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Oracle Solaris 11.1 ブート環境の作成と管理 Oracle Solaris 11.1 Information Library (日本語) |
ブート環境とは、Oracle Solaris オペレーティングシステムイメージのブート可能なインスタンスに、そのイメージにインストールされているその他のアプリケーションソフトウェアパッケージを加えたものです。システム管理者はシステム上に複数のブート環境を維持することができ、各ブート環境にそれぞれ異なるソフトウェアバージョンをインストールすることもできます。
システムに Oracle Solaris リリースの初期インストールを行うと、ブート環境が作成されます。beadm (1M) ユーティリティーを使用して、システムに追加のブート環境を作成し、管理することができます。また、パッケージマネージャーGUI でも、ブート環境を管理するためのオプションがいくつか提供されています。一度にアクティブにできるのは、1 つのブート環境だけです。
ファイル構造から見れば、各ブート環境はルートデータセットと、そのルートデータセットの下にネストされているオプションの他のデータセットで構成されます。
注 - データセットとは、クローン、ファイルシステム、またはスナップショットなどの ZFS エンティティーの総称名です。ブート環境の管理という文脈では、データセットは、厳密には特定のブート環境のファイルシステムの仕様を指します。
ZFS データセットの詳細は、『Oracle Solaris 11.1 の管理: ZFS ファイルシステム』の「ZFS の用語」を参照してください。
次の例は、BE1 という名前のサンプルブート環境のルートデータセットを示します。
rpool/ROOT/BE1
rpool/ROOT/BE1 というルートデータセットの例では、rpool はストレージプール (zpool) の名前です。このプールは事前に設定されているため、システムにすでに存在します。ROOT は以前のインストールで作成された特殊なデータセットです。ROOT データセットはブート環境のルートデータセットによってのみ使用されるように予約されています。
ルートデータセットおよびその下にネストされた他のすべてのデータセットが BE1 ブート環境に含まれます。これらのデータセットはブート環境のクリティカルデータセットと呼ばれることもあります。
共有データセットは対照的に、各ブート環境のルートデータセット領域の外側にあります。共有データセットは /export などのユーザー定義ディレクトリです。データセットの例として、ユーザーアカウントが保持されるデータセットがあり、これらのユーザーアカウントはブートされるブート環境に関係なくアクセスできます。
次の例を参照してください。
# zfs list NAME USED AVAIL REFER MOUNTPOINT pool 450K 457G 18K /pool pool/home 315K 457G 21K /export/home pool/home/anne 18K 457G 18K /export/home/anne pool/home/bob 276K 457G 276K /export/home/bob
注 - 詳細は、zpool(1M) および zfs (1M) のマニュアルページを参照してください。また、『Oracle Solaris 11.1 の管理: ZFS ファイルシステム』の「ZFS ストレージプールのステータスのクエリー検索を行う」も参照してください。
スナップショットとブート環境は、beadm コマンド以外のユーティリティーでも自動的に作成できます。たとえば、pkg コマンドを使用してパッケージのインストールまたは更新を行うときに、ブート環境のクローンが自動的に作成される場合があります。
beadm コマンドは、特にブート環境を作成または変更する場合、つまりルートデータセットおよびルートデータセットの下にあるデータセットを作成または変更する場合に使用します。たとえば、データセットに変更を加える前にデータセットの参照コピーを作成するときに beadm コマンドを使用します。beadm コマンドは zfs テクノロジに基づいていますが、beadm コマンドにはルートデータセットおよびルートデータセットの下にあるデータセットを管理するための固有の機能が備わっています。さらに、beadm コマンドを使用して、ある大域ゾーン内または複数ゾーンにわたる複数のルートデータセット間での関連付けを追跡および管理することもできます。
beadm ユーティリティーを使用して、ブート環境に対して次のようなアクションを実行できます。
新規ブート環境の作成または既存のブート環境のクローンを実行します。ブート環境のクローンは、既存のブート環境をコピーすることによって作成されます。クローンはブート可能です。ブート環境のクローンには、ルートデータセットと、元のブート環境のメインルートデータセットの下にあるすべてのものが階層的に含まれます。
対照的に、共有データセットはルートデータセットの下にないため、ブート環境が複製されるときに複製されません。代わりに、クローンは必要に応じて元の共有データセットにアクセスします。
ブート環境のスナップショットを作成します。「スナップショット」とは、特定の時点でのデータセットまたはブート環境の読み取り専用イメージです。スナップショットは通常、元のブート環境の一部のファイルを参照し、これらのファイルを完全にコピーしないため、スナップショットの領域を節約します。スナップショットにはブート環境のファイルの完全なセットが含まれていないため、スナップショットはブート可能ではありません。
既存のブート環境およびスナップショットを一覧表示します。
ブート環境の名前を変更します。名前変更プロセスでは、beadm コマンドは大域ゾーンブート環境と非大域ゾーンブート環境の間の既存のすべての関連付けを保持します。このような関係は、名前変更プロセス中に beadm コマンドが認識および維持する ZFS プロパティーに基づきます。
ブート環境を削除します。ブート環境が削除されると、beadm コマンドは、大域ゾーンまたは非大域ゾーン内の関連付けられたゾーンブート環境も削除します。beadm コマンドは、そのような関連付けを記述する ZFS プロパティーを追跡します。