CUPS 印刷マネージャーを使用したプリンタの設定

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このセクションでは、CUPS 印刷マネージャーを使用してプリンタを設定するために必要なタスクについて説明します。

ローカルサーバーの構成

CUPS を使用する各システムは、印刷サーバーと印刷クライアントの両方になることができます。システムは、物理的に接続されたプリンタとそのシステム上に作成された印刷待ち行列のサーバーとして動作します。

ローカル CUPS サーバーの詳細設定とオプションを構成するには、CUPS 印刷マネージャーを起動し、「サーバー」→「設定」の順に選択します。「基本サーバー設定」ダイアログで、「詳細」ボタンをクリックします。次の詳細サーバー設定とオプションを表示または構成できます。

「ジョブ履歴」- 指定した (1 台または複数台の) プリンタの印刷ジョブ履歴を制御します。
「サーバーの参照」- 印刷待ち行列のポーリングを目的とする CUPS による参照を特定の印刷サーバーに限定できます。

「基本サーバー設定」ダイアログで、次の設定を構成できます。

「ほかのシステムで共有されているプリンタを表示する」- ほかの CUPS 印刷待ち行列をローカルシステムで表示できるようにします。
「このシステムに接続されている共有プリンタを公開する」- システムに構成されている印刷待ち行列のリストを、ローカルエリアネットワーク (LAN) 上のほかのシステムに公開します。LAN を超えてアクセスできるように印刷待ち行列を公開することもできます。「インターネットからの印刷を許可する」オプションは、この設定を選択した場合にのみ使用できます。
「リモート管理を許可する」- CUPS 印刷マネージャーと CUPS Web ブラウザインタフェースのどちらかを使用して、リモートシステムから印刷待ち行列を管理できるようにします。
「ユーザーによる任意のジョブ (他人のジョブも含む) の取り消しを許可する」- ユーザーが任意の印刷ジョブを取り消すことができるようにします。
「トラブルシューティング用にデバッグ情報を保存する」- トラブルシューティングを目的としたデバッグ情報のロギングを有効にします。

リモートサーバーの構成

リモート印刷待ち行列を管理するように CUPS を構成できます。通常は、同じローカルエリアネットワーク (LAN) 内にリモートサーバーを接続できます。接続先のリモート印刷サーバーによって所有される印刷待ち行列のみを変更できます。各リモートサーバーは、指定されたプリンタの「設定」ダイアログに基づいて、構成済みの印刷待ち行列を共有したり、リモートで変更したりできます。

公開プリンタは、LAN 上のサーバーが cupsd.conf ファイルでの参照の構成方法に基づいて公表したプリンタです。共有プリンタや公開プリンタはリモート印刷クライアントから検出できますが、共有されていないプリンタや公開されていないプリンタはネットワーク上に通知されません。

注 - リモート印刷待ち行列を管理するには、適切な承認を受ける必要があります。Oracle Solaris 11 リリースでは、リモートサーバーに対して root パスワードを指定する必要があります。

リモート印刷待ち行列を管理するように CUPS を構成する方法

デスクトップのメインメニューバーから「システム」→「管理」→「印刷マネージャー」を選択するか、端末ウィンドウで次のコマンドを入力して、CUPS 印刷マネージャー GUI を起動します。
```
$ system-config-printer
```
「サーバー」メニューから「設定」を選択します。
「基本サーバー設定」ダイアログが表示されます。
次のオプションを選択します。
- 「このシステムに接続されている共有プリンタを公開する」- リモート印刷クライアントから検出できる共有プリンタまたは公開プリンタが表示されます。このオプションを有効にしなかった場合は、リモートサーバーに接続したときに、一部のプリンタが使用可能なプリンタのリストに表示されないことがあります。
- 「リモート管理を許可する」- リモートサーバーに接続できるようにします。
「了解」をクリックします。
「サーバー」メニューから「接続」オプションを選択します。
「CUPS サーバーへの接続」ダイアログが表示されます。
CUPS サーバーのリストから目的のリモートサーバーを選択します。
(省略可能) 暗号化が必要な場合は、「暗号化を必要とする」オプションを選択します。
「接続」ボタンをクリックします。
リモートシステムの root パスワードを入力します。
ローカル印刷待ち行列を管理するのと同じように、リモートシステム上の印刷待ち行列をリモートで管理できます。

印刷デバイスの選択

新しいプリンタを設定する場合や、構成済みプリンタのプロパティーを変更する場合は、そのプリンタに対応するデバイスを選択する必要があります。次の表に、「デバイスの選択」ウィンドウに表示される可能性があるデバイスの選択肢を示します。

