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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverノード・マネージャの管理
12c (12.1.2)
E48063-02
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2 ノード・マネージャの概要

この章では、WebLogic Serverユーティリティの1つであるノード・マネージャについて紹介します。また、ノード・マネージャが管理サーバーと管理対象サーバーをコントロールする仕組みについても説明します。

この章には次の項が含まれます:

はじめに

WebLogic Serverの本番環境では、サーバー・インスタンスが複数のドメイン、マシン、および地理的な場所にまたがって分散することがよくあります。ノード・マネージャは、離れた場所から管理サーバー・インスタンスや管理対象サーバー・インスタンスを起動、停止、および再起動できるWebLogic Server付属のユーティリティです。ノード・マネージャは任意指定の機能ですが、高可用性が要求されるアプリケーションをWebLogic Server環境でホストする場合には使用することをお薦めします。

以前のリリースでは、ノード・マネージャ・プロセスは特定のWebLogicドメインではなくホスト・マシンに関連付けられていました。サーバー・インスタンスがノード・マネージャ・プロセスと同じマシン上に存在しているかぎり、同じノード・マネージャ・プロセスを使用して任意のWebLogicドメインのサーバー・インスタンスを制御しており、マシンにスコープ指定されたホストごとのノード・マネージャでした。 このリリースのWebLogic Serverでは、デフォルトでJavaバージョンのノード・マネージャが、同じドメインに属するすべてのサーバー・インスタンスを制御するように構成されており、ドメインごとのノード・マネージャになります。サーバー・インスタンスは同じマシンに存在する必要はありません。ドメイン固有のJavaベースのノード・マネージャを、それぞれ異なる構成で実行できるようになりました。詳細は、「ノード・マネージャのデフォルト構成」を参照してください。

ノード・マネージャは、ノード・マネージャを使用して制御するWebLogic Serverインスタンス(管理サーバーまたは管理対象サーバー)をホストするコンピュータごとに実行する必要があります。

ノード・マネージャのバージョン

WebLogic Serverには、Javaベースのノード・マネージャとスクリプト・ベースのノード・マネージャという、同じような機能を持つ2つのバージョンのノード・マネージャが用意されています。ただし、それぞれのバージョンでは、構成とセキュリティに関する考慮事項が異なっています。

Javaベースのノード・マネージャ

Javaベースのノード・マネージャは、Java仮想マシン(JVM)プロセスで動作します。ノード・マネージャは、WindowsプラットフォームではWindowsサービスとして、UNIXプラットフォームではオペレーティング・システムのサービスとして実行することをお薦めします。これにより、システムの再起動時にノード・マネージャを自動的に再起動できるようになります。

Oracleでは、Windows、Solaris、Linux on Intel、Linux on Z-SeriesおよびAIXオペレーティング・システム用のネイティブ・ノード・マネージャ・ライブラリを提供しています。


注意:

ノード・マネージャは、Open VMS、OS/390、AS400、UnixWare、またはTru64 UNIXではサポートされていません。


このバージョンのノード・マネージャの構成は、nodemanager.propertiesファイルで指定されます。「nodemanager.propertiesのレビュー」を参照してください。

Javaベースのノード・マネージャは、スクリプト・ベースのノード・マネージャよりセキュリティ面で優れています。「Javaベースのノード・マネージャのセキュリティの構成」を参照してください。

スクリプト・ベースのノード・マネージャ

UNIXおよびLinuxシステムに対しては、スクリプト・ベース・バージョンのノード・マネージャが提供されます。このスクリプトはUNIXシェル・スクリプトに基づいていますが、セキュリティ向上のためにSSHを使用します。SSHではユーザーIDベースのセキュリティが使用されます。

スクリプト・バージョンのノード・マネージャの構成については、「スクリプト・ノード・マネージャの構成」を参照してください。

このバージョンのノード・マネージャでは、Javaベースのノード・マネージャほどのセキュリティは提供されません。しかし、スクリプト・ベースのノード・マネージャの利点は、SSHを使用するように構成されたネットワーク上でサーバーをリモート管理できることです。サーバーを追加でインストールする必要はありません。スクリプトをリモート・マシンにコピーするだけです。


