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Oracle Solaris 11.1 の管理: Oracle Solaris ゾーン、Oracle Solaris 10 ゾーン、およびリソース管理     Oracle Solaris 11.1 Information Library (日本語)
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ドキュメントの情報

はじめに

パート I Oracle Solaris のリソース管理

1.  リソース管理の紹介

リソース管理の概要

リソースの分類

リソース管理の制御メカニズム

制約メカニズム

スケジューリングメカニズム

区分メカニズム

リソース管理構成

非大域ゾーンとの相互動作

リソース管理機能を使用する場合

サーバーを統合する場合

大規模で多様なユーザーが利用するシステムをサポートする場合

リソース管理の設定 (タスクマップ)

2.  プロジェクトとタスク (概要)

3.  プロジェクトとタスクの管理

4.  拡張アカウンティング (概要)

5.  拡張アカウンティングの管理 (タスク)

6.  リソース制御 (概要)

7.  リソース制御の管理 (タスク)

8.  公平配分スケジューラ (概要)

9.  公平配分スケジューラの管理 (タスク)

10.  リソース上限デーモンによる物理メモリーの制御 (概要)

11.  リソース上限デーモンの管理 (タスク)

12.  リソースプール (概要)

13.  リソースプールの作成と管理 (タスク)

14.  リソース管理の構成例

パート II Oracle Solaris ゾーン

15.  Oracle Solaris ゾーンの紹介

16.  非大域ゾーンの構成 (概要)

17.  非大域ゾーンの計画と構成 (タスク)

18.  非大域ゾーンのインストール、停止処理、停止、アンインストール、クローニングについて (概要)

19.  非大域ゾーンのインストール、ブート、停止処理、停止、アンインストール、およびクローニング (タスク)

20.  非大域ゾーンへのログイン (概要)

21.  非大域ゾーンへのログイン (タスク)

22.  ゾーンの移行と zonep2vchk ツールについて

23.  Oracle Solaris システムの移行と非大域ゾーンの移行 (タスク)

24.  ゾーンがインストールされている Oracle Solaris 11.1 システムでの自動インストールおよびパッケージ

25.  Oracle Solaris ゾーンの管理 (概要)

26.  Oracle Solaris ゾーンの管理 (タスク)

27.  不変ゾーンの構成と管理

28.  Oracle Solaris ゾーンで発生するさまざまな問題のトラブルシューティング

パート III Oracle Solaris 10 ゾーン

29.  Oracle Solaris 10 ゾーンの紹介

30.  Oracle Solaris 10 システムの評価とアーカイブの作成

31.  (オプション) Oracle Solaris 10 ゾーンへの Oracle Solaris 10 native 非大域ゾーンの移行

32.  solaris10 ブランドゾーンの構成

33.  solaris10 ブランドゾーンのインストール

34.  ゾーンのブート、ログイン、ゾーンの移行

用語集

索引

リソース管理の概要

今日のコンピューティング環境では、システム上で実行されるアプリケーションによって生成されるさまざまな作業負荷に柔軟に対応できる能力が求められます。「作業負荷」とは、1 つのアプリケーションまたは一連のアプリケーションが持つすべてのプロセスの集まりです。リソース管理機能を使用しない場合、Oracle Solaris オペレーティングシステムは、新しいアプリケーションの要求に動的に適応することによって作業負荷の要求に対応しています。このデフォルトの動作は、通常、システムのすべてのアクティビティーに対してリソースへのアクセスを同等に与えることを意味します。リソース管理機能を使用すると、作業負荷を個別に扱うことができるようになります。次のような制御が可能になります。

作業負荷が相互に影響し合うことによる性能の低下を最小限に抑える機能と、リソースの使用状況や使用効率を監視する機能を総称して「リソース管理機能」といいます。リソース管理機能は、いくつかのアルゴリズムの集合として実装されます。これらのアルゴリズムは、アプリケーションがその実行過程で発行する一連のリソース要求を処理します。

リソース管理機能を使用すると、さまざまな作業負荷に対してオペレーティングシステムのデフォルトの動作を変更できます。この場合の「動作」とは、主に、アプリケーションが 1 つ以上のリソース要求をシステムに発行したときに、オペレーティングシステムのアルゴリズムが行う一連の決定処理のことです。リソース管理機能は、次の目的で使用できます。

リソース管理機能を使用できるようにシステムを構成すると、いくつかの目的が達成できます。次のような制御が可能になります。

リソース管理機能をシステム構成に組み込むときは、次のような作業が事前に必要です。

競合しない作業負荷と競合する作業負荷を特定したら、システムの能力が許す範囲内で、業務サービスへの影響を最小限に抑えたリソース構成を構築できます。

効率のよいリソース管理を実現するために、Oracle Solaris システムには制御メカニズム、通知メカニズム、および監視メカニズムが用意されています。これらの機能の多くは、proc(4) ファイルシステム、プロセッサセット、スケジューリングクラスなどの既存メカニズムの拡張機能として提供されます。その他の機能はリソース管理に固有です。これらの機能については、以降の章で説明します。

