非大域ゾーンの操作

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ほとんどの IPS コマンドは、大域ゾーンで使用する場合と同じ方法で非大域ゾーンで使用できます。Oracle Solaris 10 ブランドゾーンは Oracle Solaris 11 非大域ゾーンとは異なります。Oracle Solaris 10 ブランドゾーンは IPS コマンドで無視されます。このドキュメントでは、「非大域ゾーン」は Oracle Solaris 11 非大域ゾーンを意味します。

大域ゾーンと非大域ゾーンの重要な違いは、パッケージ発行元の使用方法です。非大域ゾーンでは、「システムリポジトリ」は大域ゾーン内に構成されているパッケージリポジトリへのアクセスを提供します。大域ゾーンに加えられた発行元構成の変更は、システムリポジトリを介してただちにすべての非大域ゾーンで認識されます。

非大域ゾーンへのパッケージのインストール

非大域ゾーンは、大域ゾーンでのパッケージのインストール、更新、およびアンインストールの影響を受けることがあります。大域ゾーンで pkg update コマンドを引数なしで実行すると、大域ゾーンと各非大域ゾーンが更新されます。例については、「複数の非大域ゾーンの同時更新」を参照してください。大域ゾーンでインストール、更新、またはアンインストールコマンドにパッケージ名を指定すると、IPS は各非大域ゾーンを確認し、大域ゾーンとの互換性を保つために必要な場合のみ変更を加えます。大域ゾーンでファセットとバリアントを変更すると、非大域ゾーンにも影響することがあります。

ヒント - 大域ゾーンとともに非大域ゾーンに加えられる変更を確認するには、-n オプションを使用します。

非大域ゾーンにログインしているときにパッケージコマンドを実行すると、その非大域ゾーンだけが影響を受けます。結果として大域ゾーンとの互換性が保たれる場合は、異なるパッケージをインストールすることも、同じパッケージの異なるバージョンをインストールすることもできます。非大域ゾーンのイメージでは、異なるパッケージを回避すること、異なるバージョンでパッケージを凍結すること、異なるデフォルト実装を選択するようにメディエータを設定すること、および異なるファセットを設定することができます。

大域ゾーンにインストールされるバージョンにより、非大域ゾーンにインストールされるパッケージのバージョンが制限されることがあります。非大域ゾーンの一部のパッケージは、非大域ゾーンと大域ゾーンで同じバージョンでなければならないため、更新やダウングレードができません。たとえば、entire という名前のパッケージは、各非大域ゾーンと大域ゾーンで同じでなければなりません。entire パッケージは、システムパッケージのバージョンを制約して、結果として得られるパッケージセットがサポート可能なイメージになるようにします。

非大域ゾーンでは、「システムリポジトリ」は大域ゾーン内に構成されているパッケージリポジトリへのアクセスを提供します。大域ゾーンに加えられた発行元構成の変更は、システムリポジトリを介してただちにすべての非大域ゾーンで認識されます。システムリポジトリは http、https、および v4 ファイルリポジトリと .p5p アーカイブリポジトリをプロキシ設定します。

ゾーンプロキシは、ゾーン内で実行されている pkg コマンドが、大域ゾーン内で実行されているシステムリポジトリと通信できるようにするサービスです。ゾーンプロキシには 2 つの部分があります。次のサービスは大域ゾーンで実行されます。

svc:/application/pkg/zones-proxyd:default

次のサービスは非大域ゾーンで実行されます。

svc:/application/pkg/zones-proxy-client:default

システムリポジトリとゾーンプロキシサービスの詳細については、pkg.sysrepo(1M) のマニュアルページを参照してください。

次の例は、大域ゾーンの発行元を示しています。

global:~$ pkg publisher
PUBLISHER             TYPE     STATUS P LOCATION
solaris               origin   online F http://pkg.oracle.com/solaris/release/
solaris               origin   online F file:///export/repoSolaris11/
devtool  (disabled)   origin   online F http://pkg.example1.com/
isvpub                origin   online F http://pkg.example2.com/

次の例は、非大域ゾーンにログインしているときに、これらの同じ発行元がどのように見えるかを示しています。

z1:~$ pkg publisher
PUBLISHER             TYPE     STATUS P LOCATION
solaris  (syspub)     origin   online T <system-repository>
solaris  (syspub)     origin   online F <system-repository>
isvpub   (syspub)     origin   online F <system-repository>

P 列の T は、起点にプロキシが存在することを意味します。詳細情報を取得するには、次のいずれかのコマンドを使用します。

z1:~$ pkg publisher -F tsv
PUBLISHER  STICKY  SYSPUB  ENABLED  TYPE    STATUS  URI                                     PROXY
solaris    true    true    true     origin  online  http://pkg.oracle.com/solaris/release/  
http://localhost:1008
solaris    true    true    true     origin  online  http://localhost:1008/solaris/omitted/    -
z1:~$ pkg publisher solaris
            Publisher: solaris
                Alias:
           Origin URI: http://localhost:1008/solaris/91b04f12f39930ae8e27f5636b7a342e8f460133/
              SSL Key: None
             SSL Cert: None
           Origin URI: http://pkg.oracle.com/solaris/release/
                Proxy: http://localhost:1008
              SSL Key: None
             SSL Cert: None
          Client UUID: c92e7a92-dce5-11e1-b7e5-8800209e4377
      Catalog Updated: August  2, 2012 05:10:48 PM
              Enabled: Yes