注意:

スクリプト・ベースのノード・マネージャは、オペレーティング・システムのサービスとして実行することをお薦めします。これにより、システムの再起動時にノード・マネージャを自動的に再起動できるようになります。


使用するノード・マネージャ・バージョンの決定

どのバージョンのノード・マネージャを使用するかは、お使いのWebLogic Server環境の要件によって異なります。現在の環境に最適なバージョンを判断する際は、以下の点を考慮してください。

  • WebLogic ServerをWindowsシステムにインストールしている場合は、Javaバージョンのノード・マネージャを使用する必要があります。スクリプト・バージョンのノード・マネージャは、Windowsではサポートされません。

  • コンセンサス・リースを使用する場合は、Javaバージョンのノード・マネージャを使用するとパフォーマンスが向上する可能性があります。

  • スクリプト・ベースのノード・マネージャの場合は、セキュリティ構成をJavaバージョンよりもかなり単純にする必要があります。RSHおよびSSHは、Javaバージョンのノード・マネージャで使用するSSLよりも一般的で構成も容易なセキュリティ手法です。スクリプト・バージョンのノード・マネージャの場合は、必要なサイズもJavaバージョンに比べて小さくなります。

  • Javaバージョンのノード・マネージャは、サポートされるUNIXシステムでinetdと組み合わせて使用できます。inetdを使用すると、構成されたポートでリクエストを受信したときにノード・マネージャを自動的に再起動できます。

ノード・マネージャへのアクセス

ノード・マネージャ・クライアントは、通信するノード・マネージャのローカルにあってもリモートにあってもかまいません。以下のクライアントから、Javaバージョンまたはスクリプト・ベース(SSH)バージョンのノード・マネージャのうち、いずれかにアクセスします(また、スクリプト・ベースのノード・マネージャで使用するための、シェル・コマンド・テンプレート形式によるSSHクライアントが用意されています)。

WLSTおよびノード・マネージャを使用したサーバーの制御の詳細は、「ノード・マネージャを使用したサーバーの制御」を参照してください。

ノード・マネージャの機能

次の項では、基本的なノード・マネージャの機能について説明します。

管理サーバーの起動、停止、および再起動

WebLogic Scripting Tool(またはスクリプト・ベースのノード・マネージャを使用する場合のみSSHクライアント)を使用して、管理サーバーをホストするマシン上のノード・マネージャ・プロセスに接続し、管理サーバーを起動、停止または再起動するためのコマンドを発行します。管理サーバーとノード・マネージャの関係は、シナリオに応じて異なります。

  • 管理サーバーをノード・マネージャの制御下に置くことができます。ノード・マネージャを使用して管理サーバーを起動、モニター、および再起動できます。

  • 管理サーバーをノード・マネージャ・クライアントにできます。管理コンソールから管理対象サーバーを起動または停止するときには、管理サーバーを使用してノード・マネージャにアクセスしています。

  • 管理サーバーではノード・マネージャを使用して管理対象サーバーを起動するプロセスがサポートされています。ノード・マネージャを使用して管理対象サーバーを起動するときには、管理対象サーバーは管理サーバーにアクセスして未処理の構成の更新を取得します。

管理対象サーバーの起動、停止、一時停止、および再起動

WebLogic Server Scripting Tool (WLST)コマンド・ラインまたはスクリプトを使用してノード・マネージャにコマンドを発行し、管理対象サーバー・インスタンスやクラスタを起動、停止、一時停止、および再起動できます。

ノード・マネージャは、管理サーバーにアクセスできない場合でも管理対象サーバー独立(MSI)モードが有効になっていれば、管理対象サーバー・インスタンスを障害後に再起動できます。デフォルトでは、これは有効になっています。


注意:

ノード・マネージャは、最初からMSIモードで管理対象サーバーを起動することはできません。管理対象サーバーが自身の構成を設定を取得するには、ドメインの管理サーバーにアクセスできなくてはならないからです。



注意:

