを選択します。

  3. 管理ペインのPerspectiveドロップダウン・リストから「Repository Exports」を選択します。

  4. ツールバーで「Create Repository Export..」「Create Repository Export...」アイコンをクリックします。

  5. 「Create Repository Export」ダイアログ・ボックスが表示されます。

    この図は、「Create Repository Export」ダイアログ・ボックスを示しています。

    次を入力または選択します。

    • Client IP/Host Name: リポジトリのコンテンツへのアクセス権を付与するコンピュータのIPアドレスまたはホスト名。多くの場合、これはサード・パーティのバックアップおよびリストア・ソフトウェアが動作しているマシンになります。

    • Repository: Oracle VM Serverに提示されるOCFS2ベースの記憶域リポジトリ。これはバックアップするリポジトリです。

    • Options: NFSマウント構成に含める次のようなパラメータ。

      rw, async, no_root_squash

      「OK」をクリックします。

  6. リポジトリのエクスポートを編集するには、管理ペインの表でエントリを選択し、ツールバーで「Edit Repository Export..」「Edit Repository Export...」アイコンをクリックします。

  7. リポジトリのエクスポートを削除するには、管理ペインの表でエントリを選択し、ツールバーで「Delete Repository Export」「Delete Repository Export」アイコンをクリックします。