リソースの分類

リソースは、アプリケーションの動作を変更する目的で操作されるコンピューティングシステムのあらゆる側面を意味します。つまり、リソースは、アプリケーションが暗黙的または明示的に要求する機能です。この機能が拒否または制限された場合は、堅固に作成されているアプリケーションの実行速度が低下します。

リソースの分類は、リソースの識別とは対照的に、多くの基準に基づいて行うことができます。たとえば、リソースは、暗黙的な要求か明示的な要求か、時間 (CPU 時間など) に基づいた要求か時間に無関係な要求 (割り当てられた CPU 配分など) か、などを基準に行うことができます。

通常、スケジューラに基づいたリソース管理は、アプリケーションが暗黙的に要求するリソースに適用されます。たとえば、実行を継続するときは、アプリケーションは暗黙的に追加の CPU 時間を要求します。ネットワークソケットにデータを書き込むときは、アプリケーションは暗黙的に帯域幅を要求します。暗黙的に要求されるリソースの総使用量に対して制約を設けることができます。

帯域幅または CPU サービスのレベルを明示的に折衝できるように、インタフェースを追加することもできます。追加スレッドの要求のように明示的に要求されるリソースは、制約によって管理できます。

リソース管理の制御メカニズム

Oracle Solaris オペレーティングシステムでは、制約、スケジューリング、および区分という 3 種類の制御メカニズムを使用できます。

制約メカニズム

制約を使用すると、管理者やアプリケーション開発者は、作業負荷が使用する特定のリソースの消費にいくつかの制限を設定できます。制限を設定すると、リソースの消費シナリオを簡単にモデル化できます。また、制限を設定することにより、無秩序にリソースを要求してシステムの性能や可用性に悪影響を及ぼす可能性がある悪質なアプリケーションを制御できます。

制約は、アプリケーションに制限を課します。アプリケーションとシステムの関係は、アプリケーションが動作できないところまで悪化してしまう可能性があります。そのような事態を回避する方法の 1 つは、リソースに関する動作が不明なアプリケーションに対する制約を徐々に強めていくことです。第 6 章リソース制御 (概要)で説明するリソース制御が、制約メカニズムを提供します。新たに作成するアプリケーションであれば、リソースの制約をアプリケーションが認識するようにすることもできます。ただし、すべての開発者がこの機能を使用するとは限りません。

スケジューリングメカニズム

スケジューリングとは、一定の間隔で割り当てを決定することです。この決定は、予測可能なアルゴリズムに基づいて行われます。現在割り当てられているリソースを必要としないアプリケーションは、ほかのアプリケーションが使用できるように、そのリソースを解放します。スケジューリングに基づいてリソース管理を行うと、リソースに余裕がある構成の場合は使用効率を最大限にできると同時に、リソースが限界まで、あるいは過剰に使用されている場合には、割り当てを制御できます。スケジューリングのアルゴリズムにより、「制御」という用語の意味が決まります。場合によっては、スケジューリングアルゴリズムは、すべてのアプリケーションがリソースにある程度アクセスできることを保証します。第 8 章公平配分スケジューラ (概要)で説明する公平配分スケジューラ (FSS) は、アプリケーションが制御された方法でCPU リソースにアクセスするように管理します。

区分メカニズム

区分は、作業負荷をシステム上で使用可能なリソースの一部に結合 (バインド) するために使用されます。リソースと結合することにより、作業負荷は常に一定量のリソースを使用できることが保証されます。第 12 章リソースプール (概要)で説明するリソースプール機能を使用すれば、作業負荷をマシンの特定の部分に制限できます。

区分を使用する構成では、システム全体が過剰使用されるのを防ぐことができます。ただし、この方法では、高い使用効率の達成は難しくなります。プロセッサなど、予約済みのリソースに結合されている作業負荷がアイドル状態になっている場合でも、別の作業負荷がそのリソースを使用することはできないためです。

リソース管理構成

リソース管理構成の一部をネットワークのネームサービスに置くことができます。この機能により、管理者は、リソース管理制約をマシンごとに排他的に適用するのではなく、マシンの集合に対して一括して適用できます。関連する作業は共通識別子を共有でき、その作業の使用状況はアカウンティングデータに基づいて表形式で表すことができます。

リソース管理構成と作業負荷識別子の詳細については、第 2 章プロジェクトとタスク (概要)に記載されています。これらの識別子をアプリケーションのリソース使用状況と結び付ける拡張アカウンティング機能は、第 4 章拡張アカウンティング (概要)に記載されています。

非大域ゾーンとの相互動作

リソース管理機能をゾーンと組み合わせて使用すると、アプリケーション環境をさらに細かく調整できます。リソース管理機能とゾーンの相互動作については、このガイドの該当セクションで説明します。