ノード マネージャは、スクリプトまたはコマンドラインで管理対象サーバーを起動するときに指定するものと同じコマンド引数を使用します。起動引数の詳細は、『Oracle WebLogic Serverコマンド・リファレンス』のweblogic.Serverコマンド・ライン・リファレンスに関する項を参照してください。


管理サーバーおよび管理対象サーバーの再起動

ノード・マネージャを使用して起動されたサーバー・インスタンスに障害が発生した場合、ノード・マネージャはそのインスタンスを自動的に再起動します。


注意:

ノード・マネージャは、ノード・マネージャを使用して起動されたサーバーのみを再起動できます。


再起動機能は構成可能です。ノード・マネージャのデフォルトの動作は、以下のとおりです。

  • 障害の発生した、制御下にあるサーバー・インスタンスを自動的に再起動します。この機能は無効にできます。

  • 障害の発生したサーバー・インスタンスを特定の回数まで再起動します。再起動の回数は、ノード・マネージャのstartup.propertiesファイルでRestartMaxプロパティを設定して定義します。

ノード・マネージャに障害が発生した場合や、ノード・マネージャが明示的に停止された場合、ノード・マネージャは再起動時に前回の終了時に制御下にあったサーバー・インスタンスを判別します。ノード・マネージャは必要に応じて障害の発生したサーバー・インスタンスを再起動できます。


注意:

ノード・マネージャをオペレーティング・システムのサービスとして実行することをお薦めします。これにより、ホスト・マシンの再起動時にノード・マネージャを自動的に再起動できるようになります。


サーバーのモニターとログ・データの表示

ノード・マネージャは、ノード・マネージャ・プロセスのログ・ファイルと、自身が制御する各サーバー・インスタンスのサーバー出力ログ・ファイルを作成します。これらのログ・ファイルは、サーバー・インスタンスのログ・ファイルと同様に管理コンソールまたはWLSTまたはコマンドを使用して表示できます。詳細は、「ログ・ファイル」を参照してください。

WebLogic Server環境でのノード・マネージャの機能

次の項では、ノード・マネージャがサーバーとの通信に使用するプロセスの図および説明と合わせて、ノード・マネージャの役割のWebLogic Server環境における「全体像」を示します。

ノード・マネージャとサーバーの図

図2-1は、ノード・マネージャ、ノード・マネージャのクライアント、およびノード・マネージャが制御するサーバー・インスタンスの関係を示します。

図2-1 WebLogic Server環境でのノード・マネージャ

図2-1の説明が続きます
「図2-1 WebLogic Server環境でのノード・マネージャ」の説明

ノード・マネージャが管理サーバーを起動する仕組み

図2-2は、ノード・マネージャによる管理サーバー起動プロセスを示します。

この項では、すでに管理サーバーをインストールし、構成ウィザードを使用してドメイン・ディレクトリを作成していることを前提としています。

ノード・マネージャは、管理サーバーをホストするマシンAで実行されています。スタンドアロンのノード・マネージャ・クライアントはリモートにあります。

図2-2 管理サーバーの起動

図2-2の説明が続きます
「図2-2 管理サーバーの起動」の説明

  1. 認可されたユーザーは、WLSTオフライン・コマンドnmConnectを発行し、管理サーバーをホストするマシン上のノード・マネージャ・プロセスに接続します。(ノード・マネージャ・インスタンスがSSHバージョンである場合は、ユーザーはSSHクライアントを使用して接続できます)。nmConnectコマンドによってノード・マネージャのユーザー名とパスワードが提供され、これらを使用してユーザーはノード・マネージャの認証を受けます。

    次に、ユーザーはnmStartコマンドを発行し、管理サーバーを起動するための資格証明を提供します。例:

    prps = makePropertiesObject("AdminURL=http://listen_address:listen_port;Username=username;Password=password")
    nmStart("AdminServer",props=prps) 
    

    注意:

