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Oracle Solaris 10 から Oracle Solaris 11.1 への移行 Oracle Solaris 11.1 Information Library (日本語) |
1. Oracle Solaris 10 から Oracle Solaris 11 リリースへの移行 (概要)
2. Oracle Solaris 11 インストール方法への移行
ネットワーク構成および管理コマンド (クイックリファレンス)
Oracle Solaris 11 では、プロファイルベースのネットワーク構成を使用します。これは、2 つのネットワーク構成モード (固定 (手動) およびリアクティブ (自動)) から構成されています。ネットワーク構成の管理方法は、使用している構成モードと、システムで現在アクティブになっているプロファイルによって異なります。インストール後、DefaultFixed と Automatic の 2つのシステム定義のネットワーク構成プロファイル (NCP) が、システムに存在します。Automatic、NoNet、および DefaultFixed (Oracle Solaris 11.1 で新規導入) の 3 つのシステム定義の Location プロファイルが、インストール後、システムに存在します。インストール後にその他のリアクティブプロファイルを作成できます。
テキストと AI のどちらのインストール方法でも、デフォルトで固定ネットワーク構成に設定されています。固定ネットワーク構成の場合、dladm および ipadm コマンドが使用されます。インストール後、Automatic NCP や他のリアクティブ NCP がアクティブになると、netcfg および netadm コマンドがネットワーク構成の管理に使用されます。Oracle Solaris 11.1 以降では、リアクティブ NCP の管理に dladm および ipadm コマンドも使用できますが、その NCP がシステムで現在アクティブになっている必要があります。
プロファイルベースのネットワーク構成に関する次の追加情報に注意してください。
プロファイルタイプとネットワーク構成 – 主要なプロファイルタイプは、ネットワーク構成プロファイル (NCP) と Location プロファイルの 2 つがあります。NCP は、ネットワークデータリンクと IP インタフェースおよびアドレスの構成を指定します。Location プロファイルは、システム全体のネットワーク構成を管理します (たとえば、ネームサービスや IPfilter の設定)。常に、ちょうど 1 つの NCP と 1 つの Location プロファイルがシステムでアクティブになっている必要があります。DefaultFixed NCP がアクティブな場合は、システム定義の DefaultFixed Location プロファイルもアクティブです。他のリアクティブ NCP がアクティブの場合、どの Location がアクティブになるかは、それぞれのリアクティブ Location で指定されているルールおよび条件によって決まります。他のネットワークプロファイルタイプの詳細については、『Oracle Solaris 11.1 でのリアクティブネットワーク構成を使用したシステムの接続』の「ネットワークプロファイルとタイプ」を参照してください。
Automatic NCP の使用 – Automatic NCP は、現在のネットワーク環境に基づいて、データリンクおよび IP 構成を管理するシステム定義のプロファイルです。この NCP は、たとえばシステムでネットワークデバイスの追加または削除を行う場合など、ネットワーク環境が変更したときに必ず自動的に更新されます。Automatic NCP は削除できません。dladm および ipadm コマンドを使用してこの NCP を変更できますが、どのような変更も慎重に行なってください。
Automatic NCP を直接変更するのではなく、この NCP をクローニングしてから、このコピーに変更を適用することをお勧めします。システムは、Automatic NCP のコピーを含めユーザー定義の NCP の構成は変更しないので、ユーザーが行なったどの変更も保存されます。例 7-8 を参照してください。
システム定義の Location の機能 – これらのプロファイルには、Automatic、NoNet、および DefaultFixed Location があります。DefaultFixed Location (Oracle Solaris 11.1 で新規導入) は、ネームサービスなどに行われた変更を追跡します。たとえば、システムは、DefaultFixed Location がアクティブになっている間に該当する SMF サービスに変更が加えられた場合、その変更を保存するようにこの Location を更新します。DefaultFixed NCP がシステムでアクティブになっている場合、DefaultFixed Location もアクティブになっています。システム定義の Location プロファイルは、netcfg コマンドを使用して変更できますが、これらのプロファイルをシステムで初めてアクティブにした後に限られます。詳細については、『Oracle Solaris 11.1 でのリアクティブネットワーク構成を使用したシステムの接続』の第 1 章「リアクティブネットワーク構成 (概要)」を参照してください。
