ヘッダーをスキップ
Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverの理解
12c (12.1.2)
E48065-02
  目次へ移動
目次

前
 
次
 

4 WebLogic Serverドメイン

この章では、Oracle WebLogic Serverリソースの論理的に関連したグループであるWebLogic Serverドメインについて説明します。

この章の内容は次のとおりです。

ドメインの理解

Oracle WebLogic Serverの管理ドメインは、Oracle WebLogic Serverリソースの論理的に関連したグループです。ドメインには、管理サーバーと呼ばれる特殊なOracle WebLogic Serverインスタンスが含まれます。管理サーバーでは、ドメイン内のすべてのリソースを一元的に構成および管理します。通常は、管理対象サーバーと呼ばれるOracle WebLogic Serverインスタンスも含めてドメインを構成します。Webアプリケーション、EJB、Webサービスなどのリソースは管理対象サーバーにデプロイし、管理サーバーは構成や管理の目的にのみ使用します。

ドメインの整理

単一のOracle WebLogic Serverインストールを使用して複数のドメインを作成および実行したり、複数のインストールを使用して単一のドメインを実行したりできます。図4-1を参照してください。

図4-1 Oracle WebLogic Serverインストールとドメイン

図4-1の説明が続きます
「図4-1 Oracle WebLogic Serverインストールとドメイン」の説明

インストールされたOracle WebLogic Serverをどのようなドメインに構成するかは、ビジネス上のニーズによって異なります。システム管理者の責任範囲、アプリケーションの境界、サーバーを実行するマシンの設置場所などに応じて、複数のドメインを定義できます。また、ドメインを1つにして、すべてのOracle WebLogic Server管理アクティビティを一元化することも可能です。

特定のビジネス上のニーズやシステム管理者の慣習に応じて、次のような条件に基づいてドメインの構成を決定することができます。

開発環境やテスト環境の場合は、単一のサーバー・インスタンスから構成されたシンプルなドメインを作成できます。この単一のインスタンスは管理サーバーとして動作し、開発中のアプリケーションをホストします。Oracle WebLogic Serverと一緒にインストールできるwl_serverドメインはこのタイプのサンプル・ドメインです。

ドメインの内容

図4-2に、管理サーバー、3つのスタンドアロンの管理対象サーバー、3つの管理対象サーバーを含むクラスタで構成された本番環境を示します。

ドメインの範囲と目的は多種多様ですが、ほとんどのOracle WebLogic Serverドメインには、この節で説明するコンポーネントが含まれます。

図4-2 ドメインの内容

図4-2の説明が続きます
「図4-2 ドメインの内容」の説明

管理サーバー

管理サーバーは、ドメイン全体の構成の一元的な制御エンティティとして動作します。ドメインの構成ドキュメントを管理し、構成ドキュメントでの変更を管理対象サーバーに配布します。また、ドメイン内のすべてのリソースを一元的にモニタリングするための場所として使用することもできます。

管理サーバーと対話するには、管理コンソールまたはWLSTを使用するか、独自のJMXクライアントを作成します。ドメインの構成変更に関する詳細情報は、「システム管理」を参照してください。

各Oracle WebLogic Serverドメインには、管理サーバーとして機能する1つのサーバー・インスタンスが必要です。

管理サーバーおよびOracle WebLogic Server JMX管理システムにおける管理サーバーの役割の詳細情報は、「システム管理」を参照してください。

管理対象サーバーと管理対象サーバー・クラスタ

管理対象サーバーは、ビジネス・アプリケーション、アプリケーション・コンポーネント、Webサービス、およびそれらに関連付けられたリソースをホストします。また、パフォーマンスを最適化するため、ドメインの構成ドキュメントの読取り専用のコピーを保持します。管理対象サーバーを起動すると、その構成ドキュメントを管理サーバーに保持されているドキュメントと同期させるため、そのドメインの管理サーバーに接続します。

アプリケーションのパフォーマンス、スループット、または高可用性を向上させる必要のあるプロダクション環境では、複数の管理対象サーバーがクラスタとして動作するように構成できます。クラスタは、同時に動作し、連携して高度なスケーラビリティと信頼性を実現する複数のOracle WebLogic Serverインスタンスで構成されます。クラスタ内では、ほとんどのリソースとサービスが(単一の管理対象サーバーではなく)各管理対象サーバーに同じようにデプロイされています。1つのドメインには、クラスタとして構成されていない複数の管理対象サーバーだけでなく、複数のOracle WebLogic Serverクラスタを含めることができます。クラスタリングされた管理対象サーバーとクラスタリングされていない管理対象サーバーの主な違いは、フェイルオーバーとロード・バランシングのサポートです。これらの機能は、管理対象サーバーのクラスタでしか利用できません。Oracle WebLogic Serverクラスタのメリットと機能の詳細は、『Oracle WebLogic Serverクラスタの管理』のWebLogic Serverのクラスタリングの理解に関する項を参照してください。

管理対象CoherenceサーバーとCoherenceクラスタ

管理対象Coherenceサーバーでは、アプリケーション向けのインメモリー分散キャッシングを提供します。Coherenceクラスタ・メンバーとして構成されている管理対象サーバーが、管理対象Coherenceサーバーです。Coherenceは、WebLogic Server内にコンテナ・サブシステムとして統合されます。コンテナを使用すると、Coherenceメンバーのライフサイクルを管理対象サーバーのライフサイクルにあわせることができます。サーバーJVMを起動または停止すると、Coherenceクラスタ・メンバーも起動または停止します。