    ユーザーが以前にノード・マネージャに接続したことがある場合にはboot.propertiesファイルが存在するので、ユーザーはユーザー名とパスワードを指定する必要はありません。


    nmStartコマンドは、起動するドメインおよびサーバー・インスタンスを識別します。

  2. ノード・マネージャがnodemanager.domainsでドメイン・ディレクトリをルックアップし、暗号化されたユーザー名とパスワードを格納するローカル・ファイルを使用してユーザーの資格証明を認証します。

  3. ノード・マネージャは、管理サーバーの起動プロパティを取得します。

  4. ノード・マネージャが管理サーバーのプロセスを作成します。

  5. 管理サーバーが、そのconfigディレクトリからドメイン構成を取得します。


注意:

管理サーバーの実行後、WLSTオンライン・コマンド(nmGenBootStartupProps)を使用して、ユーザー資格証明と起動プロパティを更新できます。

あるいは、管理サーバーとノード・マネージャの実行時に、AdminServer > 「構成」 > 「サーバーの起動」ページで、管理コンソールにユーザー資格証明と起動プロパティを更新できます。管理サーバーは、実行中のノード・マネージャに更新内容をプッシュし、ノード・マネージャは情報をディスクに書き込みます。


ノード・マネージャが管理対象サーバーを起動する仕組み

図2-3は、ノード・マネージャによる管理対象サーバー起動プロセスを示します。

ノード・マネージャは、管理対象サーバー1をホストするマシンBで実行されています。ドメインの管理サーバーはマシンAで実行されています。

図2-3 管理対象サーバーの起動

図2-3の説明が続きます
「図2-3 管理対象サーバーの起動」の説明

  1. ユーザーが、管理コンソールから管理対象サーバー1の起動コマンドを発行します。


    注意:

    スタンドアロン・クライアントは、管理対象サーバーの起動コマンドを発行することもできます。


  2. 管理サーバーが、管理対象サーバー1用に構成されたリモート起動プロパティを指定して、マシンB上のノード・マネージャに管理対象サーバー1の起動コマンドを発行します。引数とその指定方法の詳細は、「ステップ5: リモート起動引数の構成」を参照してください。

  3. ノード・マネージャが管理対象サーバー1を起動します。

    ノード・マネージャは、ノード・マネージャ・プロセスが実行されているものと同じルート・ディレクトリを使用してその管理対象サーバーを起動します。別のディレクトリで管理対象サーバーを実行するには、管理コンソール・ページで「サーバー」>「構成」>「サーバーの起動」「ルート・ディレクトリ」の属性を設定します。

  4. 管理対象サーバー1が管理サーバーにアクセスし、構成情報の更新をチェックします。

  5. ドメイン構成に未処理の変更がある場合、管理対象サーバー1は構成データのローカル・キャッシュを更新します。

ノード・マネージャが管理サーバーを再起動する仕組み

図2-4は、ノード・マネージャによる管理サーバー再起動プロセスを示します。

ノード・マネージャは、管理サーバーをホストするマシンで実行されています。ノード・マネージャを使用して最初に起動された管理サーバーはすでに終了しています。管理サーバーのAutoRestart属性はtrueに設定されています。


注意:

サーバー・インスタンスのAutoRestart属性がfalseに設定されている場合、ノード・マネージャはそのインスタンスを再起動しません。ただし、クラッシュ・リカバリのシナリオにおいて、CrashRecoveryEnabledプロパティは、AutoRestartプロパティよりも優先されます。たとえば、サーバー・インスタンスにAutoRestart=falseCrashRecoveryEnabled=trueが設定されている場合、ノード・マネージャは再起動後にサーバー・インスタンスのリカバリを試みます(ノード・マネージャが実行されていないときにサーバーに障害が発生した場合)。


図2-4 管理サーバーの再起動

図2-4の説明が続きます
「図2-4 管理サーバーの再起動」の説明

  1. ノード・マネージャが管理サーバー・プロセスの終了コードから再起動が必要であると判断します。

  2. ノード・マネージャがboot.propertiesファイルから管理サーバーの起動に使用するユーザー名とパスワードを取得し、server_name/data/nodemanager/startup.propertiesファイルからサーバーの起動プロパティを取得します。

