ナビゲーションリンクをスキップ | |
印刷ビューの終了 | |
Oracle Solaris 11.1 での仮想ネットワークの使用 Oracle Solaris 11.1 Information Library (日本語) |
1. Oracle Solaris でのネットワーク仮想化およびリソース管理
2. Oracle Solaris での仮想ネットワークの作成および管理
3. Oracle Solaris でのネットワークリソースの管理
このセクションでは、基本構成を実行したあとに VNIC 上で実行できるタスクについて説明します。このセクションの内容は次のとおりです。
注 - VNIC を VLAN として構成できます。並列サブコマンド dladm modify-vlan を使用すると、dladm create-vlan コマンドを使用して作成された直接 VLAN を変更できます。VLAN または VNIC として構成された VLAN のどちらを変更しているかに応じて、適切なサブコマンドを使用する必要があります。dladm show-vlan サブコマンドで表示される VLAN に対しては、modify-vlan サブコマンドを使用します。dladm show-vnic サブコマンドで表示される VNIC (VLAN ID を持つ VNIC を含む) に対しては、modify-vnic サブコマンドを使用します。直接 VLAN を変更するには、『Oracle Solaris 11.1 ネットワークパフォーマンスの管理』の「VLAN の変更」を参照してください。
次の 2 つのタイプの VNIC 変更が使用可能です。
グローバルな変更では、特定のデータリンク上のすべての VNIC の属性が一度に変更されます。VNIC を変更するベースとなるデータリンクを識別するには、-L オプションを使用します。
選択的な変更では、選択された VNIC の属性が変更されます。-L オプションを使用してベースとなるデータリンクを識別する代わりに、属性を変更する VNIC を指定します。
VLAN ID、MAC アドレス、ベースとなるリンクの各属性を変更できます。ベースとなるリンクを変更すると、VNIC が別のデータリンクに移動されます。以降のセクションでは、これらの変更について詳細に説明します。
VNIC の VLAN ID を変更するには、次のコマンドのいずれかを使用します。
dladm modify-vnic -v vid -L datalink
このコマンドでは、vid が、VNIC に割り当てる新しい VLAN ID を指定します。datalink は、VNIC が構成されているベースとなるリンクを示します。このコマンド構文を使用できるのは、データリンク上に 1 つの VNIC が存在する場合だけです。複数の VNIC が構成されたデータリンク上では、これらの VNIC に一意の VLAN ID を割り当てる必要があるため、このコマンドは失敗します。
dladm modify-vnic -v vid vnic
このコマンドは、1 つのデータリンク上の複数の VNIC の一意の VLAN ID を変更するために使用します。各 VLAN ID は同じデータリンク上の VNIC で一意であるため、VLAN ID は一度に 1 つずつ変更する必要があります。net0 上に構成された vnica0、vnicb0、および vnicc0 の VLAN ID を変更するとします。次のように進めます。
# dladm modify-vnic -v 123 vnica0 # dladm modify-vnic -v 456 vnicb0 # dladm modify-vnic -v 789 vnicc0
dladm modify-vnic -v vid vnic,vnic,[...]
このコマンドは、各 VNIC が異なるデータリンク上に存在する場合に、VNIC の VLAN ID をグループとして変更するために使用します。vnic0、vnic1、および vnic2 の VLAN ID を変更するとします。これらの VNIC はそれぞれ、net0、net1、および net2 上に構成されています。次のコマンドを使用します。
# dladm modify-vnic -v 123 vnic0,vnic1,vnic2
VNIC には、一意の MAC アドレスがあります。これらのアドレスを変更するには、特定の環境に応じて、次のコマンドのいずれかを使用します。
dladm modif-vnic -m mac-address vnic
このコマンドは、特定の VNIC に特定の MAC アドレスを割り当てるために使用します。
dladm modif-vnic -m random -L datalink
このコマンドは、データリンク上のすべての VNIC の MAC アドレスを変更するグローバルな変更を実行します。システムは、各 VNIC に一意の MAC アドレスを自動的に割り当てます。このコマンドでは、-m random オプションは -m auto オプションと同等です。
dladm modif-vnic -m random vnic, vnic,[...]