インストール中、ネットワークは次のように構成されます。
GUI インストールの場合は、Automatic NCP が有効になり、現在のネットワークの状態に基づいてネットワークが自動的に構成されます。
テキストインストールの場合は、「自動」、「手動」、または「なし」を選択する必要があります。
「自動」を選択した場合は、Automatic NCP が有効になり、ネットワークはリブート時に自動的に構成されます。
「手動」を選択した場合は、DefaultFixed NCP が有効になり、ネットワーク設定を手動で構成できる一連のインストール画面が表示されます。
「なし」を選択した場合は、DefaultFixed NCP が有効になりますが、インストール時にネットワークパラメータを提供しません。このため、リブート後にネットワークインタフェースは plumb または構成されません。ループバック IPv4 および IPv6 インタフェース (lo0) のみが有効になります。インストール後に dladm および ipadm を使用して、永続的なネットワーク構成を作成できます。「固定モードでのネットワーク構成の管理」を参照してください。
AI を使用したインストールの場合は、インストール前に設定したプロファイルに従ってネットワークが構成されます。Oracle Solaris のインストール前にネットワーク設定を指定しなかった場合は、インストール中に対話式の sysconfig ツールが実行され、システムのネットワークパラメータを設定できます。「AI を使用した Oracle Solaris のインストール」を参照してください。
注 - 特定のネットワーク構成情報の格納場所など、ネットワーク構成の複数の側面が Oracle Solaris 11 で変更されています。たとえば、Oracle Solaris 11 では /etc/defaultrouter ファイルは非推奨であるため、システムのデフォルトルートはこのファイルに格納されなくなりました。インストール後にシステムのデフォルトルートを判別するときに、このファイルをチェックしないでください。代わりに、route -p show コマンドか、netstat -nr コマンドを使用してください。詳細は、「永続的ルートの作成 (固定およびリアクティブ)」を参照してください。
例 7-1 システムで有効な NCP を確認する
インストール後、netadm list コマンドを使用して、どの NCP がアクティブ (オンライン) になっているかを判別してください。次の例では、netadm list コマンドの出力に、Automatic NCP が現在アクティブであることが示されています。
$ netadm list TYPE PROFILE STATE ncp Automatic online ncu:phys net0 online ncu:ip net0 online ncu:phys net1 offline ncu:ip net1 offline ncu:phys net2 offline ncu:ip net2 offline ncu:phys net3 offline ncu:ip net3 offline loc Automatic offline loc NoNet offline loc myloc online loc myncp disabled
前の出力では、myloc というユーザー定義の Location もオンラインになっています。この Location は、この特定の構成に対するシステム全体のネットワーク設定を定義します。リアクティブネットワーク構成を使用する場合、常に、ちょうど 1 つの NCP (Automatic NCP か別のリアクティブ NCP のどちらか) と 1 つの Location がシステムでアクティブになっている必要があります。
次の例における netadm list コマンドの出力には、DefaultFixed NCP がアクティブであることが示されており、このことは、dladm および ipadm コマンドを使用してネットワークを手動で構成する必要があることを意味します。DefaultFixed NCP がオンラインの場合は必ず、DefaultFixed Location もオンラインです。
# netadm list TYPE PROFILE STATE ncp Automatic disabled ncp DefaultFixed online loc Automatic offline loc NoNet offline loc DefaultFixed online
例 7-2 デフォルト NCP を切り替える
ネットワーク構成モードを切り替えるには、その構成モードの適切な NCP を有効にする必要があります。次の例は、DefaultFixed NCP を有効にすることにより、リアクティブモードから固定モードに切り替える方法を示しています。
$ netadm enable -p ncp DefaultFixed
次のように Automatic NCP へ切り替えます。
$ netadm enable -p ncp Automatic
ネットワーク構成モードを切り替える処理には数分かかることがあります。この間、表示される各種ネットワークサービスに関するメッセージはすべて無視してかまいません。