  3. ノード・マネージャが管理サーバーを起動します。

  4. 管理サーバーがその構成データを読み込み、起動します。

ノード・マネージャが管理対象サーバーを再起動する仕組み

図2-5は、ノード・マネージャによる管理対象サーバー再起動プロセスを示します。

ノード・マネージャは、管理対象サーバー1をホストするマシンBで実行されています。ノード・マネージャを使用して最初に起動された管理対象サーバー1はすでに終了しています。管理対象サーバー1のAutoRestart属性はtrueに設定されています。


注意:

サーバー・インスタンスのAutoRestart属性がfalseに設定されている場合、ノード・マネージャはそのインスタンスを再起動しません。ただし、クラッシュ・リカバリのシナリオにおいて、CrashRecoveryEnabledプロパティは、AutoRestartプロパティよりも優先されます。たとえば、サーバー・インスタンスにAutoRestart=falseCrashRecoveryEnabled=trueが設定されている場合、ノード・マネージャは再起動後にサーバー・インスタンスのリカバリを試みます(ノード・マネージャが実行されていないときにサーバーに障害が発生した場合)。


図2-5 管理対象サーバーの再起動

図2-5の説明が続きます
「図2-5 管理対象サーバーの再起動」の説明

  1. ノード・マネージャが管理対象サーバー1の最新の既知の状態から再起動が必要であると判断します。

  2. ノード・マネージャがboot.propertiesファイルから管理対象サーバー1の起動に使用するユーザー名とパスワードを取得し、startup.propertiesファイルからサーバーの起動プロパティを取得します。これらのサーバー固有のファイルは、管理対象サーバー1のserver_name/data/nodemanager/ディレクトリにあります。

  3. ノード・マネージャが管理対象サーバー1を起動します。


    注意:

    ノード・マネージャは、サーバー・インスタンスに障害が発生した後からRestartDelaySecondsで指定された秒数待機してから再起動を行います。


  4. 管理対象サーバー1が管理サーバーにアクセスし、構成データの更新をチェックします。管理サーバーにアクセスし、構成データの更新を取得すると、管理対象サーバー1はconfigディレクトリのローカル・キャッシュを更新します。

  5. 管理対象サーバー1が管理サーバーにアクセスできなかった場合に管理対象サーバー独立(MSI)モードが有効になっていると、管理対象サーバー1はローカルにキャッシュされた構成データを使用します。


    注意:

    デフォルトでは、管理対象サーバー独立モードは有効になっています。


ノード・マネージャがサーバー・インスタンスを停止する仕組み

図2-6は、ノード・マネージャの制御下にある管理対象サーバーの停止に伴う通信について説明しています。管理対象サーバーの状態と可用性によっては、ノード・マネージャは別の方法で停止を始める必要があります。

ノード・マネージャは、管理対象サーバー1をホストするマシンBで実行されています。

図2-6 ノード・マネージャの制御下にあるサーバー・インスタンスの停止

図2-6の説明が続きます
「図2-6 ノード・マネージャの制御下にあるサーバー・インスタンスの停止」の説明

  1. 認可されたユーザーが、管理コンソールを使用して管理対象サーバー1の停止コマンドを発行します。

  2. 管理サーバーは管理対象サーバー1に直接シャットダウン・コマンドを発行します。管理対象サーバー1へのアクセスが成功すると、管理対象サーバー1は、『Oracle WebLogic Serverサーバーの起動と停止の管理』の正常な停止に関する項で説明されている停止シーケンスを実行します。

  3. 前の手順で管理対象サーバー1へのアクセスが失敗した場合、管理サーバーはマシンB上のノード・マネージャに管理対象サーバー1の停止コマンドを発行します。

  4. ノード・マネージャが、オペレーティング・システムに管理対象サーバー1を強制停止するようにリクエストを発行します。

  5. オペレーティング・システムが管理対象サーバー1のプロセスを終了させます。

ノード・マネージャとシステム・クラッシュのリカバリ

システム・クラッシュの後に、ノード・マネージャによってサーバーが確実に再起動されるようにするには、以下を実行する必要があります。

システムの再起動後、ノード・マネージャはnodemanager.domainsファイルで指定された各管理対象ドメインをチェックして、停止に問題のあったサーバー・インスタンスがあるかどうかを判断します。これは、WebLogic Serverプロセスの作成時にノード・マネージャによって作成されたロック・ファイルが存在するかどうかによって決まります。このロック・ファイルには、WebLogic Server起動スクリプトのプロセス識別子が含まれています。ロック・ファイルが存在するが、プロセスIDが実行されていない場合、ノード・マネージャは自動的にサーバーを再起動しようとします。

