Oracle VMのネットワークでは次の1つ以上のネットワーク機能を実行できます。
サーバー管理: サーバー・プール内の物理的なOracle VM Serverを管理する場合に使用されます(異なるOracle VM Server上のOracle VM Agentの更新など)。
Oracle VMでは、管理ネットワーク・インタフェースおよびパブリック・インタフェース(デフォルト・ルート)は、各Oracle VM Serverで同じである必要があります。同じインタフェース上で他のタイプのネットワークを使用することはできます(VLANやネットワーク・ブリッジなどを使用)。
クラスタ・ハートビート: クラスタ化されたサーバー・プールのOracle VM Serverが起動され実行中であるかどうかを確認するために使用されます。ハートビート機能にはネットワーク・コンポーネントが含まれており、各Oracle VM Serverを使用してTCP/IP通信チャネルが作成されます。各Oracle VM Serverによってキープ・アライブ・パケットが定期的に送信され、各Oracle VM Serverが動作しているかどうかを確認するためにこれらのパケットが使用されます。
負荷の高いネットワーク(記憶域やライブ・マイグレーションのネットワークなど)からクラスタ・ハートビート機能を切り離すことをお薦めします。バンド幅が低くなりすぎると、ハートビートの接続が中断され、仮想マシンおよびOracle VM Serverの再起動が必要になる可能性があります。クラスタ・ハートビート・ロール用ネットワークの設計の詳細は、5.9項「クラスタ・ハートビート・ネットワークの設計」を参照してください。
ライブ・マイグレーション: 仮想マシンのステータスを変更せずに、サーバー・プール内のOracle VM Server間で仮想マシンを移行するために使用されます。
記憶域: サーバー・プールのすべての記憶域のトランスポートに使用されます。イーサネット・ベースの記憶域リポジトリおよびサーバー・プール・ファイル・システムに接続するためにOracle VM Serverによって使用されます。仮想マシン・ロールと同様に、記憶域ロールを持つ複数のネットワークを使用できます。
仮想マシン: サーバー・プール内の異なる仮想マシン間のネットワーク・トラフィックのために使用されます。仮想マシン・ロールは、標準のインター・サーバー(標準のスイッチ経由でルーティング可能)、またはイントラ・サーバー(外部物理ネットワークを経由しない選択されたOracle VM Server専用)のいずれかです。
1つのOracle VM Manager内に、仮想マシン・ロールを持つ複数のネットワークが存在可能であることに注意してください(その可能性は高いです)。
Oracle VM環境の構成の最初の手順は、Oracle VM Serverを検出することです。Oracle VM ServerおよびOracle VM Managerは異なるサブネット上に存在できますが、この手順では、Oracle VM ManagerホストおよびすべてのOracle VM Serverが同じネットワーク上で通信できることが前提となります。最初のOracle VM Serverが検出されると、管理ネットワークが自動的に作成され、Oracle VM Serverが接続されているサブネットからその名前が付けられます。検出された追加の各Oracle VM Serverは、既知のサブネットまたは新しいサブネット上のいずれかにあります。Oracle VM Serverが新しいサブネット上にある場合は、新しい管理ネットワークが構築され、Oracle VM Serverが既知のサブネット上にある場合は、そのサブネットに追加されます。Oracle VM環境の各サーバーは、Oracle VM Managerのデータベースの単一の管理ネットワーク・オブジェクトに属し、管理用に指定されている1つのインタフェースのみを使用します。
Oracle VM Managerと検出および所有されたOracle VM Serverは、相互にアクセス可能であれば異なるサブネット上で使用できますが、ネットワーク・アドレス変換(NAT)はこの構成ではサポートされません。NATを使用すると、Oracle VM Serverの実際の管理IPと検出時に提供されたIPで相違が発生します。
各Oracle VM Server上のネットワーク・ポートは、Oracle VM Serverのインストール時に管理インタフェースとして指定され、ボンディングされたインタフェースとして構成されます。ポートはこのボンドに追加または削除できます。作成された管理ネットワークは、サーバーに管理ネットワーク上のポートがない場合にのみ削除できます。
管理ネットワークの設定が完了したら、他のタイプのネットワークの作成を計画します。特定のネットワークに対して選択されたポートは、追加のネットワークの作成時に再度選択することはできません。ネットワーク・ボンディングとVLANグループを組み合せて使用すると、既存のポートを使用して環境に必要なすべてのネットワークを作成できます。ネットワーク・ボンディングの詳細は5.3項「ネットワーク環境の構築」を、VLANグループの詳細は5.7項「VLANグループおよびVLANセグメント」を参照してください。
図5.1「Oracle VMネットワークの例」は、分割ネットワーク機能を持つOracle VM環境の例を示しています。各Oracle VM Serverは、所属先のサーバー・プールにかかわらず、管理ネットワークに接続されています。
ハートビート機能およびライブ・マイグレーションに個別のネットワークを定義することをお薦めします。これは、ライブ・マイグレーションのような機能ではネットワーク・トラフィックのピークが生成される可能性があるためです。ハートビート機能はピーク負荷による影響を受けやすいため、この機能が負荷の高いネットワークの影響を受けないようにすることが重要です。[1]これらの種類のネットワーク・トラフィックは個々のサーバー・プールのレベルで発生するため、ネットワークにゲートウェイは必要ありません。個別の機能を処理するために異なるネットワークを作成した場合でも、サーバーは同じ機能を割り当てられた複数のネットワークに属することはできないことを理解することが重要です。
通常、仮想マシン(VM)のトラフィックは専用ネットワークを経由しますが、他のネットワーク機能と組み合せることができます。この例では、専用のVMネットワークにインターネット(または企業のWide Area Network)へのルートがあります。ネットワーク・インフラストラクチャで許可されるのと同じ数の仮想マシン・ネットワークを作成できます。
最初の2つのサーバー・プールは、イーサネット・ベースの記憶域プロバイダを使用して記憶域ネットワークに接続されます。イーサネット・ベースの記憶域は、NFSファイル・サーバーまたはiSCSI LUNのいずれかとして提供されます。サーバー・プール3にはファイバ・チャネル・ストレージが割り当てられており、接続されているすべてのハードウェア・コンポーネントにファイバ・チャネル・スイッチおよびホスト・バス・アダプタ(HBA)が必要です。仮想マシンのネットワークと同様、記憶域計画を実装するのに必要な数の記憶域ネットワークを作成します。