非大域ゾーン内からシステムリポジトリを再構成することはできません。たとえば、発行元の場所が <system-repository> の場合、発行元の起点やプロパティー、および発行元の検索順序を変更することはできません。

発行元に到達できない場合は、http_proxy 環境変数を設定するか、pkg set-publisher コマンドに --proxy オプションを指定することで、大域ゾーンにプロキシを設定できます。--proxy オプションについては、pkg(1) のマニュアルページおよび「パッケージ発行元の追加、変更、削除」を参照してください。http_proxy および https_proxy 環境変数の設定手順については、『Oracle Solaris 11.1 の管理: Oracle Solaris ゾーン、Oracle Solaris 10 ゾーン、およびリソース管理』の「インストール済みのゾーンがあるシステムでのプロキシ構成」を参照してください。プロキシ環境変数の詳細については、curl(1) のマニュアルページの「環境」セクションを参照してください。

大域ゾーンですでに構成されている特定の発行元のパッケージを一覧表示する場合、次の形式は大域ゾーンと非大域ゾーンの両方で同じ結果を生成します。

z1:~$ pkg list -a '//isvpub/*'
NAME (PUBLISHER)    VERSION    IFO
isvtool (isvpub)    1.0-0      ---

大域ゾーンで構成されていないが、ネットワークまたはファイルシステムによって非大域ゾーンからアクセスできるリポジトリの場合、file:///export/myrepo が非大域ゾーンからアクセスできるリポジトリの場所であれば、次のコマンドはどちらも同じパッケージを一覧表示します。

z1:~$ pkg list -af -g file:///export/myrepo
z1:~$ pkgrepo list -s file:///export/myrepo

複数の非大域ゾーンの同時更新

デフォルトでは、大域ゾーンで pkg update コマンドを使用すると、パッケージシステムは大域ゾーンと各非大域ゾーンを順に更新します。複数の非大域ゾーンを同時に更新するには、-C オプションを使用するか、大域ゾーンで PKG_CONCURRENCY 環境変数を設定します。-C n オプションと PKG_CONCURRENCY=n 環境変数は、n が 1 以上の場合に、最大 n 個のイメージを並列で更新するように指定します。n のデフォルト値は 1 です。n が 0 または負の数値の場合、すべての非大域ゾーンが大域ゾーンとともに並列で更新されます。

-C オプションが指定された場合、PKG_CONCURRENCY 環境変数は無視されます。-C オプションと PKG_CONCURRENCY 環境変数は、pkg install、pkg uninstall、pkg change-variant、pkg change-facet、および pkg update で使用できます。

大域ゾーンから非大域ゾーンを更新する場合、非大域ゾーンをブートする必要はありません。必要なのは非大域ゾーンをマウントすることだけです。

次の例では、両方の非大域ゾーンが大域ゾーンと同時に更新されます。

global:~$ pfexec pkg update -C 0 --be-name s11u1
 Startup: Linked image publisher check ... Done
 Startup: Refreshing catalog 'solaris' ... Done
 Startup: Refreshing catalog 'isvpub' ... Done
 Startup: Checking that pkg(5) is up to date ... Done
Planning: Solver setup ... Done
Planning: Running solver ... Done
Planning: Finding local manifests ... Done
Planning: Package planning ... Done
Planning: Merging actions ... Done
Planning: Checking for conflicting actions ... Done
Planning: Consolidating action changes ... Done
Planning: Evaluating mediators ... Done
Planning: Planning completed in 39.00 seconds
            Packages to remove:   2
           Packages to install:   1
            Packages to update: 640
       Create boot environment: Yes
Create backup boot environment:  No

Planning: Linked images: 0/2 done; 2 working: zone:z1 zone:z2
Planning: Linked image 'zone:z1' output:
| Packages to install:   1
|  Packages to update: 161
|  Services to change:   2
`
Planning: Linked images: 1/2 done; 1 working: zone:z2
Planning: Linked image 'zone:z2' output:
| Packages to install:   1
|  Packages to update: 161
|  Services to change:   2
`
Planning: Finished processing linked images.
Download:     0/12068 items    0.0/350.9MB  0% complete
...
Download: 11664/12068 items  336.1/350.9MB  95% complete
Download: Completed 350.91 MB in 187.08 seconds (0B/s)
Download: Linked images: 0/2 done; 2 working: zone:z1 zone:z2
Download: Linked images: 1/2 done; 1 working: zone:z1
Download: Finished processing linked images.
 Actions:     1/23382 actions (Removing old actions)
 Actions:  3867/23382 actions (Installing new actions)
 Actions:  8192/23382 actions (Updating modified actions)
...
 Actions: 23266/23382 actions (Updating modified actions)
 Actions: Completed 23382 actions in 96.16 seconds.
Finalize: Updating package state database ...  Done
Finalize: Updating package cache ...  Done
Finalize: Updating image state ...  Done
Finalize: Creating fast lookup database ...  Done
Finalize: Reading search index ...  Done
Finalize: Building new search index ...  Done
Finalize: Linked images: 0/2 done; 2 working: zone:z1 zone:z2
Finalize: Linked images: 1/2 done; 1 working: zone:z2
Finalize: Finished processing linked images.

A clone of s11 exists and has been updated and activated.
On the next boot the Boot Environment s11u1 will be
mounted on '/'.  Reboot when ready to switch to this updated BE.

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	Oracle Solaris 11.1 ソフトウェアパッケージの追加および更新 Oracle Solaris 11.1 Information Library (日本語)