プロセスが実行中であれば、ノード・マネージャはさらにチェックを行ってプロセス内で実行されている管理サーブレットにアクセスし、プロセスIDに対応するプロセスが、WebLogic Serverインスタンスであることを確認します。


注意:

ノード・マネージャがチェックを実行して管理サーブレットにアクセスする際、不適切な資格証明に関し、サーバー・ログ内にアラートが示されることがあります。


ノード・マネージャの構成ファイルとログ・ファイル

複数のサーバーを管理する場合、ノード・マネージャは、図2-7に示すように複数の構成ファイルを使用し、複数のディレクトリにログ・ファイルを出力します。

図2-7 ノード・マネージャの構成とロギングの環境

図2-7の説明が続きます
「図2-7 ノード・マネージャの構成とロギングの環境」の説明

以下の項では、ノード・マネージャの構成ファイルとログ・ファイルについて説明します。

構成ファイル

言及されていない限り、構成ファイルはJavaベースのノード・マネージャとスクリプト・ベースのノード・マネージャの両方に適用されます。

nodemanager.properties

Javaベースのノード・マネージャによって使用される構成ファイルです。「nodemanager.propertiesのレビュー」を参照してください。

デフォルトでは、このファイルはNodeManagerHome(通常ORACLE_HOME\user_projects\domains\domain_name\nodemanager)にあります。ここでORACLE_HOMEは、WebLogic Serverのインストール時にOracleホームとして指定した場所です。

nodemanager.domains

このファイルには、ノード・マネージャによって管理されるドメインの名前と、それに対応するディレクトリのマッピングが格納されます。「ステップ4: nodemanager.domainsファイルの構成」を参照してください。

Javaベースのノード・マネージャの場合、このファイルはNodeManagerHome(通常ORACLE_HOME\user_projects\domains\domain_name\nodemanager)にあります。

スクリプトベースのノード・マネージャの場合、このファイルのデフォルトのNodeManagerHomeの場所はWL_HOME/common/nodemanagerです。ここでWL_HOMEは、WebLogic Serverをインストールした場所(ORACLE_HOME/wlserverなど)です。

nm_password.properties

このファイルは、ノード・マネージャのユーザー名とパスワードを保存します。「ステップ2: ノード・マネージャのユーザー名およびパスワードの指定」を参照してください。

このファイルは、DOMAIN_HOME/config/nodemanagerにあります。ここでDOMAIN_HOMEは、WebLogicドメインの場所(通常ORACLE_HOME\user_projects\domains\domain_name)です。

boot.properties

ノード・マネージャはこのファイルを使用して、サーバーの起動時にユーザー資格証明を指定します。「ノード・マネージャの一般的な構成」を参照してください。

このファイルはDOMAIN_HOME/servers/server_name/data/nodemanagerにあります。

startup.properties

各管理対象サーバー・インスタンスには、ノード・マネージャによるサーバーの起動方法および管理方法を指定するプロパティが記載された、独自のstartup.propertiesファイルがあります。最後に管理サーバーを使用してこのサーバーを起動したときにノード・マネージャに渡されたプロパティを使用して、ノード・マネージャはこのファイルを自動的に作成します。これにより、ノード・マネージャ・クライアントまたは起動スクリプトは、管理サーバーによって最後に使用されたものと同じプロパティを使用して管理対象サーバーを再起動できるようになります。

startup.propertiesの詳細は、「ステップ6: サーバーの起動プロパティの設定」を参照してください。これらのプロパティは、ServerStartMBeanのサーバー起動属性とServerStartMBeanの状態モニター属性に対応しています。