このコマンドは、VNIC の選択的な変更を実行します。グローバルな変更と選択的な変更のどちらも、-m オプションに random を指定することに注意してください。
VNIC の VLAN ID と MAC アドレスを 1 つのコマンドで変更できます。ただし、複数の VNIC 属性をグローバルに変更するコマンドの使用は、予期しない動作を引き起こす可能性があるため注意してください。VNIC のグループの複数の属性をすべて同時に変更するよりも、1 つの VNIC ごとに複数の属性を変更することをお勧めします。
次の例は、VNIC の VLAN ID と MAC アドレスを変更する前とあとの出力を示しています。
# dladm show-vnic vnic0 LINK OVER SPEED MACADDRESS MACADDRTYPE VID vnic0 net0 1000 2:8:20:ec:c4:1d random 0 # dladm modify-vnic -m random -v 123 vnic0 # dladm show-vnic vnic0 LINK OVER SPEED MACADDRESS MACADDRTYPE VID vnic0 net0 1000 2:8:20:0:1:2 random 123
VNIC を削除して再構成することなく、1 つ以上の VNIC を、あるベースとなるデータリンクから別のベースとなるデータリンクに移動できます。ベースとなるリンクには、物理リンク、リンクアグリゲーション、または etherstub を指定できます。
VNIC を正常に移行するには、VNIC の移動先のベースとなるデータリンクが、その VNIC のデータリンクプロパティーに対応している必要があります。これらのプロパティーがサポートされていない場合は、移行が失敗し、ユーザーに通知されます。移行が成功したあと、その VNIC がネットワークに接続されたままであれば、VNIC を使用しているすべてのアプリケーションが引き続き正常に動作します。
VNIC の移行のあと、データリンクの状態、リンク速度、MTU サイズなどの、ハードウェアに依存した特定のプロパティーは変更される可能性があります。これらのプロパティーの値は、VNIC の移行先のデータリンクから継承されます。
VNIC はまた、グローバルに移行することも、選択的に移行することもできます。グローバルな移行では、あるデータリンク上のすべての VNIC を別のデータリンクに移行します。グローバルな移行を実行するには、ソースデータリンクとターゲットデータリンクを指定するだけで済みます。次の例では、すべての VNIC を ether0 から net1 に移動します。
# dladm modify-vnic -l net1 -L ether0
ここで
-l datalink は、VNIC の移行先の宛先データリンクを示します。
-L datalink は、VNIC が構成されている元のデータリンクを示します。
注 - ソースデータリンクの前に宛先データリンクを指定する必要があります。
VNIC の選択的な移行を実行するには、移動する VNIC を指定します。次の例では、選択された VNIC を net0 から net1 に移動します。
# dladm modify-vnic -l net1 vnic0,vnic1,vnic2
注 - -L オプションは、グローバルな変更のみに制限されています。
VNIC のグループを移行しているときに、同時にそれらの VLAN ID も変更できます。ただし、新しい VLAN ID を割り当てるには、次の例に示すように VNIC を一度に 1 つずつ移行する必要があります。
# dladm modify-vnic -l net1 -v 123 vnic0 # dladm modify-vnic -l net1 -v 456 vnic1 # dladm modify-vnic -l net1 -v 789 vnic2
移行の MAC アドレスへの影響は、VNIC がソースデータリンクのファクトリ MAC アドレスを使用しているかどうかによって異なります。
移行中に -m オプションを指定しない場合は、移行のあと、ファクトリ MAC アドレスが、ターゲットデータリンクからランダムに割り当てられたアドレスに置き換えられます。
移行中に -m address オプションを使用した場合は、移行のあと、そのアドレスが VNIC に割り当てられます。
ランダムに割り当てられた MAC アドレスは影響を受けず、移行のあと、それらの各 VNIC によって保持されます。
次の例は、複数の VNIC を移行する方法を示しています。VNIC が、ランダムに割り当てられた MAC アドレスを使用していることに注意してください。そのため、移行のあと、これらのアドレスは変更されません。
# dladm show-vnic LINK OVER SPEED MACADDRESS MACADDRTYPE VID vnic1 net0 1000 2:8:20:c2:39:38 random 0 vnic2 net0 1000 2:8:20:5f:84:ff random 0 # dladm modify-vnic -l net1 -L net0 # dladm show-vnic vnic0 LINK OVER SPEED MACADDRESS MACADDRTYPE VID vnic1 net1 1000 2:8:20:c2:39:38 random 0 vnic2 net1 1000 2:8:20:5f:84:ff random 0
システム上の VNIC に関する情報を取得するには、dladm show-vnic コマンドを使用します。
# dladm show-vnic LINK OVER SPEED MACADDRESS MACADDRTYPE vnic1 net0 1000 Mbps 2:8:20:c2:39:38 random vnic2 net0 1000 Mbps 2:8:20:5f:84:ff random
VNIC はまた、データリンクでもあります。そのため、VNIC がシステム上に存在する場合は、データリンクに関する情報を表示する任意の dladm コマンドを使用して、それらの VNIC に関する情報を含めることもできます。たとえば、dladm show-link の一覧には VNIC が含まれます。または、dladm show-linkprop コマンドを使用して VNIC のプロパティーを確認することができます。1 つの VNIC に関するプロパティー情報を取得するには、リンクプロパティーを表示するときに VNIC を指定します。
# dladm show-linkprop [-p property] vnic
この手順では、システムから VNIC 構成を削除する方法について説明します。この手順では、VNIC がゾーンに接続されていることを前提にしています。この手順を実行するには、大域ゾーン内に存在している必要があります。
global# zoneadm -z zone halt
注 - ゾーンによって使用されているリンクを特定するには、dladm show-link コマンドを使用します。
global# zonecfg -z zone remove net physical=vnic
global# dladm delete-vnic vnic
global# zonecfg -z zone boot
例 2-5 システムからの VNIC の削除
この例では、zoneB とシステムから vnic1 が削除されます。
Global# dladm show-link LINK CLASS MTU STATE OVER net0 phys 1500 up -- net2 phys 1500 up -- net1 phys 1500 up -- net3 phys 1500 up -- zoneA/net0 vnic 1500 up net0 zoneB/net0 vnic 1500 up net0 vnic0 vnic 1500 up net1 zoneA/vnic0 vnic 1500 up net1 vnic1 vnic 1500 up net1 zoneB/vnic1 vnic 1500 up net1 Global# zoneadm -z zoneB halt Global# zonecfg -z zoneB remove net physical=vnic1 Global# dladm delete-vnic vnic1 Global# zonecfg -z zoneB reboot