デバイス	説明	どのような場合に使用するか
`printer-name`	自動的に検出されたプリンタを指定します。	新しいプリンタを設定するときに、このデバイスを選択します。
`printer-name` (`serial-number`)	自動的に検出されたプリンタを指定し、シリアル番号を追加します。	新しく検出されたプリンタを設定するときに、このデバイスを選択します。注 - ほとんどの場合、このデバイスは `printer-name` デバイスと同じデバイスです。違いは、一方のエントリにはプリンタのシリアル番号が含まれるのに対して、もう一方には含まれないことです。同じデバイスに対して 2 つのエントリが表示されるのは、`system-config-printer` バックエンドと HAL バックエンドの両方が USB デバイスを検出するためです。新しいプリンタを構成するときは、どちらのデバイスを指定してもかまいません。
シリアルポート # `number`	ローカルシステムのシリアルポートに接続されたデバイスを指定します。	ローカルシステムのシリアルポートに接続されたプリンタを設定するときに、このデバイスを選択します。
AppSocket/HP Jet Direct	ネットワークプリンタとの通信手段 (事実上 TCP 接続) を使用するデバイスを指定します。	ネットワーク上のリモート印刷待ち行列を設定するときに、このデバイスを選択します。
IPP (Internet Printing Protocol)	IPP を実行しているホスト上のネットワークプリンタの設定に使用するデバイスを指定します。	IPP を実行しているホスト上のネットワークプリンタモデルを設定するときに、このデバイスを選択します。
LPD/LPR ホストまたはプリンタ	LPD ネットワークプリンタに接続するために使用するデバイスを指定します。	LPD を使用するリモート印刷待ち行列を設定するときに、このデバイスを選択します。注 - このデバイスは、最新のプリンタモデルには対応していない可能性があります。
不明	サーバーメッセージブロック (SMB) ホストを使用するデバイスを指定します。	Windows ホストシステム上のプリンタを設定するときに、このデバイスを選択します。注 - このデバイスは、すべてのシステムで表示されるとはかぎりません。
その他	ユーザーが定義したデバイス URI を使用するデバイスを指定します。	独自の宛先またはデバイス URI (たとえば、`file:///dev/printers/0`) を指定してプリンタを設定するときに、このデバイスを選択します。CUPS の下で `file: デバイス URI` のサポートを有効にする必要があります (`cupsctl FileDevice=yes`)。

新しいローカルプリンタを設定する方法

次の手順では、CUPS 印刷マネージャー GUI を使用して新しいローカル接続プリンタを設定する方法について説明します。

新しいプリンタをローカルシステムに接続し、そのプリンタの電源を入れます。
- プリンタがシステムによって検出されると、「プリンタ構成」ダイアログが開き、新しく検出されたプリンタの情報が表示されます。
- 自動的に検出されなかった新しいプリンタを追加する場合は、次の手順を実行します。
  1. デスクトップのメインメニューバーから「システム」→「管理」→「印刷マネージャー」を選択するか、端末ウィンドウで次のコマンドを入力して、CUPS 印刷マネージャーを起動します。
```
$ system-config-printer
```
  2. メインメニューから「サーバー」→「新規」→「プリンタ」を選択します。
    あるいは、メニューバーにある「新規作成」アイコンをクリックすることもできます。
  3. プロンプトが表示されたら、root パスワードを入力します。
    「プリンタ構成」ダイアログが開き、すべての構成済みプリンタと新しく接続されたプリンタが表示されます。
「デバイスの選択」ウィンドウで、適切なデバイスを選択し、「次へ」をクリックします。
CUPS ではデフォルトで、システムに物理的に接続されている USB デバイスか、または HAL によって検出されたデバイスが選択されます。これらの 2 つのエントリが同じプリンタである場合があることに注意してください。デバイスの選択の詳細については、「印刷デバイスの選択」を参照してください。
「ドライバの選択」ウィンドウで、プリンタの種類を選択し、「次へ」をクリックします。
デフォルトのプリンタドライバを受け入れるか、PPD ファイルを指定するかを決定します。
- デフォルトのドライバを使用するには、「データベースからプリンタを選択する」オプションを選択したままにします。
- PPD ファイルを指定するには:
  1. 「PPD ファイルを指定する」オプションを選択します。
    「ファイルを選択」ウィンドウが表示されます。
  2. システム上の指定する PPD ファイルを見つけ、「開く」をクリックして、その PPD ファイルを新しいプリンタに関連付けます。
次の「ドライバの選択」ウィンドウの左のペインから、プリンタモデルを選択します。右のペインから、プリンタドライバを選択します。次に、「次へ」をクリックします。
デフォルトでは、プリンタのために「推奨される」プリンタモデルとプリンタドライバが CUPS によって選択されます。ただし、必要に応じて、使用可能なドライバのリストから別の選択を行うこともできます。
「インストールできるオプション」ウィンドウで、特定のプリンタモデルに使用可能な任意のオプションを変更し、「次へ」をクリックします。
詳細は、「構成可能なプリンタプロパティー」を参照してください。
「プリンタの説明」ウィンドウで、次の情報を指定します。
- プリンタ名
- 説明
- 場所
変更を保存するには、「適用」をクリックします。プロンプトが表示されたら、root パスワードを入力します。
変更を保存すると、新しく構成されたプリンタが「CUPS 印刷マネージャー」ウィンドウに表示されます。
(省略可能) プリンタをデフォルトとして設定するには、そのプリンタ名を右クリックします。
1. 「デフォルトとして設定」オプションを選択します。
2. 「デフォルトプリンタの設定」ウィンドウで、次のいずれかのオプションを選択します。
  - 「システム全体のデフォルトプリンタとして設定する」(デフォルト)
  - 「個人のデフォルトプリンタとして設定する」
「了解」をクリックしてプリンタ構成を保存します。
(省略可能) プリンタが正しく構成され、正常に動作していることを確認するには、テストページを印刷します。

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