このファイルはDOMAIN_HOME/servers/server_name/data/nodemanagerにあります。

server_name.addr

server_name.addrは、サーバーが起動または移行される際に追加されたIPアドレスを格納します。このファイルは、移行中にサーバーIPアドレスが正常にオンラインになった後に生成されます。IPアドレスがオフラインになると、server_name.addrは削除されます。サーバーIPアドレスは、サーバーの停止中に、アドレスが誤って削除されてしまうことを回避するための、削除リクエストの検証に使用されます。

このファイルはDOMAIN_HOME/servers/server_name/data/nodemanagerにあります。

server_name.lck

サーバーごとに生成されるserver_name.lckは、内部的に使用されるロックIDを格納します。

このファイルはDOMAIN_HOME/servers/server_name/data/nodemanagerにあります。

server_name.pid

サーバーごとに生成されるserver_name.pidは、サーバーのプロセスIDを格納します。ノード・マネージャは、クラッシュ・リカバリ中、サーバーによって生成されたプロセスIDをチェックします。

このファイルはDOMAIN_HOME/servers/server_name/data/nodemanagerにあります。

server_name.state

サーバーごとに生成されるserver_name.stateは、サーバーの現在の状態を格納します。ノード・マネージャは、このファイルの内容をモニターして、サーバーの現在の状態を判別します。


注意:

このファイルは削除も変更もしないでください。このファイルがないと、ノード・マネージャはサーバーの現在の状態を判別できません。


このファイルはDOMAIN_HOME/servers/server_name/data/nodemanagerにあります。

ログ・ファイル

個々の管理対象サーバーの起動または停止に関する問題を解決するには、ノード・マネージャおよびWebLogic Serverのログ・ファイルを利用します。

表2-1 ノード・マネージャ・ログ・ファイルの場所

ログ・ファイル 場所

ノード・マネージャのログ・ファイル

Javaベースのノード・マネージャのみ、NodeManagerHome/nodemanager.log。ここでNodeManagerHomeは、通常ORACLE_HOME\user_projects\domains\domain_name\nodemanagerにあります。

ノード・マネージャ・サーバー・インスタンスのログ・ファイル

DOMAIN_HOME/servers/server_name/logs/server_name.out。ここでDOMAIN_HOMEは、WebLogicドメインをインストールした場所です(ORACLE_HOME\user_projects\domains\domain_nameなど)。

WebLogic Serverのログ・ファイル

DOMAIN_HOME/servers/server_name/logs/server_name.log


nodemanager.log

nodemanager.logは、スクリプトベース・ノード・マネージャではなく、Javaベース・ノード・マネージャに対してのみ作成されます。このログ・ファイルは、ノード・マネージャによって生成され、ノード・マネージャによって制御される特定のドメインに関するデータが格納されます。このファイルは、通常ORACLE_HOME\user_projects\domains\domain_name\nodemanagerにあります。

ログ出力は、現在のnodemanager.logに追加されます。ログ・ローテーションはデフォルトでは無効になっていますが、nodemanager.propertiesLogCountを設定することで有効にできます。

次の方法で、ノード・マネージャのログ・ファイルを表示できます。

  • 管理コンソールで「マシン」>「監視」>「ノード・マネージャのログ」ページでを選択します。

  • WLSTのnmLogコマンドを使用します。

server_name.out

ノード・マネージャは制御対象の各サーバー・インスタンスについて、サーバー・インスタンスで生成されるstdoutメッセージおよびstderrメッセージを格納するログ・ファイルを保持します。サーバー・インスタンスのリモート起動プロパティとしてリモート起動デバッグ・プロパティが有効になっている場合や、ノード・マネージャのデバッグ・プロパティが有効になっている場合には、ノード・マネージャによってサーバーの出力ログ情報にデバッグ情報が追加されます。


注意:

ノード・マネージャが作成するこのログ・ファイルのサイズは制限できません。stdoutへのロギングはデフォルトでは無効になっています。


このファイルは、DOMAIN_HOME/servers/server_name/logsにあります。ここでserver_nameは、サーバー・インスタンスの名前です。

