この章では、アプリケーション開発で使用可能なJava EE機能、およびOracle JDeveloperに用意されている関連するコンポーネント、ツールおよびテクノロジの概要について説明します。
この章では、次の項目について説明します。
JDeveloperには、Java EE 6アプリケーション・コンポーネントを作成および編集するためのツールと機能の完全なパッケージが用意されています。ソース・エディタとビジュアル・エディタに組み込まれたウィザード、コンポーネント・パレット、プロパティ・インスペクタ、および他の機能を使用して、Web層とビジネス・コンポーネントを作成、アセンブルおよび再利用します。様々なプラットフォーム上で効率的に動作し、簡単に維持できる強力な多層形式のインタラクティブ・アプリケーションを構築、テストおよびデプロイできます。
Java EEの詳細は、次のOracle Technology Network (OTN)のJava EEドキュメントを参照してください。
http://www.oracle.com/technetwork/java/javaee/overview/index.html
Java EEアプリケーションのWeb層部分については、JavaServer Faces (JSF)で構築されたWebアプリケーションにAJAX対応UIコンポーネントのリッチ・ライブラリを提供するADF Facesリッチ・クライアント・フレームワーク(RCF)を利用します。
ADFレイヤーにより、統一化されたアプローチを使用して、各ユーザー・インタフェースをコード記述なしで任意のビジネス・サービスにバインドできます。Java EEアプリケーションまたはEJBプロジェクト(あるいはその両方)を構築する場合、個々のセッションBeanにADFデータ・コントロールを割り当てることができます。これにより、Beanと同じ名前のデータ・コントロール・ファイルが追加されます。
データ・コントロールには、アプリケーション・モジュールのすべての機能が含まれます。JDeveloperの「データ・コントロール」パネルに表示されたデータ・コントロールの表現を使用して、アプリケーション・モジュールに自動的にバインドされるUIコンポーネントを作成できます。
ADFデータ・コントロールのビジネス層レイヤーを使用してEJBプロジェクトに対するビジネス・サービス・アクセスを実行することにより、ビューとビジネス・サービスの同期を維持できます。たとえば、データ・コントロール参照をアプリケーション・モジュール・インスタンスにクラス・キャストして、メソッドを直接コールすることにより、モデル・レイヤーをバイパスし、アプリケーション・モジュール上でメソッドをコールできますが、この方法では、ビジネス・サービスでは変更が認識されなくなります。
詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Application Development Framework Java EE開発者ガイド』を参照してください。
JDeveloperには、Java EEアプリケーションのWeb層またはフロントエンドを開発するための各種ツールが用意されています。すべてのHTMLページ、JSPページ、JavaServer Faces (JSF)/Faceletsページおよび関連ファイルを作成するためのウィザードを使用できます。
また、JDeveloperには、アプリケーションWebページを開発するために使用する多数のタスクに関するWebページ・ツールや段階的指示が用意されています。JSF/Facelets、JavaServer Pages (JSP)、Javaサーブレット、HyperText Markup Language (HTML)およびCascading Style Sheets (CSS)などの、サポートされているすべてのJava EEのWebアプリケーション・テクノロジを使用してWeb層コンポーネントを構築できます。Java EEアプリケーションのWebコンポーネントにはプレゼンテーション・ロジックが含まれており、統合サーバー上で実行されます。
詳細は、第11章「Webページ・ツールを使用したアプリケーションの開発」を参照してください。
新規ギャラリのウィザードを使用して、EJBプロジェクト、エンティティ、Java永続性ユニット、セッションBeanおよびメッセージドリブンBeanを作成できます。エンティティは、オンラインまたはオフラインのデータベース表定義から、およびアプリケーション・サーバーのデータソース接続から構築できます。
EJBアプリケーションの使用を即時開始するには、次のようにします。
ウィザード(「ファイル」→「新規」→「一般」→「アプリケーション」)の使用から開始して、Java EEアプリケーションのフレームワークを作成します。
ウィザードを使用して、データベース表に相当するエンティティを作成します(「ファイル」→「新規」→「ビジネス層」→「EJB」)。