ドメインには、複数のWebLogic Serverクラスタに関連付け可能な単一のCoherenceクラスタを含めることができます。WebLogic Serverクラスタの一部である管理対象Coherenceサーバーは、WebLogic ServerクラスタからそのCoherence設定を継承します。WebLogic Serverクラスタは、通常、管理対象CoherenceサーバーをCoherenceクラスタ内のその役割に基づいて編成するCoherence層の設定に使用されます。

Coherenceクラスタの構成と管理の詳細は、『Oracle WebLogic Serverクラスタの管理』を参照してください。

リソースとサービス

ドメインには、管理サーバーと管理対象サーバーだけでなく、管理対象サーバーやデプロイされたアプリケーションで必要となるリソースとサービスも含まれます。

管理対象サーバーでは、次のリソースを使用できます。

  • マシン定義 - 特定の物理的なハードウェアを識別します。マシン定義によって、コンピュータとそのコンピュータがホストする管理対象サーバーが関連付けられます。ノード・マネージャは、障害の発生した管理対象サーバーを再起動する際に、この情報を使用します。また、クラスタリングされた管理対象サーバーは、レプリケートされたセッション・データを格納する最適な場所を選択する際に、この情報を使用します。ノード・マネージャの詳細は、『Oracle WebLogic Serverノード・マネージャの管理』のノード・マネージャの概要に関する項を参照してください。

  • ネットワーク・チャネル - 管理対象サーバーがクライアントとの通信に使用するデフォルトのポート、プロトコル、およびプロトコル設定を定義します。ネットワーク・チャネルを作成したら、ドメイン内の任意の数の管理対象サーバーとクラスタに割り当てることができます。詳細は、『Oracle WebLogic Serverサーバー環境の管理』のネットワーク・リソースの構成に関する項を参照してください。

  • 仮想ホスト - Oracle WebLogic Serverインスタンス(サーバー)またはクラスタが応答するホスト名のセットを定義します。仮想ホスト機能を使用する場合、DNSを使用して、サーバーまたはクラスタのIPアドレスにマップする1つまたは複数のホスト名を指定します。また、各仮想ホストでどのWebアプリケーションを処理するかについても指定します。

アプリケーションでは、次のリソースおよびサービスを使用できます。

  • セキュリティ・プロバイダ - 認証や認可など、セキュリティの特定の側面を処理するモジュール・コンポーネントです。

  • リソース・アダプタ - エンタープライズ情報システム(EIS)に固有のシステム・ライブラリで、EISへの接続性を提供します。

  • 診断およびモニター・サービス。

  • JDBCデータ・ソース - アプリケーションからデータベースへの接続を可能にします。

  • メール・セッション。

  • XMLパーサーおよびトランスフォーマ・ファクトリのXMLエンティティ・キャッシュおよびレジストリ。

  • メッセージング・サービス(JMSサーバー、ストア・アンド・フォワード・サービスなど)。

  • 永続ストア - データ(永続JMSメッセージなど)を格納する物理リポジトリです。具体的には、JDBC対応のデータベースまたはディスク・ベースのファイルのどちらかです。

  • 起動クラス - システム全体のカスタム・サービスをアプリケーションに提供するために作成するJavaプログラムです。

  • ワーク・マネージャ - ユーザーが定義したルールに基づいて、アプリケーションが実行する作業の優先順位を決定し、実行時の実際のパフォーマンスをモニタリングします。Oracle WebLogic Serverドメイン全体のワーク・マネージャを作成したり、特定のアプリケーション・コンポーネントのワーク・マネージャを作成したりできます。

  • ワーク・コンテキスト - アプリケーションからリモート・コンテキストに、プロパティをリモート呼出しに含めずに渡すことを可能にします。

WebLogic Serverドメインの理解のためのロードマップ

表4-1 WebLogic Serverドメインの理解のためのロードマップ

主要なタスク サブタスクと追加情報

WebLogic Serverドメインについてもっとよく知る

  • 管理サーバーに障害が発生した場合

  • ドメインの制限事項

  • ドメイン構成ファイル

  • 変更管理の概要

  • システム管理

ドメインの作成

  • 構成ウィザードによるWebLogicドメインの作成

  • 構成ウィザードの概要

  • WebLogicドメインの拡張

  • PackおよびUnpackコマンドによるテンプレートとドメインの作成

  • WLSTオフラインを使用したWebLogicドメインの作成

ドメインの構成

  • 既存のWebLogicドメインの構成

  • Oracle WebLogic Serverドメインの構成の理解

  • 構成変更の管理

ドメイン・テンプレートの操作

  • ドメイン・テンプレート・ビルダーによるドメイン・テンプレートの作成

  • ドメイン・テンプレートの作成および使用(オフライン)

サンプル

  • WLSTオフライン・サンプル・スクリプト

    また、WLSTオフラインおよびオンラインを使用してWebLogicドメイン・リソースを構成するサンプル・スクリプトは、Oracle Technology Networkサイトから入手できます。

リファレンス