ノード・マネージャによって、サーバー・インスタンスのlogsディレクトリにそのサーバー・インスタンスのサーバー出力ログが次の名前で作成されます。

server_name.out

次の方法で、特定のサーバー・インスタンスに関するノード・マネージャのログ・ファイルを表示できます。

  • 「診断」>「ログ・ファイル」を選択します。

  • WLSTのnmServerLogコマンドを使用します。

ノード・マネージャが作成できるサーバー出力ログ数に制限はありません。

ログ・ファイルのローテーション

NativeVersionEnabled=falseの場合は、ノード・マネージャのログ・ファイルのローテーションを構成できます。ただし、表4-1「ノード・マネージャのプロパティ」に記載されている制限を参照してください。

表2-2 ノード・マネージャのログ・ファイル・ローテーション・プロパティ

プロパティ 説明 デフォルト

FileCount

サーバーがログをローテーションする際に作成するログ・ファイルの最大数。この数には、現在のメッセージを格納するためにサーバーで使用されているファイルは含まれません。NumberOfFilesLimitedを有効にする必要があります。

7

FileMinSize

サーバーがログ・メッセージを別のファイルに移動するきっかけとなるサイズ(1-2097150KB)。デフォルトは500KBです。ログ・ファイルが指定の最小サイズに到達すると、以後サーバーは、ファイル・サイズをチェックする際に、現在のログ・ファイルの名前をSERVER_NAME.lognnnnnに変更し、それ以降のメッセージを保存するための新規ログ・ファイルを作成します。RotationTypeSIZEを指定する必要があります。

500

RotationType

古いログ・メッセージを別のファイルに移動するための基準を指定します。

  • NONE: メッセージは1つのファイルに蓄積されます。サイズが大きくなり過ぎた場合、ファイルの内容を消去する必要があります。WebLogic Serverでは、ログ・ファイルが大きくなり過ぎないように、500MBのしきい値サイズ制限を設定しており、それを超えると強制的にローテーションが行われます。

  • SIZE: ログ・ファイルがFileMinSizeに指定したサイズに達すると、ファイル名がSERVER_NAME.lognnnnnに変更されます。

  • TIME: FileTimeSpanに指定した間隔で、ファイル名がSERVER_NAME.lognnnnnに変更されます。

SIZE

FileTimeSpan

古いログ・メッセージが別のファイルに移される間隔(単位は時間)。RotationTypeTIMEを指定する必要があります。

24

FileTimeSpanFactor

ログ・ローテーションを別の頻度でテストできるようになります。

360000

RotationTime

時間ベースのローテーション順序の開始時間(時間および分)を指定します。この値で指定された時間に、現在のログ・ファイル名が変更されます。以後、FileTimeSpanで指定した間隔でログ・ファイル名が変更されます。WebLogic Serverでは、ログ・ファイルが大きくなり過ぎないように、500MBのしきい値サイズ制限を設定しており、それを超えると強制的にローテーションが行われます。H:mmの形式を使用します。Hは1日の時間数(0-23)で、mm1時間の分数です。

00:00

NumberOfFilesLimited

古いメッセージを保存するためにこのサーバー・インスタンスが作成するファイルの数を制限するかどうかを示します。RotationTypeに、SIZEまたはTIMEを指定する必要があります。この制限に達すると、最も古いログ・ファイルが削除され、最新の接尾辞の付いた新しいログ・ファイルが作成されます。このオプションを有効にしない場合、新しいファイルが無限に作成されていくため、必要に応じてこれらのファイルを削除する必要があります。

true


WebLogic Serverのログ・ファイル

ノード・マネージャによって作成されるログ・ファイルとは別に、ノード・マネージャの制御下にあるサーバー・インスタンスには独自のログ・ファイルがあります。

サーバー・インスタンスのログ・ファイルを表示するには、「診断」>「ログ・ファイル」を選択し、サーバーのログ・ファイルを選択して「ビュー」をクリックします。