ウィザードを使用して、セッションBeanおよびファサードを作成し、永続性ユニットを構築します。(「ファイル」→「新規」→「ビジネス層」→「EJB」)。Oracle ADFには、データ・コントロールを有効にするためのコンポーネントが用意されています(「ファイル」→「新規」→「ビジネス層」→「ADF Business Components」)。
JDeveloperの統合サーバー機能を使用して、アプリケーションをテストします。実行およびテストの詳細は、第7章の「アプリケーションの実行」を参照してください。
EJBの詳細は、第12章「EJBおよびJPAコンポーネントを使用した開発」を参照してください。
Oracle TopLinkは、オブジェクト永続性およびオブジェクト変換フレームワークであり、開発とメンテナンスの作業を削減し、エンタープライズ・アプリケーションの機能性を高める開発ツールおよびランタイム機能を提供します。
TopLinkを使用して、TopLinkディスクリプタを構成し、Javaクラス、EJBおよびJPAエンティティをリレーショナル・データベース、企業情報システム(EIS)およびXMLスキーマなど別のデータソースにマップします。TopLinkエディタを使用すると、Javaコードを作成せずにこの情報を作成できます。TopLinkエディタでは、JPA、JAXBおよびJava EEなど複数の標準がサポートされています。
詳細は、第13章「TopLinkマッピングの開発」を参照してください。
Java EEアプリケーションは、コンテナ管理セキュリティのみを使用して保護できます。Fusion Webアプリケーションの場合は、Oracle ADFセキュリティを使用します。Fusion Webアプリケーションは、Oracle Application Development Framework (Oracle ADF)を使用して開発するJava EEアプリケーションです。
Oracle ADFセキュリティ・フレームワークは、認証および認可サービスをFusion Webアプリケーションに提供するための推奨テクノロジです。Oracle ADFセキュリティはOracle Platform Security Services (OPSS)アーキテクチャの上に構築されます。このアーキテクチャは、重要なセキュリティ・フレームワークを提供するだけでなく、それ自体もOracle WebLogic Serverと十分に統合されています。
詳細は、第14章「セキュアなアプリケーションの開発」を参照してください。
JDeveloperには、アプリケーション内でXMLファイルを使用するために必要なツールが用意されています。XMLソース・エディタ、XMLバリデータ、およびXMLスキーマを使用するためのツールがあります。また、JDeveloperを使用してXSQLファイルを作成および編集することもできます。
JDeveloperでは、スキーマ・ドキュメントを最初から作成したり、スキーマをXMLドキュメントから(またはこの逆に)生成できます。スキーマを作成したら、XSDビジュアル・エディタおよびコンポーネント・パレットを使用して要素を管理します。
詳細は、第15章「XMLを使用したアプリケーションの開発」を参照してください。
JDeveloperのWebサービスには、オープン・スタンダードを使用してインターネット上でビジネス機能を公開するためのメッセージ・プロトコルとプログラミング規格のセットが用意されています。Webサービスは、プログラムによってインターネット上でアクセスされ、レスポンスを戻す、再利用可能な独立したソフトウェア・コンポーネントです。JDeveloperには、既存のWebサービスの検出と使用、および新規Webサービスの開発とデプロイに役立つツールが提供されています。
JDeveloperは、一連の標準的なJava-to-XMLタイプのマッピングもサポートしています。自動サポートの対象とならないオブジェクト型向けのカスタム・シリアライザを作成することもできます。詳細は、第16.2項「JDeveloperを使用したWebサービスの作成および使用」を参照してください。
Webサービスは、Javaクラス、EJBのリモート・インタフェース、およびEJBとしてラップされたADF Business Componentsサービス・セッションBeanから作成できます。Webサービス作成ウィザードではデプロイメント・ファイルが作成されるため、Webサービスの作成後、最後のステップではこれをアプリケーション・サーバーにデプロイします。詳細は、第16.5項「SOAP Webサービスの作成(ボトムアップ)」を参照してください。
また、Webサービスは、WSDLから始めてトップ・ダウンWebサービスとして作成できます。詳細は、第16.6項「WSDLからのSOAP Webサービスの作成(トップダウン)」を参照してください。
最後に、Representational State Transfer (REST)に基づくWebサービスを開発できます。RESTful Webサービスは、SOAPなどの追加メッセージング・レイヤーなしで、標準化されたインタフェース(HTTPなど)を介してデータを送信する単純なインタフェースです。詳細は、第16.7項「RESTful Webサービスの作成」を参照してください。